鈴木恵のレビュー一覧
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はい面白いです。最高です。
パパと娘の逃避行。生きるために、守るためにギャングに立ち向かうクライムノワール。血と暴力には熊のぬいぐるみがお似合いだぜ!!
父親の覚悟により娘は変貌していく。拳銃使いの娘へと。娘は相棒となる…娘を鍛え上げることで親子を取り戻していくのだ。成長の物語であり家族の絆の物語でもある。場面転換がとにかく素晴らしく、登場人物もすぐ把握できる。異常にすっきりしたリービタリィ海外苦手な人もおススメです。
保安官が好きでねぇ。トンプスン読んだからかもしれないが狂ってるやつほど正義に偏りがあってぶっとい芯のある生き様がいい。とにかく読もう!こりゃあ傑作だ!!
作者が影響受けたもの。
『ペーパームーン』、タランティーノ、エルロイ…もうお判りだね?
(どストライク -
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アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)新人賞受賞作品。早川書房は海外作品の受賞作品を半年から一年くらいで日本語版にして出版してくれる稀有な版元である。中でもポケミスは早撃ちにかけては名の知れた叢書なので、ぼくは八割方は読んでいる。新たな作家に出会うことも多い。本書デビューとなったこのジョーダン・ハーパーみたいな活きのいい作家と。
少女が犯罪者の父親と逃亡し逆転勝利を、目指すロード・ノヴェルである。のっけから彼等の殺害指令が全米に出される。超重警監房にいる犯罪グループのボスから発される。少女は、父親と同じ拳銃使いの眼をしている。海ではなく川のように青い眼を。
作者はテレビドラマ作家だそうで、小説の展開もなるほどスピーディーで心地良い。ノワールで、クライムで、バイオレンスでありながら、熊のぬいぐるみを手放さない少女の成長物語でもある。
巻末解説によると、インスピレーションを受けたのは『子連れ狼』『ペーパームーン』『レオン』作家としてはジェイムズ・エルロイ、コーマック・マッカーシー、クエンティン・タランティーノだそうだ。笑いたくなるほど納得。推して知るべし。
犯罪に無縁の人はおよそ出てこない。はぼすべての人物が堅気ではない作品世界で、一番不似合いだったのが主人公の少女ポニーだ。もちろん主人公は彼女。拳銃使いの父親の隣、助手席でタフに育ってゆく彼女の変貌ぶりこそが、この作品のすべてを駆け抜ける魅力である。
時に美しく、時に容赦のない文章が、アメリカ西部の荒野を縦横に切り取ってゆく。薄手の本ながら密度の詰まった重量級の傑作としてインパクトを与えてくれること間違いなし、請け合います。 -
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アメリカ人のみならず、立候補表明時には誰もが泡沫候補だと思った
ことだろう。立候補した本人以外は。
ドナルド・トランプである。アメリカ人の大富豪は、並み居る共和党候補者
を次々と撤退に追い込み、民主党のヒラリー・クリントンとアメリカ大統領
というVIP中のVIPの座を目指している。
私にしては珍しく旬の読書なのである。だって、大統領選前に何故、彼が
多くの批判を受けるのと同じくらいに、多くの支持を得ているのかを知り
たかったのだもの。
しかも、調査報道は得意中の得意の「ワシントン・ポスト」取材班。これは
読み逃すわけにはいかないでしょう。トランプ自身も取材班のインタビュー
に応えているっていうしさ。
先般、ヒラリー・クリントンとのテレビ討論会で司会者から「選挙の結果を
受け入れるか」と問われて、頑なに「自分が買った場合は受け入れる」と
繰り返していた姿こそ、本書でもトランプ自身が言っている「ドナルド・
トランプは負けたことがない」との現れなんだ。
でも、実際はいっぱい負けているんだけどね。憧れのニューヨークのプラザ
ホテルを買収したはいいが結局は手放す羽目になっているし、手掛けた
カジノは倒産している。自分のことが書かれた記事が気に入らないから
と高額の賠償請求訴訟を起こしても判事に却下されてるし。
でも、本人にしたら「負け」ではないらしい。誰かに似ていると思って考えた
ら、子ブッシュ政権時代の国防長官ラムズフェルドだった。ラムズフェルド
の自伝の感想に「究極のポジティブシンキング」と書いたけれど、トランプ
もまさしくそれ。
あ、偶然にもラムズフェルドのファーストネームも「ドナルド」だったわ。
ラムズフェルドは戦争屋だったけれど、トランプはアジテーターであり、
ショーマンである。
選挙戦では一貫して「ブルーカラーに共感する大富豪」として、国民の
不満のはけ口になるような言葉を連発し共感を呼んでいるものね。
大衆が何を求めているのか。それを嗅ぎ付ける嗅覚は非常に鋭いの
ではないかと思うわ。
しかも、既存の政治家が使う分かり難い言葉ではなく、感情に直接訴え
る分かりやすい言葉ばかりなんだよね。だから、他の候補者の誰よりも
一般の支持を得たのだろうな。
「俺はドナルド・トランプをやっている」
本人にとっては「ドナルド・トランプ」自身が既にブランドなのである。だから、
メディアを批判しながらもメディアに出続け、詐欺まがいの行為と恫喝で
イメージを守り抜く。
実際、トランプの純資産がどれくらいあるのかは不明だそうだ。本人のその
時々の「感覚」で資産額が変動するらしい。純資産は本当のところ、どれ
くらいあるんだろうな。
「アメリカは選挙を注視して私を大統領にするべきだ」なんて発言もあった
けれど、もし、まかり間違ってトランプが大統領になったら大統領専用機で
あるエアフォース・ワンの尾翼に「T」とか書いちゃうんじゃないのか。ホワ
イトハウスは「トランプハウス」に名称変更して、挙句には国名まで「ユナ
イテッド・ステイツ・オブ・アメリカ」から「ユナイテッド・ステイツ・オブ・トラ
ンプ」にして国からライセンス料を踏んだくろうとするかもしれん。
アメリカ大統領候補を様々な方面から描いた優れた評伝である。この膨大
な仕事を僅か3か月で仕上げた「ワシントン・ポスト」取材班に敬意を。
そして、間近に迫った大統領選挙の結果が楽しみである。トランプが負け
たらきっと「不正選挙だ」ってまたひと騒動なんだろうけれどね。 -
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俺にはできないことが3つあると言って消去法的に殺し屋となった男が、殺さないという道を選んだことで得られた悲しい結末、あるいはハッピーエンドの物語。人にはそれぞれテーマがあってそのテーマに沿って人生は物語として再構成される。同じ事象を目の前にしても、個々人によっては見えているものも違えばその解釈も大きく異なる。そういう意味で一人称で語られる物語は読むたびに解釈が変わるほど入念な小説だった。エピローグでは語り手が変わるがそれが意味することは何だろうと考えあぐねる。カートヴォネガットの『タイタンの妖女』で死にゆく男が見た夢の光景の話があるが、この物語では何がどこまで夢だったのだろうと考え始めるとキリがないけれど、そのキリのなさゆえに小説というものは深化し、読み手によって命を与えられるのだろう。雪という肉体と血を身に纏って。
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翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。
その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジョー・ネスボ。本作はネスボらしからぬ薄い一冊で、中編と呼んでも過言ではないほどの<ポケミス>ぶりだ。
そして数多くのパルプノワールが傑作を生み出してきたように、作品の長さではなく、詩のように語られ、詩のように生き、詩のように死んでゆく薄手の作品は、今日も、いつの世でも、どこの地でも好まれる傾向にあると思う。
抒情溢れるクリスマス・ストーリー。救いようのない人生の中で、主人公の殺し屋家業の青年が夢見、恋をした。一瞬の出会いとさえ呼べない出会いが、人生を決定づける。
悲しくも美しいラブストーリー。行き場のないメルヘン。苦しく不器用の連続であった人生に手向けられた花束のような一篇。素敵で胸の衝かれるこの作品に、是非とも酔い痴れて頂きたい。 -
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ネタバレ[監督,脚本,主演,大統領]先日のアメリカ大統領選で革命的とも言える勝利を収めたドナルド・トランプ次期大統領。その生い立ちから,共和党全国大会における大統領選候補の指名受諾までを追ったワシントン・ポスト取材班による力作です。計20人以上の記者を投入し,謎とブランドによるヴェールに包まれた次期米国大統領の生涯と世界観を明らかにしていきます。訳者は,野中香方子,池村千秋ら5名の翻訳家。原題は,『Trump Revealed: An American Journey of Ambition, Ego, Money and Power』。
2016年を飾る人物を評した2016年を飾る1冊。「不動産王」と紹介されることの多いトランプ氏ですが,本書を読むとそれは一側面に過ぎず,捉えきれないほど多様な顔を有することがわかります。語弊を恐れずに本書から浮かび上がってくるトランプ氏を簡潔に表現しようとすれば,「自ら暴風を起こすことのできる目利き風見白頭鷲」といったところでしょうか。
〜自分の職業について,彼はぶっきらぼうにこう述べている。「俺はドナルド・トランプをやっている」〜
トランプ氏自身は本書を「退屈だ」と(高く?)評価したようです☆5つ -
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「特捜部Q」シリーズが人気のデンマークの作家、オールスン。
じつはこれがデビュー作とは。
重厚でスリルあふれる作品です。
第二次大戦中。
英国軍パイロットのブライアンとジェイムズは、ドイツに不時着。
必死で逃げ延びて列車に飛び乗り、重症のナチス将校になりすますことに。
搬送先は「アルファベット・ハウス」と呼ばれる精神病院で、戦争神経症の患者が集まっていた。
そこに実は悪徳将校の4人組も病気のふりをして紛れ込んでいて、互いに見張り疑う息詰まるような生活が始まる。
やがてブライアンだけが命がけで脱走しましたが‥
ブライアンはジェイムズを捜しますが、行方は知れないまま。
医師として成功し、オリンピックでドイツに行くことになったブライアンは、かっての悪徳将校が町の名士になっていることを知って驚く。
病院の看護婦で献身的なペトラや、ブライアンの妻も、すれ違いつつ果敢に役割を果たします。
戦争物というよりは冒険物、それよりも特殊な状況下での友情物というべきか。
切ない幕切れ。
これほど長い間‥
と思うと胸が詰まるものがありますが、苦いようでも、先に希望はないでもない終わり方。
デンマークの作家だけど~ドイツでも大人気とか。
ルメートルの「天国でまた会おう」はやはりフランス的だったかな‥と。
戦後へと続く友情物という共通項がありつつ、何となくですが~お国振りの違いを思いました。