鈴木恵のレビュー一覧
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アメリカ人のみならず、立候補表明時には誰もが泡沫候補だと思った
ことだろう。立候補した本人以外は。
ドナルド・トランプである。アメリカ人の大富豪は、並み居る共和党候補者
を次々と撤退に追い込み、民主党のヒラリー・クリントンとアメリカ大統領
というVIP中のVIPの座を目指している。
私にしては珍しく旬の読書なのである。だって、大統領選前に何故、彼が
多くの批判を受けるのと同じくらいに、多くの支持を得ているのかを知り
たかったのだもの。
しかも、調査報道は得意中の得意の「ワシントン・ポスト」取材班。これは
読み逃すわけにはいかないでしょう。トランプ自身も取材班のインタビュ -
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俺にはできないことが3つあると言って消去法的に殺し屋となった男が、殺さないという道を選んだことで得られた悲しい結末、あるいはハッピーエンドの物語。人にはそれぞれテーマがあってそのテーマに沿って人生は物語として再構成される。同じ事象を目の前にしても、個々人によっては見えているものも違えばその解釈も大きく異なる。そういう意味で一人称で語られる物語は読むたびに解釈が変わるほど入念な小説だった。エピローグでは語り手が変わるがそれが意味することは何だろうと考えあぐねる。カートヴォネガットの『タイタンの妖女』で死にゆく男が見た夢の光景の話があるが、この物語では何がどこまで夢だったのだろうと考え始めるとキリ
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翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。
その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジョー・ネスボ。本作はネスボらしからぬ薄い一冊で、中編と呼んでも過言ではないほどの<ポケミス>ぶりだ。
そして数多くのパルプノワールが傑作を生み出してきたように、作品の長さではなく、詩のように語られ、詩のように生き、詩のように死んでゆく薄手の作品は、今日も、いつの世でも、どこの地でも好まれる傾向に -
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ネタバレ[監督,脚本,主演,大統領]先日のアメリカ大統領選で革命的とも言える勝利を収めたドナルド・トランプ次期大統領。その生い立ちから,共和党全国大会における大統領選候補の指名受諾までを追ったワシントン・ポスト取材班による力作です。計20人以上の記者を投入し,謎とブランドによるヴェールに包まれた次期米国大統領の生涯と世界観を明らかにしていきます。訳者は,野中香方子,池村千秋ら5名の翻訳家。原題は,『Trump Revealed: An American Journey of Ambition, Ego, Money and Power』。
2016年を飾る人物を評した2016年を飾る1冊。「不動産王 -
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「特捜部Q」シリーズが人気のデンマークの作家、オールスン。
じつはこれがデビュー作とは。
重厚でスリルあふれる作品です。
第二次大戦中。
英国軍パイロットのブライアンとジェイムズは、ドイツに不時着。
必死で逃げ延びて列車に飛び乗り、重症のナチス将校になりすますことに。
搬送先は「アルファベット・ハウス」と呼ばれる精神病院で、戦争神経症の患者が集まっていた。
そこに実は悪徳将校の4人組も病気のふりをして紛れ込んでいて、互いに見張り疑う息詰まるような生活が始まる。
やがてブライアンだけが命がけで脱走しましたが‥
ブライアンはジェイムズを捜しますが、行方は知れないまま。
医師として成功し、オリン -
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冒頭の1ページからラスト1行まで痺れる小説など滅多にあるものではない。冒険小説の名作として散々語り継がれてきた「深夜プラス1」だが、読者が年齢を重ねる程に味わい方も深くなる大人のためのエンターテイメント小説であり、陶酔感でいえば当代随一であろう。優れた作家のみが成し得る唯一無二の世界へとどっぷりと嵌り、惜しくも最終ページへと辿り着いたあとは、軽い恍惚感と心地良い余韻にしばし浸る。他の作品では今ひとつ精彩が無いギャビン・ライアルが遺した奇跡のような「深夜プラス1」。発表は1965年。新訳を機に再読する。
第二次大戦終結から二十年後。元レジスタンスの闘士ルイス・ケインは、無実の罪で警察に追われ -
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ネタバレ戦争に赴く若き兵士たちと、戦地での悪夢のような体験。戦争を挟んで、30年後出会った幼な馴染みは、地獄のような体験により狂気という犠牲を払って待っていた。
ひどく簡単に本書の概要を記すとこうなるが、こうしてみると1970年代に劇場で観た強烈なベトナム映画『ディア・ハンター』を思い出す。主役のロバート・デ・ニーロとその周りを固める同郷の戦友たちの物語であって、ベトナムという地獄がもたらした人間性破壊の悲劇でもあった故に、若かった魂を心底揺すぶられた作品である。
本書は、あのディア・ハンターが持つ細密で長大な描写に近いディテール力を持つ。映画『ディア・ハンター』は、徴兵前夜の若者たちの一日 -
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「ニューヨークのとある分署の刑事班」の「ある夜の出来事」を淡々と描く様子から起こる物語…夏の終わり頃から雪が降り頻るまでの数ヶ月に及ぶ物語である…「ある夜の出来事」が不思議な繋がりを帯び始め、ニックの心境の変化、ニックとエスポとの関係の変化、ニックの周辺の人々が描かれる…
誰しも、「ある夜の出来事」で自殺らしい遺体と射殺された遺体とに一度に出くわす程に激しい状況で暮らしている訳でも無いであろうが、それでも物語を通じて描かれる「ニックの憂鬱」のようなものには、「仄かな心当たり」が在るような気がする…「手が込んでいる」という印象は薄い他方で「如何にも何処かに在りそう」という按配のリアルで渋い物語 -
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この本を手に取った理由は、子供の頃にうっすらと見たような見なかったような記憶のあるアニメの1つであります「ふしぎな島のフローネ」を、ようやく全話見終えたからで御座いました。
このアニメの原作が、こちらの「ロビンソン・クルーソー」なのであります。こちらも長く続く名作ながらも、読んだ事はなく…アニメと原作がどう違うのか興味が湧き、手に取りました。
ロビンソン=クルーソーは、ヨーク市の良家に生まれた。
父は商売で財を成し、母は大変な名家の出だった。
兄が2人おり、3男坊だったロビンソンは幼い頃から特に手に職を付けさせられるでもなく、自由に育った。
父はそれなりに学問を学ばせて法律家に -
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ある素朴な田舎の海辺の町に、「ベンボウ提督亭」と言う1軒のさびれた船宿があった。
この宿屋は本編の語り手であるジム=ホーキンズ少年と、その両親が一家で経営している。
物語は、頬に刀傷のある日焼けした老船乗りが、大きな私物箱を抱えてこのベンボウ提督亭にやって来る所から始まる。
「船長と呼べ!」みすぼらしい身なりにぞんざいな口の利き方、普段は無口だが酒が入ると周りの客に絡み出し、自分が部屋に戻るまでは誰1人席を立つ事を許さないと言う横暴ぶり。
長い間この宿屋に逗留し続け、最初に貰った宿代もとっくに無くなっていたのだが、父はすっかり怯えてしまって追加を貰えずにいた。
心労で体が日に日に弱