シリーズ完結前という触れ込みでひときわ、作者のリキが感じられる・・とはいえ、近づいて来るのが淋しい。
題からするとカールの「罪」とは何ぞやと思ってしまうが(ラストでは確かに、お縄だけど)その軛の状態のカールの頑張りは背水の陣的。
比較的おとなし目に見えるローセ、そして今一元気がない感じのアサド、ゴ
...続きを読むードンに至っては完全にやられっぱなしのそんな役どころといった体「最後は九死に一生だったけど)
1っ作目からすぐにファンになり、大好きな北欧物の中でも突出したスケール、がっちりした骨組みは満足いくものばかりだった。私だけかもしれないが7,8作は途中、退屈さを持ってしまって、未解決の大きな謎を引きずったままという事もあって未消化感。
今回は心菜規制という縛りの中での捜査、世界中ではかなり早い規制解除だったデンマークですら、捜査に難解な足枷があったろう事は筋の中にも読み取れる。しかし、オールソンは相変わらずのユーモアセンスを随所にばらまいて、決して読者を置いてきぼりにせず・・と言うところは嬉しいね。
今回巻末で訳者の方が述べていた中に~ドイツ語からの重訳でお世話になった方への謝辞があった。そこでキリスト教のニュアンスについて教えを貰ったとある。行間にそれを巧く落とし込めている吉田さんの力量にも敬意を表したい。
理系エリートの暴走というテーマはスラブ系に多そうな気がするのは申し訳ないが。。
聖戦という楯の元に猟奇めいた粛清を繰り返す人間・・これだけの数を見て行くと、宗教という名目の元の正義も疑惑を抱かざるを得ない感想を抱いた。