鈴木恵のレビュー一覧
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冒頭の1ページからラスト1行まで痺れる小説など滅多にあるものではない。冒険小説の名作として散々語り継がれてきた「深夜プラス1」だが、読者が年齢を重ねる程に味わい方も深くなる大人のためのエンターテイメント小説であり、陶酔感でいえば当代随一であろう。優れた作家のみが成し得る唯一無二の世界へとどっぷりと嵌り、惜しくも最終ページへと辿り着いたあとは、軽い恍惚感と心地良い余韻にしばし浸る。他の作品では今ひとつ精彩が無いギャビン・ライアルが遺した奇跡のような「深夜プラス1」。発表は1965年。新訳を機に再読する。
第二次大戦終結から二十年後。元レジスタンスの闘士ルイス・ケインは、無実の罪で警察に追われる実業家をフランスからリヒテンシュタインまで護送する依頼を引き受ける。護衛役となる相棒には、元シークレットサービスで欧州3位の腕を持つガンマン/ハーヴィー・ラヴェル。大西洋岸のブルターニュに到着した実業家と秘書を乗せ、目的地に向けてシトロエンDSは闇の中を疾走する。その先に待ち受けるのは、正体不明の人物に雇われた殺し屋たちの罠。予測不能の強襲に対し、ケインらは培った経験と技術で応酬する。
物語の構成は極めてシンプルで、黒幕となる人物も意外性としては低い。だが、複雑なプロットを排した故に、展開するストーリーの密度が濃くなっている。一瞬の判断で危険を察知/回避し、敵を如何に欺いて翻弄するか。プロの仕事に徹するケインとラヴェルの伎倆が燻し銀の輝きを放つ。
成熟しながらも過去への感傷を捨てきれない男のロマンティシズムが横溢し、独自の世界観を創り出す。主人公や脇役、端役に至るまで、その場/その状況に応じてぴたりとはまる言動をとるのだが、これが実にクールでスタイリッシュなのである。登場人物の信条やレトリック、銃器や自動車へのこだわりなど、本筋よりも細部を味わうことに喜びを見出す〝欲深い〟冒険小説ファンにとっては、読めば読むほど味が出るに違いない。殺し屋を「ガンマン」と呼称するところなど、懐古的でありながらも、舞台をヨーロッパに移した「ウエスタン」としても捉えることでき、新鮮な印象を残す。
キャラクターとして人気の高いラヴェルだが、ドライなケインに比してウエットな性格であり、中途からは殆ど役に立たない。硬い殻の中に弱さ/ナイーブな一面を持つラヴェルは、或る種の女々しさも併せ持つハードボイルドの世界を象徴する人物ともいえる。ハードに生きる男の理想像を描きつつ、ラヴェルのような鬱屈した人物を配置したライアルの巧さが光る。再び暴力の世界へと戻り、己を律することで仕事を成し遂げたケインの自信と誇り。ラストシーンにおいて、対極的に収束する二人のアイデンティティー。その対峙は一層際立っている。
名前から女性によく間違えられるらしいが、翻訳家・鈴木恵は男性である。翻訳の良し悪しを評価できる素養を私は持たないが、硬質ながらも単調な言い回しが気になる菊池光に比べ、よりしなやかでスマートな文章に仕上がっており、一人称であるからこその魅力を伝えている。
ソフィスティケートの極みともいうべき「深夜プラス1」。終幕をそのままに表したものだが、名作に相応しいタイトルを付けたライアルは、この時まさに神懸かっていたのだろう。 -
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ネタバレ戦争に赴く若き兵士たちと、戦地での悪夢のような体験。戦争を挟んで、30年後出会った幼な馴染みは、地獄のような体験により狂気という犠牲を払って待っていた。
ひどく簡単に本書の概要を記すとこうなるが、こうしてみると1970年代に劇場で観た強烈なベトナム映画『ディア・ハンター』を思い出す。主役のロバート・デ・ニーロとその周りを固める同郷の戦友たちの物語であって、ベトナムという地獄がもたらした人間性破壊の悲劇でもあった故に、若かった魂を心底揺すぶられた作品である。
本書は、あのディア・ハンターが持つ細密で長大な描写に近いディテール力を持つ。映画『ディア・ハンター』は、徴兵前夜の若者たちの一日を執拗なまでに描き、それに代わる唐突な戦場の描写は中盤にエピソードのように挟まり、しかし強いインパクトを観客に与える。映画は、戦争によって変わってしまった人間模様の戦後・後半部へと様相をがらりと変えてゆく。そこで友情や男女の愛を溶鉱炉のように変化させてしまった戦争の影響が陰影深く辿られ最大の悲劇に向かってゆく。
本書は、戦前部分よりも戦時部分のある特殊な悪夢体験を執拗に描くことでスタートする。第二次大戦末期、出撃した爆撃機の墜落により、パラシュートで脱出した二人の英国軍兵士が、ドイツの奥深くに逃げ延びる。追い詰められた彼らは病院列車に飛び乗り、死んでゆく親衛隊将校らに成り代わって生き延びるが、彼らはそのまま精神を病んだ者として、<アルファベット・ハウス>と呼ばれる過酷な施設での日々を余儀なくされる。さらに命を狙う四人組、脱走、死闘、空爆による施設の壊滅……と、これだけで第一部は終了する。
作者はしかし、「これは戦争小説ではない」と書いている。その通り、第二部は、生き別れた友のことを人生の十字架として感じている兵士が30年後のドイツへ赴くことで展開する新たなストーリーである。日々、死を意識させられて心まで病んでいたアルファベット・ハウスの記憶を軸に、あの四人組の残党と、置き去りにしてきた友との罪と贖いと許しの物語である。
人間の心を弄ぶ病院施設というと映画『カッコーの巣の上で』を思い出す。何と、作者は父が精神科医だったため幼少の10年間を精神病院で育ったそうである。そこでは患者が本当に精神を病んでいるのではなく、ふりをしているかもしれないという疑惑を常に感じていたそうである。それゆえ仮病が可能な病気としての精神病院という施設、そこでしか起こりえない陰謀、恐怖などがスリラーのモチーフとしてこの物語を構成しているようである。
精神への打撃を受けた友と、彼を救い出しに来た幼な馴染みは、少年時代の痛烈な思い出を共有しつつ、もう再生があり得ないような悲劇と犠牲を交感する。ナチというなんとも重たい歴史的題材に、人間を心身ともに支配するという最大の悪を表現してみせた力作である。これがデビュー作とは、そしてこの本の完成に8年を費やしたとは。作家としての活躍が光る『特捜部Q』シリーズ以前にこれほどの傑作をものにしていた作者、やはり只者ではなかったのである。 -
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「ニューヨークのとある分署の刑事班」の「ある夜の出来事」を淡々と描く様子から起こる物語…夏の終わり頃から雪が降り頻るまでの数ヶ月に及ぶ物語である…「ある夜の出来事」が不思議な繋がりを帯び始め、ニックの心境の変化、ニックとエスポとの関係の変化、ニックの周辺の人々が描かれる…
誰しも、「ある夜の出来事」で自殺らしい遺体と射殺された遺体とに一度に出くわす程に激しい状況で暮らしている訳でも無いであろうが、それでも物語を通じて描かれる「ニックの憂鬱」のようなものには、「仄かな心当たり」が在るような気がする…「手が込んでいる」という印象は薄い他方で「如何にも何処かに在りそう」という按配のリアルで渋い物語だ… -
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ネタバレ上下巻で600ページを超える海外小説を読んだのは初めてだった。
少女誘拐事件の真相を追うミステリであり、パッチの生涯を描く伝記であり、パッチとセイントの友情物語であり、冒険譚であり、家族愛の物語でもある。まさに「全部盛り」。
個性的で危うく、それでも不思議と人を惹きつけるパッチも魅力的だが、私はセイントの一途さと知性、頼もしさに惹かれた。しかし上巻では、報われないセイントの気持ちを思って何度もやりきれなくなった。
しかし、結末はあたたかかった。パッチとセイントにとって大切だった言葉やキーワードが一つひとつ綺麗に回収されていく。最後にパッチ、セイント、シャーロットの三人が再会するシーンは胸が熱くなる。そして何より、セイントのこれまでが報われるラストシーン!思わず涙がこぼれた。
振り返ってみると、パッチが犯した殺人は、いずれもセイントを守るためだったことも心に残る。やはりパッチにとっても、セイントはかけがえのない存在だったのだ。
ミステリとして真相を追いかけていたはずが、いつの間にかパッチとセイントの人生そのものを追いかけていた。忘れがたい一冊。 -
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愛する映画と〝おれの人生〟についてクエンティン・タランティーノが語り倒す怒濤の37万字。
自伝であり、映画批評であり、ハリウッド・ゴシップ集であり、70sカルチャーへの賛歌であり──そして映画愛をぶちまけるマシンガンでもある大著。
1963年生まれのタランティーノは、いかにして恐るべき映画マニアとなったのか?
母親とともに大人向けの映画を見まくり、『明日に向かって撃て!』のラストのストップモーションにとまどい、母のボーイフレンドに連れられて映画館にただひとりの白人の子供として黒人映画を初体験し、映画館通いがはじまる。
『ゲッタウェイ』『ブリット』『ダーティハリー』『タクシードライバー』などの名作から、『組織』『ローリング・サンダー』『ファンハウス 惨劇の館』などの偏愛作まで。
──1972年、その映画館にいる白人は9歳のおれだけだった。
──あのころ耐えられなかった映画はあるか? ある。《バンビ》だ。
──ハーヴェイ・カイテルのいない『タクシードライバー』を想像できるか?
──《ローリング・サンダー》は人物研究とアクション映画のこれまでで最高の組み合わせだ。
──ボグダノヴィッチほど食い気味のコミカルな会話がうまい監督は同時代にいなかった。
──スタローンの最高傑作は『ロッキー2』だ。
あふれる映画愛と、演出家/脚本家としての稀代の才能とセンス、ハリウッド・ゴシップにフィルムメイカーたちの肉声も総動員、ハイテンションで語り倒す!
饒舌な注釈つき!
クエンティン・タランティーノの原風景の大人向け映画を興行している映画館で、どのような映画を観て影響を受けたか。
「ゲッタウェイ」の映画化作品が、なぜ「エルレイ」の後半部分をカットしているのか、ジム・トンプソンの原作小説と映画の違い。
デ・ニーロが演じた主人公トラヴィスの人種差別者の側面を看破するなどなど異色な「タクシードライバー」レビュー。
タランティーノが、考えた「もしもブライアン・デ・パルマが、タクシードライバーを監督したら、こうなった」。
タランティーノのスタローン愛が、爆発している「パラダイス・アレイ」レビュー。
タランティーノが偏愛するパルプノワールシリーズ「悪党パーカー」レビューでは、「ヒート」でデ・ニーロが演じた主人公ニール・マッコーリーに与えた影響を交えて語り倒している。
タランティーノに大きな影響を与えた親友フロイドとの思い出話もあり、クエンティン・タランティーノの核にあるものが知れる映画本。 -
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腕利きドライバーのケインが受けた仕事は、ごくシンプルに思えた。相棒となるボディガードとともに、大西洋岸のブルターニュからフランスとスイスを車で縦断し、一人の男を期限までにリヒテンシュタインへ送り届けるだけだ。だがその行く手には、男を追うフランス警察、そして謎の敵が放った名うてのガンマンたちが立ちはだかっていた! 次々と迫る困難を切り抜けて、タイムリミットの零時1分過ぎまでに、目的地へ到達できるのか? 車と銃のプロフェッショナルたちが、意地と矜持を見せつける。
30数年ぶりに再読。前回は菊池光訳、黄色い背表紙のミステリ文庫だった。新訳版が出てからもう10年になるのか。 -
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同棲中の彼に浮気され失業もしてしまいどん底のジュールズは、高級アパートの求人広告に飛びついた。〈バーソロミュー〉という憧れの高級アパートの空き部屋に短期間住むだけで高額の報酬がもらえるバイト。ただし来客禁止、外泊禁止、居住者の邪魔をしないこと。バーソロミューには気味の悪い噂もある。親友のクロエはやめた方が良いと言う。しかしジュールズは住む家も金もなく追い詰められていたし、バイトに魅力を感じていた。期待を持って始めるや、居住者たちと親しくなり、気になる人もできた。しかし深夜に悲鳴を耳にする。アパートで何が起きているのか。そこからジュールズの不安は大きくなっていく。
文庫本のあらすじを読んでゴシックホラーと勘違いする人も多いようですが、超常現象や幽霊のホラーではありません。あらすじにホラーサスペンスとありますが、いわゆる人が怖いというやつです。
バーソロミューのスタッフ、門番、ジュールズの怪我を治療してくれた住人の外科医、その他住人の作家、元女優、元国会議員、ジュールズと同じバイトをするイングリッドやデュラン…。誰が味方で、誰が敵?
話はテンポよく翻訳も読みやすい。歴史あるバーソロミューで過去に起きた事件の数々、住人たちの暗い影。このアパートで何が起きているのか?
過度な期待をしすぎたのかもしれない。以前読んだ「夜を生き延びろ」ほどのドキドキはない。ジェットコースターを期待したが、そこまでスピード感はない。シンプルな話なので十分楽しめる。2冊とも読むなら先にこちらを読んでから「夜を生き延びろ」を読むことをお勧めする。「夜を…」に比べると少し物足りないから。 -
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この本を手に取った理由は、子供の頃にうっすらと見たような見なかったような記憶のあるアニメの1つであります「ふしぎな島のフローネ」を、ようやく全話見終えたからで御座いました。
このアニメの原作が、こちらの「ロビンソン・クルーソー」なのであります。こちらも長く続く名作ながらも、読んだ事はなく…アニメと原作がどう違うのか興味が湧き、手に取りました。
ロビンソン=クルーソーは、ヨーク市の良家に生まれた。
父は商売で財を成し、母は大変な名家の出だった。
兄が2人おり、3男坊だったロビンソンは幼い頃から特に手に職を付けさせられるでもなく、自由に育った。
父はそれなりに学問を学ばせて法律家にさせるつもりだったが、ロビンソンは船乗りになって旅する事ばかりを考えていた。
周りに止められれば止められるほど、ロビンソンの船乗りへの憧れはどんどん加速して行く。
厳格で思慮深い父は、息子のこれから先の未来を予見していたのかもしれない。
ロビンソンに対し、此処で法律家となって働けば社会にも認められ、地道に仕事を続ける事で財を成す事も出来、将来は安楽に暮らせる幸せな道が待っている。
この家と故郷を捨て、危険を冒して旅に出る事に何の意味があるのか?
見も知らぬ土地で助けてくれる家族も友人も無く、どうやって生活して行くのだ?
愛情を込めた眼差しで、頼むから若気の過ちは犯さないでくれと頼んだ。
此処でロビンソンが素直に頷いていたら、その後…数十年に及ぶ辛く苦しい孤独な無人島生活を送らずに済んだであろうに。
この時の父の言葉を何度も思い返しながら、彼はとてつもなく長い長い終わりの見えない壮絶な大冒険に身を投じる事となる。
はぁ…何て言うか、もう…絶対、こんな冒険は嫌だ!!!!!(笑)
まあ、親に反抗したい若者の良くある行動ではありますが…まさか!こんな事になるなんて!誰が想像しました!?
彼は人生の半分を、孤独に無人島で暮らす事となる訳ですが…。
実はこの物語は、こちらの本棚でも御紹介済みの「十五少年漂流記」に出て来る少年の1人の愛読書でもあります。
それほど、デフォー氏の「ロビンソン・クルーソー」は世界中から愛された冒険文学の金字塔とも言える訳なのです!
無人島での生活は、キャンプやサバイバル好きの皆様には堪らない自給自足の生活が描かれており、生活用品の全てを島にある素材で手作りしながら揃えて行く様は確かにワクワクするものが御座います。
ですがやはり孤独に耐えながら畑が出来るまで数年、カヌーが出来るまで数年、外敵から身を守る為の柵を作るのに数年…等と言う全てが数年単位の生活は全く想像が付かず、ただただ途方に暮れるばかり。
ロビンソンの根気強さと何としてでも生きたいと言う人間としての本能が彼を奮い立たせたとは思いますが、やはり若さ故の冒険心だったとしても父への罪悪感と会って謝りたいと言う気持ちも、多少は生きて帰る理由の1つであったように思います。
自分が若い頃、苦労したから子供に同じ思いはさせたくない…と言う親御様の気持ちも、良く分かります。
しかし、何でもかんでも押さえつけて過保護に育ててしまっては、子供の可能性を潰してしまう事にもなりかねません。
程度にもよりますが、多少の失敗は人間を大きく成長させます。失敗から学ぶ事は意外と多くあり、それは後の自分の人生において大変重要な地位を案外占めていたりする物なので御座います。
皆様の中にも、身に覚えのある方がいらっしゃるのではないでしょうか?あの時は、あんな事になってしまって本当に苦しかった。でも…今から思えば、あの苦しい経験があったからこそ、今の自分があるのだ。あの失敗があって良かった、あの状況に思い切って飛び込んで良かった、あんな人でも結果居てくれて良かった…。
恐らくロビンソンもこの経験をしたからこそ!父の言葉の有り難味が身に染みて分かったのではないでしょうか?きっと若かりし頃の船乗りに憧れていたロビンソンのままだったら、何を言っても心には響かなかったでしょうから…。
私はこの地球において「偶然な出来事」と言うものは一切存在しないと、常日頃から考えております。つまり「全てが必然」のこの世界で、我々地球を旅する冒険者は日々大切な時間を生きている訳なのであります。
何が起こるか分からないけれども起こった事は皆、自らが経験すべく起こしている出来事で御座います故、どうか皆様心から楽しんでその状況を受け入れ、丸ごと糧にしてしまってみては如何でしょうか?
どんなに嫌な出来事が起こったとしても「なるほど…今起こっているこの嫌な状況は、果たして今の私に何を学んで欲しくて起こっているのだろうか?」常に、そのように考えてみる事をお勧め致します。
「あ~嫌な事が起こった!も~嫌だ!逃げたい!此処から1秒でも早く!消えろ!この出来事!目の前から消えろ!それがダメなら自分が消えたい!この世から今すぐ!」
一説では本人が其処からの学びを手に入れない限り、また同じような出来事が巡って来ると言いますよね?
毎回、似たような苦手な人が職場にいる。毎回、似たような最悪な場面に遭遇する。毎回、似たような気の合わない友人とつるんでしまう。毎回、似たような駄目な人を好きになってしまう…等。
思い当たる方は1度でいいので「つまり…私は、この最悪な状況から一体何を学ぼうとしているのだろう?」と言う視点で、その状況を見てみるといいかもしれません。其処に気付いた時、自分が変わると周りの人間も状況も不思議なくらい変わって参ります。
ですのでこの地球での冒険者人生!どんなに高い壁や挫折案件が来ても、どうか怯まず楽しんでみて下さい!そう…まさに、ロビンソン・クルーソーのように!
ロビンソンも自ら危険に飛び込んで孤独な人生を引き寄せてしまったが、其処から必死に生きようともがいた!そんな彼がどうなったかは、皆様御自身の目でお確かめ下さいませ。 -
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ある素朴な田舎の海辺の町に、「ベンボウ提督亭」と言う1軒のさびれた船宿があった。
この宿屋は本編の語り手であるジム=ホーキンズ少年と、その両親が一家で経営している。
物語は、頬に刀傷のある日焼けした老船乗りが、大きな私物箱を抱えてこのベンボウ提督亭にやって来る所から始まる。
「船長と呼べ!」みすぼらしい身なりにぞんざいな口の利き方、普段は無口だが酒が入ると周りの客に絡み出し、自分が部屋に戻るまでは誰1人席を立つ事を許さないと言う横暴ぶり。
長い間この宿屋に逗留し続け、最初に貰った宿代もとっくに無くなっていたのだが、父はすっかり怯えてしまって追加を貰えずにいた。
心労で体が日に日に弱って行く父の代わりに、宿屋の仕事は母とジムの2人がするように。
そんな強気な船長だが、実は「一本脚の船乗り」と言う男を常に警戒しており、ジムに小遣いを払ってでも見張りを頼む程の怯えぶりだった。
ある日「黒犬」と言う男が船長を訪ねて来た事から、事態は一変する…何と彼らに居場所を知られてしまった船長は、ショック死してしまうのだ!
ジムと母は満足に宿代を取り立てられず先日亡くなってしまった父の代わりに、例の私物箱から代金を頂戴しようと中を調べた時、偶然見つけたのが宝島の地図だったのだ!
ジムは父の主治医で信頼を置いていたリヴジー先生に相談し、地元の郷士であるトレローニ氏と共に船員を集め、母に見送られながら一路宝島を目指して旅立つのであった!
現地で命の危険が待ち受けているとも知らず、ジム達は地図を頼りに無人島へと向かう。
果たしてジムは、宝を見つけて無事に母の許へ帰りつく事は出来るのか!
さて、突然あらすじの内容から始まりましたが。
あのですね…もう、とにかく…この物語は前置きが長い!(笑)全然、地図出て来ないし!全然、宝島出て来ないし!全然、海に出ないし!
暫くは、ベンボウ提督亭で巻き起こる船長とジム達家族の対立、黒犬達との手に汗握る死闘、船長の突然死、そして地図を見つけてから旅に出るまでの経緯等々…が、事細かに記されております。
ですが!海に出るまでのそのストーリーも存分に楽しめる展開となっており、読者を飽きさせません!
実は黒犬達もその地図の存在を知っていたようで、ベンボウ提督亭はその地図を巡ってとんでもない争いの場と化してしまいます!
船長の私物箱は何処の誰が狙っているかも分からず、ジム母子がまさに開けようとする瞬間も何処かの階で物音がする等、ハラハラドキドキの展開が読者を待ち受けております!
本編の見所は、当然宝島に着いてから…と言う事にはなるのですが、もう其処に至るまでが盛り沢山過ぎて、ようやく町を出発する頃には既にお腹いっぱいと言う(笑)。
勿論、宝島でも二転も三転もする展開が待ち受けており、ジムがどんな冒険を繰り広げるのかを皆様も共にお楽しみ頂ければと思います。
途中ジムは行方不明になり、何と語り手がリヴジー先生に変わってしまうと言う事態も!
さあ、ジムの運命や如何に!!!!! -
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ネタバレ帯にあった「世界一めげない男ロビンソン」との言葉に魅かれて読んだ。無人島に28年。実話に基づいているというだけに、28年もの孤独との闘いがどのようなものかを読んでみたかった。
ロビンソン・クルーソーは、普通の勤勉な両親の三男として生まれた。両親は安定の人生を彼に望み、将来は弁護士にさせたいと願っていた。ところが彼の体内には冒険の血が眠っていたようだ。
友人の誘いにのって初めての乗船で嵐に遭難し、ここで諦めるのかと思いきや、またしてもそれ以上の沈没寸前の遭難を体験する。さらには、海賊の囚われの身となり、奴隷にされてしまう。こんな過酷な体験を繰り返しながらも、船にのることを捨てない彼は、根っからの冒険人間なんだろう。奴隷買い付けを目的としたギニア行きの偽装船に乗り込み、またしてもすさまじいトルネードに巻き込まれ、命からがら無人島にたった一人たどり着く。そして、これからが孤独の無人島生活だ。
生活拠点を作り、遭難船から使える物資を島へ運び込み、生きる準備をしながらも、生きていることへと、物資が得られたことに自然と感謝の気持ちが湧いてきた。日記をつけたことは、自分を見失わないよい思い付きだった。病気がきっかけで、祈りの心が芽生えてきた。そして、上陸した島を知りたいという好奇心が芽生えてきた。
感謝の心、自分を見失わないこと、祈りの心、好奇心、こうした人間の本質的な機能が、彼自身の中にどんどんと蘇ってきたように思えた。孤独だった彼も、オウムや亀や羊と触れ合うことや、麦や米を育て、畑を耕す生活の中に、生命というものを感じることができただろう。
生活が一転するのは、あるとき海岸で、人間の足跡を見つけてからだ。誰もいないはずの無人島に人間の足型があるとはどういうことか?その恐怖心を裏付ける、頭蓋骨や手足の骨が散らばっているのを発見した。それからというもの、彼の生活は恐怖にさいなまれる日々と化した。(この時代は、人食いの文化がリアルに存在していた。抗争に負けた者は食われる宿命にある!)
この島は、人食い蛮族が、獲物をつれて、人食いを行う場所だった。そのリアルな場面を目撃することになる。そして、その餌食となろうとしていた蛮族を救い出し、彼にフライデーと名付け、それから彼はたった一人の孤独ではなく、フライデーという友と一緒の暮らしへと変わる。ここで、彼の人生は、また大きく一転した。
それからも助けた蛮族の一人が、フライデーの父親だったとか、思ってもみなかったできごとも重なり、島の住民は徐々に増えて、共同生活するようになり、さらには島らかの脱出を計画するようになっていった。脱出計画といっても簡単なものではなかったが、あるときイングランド船が漂着しているのを見つけた。
イングランド船の船長が悪党に乗っ取られたようで、ロビンたちはその船長を救い出し、それを機にイングランド船で無事生まれ故郷に帰ることに成功する。その後のロビンソンは裕福な生活に恵まれるが、この物語は、むしろこのサバイバルな中を生き延びるその冒険的な生き方の中に面白さがあったと思われる。
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何もかもが与えられている現代社会において、すべてを失ったときに、人はどのように生きて行けるのか。何かに依存することが当たり前の生活の中で、自分の力で無から何かを生み出していく、そういうたくましさや、知恵を絞りだしていく姿勢、決して諦めない不屈の精神、そういう人間の本能的なものを目覚めさせてくれる小説であったと思う。
無人島生活では、遭難船から見つかった金貨が何の役にも立たなかったのが印象的だった。