鈴木恵のレビュー一覧
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ある素朴な田舎の海辺の町に、「ベンボウ提督亭」と言う1軒のさびれた船宿があった。
この宿屋は本編の語り手であるジム=ホーキンズ少年と、その両親が一家で経営している。
物語は、頬に刀傷のある日焼けした老船乗りが、大きな私物箱を抱えてこのベンボウ提督亭にやって来る所から始まる。
「船長と呼べ!」みすぼらしい身なりにぞんざいな口の利き方、普段は無口だが酒が入ると周りの客に絡み出し、自分が部屋に戻るまでは誰1人席を立つ事を許さないと言う横暴ぶり。
長い間この宿屋に逗留し続け、最初に貰った宿代もとっくに無くなっていたのだが、父はすっかり怯えてしまって追加を貰えずにいた。
心労で体が日に日に弱 -
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ネタバレ帯にあった「世界一めげない男ロビンソン」との言葉に魅かれて読んだ。無人島に28年。実話に基づいているというだけに、28年もの孤独との闘いがどのようなものかを読んでみたかった。
ロビンソン・クルーソーは、普通の勤勉な両親の三男として生まれた。両親は安定の人生を彼に望み、将来は弁護士にさせたいと願っていた。ところが彼の体内には冒険の血が眠っていたようだ。
友人の誘いにのって初めての乗船で嵐に遭難し、ここで諦めるのかと思いきや、またしてもそれ以上の沈没寸前の遭難を体験する。さらには、海賊の囚われの身となり、奴隷にされてしまう。こんな過酷な体験を繰り返しながらも、船にのることを捨てない彼は、根っか -
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ネタバレ未解決の連続少女誘拐事件に翻弄されたアメリカアラバマ州の田舎町グレイスで、また一人の少女が行方不明となる。おりしもグレイスには未曽有の嵐の気配が予想され…
誘拐された少女と双子の妹、彼女らの家族、友人、警察署長、牧師夫婦らの視点で描かれる物語から見えてくれる真実とは?
ミステリー要素は少なく、登場人物たちの哀しみと強さをじっくり味わうテイストの小説だった。登場人物たちそれぞれが持っている過去や現状の問題と自分の弱さ、それでもあがく強さ。抗いきれない現実に打ちのめされても、魂をすんなり売り渡すのではなくあがいて傷を負ったからこその光明、やりきれない展開にも拘らず勇気をもらえた気がした。
それ -
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『われら闇より天を見る』(上)
『われら闇より天を見る』(下)
何の気なしに読み出して、冒頭の肝心なところがはっきりしないまま引き込まれる。登場人物もこんがらがって訳もわからないまま読み出す。進むうちにストーリーに刺激されて、どんどん嵌っていく自分を感じる。これは久し振りの感覚だ。
それでも登場人物や経緯は複雑であやふやなままだ。
上・下巻の長編が短く感じる。
最後に書評家川出正樹の解説で何処となく感じていた作者の人間性や個性、この作品のテイストの所以がわかってくる。また、物語の経緯もそうだったのかと後追いながら理解できる。そのくらい事実関係を傍においたまま切迫した臨場感が読者を引っ張り回 -
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ノルウェーが舞台のノワールミステリ。
辺鄙な場所に住むロイ。弟カールがリゾート計画と共に妻連れで帰ってくる。両親の事故のこと、カールの性的暴行のこと、リゾート計画のこと、読者にちょっとミスリードさせ真実を明らかにしていくさまがうまい。
しかし、金を持ってなくセンスがいいわけでもなく親の死と弟への変な噂もあるロイになぜ女が寄っていくのか謎ではある。男性作家が書く女性はほぼ実像とズレてるのでその典型的パターンでもある。
しかしこの作品が極めて珍しいのは一番変なのが主人公ロイという部分。読めばわかると思う。
続編があるようなので邦訳を少し期待します。 -
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ネタバレ『真夜中の太陽』、『その雪と血を』の世界観に惚れたジョー・ネスボ。
ハリー・ホーレシリーズはそれはそれで面白いけど、期待した雰囲気とはちょっと違うなという感じだったが、これはと感じる導入部。
無口で人付き合いが得意ではないが、一本芯を通した生き様で、雇われ店長として町のガソリンスタンドを堅実に運営する主人公ロイ・オプガル。
ザ、無骨。
こういう芯のある主人公にとっても惹かれる。
物語はロイの弟カールが帰郷するところから始まる。
カールは故郷を去った後、アメリカで金融、経営学を学びカナダで事業を営んでいたが唐突なまでの帰郷の知らせを伝えてくる。
何かと思えば兄弟が今は亡き父親から引き継いだ″ -
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クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 下』ハヤカワ文庫。
最後には全てが明かされる。上巻を読み、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのかということが心に引っ掛かっていたのだが、やはりこれが物語の核心につながる訳かと納得。
上下巻を読み終えて、国内ミステリーのランキングを総ナメするだけの作品ではないように思った。警察ミステリーにしても、法定ミステリーにしても中途半端で、散りばめられた伏線の答えも明確には描かれず、消化不良という感じなのだ。
モンタナ州に住む母方の祖父のハルに引き取られたダッチェスとロビンは少しずつ新しい環境にも慣れていく。特に最初はハルに激しく反抗していたダッチェスもハ -
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クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 上』ハヤカワ文庫。
2023年本屋大賞翻訳小説部門第1位を始め、各ミステリーランキングで1位を獲得した作品の文庫化。
読んでみたが、そこまで評価が高いかなと首をひねるばかり。
ストーリーは至って単純なのだが、なかなか全貌は描かれず、小出し小出しで少しずつ過去の事件や人間模様が描かれる。
恐らく30年前の事件で、主要人物の1人であるダッチェスの母親の妹のシシーを殺害したのは、もう1人の主要人物であるウォークの幼なじみであるヴィンセントであった推測されるのだが、判然としない。
また、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのか、これも謎のままにゆっくり -
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ネタバレ2025年の43、44冊目は、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」です。2021年のゴールドダガー賞受賞作です。文庫化されたのを期に、読んでいなかったので読む事にしました。
あたかも大河ドラマのような小説だと思います。
無法者を自称する主人公のダッチェスの苛烈な人生が、これでもかと描かれて行きます。ダッチェスは、幼い弟ロビンや母親スターを守る為、世間に立ち向い続けますが、余りにも残酷な運命が幾重にも待ち受けています。
ミステリーに重きを置いていないと言われればそれまでですが、気になる所がいくつか有りました。その点が有ったとしても充分、満足出来るとは思いますが。
全ては、ダッチェスとロビ -
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“貧乏で暴力的な”アメリカの片田舎アラバマ州「グレイス」の上空に、厚い雲とともに嵐の足音が忍び寄る。
そこで暮らすノアとパーヴ、辛い境遇の二人にとって、“ここで生きる”は他の人より困難なこと。
もう一人、双子の妹レインはノアとパーヴととともに、優等生の姉サマーの失踪の謎を探る。
これは、この三人の物語
貧困、暴力、過激な信仰心、妊娠中絶、アルコール中毒など、アメリカ社会の問題を背景にしているのは、前作「我らは闇より天を見る」同様で、主人公のひとりレインは前作のダッチェスと被る。
少し読むのに人物整理が大変だが、ノアとパーヴがとてもいい。
「おれたちゃ勇猛」
「おれたちゃ果敢」
がんばれっ -
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子どもの頃に児童文学全集に入っていた一冊として読んで以来の再読。こんなに波瀾万丈でメンタル激強な主人公だったとは。鳥がいたなぁとか曖昧で断片的な記憶しかなく、その記憶との答え合わせができたのはほんの一部。大人になってしっかり読むととにかくロビンソンすごい。
愚痴る泣く落ち込む、でも結構すぐ立ち直る。生き抜く気力と工夫。どんな目にあっても何度でも立ち上がれるのがすごいよ、ロビンソン。
1719年の出版ということもあって、差別的な考え方など引っかかるところは当然出てくるけれど、特に前半の島での生活を築いていく部分は冒険物語としてとても面白く読みました。
トム・ハンクス主演の漂流映画「キャスト・アウ -
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ネタバレ最終的にチャーリーがジョシュと一緒になったのか、自分はいまひとつ解せなくて……なので星4。
助けてくれたけど、もとは怪しげな仕事を引き受けてチャーリーがこんな目に遭う原因を作ったようなものだし。友人くらいのポジションだったら、まあ……となるのだけど。
でも、こうならなければキャンパス・キラーの正体はきっとずっと分からないままで、チャーリーは脳内映画を観続けることになっていただろうし……チャーリーに加え、マージも苦しみから逃れることが難しかったかもしれないし……。なんとも。いや、何よりも元凶で最低最悪なのは、ロビー、おまえだよ!!気持ち悪すぎてオエッとなった。
自分もそういうところが