鈴木恵のレビュー一覧

  • 夜を生き延びろ

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    ネタバレ

    最終的にチャーリーがジョシュと一緒になったのか、自分はいまひとつ解せなくて……なので星4。
    助けてくれたけど、もとは怪しげな仕事を引き受けてチャーリーがこんな目に遭う原因を作ったようなものだし。友人くらいのポジションだったら、まあ……となるのだけど。
     でも、こうならなければキャンパス・キラーの正体はきっとずっと分からないままで、チャーリーは脳内映画を観続けることになっていただろうし……チャーリーに加え、マージも苦しみから逃れることが難しかったかもしれないし……。なんとも。いや、何よりも元凶で最低最悪なのは、ロビー、おまえだよ!!気持ち悪すぎてオエッとなった。

     自分もそういうところが

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    2025年08月03日
  • 失墜の王国

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    とかく陰鬱でスローペースな傾向のある北欧ミステリーの中では、ハリー・ホーレ刑事のシリーズはスタイリッシュなキャラクターの魅力を持っている。その著者の単発ノワール作品である本書は、北欧の田舎町の濃密な人間関係を背景に、歪んだ兄弟愛と許される恋をジェットコースター的な展開で駆け抜ける大作。
    久しぶりに時間のかかる魅力的長編を読み終えた満足感。韓国映画のような濃ゆいエキスでお腹もいっぱいです。

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    2025年07月19日
  • 失墜の王国

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     タイトル、装丁ともカッコよく手に取ってみると、2段組みだ。しかも500ページを超えている。これは気合を入れないと、と思ったが、不要な心配だった。

     ノルウエーの田舎町に父母と2人の息子が住んでいる。開拓時代のアメリカを思い出させるマチズモな父親の支配下に置かれた一家で、弟は性的虐待を受けている。小説の前半では、兄から虐待を受けているのかと思わされるが、実は父からだった。同様の伏線は随所にあり、回収される伏線に読者の興味を途切れさせない。また、彼らを巡るエピソードは面白く、彼らの個性がより際立ってくる。後半はますます『読む気』が加速していく。

     マチズモな父親の血がそうさせるのか、強気な兄

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    2025年05月19日
  • 宝島

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    海賊の私物箱から宝の地図を手に入れたジム少年が、信頼できそうな大人と共に宝探しに出かける冒険小説。

    船員たちそれぞれの思惑に翻弄されつつも、自分の力でなんとかしようとするジムの行動力が見どころ。
    船を取り戻すシーンは天晴れだった。
    頭の回転は早いけど、それ以外は結構普通の少年で、怯えたり泣いたり。海賊たちに囲まれて、銃撃戦の場にもいて…。想像より大分血生臭い話だった。
    真っ当な大人になってくれよと祈るばかり。

    あとがきに、子供の頃読むのと、大人になってから読む違いを感じるものいいと書いてあって、子供の頃に読んでいなかったことをちょっと後悔。

    それはそうと、スティーブンソンて『ジーキル博士

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    2025年03月15日
  • 終わりなき夜に少女は

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    『われら闇より天を見る』で心を鷲掴みにされた著者の最新作……と思ったら、邦訳順だけの話で、実際は2017年に刊行された第2作ということになる。紛らわしいな。
    しかも積読が長くて、購入後8ヶ月も経過してしまった。一度は取り掛かったものの、30ページほどで挫折した。今回も登場人物の多さと説明不足に難儀したが、100ページを超えたあたりから俄然おもしろくなって一気読み。
    連続少女誘拐事件をメインにした群像劇だ。解説にもあるとおり、未読の方のためにこれ以上の内容は書けない。

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    2025年01月13日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 下

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    いやもう小説家って大変な職業だわね

    作者エイドリアン・マッキンティがこの傑作を書いた時ウーバードライバーをしてたって言うんだからね
    世界的にも有名な賞の受賞歴もあったのによ
    要するに「すげーたいへんなのに、ぜんぜん儲かんねーじゃん!」ってことだったみたいなんだけど、それを知ったドン・ウィンズロウが復帰を説得してこの作品が出来たってわけらしい

    尊敬する先輩に言われたら、そりゃそうなるわ
    意外に縦社会な

    で、中身ね
    前置きが終わった時点で力尽きてるんで他の人のレビュー読んで!と言いたいが、書く

    なんかちょっともったいない感じがした
    すげー面白かったんだけど、この設定でこのキャラクターだった

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    2025年01月05日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 上

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    マッキンティの代表作で大好きなショーン・ダフィシリーズの新作が翻訳される気配が全くないのでノンシリーズのこちらを

    ほんとにぜんぜん気配ないんよ
    これで今夏あたりに出たらすごいことですよ
    元海兵隊のわいに気配を気付かせないとはな

    ということで『ザ・チェーン』

    おお、なんかダフィシリーズとぜんぜん毛色が違う!
    あちらがくすんだ灰色だとするとこちらはちょっと明るめの灰色って結局灰色なんかーい!

    当たり前じゃ!同じ人が書いてんだから、そんなガラッと変わるか!( ゚д゚ )クワッ!!

    いやでもこんなスピーディーな展開のお話も書けるんやなー
    すげーぜ、マッキンティ

    まぁ、舞台がぜんぜん違うって

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    2025年01月05日
  • 盗作小説

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    面白かった。後ろめたい気持ちがあって追い込まれる感じはめちゃくちゃ怖いなと思った。作中の小説はハードル上げすぎ。

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    2024年11月22日
  • 第八の探偵

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    孤島に隠遁する老作家と若い編集者とか彼が過去に書いた「ホワイトの殺人事件集」を刊行すべく議論を交わす。

    収録作の短編を一つずつ読み返しつつ、それぞれがフーダニットだったり孤島で起こった連続殺人だったりというテーマでもってなにがしかが語られていくんですけども、まあ最終的に実際に起こった「ホワイト殺人事件」に収束していくんだろうなというのはさすがに読んでて察するわけですが。。
    なるほどなあ。各短編がなんというか話が妙に薄いと思ったらそういう・・・いや短時間でオチなりなんなり書き換えられるジュリアがもはや異能すぎるだろう。

    そしてさらなるどんでん返しが。幾分予想できなくもなかった気がするけど、そ

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    2024年10月29日
  • 真夜中の太陽

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    ネタバレ

    「その雪と血を」を読んで、ジョー・ネスポさんをまた読んでみたいと思いつつ年月が過ぎていった。余韻が凄かったイメージが残っている。今作ではウルフの純粋さが心に残った。クヌートとのじゃれあいが微笑ましかった。最後逃げながらもどこかで終わりが来るんじゃないかと胸が苦しくなりながら読んだが、良いラストだった。どこかで3人が笑って暮らしていますようにと願う。マッティスがいい味を出していた。

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    2024年09月23日
  • 終わりなき夜に少女は

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    登場人物の生い立ち、過去の出来事、そして今起きている事などが少しずつ明かされていきます。
    バラバラのピースをつなぎ合わせるような作業でした。
    田舎町の閉塞感、何者にもなれない自分、生まれに抗おうとする空しさ。全編を通して暗い印象です。
    書評家 酒井貞道さんの解説が秀逸。先に読んでも良いかもしれません。

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    2024年07月20日
  • 終わりなき夜に少女は

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    前作もそうだったが、この著者の文章は簡潔で多くを語るわけではないのに心に響く。
    読んでいてアメリカの田舎町の情景が目に浮かぶ。登場人物達は決して素敵でも幸せでもないのだが魅力的に描かれている。

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    2024年07月10日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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    療養中に。
    読んだことのない名作を読んでみようと思った。

    物語が動く後半や、島生活を並はずれたたくましさで開拓していく冒険部分よりも、今は島生活初期の心理描写、が印象深かった。
    状況は全然違うんだけれど、なんで私がこんな目に、から始まる精神の葛藤や、今できることに集中することで、船影を追わなくなったとか。

    2022.4.8

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    2024年07月05日
  • 宝島

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    ☆☆☆ 2024年2月感想 ☆☆☆


    これまで一度も読んだことがなかった名作だが
    長男に子供向け簡易版を読み聞かせして、「これは面白い」と思ったので手に取ってみた。大人にとっても面白い本だが、10歳ぐらいで読んだらきっともっとワクワクしただろうと思う。

    港にたたずむベンボウ提督亭で働く少年・ジムが主人公。そこを訪れる謎の船長。そこから始まるストーリー。リブジー先生がいつもクールでかっこいいし、郷士のトリローニさんは口が軽いが憎めない存在。
    恐ろしい海賊たちや、片足のシルバー。それぞれが魅力的な存在だ。「十と五人が死人の箱に。ヨウホのホウでラム酒一本!」という歌がところどころで歌われ、それも

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    2024年02月20日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    20年くらい前に旧訳を読んで以来の再読。前回はやたら面白かった記憶であったが、今回はふつうに面白いといった印象であった。第二次世界大戦の少し後という時代設定は理解するも、やはり現代のエンターテイメント作品と比べると話の筋がやや古く感じるのは否めない。それでも各登場人物の個性が際立っていて、この作品が名作であることに異論はない。

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    2024年01月16日
  • 夜を生き延びろ

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    ネタバレ

    友人を殺人事件で失った大学生チャーリー(分かりにくい名前だが女性)は失意を胸に故郷に帰ることにし、大学の掲示板に乗用車同乗の募集ビラを貼る。そのビラを受けて車を出し同行を申し出る男ジョシュ。

    二人の車はニュージャージーからオハイオまで、夜のハイウェイを進むのだが、道中チャーリーはジョシュの言動に不穏なものをかぎつける。この男は友人を殺した連続殺人犯(キャンパス・キラー)じゃないのか?

    ぎこちなく不安なドライブが続く中、ジョシュが食事をしようとハイウェイを降りてさびれた街のドライブインに入ったことから物語は急展開を始める。

    前半から中盤にかけては正直退屈な部分もあるし、一番怪しいヤツは犯人

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    2024年01月13日
  • 盗作小説

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    ネタバレ

    原題『THE PLOT』。
    悩める作家の話。
    『二流小説家』や『ハリー・クバート事件』を彷彿とさせる。

    リプリー大学の短期集中型修了課程の創作講座の講師にあるジェイコブ・フィンチ・ボナー。
    天啓を受けたかのように書き上げた第一長編『脅威の発明』こそ、ニューヨークブックレビューに注目の一冊として取り上げられ世間の目を集めたものの、2作目以降は鳴かず飛ばずで作家生命は今や虫の息。
    ある年の講座でやたらと不遜な態度で「俺にはプロットがある」、「プロットさえあればどんな文章でも売れる」と豪語する男を教えることになる。
    どうにも手を焼く男だったが、駆け引きの末そのプロットを聞き出すと、まさに衝撃もので

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    2023年11月26日
  • 宝島

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    大人になって初めて読みました。子供の時に読んでたら、楽しめたんじゃないかな。船や海や航海の言葉が盛りだくさんで、風景を想像するのはおっさんには
    難しかったな 笑

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    2023年07月21日
  • 盗作小説

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    割と早い段階で見当はつくのだけれど、それはいい、伏線がしっかりしているということでもあるから。振ったアイテムも手堅く回収されているし、作中で述べる小説の手法も、実現しようとする意図を感じる。構成も練ってある。
    最初、軽い読み物系かと思って読んでいたが、次第に、むむ?となっていく。登場人物の心情も共感したり反発したり。
    つまり、よく出来てるし、楽しめた。

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    2023年05月25日
  • 真夜中の太陽

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    ジョー・ネスボさんを読むと、男とは何とアホでロマンチストな生き物なのかとあらためて思い知らされます。
    * *
    「ふり返らずに、前だけを見て。これからはそれがおれの生き方になる。背後に置いてきたものは、みなそのままでいい。」

    まるでモノクロ映画を観たような世界観。
    今回は子どものキャラにだいぶ癒されました。(まさかのフタバヤマ登場!)

    真夜中でも太陽が見えるノルウェー。
    行ってみたいけどとても寒そう…。

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    2023年05月20日