鈴木恵のレビュー一覧

  • われら闇より天を見る 下

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    終わりから始める人々の物語。

    連続する悲劇。抗えない残酷な運命。
    自分の意思を強く持ち、弱さを隠し、そして誰かを支えることに人生を捧げる、ダッチェスとウォークの人生。
    救われる気持ちになれるわけではない。光が見えるわけでもない。だが、人生に必ず何かをもたらしてくれる物語である。

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    2025年12月02日
  • 失墜の王国

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    ネタバレ

    ジョーネスボ、噂に聞く北欧ミステリーの有名作家、今回読んだのは2作品目だが、いやいや噂にたがわぬ面白さ、四六版単行本上下2段組500P超えのボリュームは読み応えあって、中だるみも少なく、全編ずっと緊張感とノアールと諦念が漂い続ける作風で、思ってた以上にのめり込んでしまった。

    主人公兄弟、兄ロイの寡黙さ冷徹さ、弟カールの冷酷な詐欺師っぷり。育った環境が悪かったとも言えるのだが、それよりを周りを囲む人物たち、とりわけ女性陣が絶妙に小ずるくてチクチクとした悪さを仕込んでは、兄弟を追い詰めていく様が怖い。

    そしてその描写に余分な熱量がない、他のノアール作品例えばコスビーとかウィタカーとか、月村了衛

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    2025年11月25日
  • 宝島

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    ゴリゴリの冒険譚。手に取ったのは初めてですが、これを子どもの頃に読んでいたら、今とは違う大人になっていたかもしれません。
    大人が読んでも面白いですが、子どもが読んだら目を輝かせながら、夜を明かすでしょう。
    子どもが生まれるまで本棚に残しておこう、そう思わせてくれる宝物のような一冊でした。

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    2025年09月01日
  • 失墜の王国

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    この作者の作品は本当にハズレなし。
    翻訳も素晴らしいのだろう。読みやすいし、感情移入しやすい。
    主人公、幸せになってほしいな。続きがあるみたいなので、はやく読みたい。

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    2025年08月18日
  • 失墜の王国

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    単行本の二段組にして500ページを超える長編だが、飽きる事ないドラマ(事件)があった。

    ノルウェーの深い谷に阻まれた村、オスの農場で暮らすロイとカールの兄弟は、両親を事故で亡くすのだが崖から落ちた事故に不審を抱いた保安官を…。

    その後逃げるように村を離れた弟が、15年後に妻と共に農場の土地にリゾートホテルを建てる計画を持って戻ってくる。

    この計画を持ち込んでから新たに巻き起こる事件に不穏さと兄弟の思惑に翻弄される。
    いくつかのこれまでの死は、兄弟だけが関わっているのだが、事件にすらならない気味の悪さ。
    最後は兄弟の騙し合いで終わるのかと思われたが、意外な結末に。
    すべては弟ありきのことな

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    2025年02月20日
  • 失墜の王国

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     待ちに待ったネスボの新刊
    「結びつかざるを得ない関係としての兄弟」の絆が描かれる重厚なノワール・ミステリー。

     ネスボに騙されて読み進み、途中でその引っ掛けに気づいてからは、さらに読み応えが増す。

     各人の生き様に各人の本性を見る、ずしりと心に重い作品だった。




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    2025年02月16日
  • 失墜の王国

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    ノルウェーにある谷に阻まれた村オス。そこに住むロイとカールの兄弟。ある時カールを助けるためにロイが罪を犯してカールは海外へと逃げてしまう。15年後に帰ってきたカールとの再会。帯にある暗黒小説の空気がじわじわと感じられるようになってくる、その構成も見事だし罪から抜け出せなくなっていく二人の、お互いがいるという思いとそこに芽生える不信感とか家族や兄弟のつながりと脆さが見えてさらに面白くなっていく。二段組で530ページほどあるけれど長さを感じさせないくらい圧倒される犯罪小説。こういう作品をもっと読みたい。

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    2025年02月08日
  • 失墜の王国

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    単行本二段組500頁超え。ボリューム的にも内容的にも重い。それにもかかわらず読み進む内に止まらなくなるのは、秀逸な一冊ということか。

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    2025年02月04日
  • 失墜の王国

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    主人公ロイの住む山間の村。彼の弟カールは、新妻シャノンとともに村をリゾート地へする計画を携えて帰ってきた。リゾート化計画は、村を豊かにするためだとカールは言う。だがロイは、弟の本心は村を支配することにあると察していた。そこに殺人事件が起こり……。

    著者の作品を読むのは、「コマドリの賭け」以来、2作目。厚さも値段も物語も圧倒的。

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    2025年02月03日
  • 失墜の王国

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    ネタバレ

    非常に遅くなったが、2025年一作目。
    ノルウェーの作家、ジョー・ネスボのノワール大作。

    弟カールが故郷である山間の村に帰ってきた。
    外国人の妻と、故郷の村をリゾート地へと発展させるホテル計画とともに。
    兄のロイは不安ながらも弟の計画に乗るが、奇しくも兄弟が過去に関わった事件の再捜査が始まり。。。

    上下段の500ページ越えと、非常に重厚な作品。サクサク読めるのだが、読み終えるのに流石に日数がかかってしまった。

    兄弟、特に兄をメインに据えたノワール。少しずつ歯車が狂い、堕ちていく様が見事。家族小説、サスペンス、恋愛小説など、様々なジャンルを内包しており、飽きさせない。
    弟カールが本当にお調

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    2025年01月16日
  • 失墜の王国

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    ★5 ノルウェーの深い谷に囲まれた田舎町… 人間の愛情と業が深々と描かれるノワール #失墜の王国

    ■あらすじ
    ノルウェーの深い谷に囲まれた田舎町オス、その村の農場でロイは暮らしていた。彼はガソリンスタンドの店長として生計を立てていた。

    ある日、アメリカで暮らしていたはずの弟カールが、妻シャノンと一緒にオスに戻ってくる。カールは農場にリゾートホテルを建設する詐欺まがいの計画を持ち掛けてくる。さらにこの兄弟は重大な秘密があり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 北欧の重厚なノワールミステリー、重いっ

    最初から最後まで、寒々しく、じとっーとした雰囲気に包まれます。さらに舞台は田舎町のスモー

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    2025年01月10日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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    ロビンソン・クルーソー › 初版発行
    1719年4月25日

    ロビンソン・クルーソー (光文社古典新訳文庫)
    by デフォー、唐戸 信嘉
     私は一六三二年にヨークで生まれた。家庭は裕福であったが、土地の者ではなく、父はブレーメン生まれのドイツ人で、英国にやってきた当初はハル(1) に居を構えていた。父は商いで財を成し、それから商売を辞めてヨークへとやって来た。そこで私の母と結婚した。母の実家はその土地では大変な金持ちで、ロビンソン家といった。そうした事情で、私はロビンソン・クロイツナーという名前になった(2)。けれども、クロイツナーといういかにもドイツ風の名前はいつしか英国式にクルーソーと呼ば

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    2024年10月23日
  • 終わりなき夜に少女は

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    重厚だったー!
    基本は行方不明の姉を探す話なんだけども、その捜索過程がいろんな目線で書かれていて、物語として進行しながら、姉が行方不明になるまでの過去も本人語りで書かれていて…
    自分の思いや洞察が、あちこちに散り散りしながらも、最後に向かって物語と共に進む感じが、尊い。
    後半はもうすごいスピード感で、読後なんだか呆けてしまいます。
    登場人物たちに言いたいことは多々あるんだけど、それを割り引いても、私は好きです。

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    2024年09月27日
  • 終わりなき夜に少女は

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    ありきたりの題材なのに何故かページを捲る手を止められなかった。
    悪魔崇拝や教会が密接に関わるアラバマの小さな町。優等生の双子姉妹の姉が失踪した事で数年前の少女連続誘拐事件が蒸し返される。父親が犯罪者なので警察は捜査してくれないのだ、と憤慨した妹レインと同級生の男子2人が独自に姉探しを始める。
    町の人々が持つ思いやしがらみ、子供達の関係性がどんよりとした天気と同じ様に陰を落とす。全てのキャラが鮮やかだが、最後は哀しかった。

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    2024年09月06日
  • 終わりなき夜に少女は

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    ネタバレ

    解説、酒井さんが「この物語は、登場人物の背景や来歴、思い、物語が始まる前に起きていた出来事や物事の経緯などが、後出しで少しずつ言及されていく形式をとる。(省略)読者である私達の内面に浮かぶ波紋、染み込む情緒、徐々に変化する印象。そういった繊細なことが、とても大切されている小説である。(省略)だから、できるだけ何も知らない状態で接して欲しいのだ」と仰っている。
    まさに同感。
    最初はやや、いやむしろかなりとっつき難いのだが、徐々に与えられる情報でどんどんと物語世界に浸されていくのが実感できる。
    なので、これから読もうと思われている方は以下、読み飛ばし頂きたい。
    意外性が損なわれるからネタバレ気を付

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    2024年08月24日
  • 終わりなき夜に少女は

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    ★5 双子の姉が行方不明になってしまい… 人間の弱さと支え合いを描いた物語 #終わりなき夜に少女は

    ■あらすじ
    アメリカの田舎にある小さな街で、双子の少女のひとり、サマーが行方不明になった。この街では少女の連続誘拐事件が続いており、新たな犠牲者と目されていた。書置きが残されていたことから、警察は家出だと判断され本格的な捜索がされない状況。しかし双子の残された少女はレインは、友人たちと独自に捜索を開始するのだった。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    人間って弱い生き物ですよね…

    大人たちですら支え合って生きている世界なのに、まだ経験の浅い少女たちが懸命に生き抜こうとする物語。つらっ

    本作一番

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    2024年06月14日
  • 終わりなき夜に少女は

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    ネタバレ

    クリス・ウィタカーの翻訳3作目。原著は2017年の作品で、一昨年話題になった「われら闇より天を見る」より前の作品。

    1995年のアメリカアラバマ州が舞台。隣の地区で未解決の少女連続失踪事件がある中、双子の姉サマーが失踪する。姉を探すレインは、ひょんなことから殉職した父を持つノアと暴力的な父を持つパーヴと出会う。一方、地元警察署の署長ブラックは、サマーの失踪と連続失踪事件が関連しているのか決断を下せずにおり。。。

    「われら闇より天を見る」よりミステリ感は薄く、青春小説の色を強くした作品。現代パートはレイン、ノア、パーヴ、ブラックの視点で進み、過去パートはサマーの視点で進む。

    何よりも、ノア

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    2024年06月03日
  • 宝島

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    子供の頃から大好きな本。何度読んでもワクワクさせてくれる。
    この本がきっかけで読書の世界に引き込まれた。

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    2025年12月01日
  • 拳銃使いの娘

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    最後まで読んで拳銃使いの娘というタイトルに得心がいった 何か一つのものを守りたいという憧れにつながる
    物騒で苦手な話だったが読みやすくてページ数が少ないせいかサラサラ読めた とても良い

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    2023年10月27日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    「顧客がブルターニュからリヒテンシュタインに行きたがっているんだが。それを望まない連中がいる。ドンパチもありうる。連れていってやってくれないか?」SOEの元工作員ルイス・ケイン(キャントン)が、パリの弁護士アンリ・メルランから依頼を受けるところから物語は始まる。アル中(dips)のボディガードのハーヴィー・ラヴェルとのコンビで富豪の顧客マガンハルトを守りリヒテンシュタインへのドライブ中、行く手を阻もうとする敵が幾重にも待ち構える。二人はそれぞれに過去の心の傷を抱えているが、プロフェッショナルとして命懸けで使命感を果たそうとする。ドライユーモアを含むテンポのいい会話や、名車、銃などのスペックも楽

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    2023年10月24日