鈴木恵のレビュー一覧
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ネタバレ未解決の連続少女誘拐事件に翻弄されたアメリカアラバマ州の田舎町グレイスで、また一人の少女が行方不明となる。おりしもグレイスには未曽有の嵐の気配が予想され…
誘拐された少女と双子の妹、彼女らの家族、友人、警察署長、牧師夫婦らの視点で描かれる物語から見えてくれる真実とは?
ミステリー要素は少なく、登場人物たちの哀しみと強さをじっくり味わうテイストの小説だった。登場人物たちそれぞれが持っている過去や現状の問題と自分の弱さ、それでもあがく強さ。抗いきれない現実に打ちのめされても、魂をすんなり売り渡すのではなくあがいて傷を負ったからこその光明、やりきれない展開にも拘らず勇気をもらえた気がした。
それにしても、1995年のアメリカにおいてもこういう風なんだから、俺たちの盲信していた「自信にあふれて自由で賢く強い」アメリカなんて前世紀からなかったわけだし、そらトランプは再選するよなぁってこと。
日本も30年以上凋落と諦念を抱えてきた、彼らの哀しみは他国の遠い物語ではないよなぁとも。 -
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『われら闇より天を見る』(上)
『われら闇より天を見る』(下)
何の気なしに読み出して、冒頭の肝心なところがはっきりしないまま引き込まれる。登場人物もこんがらがって訳もわからないまま読み出す。進むうちにストーリーに刺激されて、どんどん嵌っていく自分を感じる。これは久し振りの感覚だ。
それでも登場人物や経緯は複雑であやふやなままだ。
上・下巻の長編が短く感じる。
最後に書評家川出正樹の解説で何処となく感じていた作者の人間性や個性、この作品のテイストの所以がわかってくる。また、物語の経緯もそうだったのかと後追いながら理解できる。そのくらい事実関係を傍においたまま切迫した臨場感が読者を引っ張り回す。
カルフォルニア州の絶景を望むのどかな海辺の町で起きた事件である。30年前、スターは友達のヴィンセントに妹シシーを誤って殺されるという不幸な事故にあう。彼らと仲のよい幼なじみのウオーカーは地元警察の署長になり日々の仕事をしながら長引いた彼の出獄を待つ。ヴィンセントは30年ぶりに出所して町に帰り昔の友人とは接触せず静かな生活を送る。
その町では事業家の巨漢ダークと一味が別荘開発の地上げを進めている。彼はスターに好意を寄せていたが複雑な事情を抱えてタイトな資金繰りに追い回されている。
スターはかつての事故以来立ち直れず、アルコールと薬物の過剰摂取で子供達(ダッチェスとロビン)の面倒をほとんど見ることができない。そうしたなかスターが誰かに殺される。現場に血だらけでいたヴィンセントが犯人として逮捕され黙秘のまま裁判へ進む。
13歳の娘ダッチェスが6歳になる弟ロビンの面倒を見ながら、叔父のハンクに保護され、ウオーカーとともにスター殺害の真相解明を進める。
主人公ダッチェスは女だてらに無法者を自称する跳ねっ返りである。強い弟思いで世間への不信と恨みが彼女の真骨頂である。彼女の直情的で軽はずみな行動が事件を起こす。ロビンが姉の妄動を責める場面には同感できるし、さすがに叔父ハンクへの態度にはやり過ぎを感じる。兄弟愛や祖父愛、ウオーカーの友情と献身など感情が入り乱れて錯綜する。
彼らの心の芯を貫く暖かいものが格別だ。
筋書きの複雑さやわからなさも作者の構想のうちで
ダッチェスの破滅的行動への違和感もそれなのだ。
典型的なミステリー小説で傑作だと思う。
クリス・ウイタカー、他の作品も是非読んでみたい。
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ノルウェーが舞台のノワールミステリ。
辺鄙な場所に住むロイ。弟カールがリゾート計画と共に妻連れで帰ってくる。両親の事故のこと、カールの性的暴行のこと、リゾート計画のこと、読者にちょっとミスリードさせ真実を明らかにしていくさまがうまい。
しかし、金を持ってなくセンスがいいわけでもなく親の死と弟への変な噂もあるロイになぜ女が寄っていくのか謎ではある。男性作家が書く女性はほぼ実像とズレてるのでその典型的パターンでもある。
しかしこの作品が極めて珍しいのは一番変なのが主人公ロイという部分。読めばわかると思う。
続編があるようなので邦訳を少し期待します。 -
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ネタバレ『真夜中の太陽』、『その雪と血を』の世界観に惚れたジョー・ネスボ。
ハリー・ホーレシリーズはそれはそれで面白いけど、期待した雰囲気とはちょっと違うなという感じだったが、これはと感じる導入部。
無口で人付き合いが得意ではないが、一本芯を通した生き様で、雇われ店長として町のガソリンスタンドを堅実に運営する主人公ロイ・オプガル。
ザ、無骨。
こういう芯のある主人公にとっても惹かれる。
物語はロイの弟カールが帰郷するところから始まる。
カールは故郷を去った後、アメリカで金融、経営学を学びカナダで事業を営んでいたが唐突なまでの帰郷の知らせを伝えてくる。
何かと思えば兄弟が今は亡き父親から引き継いだ″王国″オプガル農場の地にリゾートホテルを建設する計画だと言う。
そんな資金がどこにあるという問いには、町の人を巻き込んだ分担責任会社を設立し融資を受けるという。
ハードボイルドやノワールといったジャンルの通低音がありながら、そういったジャンルの型とも言える悲惨な犯罪めいた話や悲哀を含んだ話との絡みではなく、どこか薄っぺらく浮ついた話がリードを担うところが特徴的。
原題『THE KINGDOM』。
序盤から「王国」のメタファーはそこここに出てくるのでイメージが膨らむし、何が「失墜の」なのかという匂わせも気になりつつ惹き込まれていく。
無骨さとノワール、浅はかな弟と兄弟の因縁ぐらいのところまでは良かったが、ロイの決定的な歪みを混ぜ込んだあたりでやりすぎたかなという印象。
そこまで拗れてしまえば悲劇は必然。
嫌いではなかったのだが、せっかくのロイのキャラが勿体ない。
この展開、結末で続きがあるというのだが、うーんどうなのだろう、方向性を予想すると珍しくあまり読みたいとは思わないパターン。 -
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クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 下』ハヤカワ文庫。
最後には全てが明かされる。上巻を読み、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのかということが心に引っ掛かっていたのだが、やはりこれが物語の核心につながる訳かと納得。
上下巻を読み終えて、国内ミステリーのランキングを総ナメするだけの作品ではないように思った。警察ミステリーにしても、法定ミステリーにしても中途半端で、散りばめられた伏線の答えも明確には描かれず、消化不良という感じなのだ。
モンタナ州に住む母方の祖父のハルに引き取られたダッチェスとロビンは少しずつ新しい環境にも慣れていく。特に最初はハルに激しく反抗していたダッチェスもハルに対して心を開いていく。
そんな中、ハルが何者かに銃で撃たれた状態で見付かり、ダッチェスの目の前で命を落とす。
一方、ケープ・ヘブンの警察署長のウォークは元恋人で弁護士のマーサ・メイの力を借り、ヴィンセントのスター殺害が無実であることを証明しようとしていた。ウォークが新たな証拠を見付けようとスターたちの隣人の家を捜索するとスターを隠し撮りした大量の写真が発見される。
本体価格1,100円
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クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 上』ハヤカワ文庫。
2023年本屋大賞翻訳小説部門第1位を始め、各ミステリーランキングで1位を獲得した作品の文庫化。
読んでみたが、そこまで評価が高いかなと首をひねるばかり。
ストーリーは至って単純なのだが、なかなか全貌は描かれず、小出し小出しで少しずつ過去の事件や人間模様が描かれる。
恐らく30年前の事件で、主要人物の1人であるダッチェスの母親の妹のシシーを殺害したのは、もう1人の主要人物であるウォークの幼なじみであるヴィンセントであった推測されるのだが、判然としない。
また、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのか、これも謎のままにゆっくりとストーリーは進行していく。
アメリカのカリフォルニア州の海沿いの町ケープ・ヘブン。住民の誰もが互いに顔見知りということもあり、30年前に1人の少女が命を落とした事件が町全体に暗い影を落としていた。
『無法者』と自称しながら、虚勢を張る13歳のダッチェス・デイ・ラドリーは30年前の事件から立ち上がれずに酒とドラッグに溺れる母親のスターと幼い弟のロビンと共に世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。
一方、町の警察署長ウォークは、30年前の事件で親友のヴィンセント・キングが逮捕されるに至った証言を未だに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。
そんな中都合30年の刑期を終えたヴィンセントが町に帰還すると、かりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、ダッチェスの母親のスターが何者かに暴行を受け、射殺されるという悲劇が起きる。
スター殺害の容疑でヴィンセントは逮捕され、ダッチェスとロビンはモンタナ州に住む母方の祖父のハルに引き取られる。
本体価格1,100円
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ネタバレ2025年の43、44冊目は、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」です。2021年のゴールドダガー賞受賞作です。文庫化されたのを期に、読んでいなかったので読む事にしました。
あたかも大河ドラマのような小説だと思います。
無法者を自称する主人公のダッチェスの苛烈な人生が、これでもかと描かれて行きます。ダッチェスは、幼い弟ロビンや母親スターを守る為、世間に立ち向い続けますが、余りにも残酷な運命が幾重にも待ち受けています。
ミステリーに重きを置いていないと言われればそれまでですが、気になる所がいくつか有りました。その点が有ったとしても充分、満足出来るとは思いますが。
全ては、ダッチェスとロビンの父親が誰なのかに有ります。登場した全ての人物のこれからの人生に、少なからず幸が有るように願って止みません。人生について考えてしまう1冊だと思います。
☆4.6 -
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“貧乏で暴力的な”アメリカの片田舎アラバマ州「グレイス」の上空に、厚い雲とともに嵐の足音が忍び寄る。
そこで暮らすノアとパーヴ、辛い境遇の二人にとって、“ここで生きる”は他の人より困難なこと。
もう一人、双子の妹レインはノアとパーヴととともに、優等生の姉サマーの失踪の謎を探る。
これは、この三人の物語
貧困、暴力、過激な信仰心、妊娠中絶、アルコール中毒など、アメリカ社会の問題を背景にしているのは、前作「我らは闇より天を見る」同様で、主人公のひとりレインは前作のダッチェスと被る。
少し読むのに人物整理が大変だが、ノアとパーヴがとてもいい。
「おれたちゃ勇猛」
「おれたちゃ果敢」
がんばれって、応援したくなる。 -
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子どもの頃に児童文学全集に入っていた一冊として読んで以来の再読。こんなに波瀾万丈でメンタル激強な主人公だったとは。鳥がいたなぁとか曖昧で断片的な記憶しかなく、その記憶との答え合わせができたのはほんの一部。大人になってしっかり読むととにかくロビンソンすごい。
愚痴る泣く落ち込む、でも結構すぐ立ち直る。生き抜く気力と工夫。どんな目にあっても何度でも立ち上がれるのがすごいよ、ロビンソン。
1719年の出版ということもあって、差別的な考え方など引っかかるところは当然出てくるけれど、特に前半の島での生活を築いていく部分は冒険物語としてとても面白く読みました。
トム・ハンクス主演の漂流映画「キャスト・アウェイ」も久しぶりに見たくなりました。あれはウィルソンだったけど -
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ネタバレ最終的にチャーリーがジョシュと一緒になったのか、自分はいまひとつ解せなくて……なので星4。
助けてくれたけど、もとは怪しげな仕事を引き受けてチャーリーがこんな目に遭う原因を作ったようなものだし。友人くらいのポジションだったら、まあ……となるのだけど。
でも、こうならなければキャンパス・キラーの正体はきっとずっと分からないままで、チャーリーは脳内映画を観続けることになっていただろうし……チャーリーに加え、マージも苦しみから逃れることが難しかったかもしれないし……。なんとも。いや、何よりも元凶で最低最悪なのは、ロビー、おまえだよ!!気持ち悪すぎてオエッとなった。
自分もそういうところがあるので、チャーリーが内向的で彼女自身の中にぐっと色々なものを押し込めてしまう様子は読んでいて苦しかった。後悔、苦悩して自責の念に囚われ続けている姿はしんどかった。でも、そんな彼女が憧れの(?)仕事に就けているのはよかったな〜。
以下、印象に残った箇所のメモ。
〝それはあなたがたのせいではないと誰も教えてくれない。責任はひとえに、おぞましいまねをする非道な男たちと、そういう連中を育て、作りあげ、弁護してやるめちゃくちゃな社会にあるはずなのに。世間は自分たちのあいだにモンスターがいることを認めたがらないので、モンスターどもはいつまでも野放しにされ、暴力と避難のサイクルはいつまでも断ち切れない。〟
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タイトル、装丁ともカッコよく手に取ってみると、2段組みだ。しかも500ページを超えている。これは気合を入れないと、と思ったが、不要な心配だった。
ノルウエーの田舎町に父母と2人の息子が住んでいる。開拓時代のアメリカを思い出させるマチズモな父親の支配下に置かれた一家で、弟は性的虐待を受けている。小説の前半では、兄から虐待を受けているのかと思わされるが、実は父からだった。同様の伏線は随所にあり、回収される伏線に読者の興味を途切れさせない。また、彼らを巡るエピソードは面白く、彼らの個性がより際立ってくる。後半はますます『読む気』が加速していく。
マチズモな父親の血がそうさせるのか、強気な兄は暴力的資質をより発揮させ、冷静で暴力脳の優れたニューヒーローの予感さえする。弱気に見えた弟も、後半随所に暴力性を見せ個性を発揮する。巻末の解説によれば、本国では続編が刊行済とのこと。楽しみなシリーズがまた一つ、だ。 -
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海賊の私物箱から宝の地図を手に入れたジム少年が、信頼できそうな大人と共に宝探しに出かける冒険小説。
船員たちそれぞれの思惑に翻弄されつつも、自分の力でなんとかしようとするジムの行動力が見どころ。
船を取り戻すシーンは天晴れだった。
頭の回転は早いけど、それ以外は結構普通の少年で、怯えたり泣いたり。海賊たちに囲まれて、銃撃戦の場にもいて…。想像より大分血生臭い話だった。
真っ当な大人になってくれよと祈るばかり。
あとがきに、子供の頃読むのと、大人になってから読む違いを感じるものいいと書いてあって、子供の頃に読んでいなかったことをちょっと後悔。
それはそうと、スティーブンソンて『ジーキル博士とハイド氏』のスティーブンソンだったのか。こちらも結構好き。
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Posted by ブクログ
いやもう小説家って大変な職業だわね
作者エイドリアン・マッキンティがこの傑作を書いた時ウーバードライバーをしてたって言うんだからね
世界的にも有名な賞の受賞歴もあったのによ
要するに「すげーたいへんなのに、ぜんぜん儲かんねーじゃん!」ってことだったみたいなんだけど、それを知ったドン・ウィンズロウが復帰を説得してこの作品が出来たってわけらしい
尊敬する先輩に言われたら、そりゃそうなるわ
意外に縦社会な
で、中身ね
前置きが終わった時点で力尽きてるんで他の人のレビュー読んで!と言いたいが、書く
なんかちょっともったいない感じがした
すげー面白かったんだけど、この設定でこのキャラクターだったらもっともっと膨らませられたんちゃうかなー
と思ってしまいました
いやもうこの設定の時点で鬼なんだが、マッキンティ!君ならもっとやれる! -
Posted by ブクログ
マッキンティの代表作で大好きなショーン・ダフィシリーズの新作が翻訳される気配が全くないのでノンシリーズのこちらを
ほんとにぜんぜん気配ないんよ
これで今夏あたりに出たらすごいことですよ
元海兵隊のわいに気配を気付かせないとはな
ということで『ザ・チェーン』
おお、なんかダフィシリーズとぜんぜん毛色が違う!
あちらがくすんだ灰色だとするとこちらはちょっと明るめの灰色って結局灰色なんかーい!
当たり前じゃ!同じ人が書いてんだから、そんなガラッと変わるか!( ゚д゚ )クワッ!!
いやでもこんなスピーディーな展開のお話も書けるんやなー
すげーぜ、マッキンティ
まぁ、舞台がぜんぜん違うってのもあるんだろうね
よし、下巻へ!