鈴木恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
孤島に隠遁する老作家と若い編集者とか彼が過去に書いた「ホワイトの殺人事件集」を刊行すべく議論を交わす。
収録作の短編を一つずつ読み返しつつ、それぞれがフーダニットだったり孤島で起こった連続殺人だったりというテーマでもってなにがしかが語られていくんですけども、まあ最終的に実際に起こった「ホワイト殺人事件」に収束していくんだろうなというのはさすがに読んでて察するわけですが。。
なるほどなあ。各短編がなんというか話が妙に薄いと思ったらそういう・・・いや短時間でオチなりなんなり書き換えられるジュリアがもはや異能すぎるだろう。
そしてさらなるどんでん返しが。幾分予想できなくもなかった気がするけど、それでもわりとこういうのは好きです。内容よりも構成力をより評価したい。 -
Posted by ブクログ
☆☆☆ 2024年2月感想 ☆☆☆
これまで一度も読んだことがなかった名作だが
長男に子供向け簡易版を読み聞かせして、「これは面白い」と思ったので手に取ってみた。大人にとっても面白い本だが、10歳ぐらいで読んだらきっともっとワクワクしただろうと思う。
港にたたずむベンボウ提督亭で働く少年・ジムが主人公。そこを訪れる謎の船長。そこから始まるストーリー。リブジー先生がいつもクールでかっこいいし、郷士のトリローニさんは口が軽いが憎めない存在。
恐ろしい海賊たちや、片足のシルバー。それぞれが魅力的な存在だ。「十と五人が死人の箱に。ヨウホのホウでラム酒一本!」という歌がところどころで歌われ、それも物語の世界へ読者を引き込むのに一役買っている。
本を読む喜びとは何なのか。
その原点を思い出させてくれる一冊だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人を殺人事件で失った大学生チャーリー(分かりにくい名前だが女性)は失意を胸に故郷に帰ることにし、大学の掲示板に乗用車同乗の募集ビラを貼る。そのビラを受けて車を出し同行を申し出る男ジョシュ。
二人の車はニュージャージーからオハイオまで、夜のハイウェイを進むのだが、道中チャーリーはジョシュの言動に不穏なものをかぎつける。この男は友人を殺した連続殺人犯(キャンパス・キラー)じゃないのか?
ぎこちなく不安なドライブが続く中、ジョシュが食事をしようとハイウェイを降りてさびれた街のドライブインに入ったことから物語は急展開を始める。
前半から中盤にかけては正直退屈な部分もあるし、一番怪しいヤツは犯人じゃない常套を考えると余計に進まないし、急展開を見せてからも、主要登場人物を引き算していくと真犯人は容易に分かってしまうという欠点もある。正直粗が目立つ小説だと思う。
が、ジェットコースターのような急展開と主人公の映画オタクっぷりが楽しくて意外と楽しめた。長旅、特に長距離バス移動なんかのお供に最適と思うが、さすがにヒッチハイク旅ではリアルすぎて、お勧めできない。 -
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ネタバレ原題『THE PLOT』。
悩める作家の話。
『二流小説家』や『ハリー・クバート事件』を彷彿とさせる。
リプリー大学の短期集中型修了課程の創作講座の講師にあるジェイコブ・フィンチ・ボナー。
天啓を受けたかのように書き上げた第一長編『脅威の発明』こそ、ニューヨークブックレビューに注目の一冊として取り上げられ世間の目を集めたものの、2作目以降は鳴かず飛ばずで作家生命は今や虫の息。
ある年の講座でやたらと不遜な態度で「俺にはプロットがある」、「プロットさえあればどんな文章でも売れる」と豪語する男を教えることになる。
どうにも手を焼く男だったが、駆け引きの末そのプロットを聞き出すと、まさに衝撃もので、放心状態に。
その後何年か経ち、短期集中講座も閉鎖されたある時、ジェイコブはふとそういえばあの作品はまだ世の喝采を浴びていないことに思い至り、あの男の現在を調べ始める。。
盗作を決意するに至るまでの前半部のジェイコブの暮らしぶりや、諦観を抱えつつも何とか糊口を凌ごうと半ば自虐的に、でも僅かばかりの自我を手放さずにユーモラスに踏ん張る様は面白く読めた。
盗作後の成功の日々に届く謎の告発やバレることへの恐怖と告発者探しの展開には、これだけプロットに対する煽りを入れてしまった後ではそうそうな結末では満足できない類もの。
残念ながら著者自らが打ち立てたその壁を壊すことはできなかったかなぁというのが正直な感想。
とは言え、パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』への強烈なオマージュがまた別のいざないを持っていてにくい。
そっちが読みたくなる。
リプリー大学なんてまさか本当にあるの?と思い調べようにもマット・デイモンばかり出てきて、辿れない。 -
Posted by ブクログ
表紙が印象的な一冊。海外ミステリーは苦手でしたが本書は一気読みでした。
ザ・ハードボイルド。短い文章でさらっとした言い回しがたくさんあり、まるで詩のようです。
例えば
〈いい話というやつは、ありえないほどいい話だと、悪い話になることもある。〉
キザな感じが好き嫌い分かれるかもしれませんが…。個人的には好きなほうです。
人は誰しも自分の〈物語〉を生きている。起こった事実は同じでもそこにどんな意味を持たせるかで物語は全く変わってくる。
そんなことを思い出させてくれる良書でした。
* *
物語とは直接関係ありませんが、主人公の『レ・ミゼラブル』への考察は何かはっとさせられるものがあります。
曰く、《ジャンバルジャンは本当にパンを盗んだだけだったのか?ー》
確かに…。今度読み返してみようかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハリー・ホーレ刑事シリーズと同じ作者だったので。
主人公は殺し屋だが、おとぎ話のような、夢の中の物語のような。
殺し屋というか、自己申告の通り「始末屋」といった方が適格だ。
綿密な計画も知ら調べもなく、とりあえず殺す。
冒頭の始末屋以外ができない理由を説明する箇所が印象的だった。
目立たないように車を運転できないので逃走車の運転ができない、
銃口を向けた相手が精神に問題を抱えてしまうので強盗はできない、
意志薄弱だからヤク売人になれない、
女に惚れっぽいのでポン引きにもなれない。
ボーイフレンドの借金のかたになりかけた女性にも惚れた。
ボスに自分の妻を殺せと命じられたが、
見張っているうちに惚れてしまい、浮気相手の男を殺してしまう。
だが、その男はボスの息子だったため、
当然ボスに命を狙われて妻と一緒に隠れることに。
ボスの敵と交渉し、
棺に隠れて地下聖堂でボスを返り討ちにしようとしたのはさすが。
彼が最後に見た幻は美しかった。
暴力と犯罪と破滅の小説をパルプ・ノワールというらしい。