鈴木恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルからスナイパーか何か拳銃が上手な少女のストーリーかと思った。ドラッグ・殺人・復讐・家族そしてメルヘン、変わったミステリーです。
ネイトが出所して向かった先は、娘の中学校だった。そのまま2人の逃亡劇が始まる。
刑務所で嵌められる事を避けようと囚人の1人を刺し殺した。犯人は判らずネイトはそのまま出所期限を迎え娑婆に出たが、元妻のエイヴィスが殺された。囚人組織のボスは刺し殺された囚人の兄で、ネイトの身内に報復に出たのだ。
青い稲妻の刺青軍団から逃れる為に、ネイトと娘ポリーと小熊の3人は逃亡を始めた。険悪だった2人だが殺すか殺されるかの緊張の連続の中、親子としての会話や愛情が育まれてきた。
全ての事情を知ったポリーはネイトから闘争の訓練を受け始め、生活の為に強盗の手伝いも進んで行った。
麻薬倉庫強盗・マフィア経営のクラブ襲撃・上納金の横取り等、犯罪を重ねる2人+1匹の会話や行動は微笑ましく凶悪父娘を、もっとやれ、頑張れって、応援したくなってきた。
事件から1年後、ギャングのボスが殺害された。
行方をくらましたネイトの仕業と噂された。
ネイトは最後の死闘で重症を追っており死んだのではと思う。その後をポリーと小熊が引き継いだのだ。と、勝手に想像した。その流れの続編に期待する。
2018年エドガー賞新人賞受賞作です。著作はTVドラマ''CSI科学捜査班''の脚本家で本作も良く出来ている、翻訳作品に多い日本人には理解し難い独特な言い回しや箸休めの様な無駄なシーンも無く、残虐な犯罪シーンが多いのにポリーの相棒ぬいぐるみの熊が緊張感をクールダウンさせてくれる。バランスの良い流れに飽きずに読める。 -
Posted by ブクログ
「作中作」と聞くと、どんな仕掛けがあるのかと疑いながら読み進めるのは、ミステリ慣れした読者の悪いクセですが、この『第八の探偵』の作中作のある真実が語られたとき、「そうきたか~」と心中で唸りました。
本格ミステリ好きが本格ミステリへの愛をこめ、そして技巧を凝らし、不敵な笑みを浮かべながら作り上げた作品のように感じます。
かつて『ホワイトの殺人事件集』という短編集を発表し、その後小島で隠遁生活を送るグラント。彼の元にその短編集を復刊したいと、編集者のジュリアが訪れる。二人は『ホワイトの殺人事件集』の短編を読み返しながら、ミステリついての議論を重ねていくが……
作中に収録されている作中作は7編。それぞれ犯人に色々なパターンがあり、これにグラントとジュリアの議論が加えられることで、作中の人物の言葉を借りると『殺人ミステリ』の要件が浮かび上がってきます。
『三つの棺』のフィル博士の密室講義や、有栖川有栖『マジックミラー』のアリバイ講義などを思い出される。そういう本格ミステリにどっぷり浸った人こそ、よりこの作品の面白さが伝わってくるはず。
収録作品の様々なパターンであったり、クリスティーのオマージュを感じさせるところも、ミステリ好きは楽しみながら読めそう。
そして7つの短編の真実が明らかになるとき、改めてミステリとはどれだけ突き詰めても、一方では不確定要素に満ちていることに。そして、だからこそ時に腹立たしく、面白いということに気づかされます。
正統派? メタミステリ? アンチミステリ? そんなミステリのジャンルもろもろを、貪欲に取り込んだ作品だったと思います。 -
Posted by ブクログ
面白かった、ナイステンポ!
皆キツさが魅力的だったな。
特に己とその大切なもの、その掴んだ手を握り続けようとするレイチェル、カイリー、ピートがやはり。
大人と子供も、自分で決めた事もそんな己に決まった事も、地続きで。けれども、異なるもので。
終盤はある程度新鮮さは落ち着く展開だけれど、それはそうだよね、だし。
真犯人の世界は想像が及び辛いけれど、故に成り立つ文章の提示構造と、それでもなお、が残るバランスがある。
交換誘拐と、チェーンメールと。
真犯人と主人公どちらも、異質ながら確かに人間関係によりそうなった人達で。
そうして、どちらが勝つかとて、どう転ぶか分からなかったもので。
確かなのは、何かしらの形で終わる、という事だけ。
そうして、己が視野。
こんなに才覚のある作者でもなお、職業作家を続ける事に迷いドライバーを一旦選んだりしている事にも驚きつつ。
完全に余談だけれど。作家もまた、人々の想いと人の世の在り方を、綱渡りしているのだな、と。
77章で終わる物語。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ娘のカイリーはつらい体験をしたが,無事に帰ってきた。レイチェルが選んだ次の被害者ダンリーヴィもまた,チェーンをうまく継続させた。一見もとの日々が戻ってきたように見えるが,巻き込まれたレイチェル,ピート,カイリーはみな,取り返しのつかない傷を負ってしまった。レイチェルは娘のために立ち上がる決意をする。チェーンを壊さなくては。
「ルーム」,「棺の女」等々,「帰ってきた被害者のその後」を描く物語はいくつかありますが,この本の場合は「自分も加害者になってしまった。だから本当のことは誰にも言えない」ということのほか重たい事情を抱えているところが特徴。
下巻では,ピートに止められながらも立ち向かう決意をするレイチェルの姿と,チェーンを作った真犯人たちの生い立ちとが交互に描かれていくのですが,何しろ上巻でひどい目にあいすぎたので,全然真犯人への同情心がわかないという・・・。
犯人がだれかわかったところからはめちゃめちゃハラハラドキドキ,向かう展開はそこしかないとわかっているのですが,それでもページをめくる手が止まらなくなりました。
「もしこの事件が映画化されたら」とかピートのセリフにありましたが,下巻はハリウッド映画さながらのエンタテイメント性にあふれてて最後は楽しく読めました。
それにしても,上巻の時から,「チェーン」の展開の速さ(週に1回以上は誘拐が起きている計算になる。下手したら2回以上?)を考えると,巻き込まれている人は指数関数的に増えるはずなので,エリックやレイチェルのような「戦おうとする人」が現れる可能性はこれまでにもあったと思われるし,カイリーのように自力で逃げ出そうとして成功する子どもがいたっておかしくはない。
そう思うと,チェーンてうまくいきすぎじゃないか,設定甘いんじゃ,とも思っていたのですが,終盤でオリーが,3年もたなくたっておかしくなかった,たまたまうまくやれてたんだ,という意味のことを言うところがありまして,やっぱりそうなんだなと。
スモールネットワーク理論で言えば,もっと早く法執行機関の関係者とつながってしまう可能性は高いので,運も手伝ってうまく回っただけだということで納得しました。
総評としてはとても面白かった。しかし,上下巻にわける必要ないんじゃないかなとは思いました。1冊でいいのではないか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ癌治療,離婚と最悪の時期を何とか乗り越え,新生活の第一歩を始めようとしたまさにその日,レイチェルに人生最大の悪夢が訪れる。娘が誘拐されたのだ。しかも誘拐犯からの要求は前代未聞のものだった。
誘拐犯が,次の誘拐を要求するという設定がすごく興味深くて読んでみた。普通の人がなりふり構わず,しかし良心の呵責に耐え切れずに苦しみながらも次第に犯罪に手を染めていく過程がものすごくて,でもほとんどの人が「自分もやるかも・・・」と思わざるを得ない。読んでいてしんどくなるうえ,チェーンの黒幕に対するむかつきが半端ないです笑
レイチェルの元夫マーティは悪人ではないんだろうけど頼りなさ半端なくてなんかむかつくし笑
レイチェルも共犯となってしまうピートももちろん犯罪者としては素人?なので,色々失敗や予想外の出来事に見舞われるものの,おおむねは成功して娘のカイリーが返ってくる。
上巻はここまでだけど,娘が無事に帰ってきても終わらないのがこのお話。レイチェルが選んだ被害者は無事に次の誘拐を実行できるのか。