鈴木恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった、ナイステンポ!
皆キツさが魅力的だったな。
特に己とその大切なもの、その掴んだ手を握り続けようとするレイチェル、カイリー、ピートがやはり。
大人と子供も、自分で決めた事もそんな己に決まった事も、地続きで。けれども、異なるもので。
終盤はある程度新鮮さは落ち着く展開だけれど、それはそうだよね、だし。
真犯人の世界は想像が及び辛いけれど、故に成り立つ文章の提示構造と、それでもなお、が残るバランスがある。
交換誘拐と、チェーンメールと。
真犯人と主人公どちらも、異質ながら確かに人間関係によりそうなった人達で。
そうして、どちらが勝つかとて、どう転ぶか分からなかったもので。
確かなのは、何かしらの形で終わる、という事だけ。
そうして、己が視野。
こんなに才覚のある作者でもなお、職業作家を続ける事に迷いドライバーを一旦選んだりしている事にも驚きつつ。
完全に余談だけれど。作家もまた、人々の想いと人の世の在り方を、綱渡りしているのだな、と。
77章で終わる物語。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ娘のカイリーはつらい体験をしたが,無事に帰ってきた。レイチェルが選んだ次の被害者ダンリーヴィもまた,チェーンをうまく継続させた。一見もとの日々が戻ってきたように見えるが,巻き込まれたレイチェル,ピート,カイリーはみな,取り返しのつかない傷を負ってしまった。レイチェルは娘のために立ち上がる決意をする。チェーンを壊さなくては。
「ルーム」,「棺の女」等々,「帰ってきた被害者のその後」を描く物語はいくつかありますが,この本の場合は「自分も加害者になってしまった。だから本当のことは誰にも言えない」ということのほか重たい事情を抱えているところが特徴。
下巻では,ピートに止められながらも立ち向かう決意をするレイチェルの姿と,チェーンを作った真犯人たちの生い立ちとが交互に描かれていくのですが,何しろ上巻でひどい目にあいすぎたので,全然真犯人への同情心がわかないという・・・。
犯人がだれかわかったところからはめちゃめちゃハラハラドキドキ,向かう展開はそこしかないとわかっているのですが,それでもページをめくる手が止まらなくなりました。
「もしこの事件が映画化されたら」とかピートのセリフにありましたが,下巻はハリウッド映画さながらのエンタテイメント性にあふれてて最後は楽しく読めました。
それにしても,上巻の時から,「チェーン」の展開の速さ(週に1回以上は誘拐が起きている計算になる。下手したら2回以上?)を考えると,巻き込まれている人は指数関数的に増えるはずなので,エリックやレイチェルのような「戦おうとする人」が現れる可能性はこれまでにもあったと思われるし,カイリーのように自力で逃げ出そうとして成功する子どもがいたっておかしくはない。
そう思うと,チェーンてうまくいきすぎじゃないか,設定甘いんじゃ,とも思っていたのですが,終盤でオリーが,3年もたなくたっておかしくなかった,たまたまうまくやれてたんだ,という意味のことを言うところがありまして,やっぱりそうなんだなと。
スモールネットワーク理論で言えば,もっと早く法執行機関の関係者とつながってしまう可能性は高いので,運も手伝ってうまく回っただけだということで納得しました。
総評としてはとても面白かった。しかし,上下巻にわける必要ないんじゃないかなとは思いました。1冊でいいのではないか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ癌治療,離婚と最悪の時期を何とか乗り越え,新生活の第一歩を始めようとしたまさにその日,レイチェルに人生最大の悪夢が訪れる。娘が誘拐されたのだ。しかも誘拐犯からの要求は前代未聞のものだった。
誘拐犯が,次の誘拐を要求するという設定がすごく興味深くて読んでみた。普通の人がなりふり構わず,しかし良心の呵責に耐え切れずに苦しみながらも次第に犯罪に手を染めていく過程がものすごくて,でもほとんどの人が「自分もやるかも・・・」と思わざるを得ない。読んでいてしんどくなるうえ,チェーンの黒幕に対するむかつきが半端ないです笑
レイチェルの元夫マーティは悪人ではないんだろうけど頼りなさ半端なくてなんかむかつくし笑
レイチェルも共犯となってしまうピートももちろん犯罪者としては素人?なので,色々失敗や予想外の出来事に見舞われるものの,おおむねは成功して娘のカイリーが返ってくる。
上巻はここまでだけど,娘が無事に帰ってきても終わらないのがこのお話。レイチェルが選んだ被害者は無事に次の誘拐を実行できるのか。 -
Posted by ブクログ
マッキンティと言えば北アイルランドを舞台にした、闘う警察官ショーン・ダフィ・シリーズでの好印象しかないのだが、驚いたことに、いくつかの賞を獲ったにも関わらず執筆の対価に合わないとしてペンを折ってしまいネット配車タクシーのドライバーに転職していたのだそうだ。そんな、と思ってしまうのはぼくだけではない。
本作の彼の初稿(短編小説)を読んだドン・ウィンズロウは、もとより彼の才能を買っており、自身の米国エージェントを通して長編化と作家への復帰を説得したらしく、彼は本作で改めてアメリカでの出版での勝負に出たとのことである。作者自身のあとがきと杉江松恋の文庫解説にも詳しい。
さてその力の入った実にアメリカ向けの作品が本書であり、正直、ショーン・ダフィ・シリーズのマッキンティの躍動する、あの寒々しい北アイルランドの風土と闘いの歴史の上に繰り広げられる重たい捜査模様を期待する読者は、呆気に取られると思う。
むしろピエール・ルメートルなどに見られるスリリングな状況作り、逆転また逆転の仕掛けといった高いエンターテインメント性など、これがあのマッキンティなのかと驚くほど、それはアメリカンなエンターテインメント作品に仕上がっているのである。
誘拐された親は次の誘拐を完了させないと我が子を取り戻せないというチェーンに巻き込まれた家族。そのシステムを構築した者の正体は? そして結末は? とまず物語構造だけで緊張関係を作り出してしまっている。
さらにスマホ、タブレット、パソコン、アプリなど、現代ならではの道具による仕掛けが頻出と多彩な銃器によるアクション。世界中の若者に受けそうな、それこそ今にも映画化されそうな面白小説に仕上がっている。
個人的にはショーン・ダフィの鼻っ柱の強さが好みだっただけに、マッキンティにはこの手の才能で稼いで生活基盤を手に入れて頂いたら、生まれた地である北アイルランドを素材にしたショーンの物語も末永く紡いで行って欲しいものである。 -
Posted by ブクログ
マッキンティと言えば北アイルランドを舞台にした、闘う警察官ショーン・ダフィ・シリーズでの好印象しかないのだが、驚いたことに、いくつかの賞を獲ったにも関わらず執筆の対価に合わないとしてペンを折ってしまいネット配車タクシーのドライバーに転職していたのだそうだ。そんな、と思ってしまうのはぼくだけではない。
本作の彼の初稿(短編小説)を読んだドン・ウィンズロウは、もとより彼の才能を買っており、自身の米国エージェントを通して長編化と作家への復帰を説得したらしく、彼は本作で改めてアメリカでの出版での勝負に出たとのことである。作者自身のあとがきと杉江松恋の文庫解説にも詳しい。
さてその力の入った実にアメリカ向けの作品が本書であり、正直、ショーン・ダフィ・シリーズのマッキンティの躍動する、あの寒々しい北アイルランドの風土と闘いの歴史の上に繰り広げられる重たい捜査模様を期待する読者は、呆気に取られると思う。
むしろピエール・ルメートルなどに見られるスリリングな状況作り、逆転また逆転の仕掛けといった高いエンターテインメント性など、これがあのマッキンティなのかと驚くほど、それはアメリカンなエンターテインメント作品に仕上がっているのである。
誘拐された親は次の誘拐を完了させないと我が子を取り戻せないというチェーンに巻き込まれた家族。そのシステムを構築した者の正体は? そして結末は? とまず物語構造だけで緊張関係を作り出してしまっている。
さらにスマホ、タブレット、パソコン、アプリなど、現代ならではの道具による仕掛けが頻出と多彩な銃器によるアクション。世界中の若者に受けそうな、それこそ今にも映画化されそうな面白小説に仕上がっている。
個人的にはショーン・ダフィの鼻っ柱の強さが好みだっただけに、マッキンティにはこの手の才能で稼いで生活基盤を手に入れて頂いたら、生まれた地である北アイルランドを素材にしたショーンの物語も末永く紡いで行って欲しいものである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレショーン・ダフィシリーズの雨の北アイルランドから一変、アメリカ東海岸が舞台。全く違う作風で驚き。
スピード感に一気読みさせられた。その中にも誘拐という卑劣な犯罪への怒りが細かく述べられ、確かに杉江さんの解説にも「書きすぎる」とあったが、わたしもそれは感じた。
だが、いいぞ、マッキンティ!ウーバーの運転手やってる場合じゃない。どんどん書いてください。
大好きなショーン・ダフィシリーズの次作も近いうちに読めるそうで楽しみだー。
今回もレッド・ツェッペリンが登場でファンとしてはうれしい限り。さあ誰が、どんな状況下で、どの曲を聴いたのか…もう、ツンデレなんだから!(そこじゃないって?)