鈴木恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ結晶で降る雪を見たことがある。知床ウトロにある小学校の校庭にテントを張っていた時、青いフライシートに降りる雪は結晶の形そのままだった。本書の冒頭の風景に降る雪も結晶だ。しかし、白く美しい雪に血の色が混じる。ドライな文体で、とてつもなくハードボイルドな文章だが、詩的で美しい描写だ。主人公の始末屋(殺し屋)の胸の内に流れる熱いものがそうさせるに違いない。
一人称で語られる主人公オーラヴの経歴は謙遜気味だが、物語が進むにつれ、思慮、行動とも一流のそれだと理解できる。ノワール小説の形式はとっているが、描かれているのは主人公の恋心なので、文章全体が純粋かつ、美しい。小説の終えんに合わせて、読者である自分の心も穏やかに閉じていく、独特な読後感を持つ一冊だ。 -
Posted by ブクログ
書き出しから緊迫感に満ちた筆致で、テンポよく作中にどんどん惹き込まれていく。
我々が知り得ない、戦争という異常な状況の中で、とにかく自らの命を守るという本能に突き従って決死の努力を続ける2人の主人公に同調、没頭する序盤。
物語はそこからさらに展開を見せ、30年近い時を経た第二部で繰り広げられるドラマに至るまで、飽きずに読者を掴み続ける。
とても2時間では描き切れないだろうが、アクション性にも富んだこの壮大な流れはいかにも映像化向きのようでもあり、つまり視覚的なヴィジョンも明確に頭に浮かんでくる類の小説だ。
個人的には、終盤の活劇がほんの少しだけ好みでない部分があるかな、という感じもしたが、文句なく面白く、極めて完成度の高い作品であることは間違いない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあー、読むのが辛かった。個人的に子どもが悲惨な目に合う物語が苦手なのに、この子達どうなるんだろう?と気になってしまって、最後まで読んでしまった。何ていうか、皆んなが皆んな、ボタンのかけ違いで、どれか一つがまともに機能できていれば、と思わずにいられない。ダッチェスとロビンが幸せであって欲しいのに、不器用な大人たちが秘密を抱えて、都合よく真実を塗り潰し、そしてダッチェス自身も、衝動的にみずからチャンスを壊してしまう。
警察署長のウォークは、遅ればせながら、真実に辿りつくが、全てが終わったあと。そしてダッチェスは気付いていた。事件の真相に。ダッチェスがたった1人で、ヴィンセントに向かっていくくだりは痛々しくて読むのが特にしんどかった。
最後、ダッチェスとロビンは、別々の道を歩むことになる。分かっていたけど、悲しかった。