あらすじ
2023年本屋大賞翻訳小説部門第1位
自称無法者の少女ダッチェスが住む町に帰ってきた30年前の事件の加害者。彼の帰還は、ダッチェスを苛烈な運命へ巻き込んでいく。
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Posted by ブクログ
30年前の事件で叔母が亡くなり、母はそのトラウマを未だ抱えて酒浸り。自分の父親もわからない少女ダッチェスを中心とした物語。
一筋の光が見えて来たと思うと、また奈落の底に落とされる。以前何かで読んだ「今が最悪期と思っていたらその先はまた長い下り坂だった」云々を思い出す。
まさに闇から天を見上げてもがくダッチェスの生き様に心を打たれる。
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終わりから始める人々の物語。
連続する悲劇。抗えない残酷な運命。
自分の意思を強く持ち、弱さを隠し、そして誰かを支えることに人生を捧げる、ダッチェスとウォークの人生。
救われる気持ちになれるわけではない。光が見えるわけでもない。だが、人生に必ず何かをもたらしてくれる物語である。
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家族と己の尊厳を守るため
無法者として生きる決心をした
少女が熱かった。
その一途な思いにドキドキしたり
ハラハラしたり、イライラしたり
度重なる悲劇に一緒に涙した。
(あ、無法者は泣かないんだった…)
30年の刑期を終えて出所した男や
その幼馴染の警察官が最後に出した答えは
それでよかったのだろうか?
きっと間違ってはいないのだろうけれど
大人たちの不甲斐なさ、だらしなさ
そしてやさしさが
何度も同じような過ちを繰り返させる。
Posted by ブクログ
『われら闇より天を見る』(上)
『われら闇より天を見る』(下)
何の気なしに読み出して、冒頭の肝心なところがはっきりしないまま引き込まれる。登場人物もこんがらがって訳もわからないまま読み出す。進むうちにストーリーに刺激されて、どんどん嵌っていく自分を感じる。これは久し振りの感覚だ。
それでも登場人物や経緯は複雑であやふやなままだ。
上・下巻の長編が短く感じる。
最後に書評家川出正樹の解説で何処となく感じていた作者の人間性や個性、この作品のテイストの所以がわかってくる。また、物語の経緯もそうだったのかと後追いながら理解できる。そのくらい事実関係を傍においたまま切迫した臨場感が読者を引っ張り回す。
カルフォルニア州の絶景を望むのどかな海辺の町で起きた事件である。30年前、スターは友達のヴィンセントに妹シシーを誤って殺されるという不幸な事故にあう。彼らと仲のよい幼なじみのウオーカーは地元警察の署長になり日々の仕事をしながら長引いた彼の出獄を待つ。ヴィンセントは30年ぶりに出所して町に帰り昔の友人とは接触せず静かな生活を送る。
その町では事業家の巨漢ダークと一味が別荘開発の地上げを進めている。彼はスターに好意を寄せていたが複雑な事情を抱えてタイトな資金繰りに追い回されている。
スターはかつての事故以来立ち直れず、アルコールと薬物の過剰摂取で子供達(ダッチェスとロビン)の面倒をほとんど見ることができない。そうしたなかスターが誰かに殺される。現場に血だらけでいたヴィンセントが犯人として逮捕され黙秘のまま裁判へ進む。
13歳の娘ダッチェスが6歳になる弟ロビンの面倒を見ながら、叔父のハンクに保護され、ウオーカーとともにスター殺害の真相解明を進める。
主人公ダッチェスは女だてらに無法者を自称する跳ねっ返りである。強い弟思いで世間への不信と恨みが彼女の真骨頂である。彼女の直情的で軽はずみな行動が事件を起こす。ロビンが姉の妄動を責める場面には同感できるし、さすがに叔父ハンクへの態度にはやり過ぎを感じる。兄弟愛や祖父愛、ウオーカーの友情と献身など感情が入り乱れて錯綜する。
彼らの心の芯を貫く暖かいものが格別だ。
筋書きの複雑さやわからなさも作者の構想のうちで
ダッチェスの破滅的行動への違和感もそれなのだ。
典型的なミステリー小説で傑作だと思う。
クリス・ウイタカー、他の作品も是非読んでみたい。
Posted by ブクログ
クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 下』ハヤカワ文庫。
最後には全てが明かされる。上巻を読み、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのかということが心に引っ掛かっていたのだが、やはりこれが物語の核心につながる訳かと納得。
上下巻を読み終えて、国内ミステリーのランキングを総ナメするだけの作品ではないように思った。警察ミステリーにしても、法定ミステリーにしても中途半端で、散りばめられた伏線の答えも明確には描かれず、消化不良という感じなのだ。
モンタナ州に住む母方の祖父のハルに引き取られたダッチェスとロビンは少しずつ新しい環境にも慣れていく。特に最初はハルに激しく反抗していたダッチェスもハルに対して心を開いていく。
そんな中、ハルが何者かに銃で撃たれた状態で見付かり、ダッチェスの目の前で命を落とす。
一方、ケープ・ヘブンの警察署長のウォークは元恋人で弁護士のマーサ・メイの力を借り、ヴィンセントのスター殺害が無実であることを証明しようとしていた。ウォークが新たな証拠を見付けようとスターたちの隣人の家を捜索するとスターを隠し撮りした大量の写真が発見される。
本体価格1,100円
★★★★
Posted by ブクログ
2025年の43、44冊目は、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」です。2021年のゴールドダガー賞受賞作です。文庫化されたのを期に、読んでいなかったので読む事にしました。
あたかも大河ドラマのような小説だと思います。
無法者を自称する主人公のダッチェスの苛烈な人生が、これでもかと描かれて行きます。ダッチェスは、幼い弟ロビンや母親スターを守る為、世間に立ち向い続けますが、余りにも残酷な運命が幾重にも待ち受けています。
ミステリーに重きを置いていないと言われればそれまでですが、気になる所がいくつか有りました。その点が有ったとしても充分、満足出来るとは思いますが。
全ては、ダッチェスとロビンの父親が誰なのかに有ります。登場した全ての人物のこれからの人生に、少なからず幸が有るように願って止みません。人生について考えてしまう1冊だと思います。
☆4.6