井上章一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
京都ぎらい/井上章一/朝日新書/2015年/110円
嵯峨出身宇治生活者の著者が書く、洛中京都人への恨みつらみ。結局狭い範囲で攻撃し合っていて部外者から見ると同じ穴のムジナで面白い。芸妓文化は京都のなまくら坊主が、税金を取られない拝観料で維持している話も良かった。
1986年に京都市が古都税として、寺院から税金を取ろうとして、寺院側が反対し、銀閣寺は10ヶ月もストライキで拝観停止を行ったらしい。結局市側が折れて取り下げて今に至る。泥臭くて生々しくて良いわ。
後半1/3くらいの歴史にまつわる箇所は日本史を勉強し直してから再読したい。
今後も京都讃美ではない面白い本を読んでいきたい。
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Posted by ブクログ
ずーっと気になることだが、人目を憚るあまりロクに調べることもできず、長らく謎であった褌の歴史。
褌についてこれほど真面目に書かれた本は、おそらくほかにはない。著者だってそう言っているのだ、だからこそ私のように心の中で悶々としている人には手に取ってほしい。
中身にはこの装束(?)にかかわる様々な写真や図絵が使われ、文章で追うだけでは足りない部分までカバーできるはずだ。そして、それがまだ当たり前だった時代の人々の、実に堂々たるその姿を見ることができるだろう。
褌ときいて真っ先に思い出すのは、会ったことのない私の曽祖父である。「あの人はいつも褌だったな」とその子や孫の口から真っ先に語られるほど印 -
タイトルの時点で「勝ち!」
2021年2月読了。
これはもう、このタイトルを付けた時点で勝ちですよww、京都好きの者にとっては。
京都の「いけず」は有名ですが、ここまで内幕を暴露(?)した本は少ないのではないですかね。
「洛中か洛外か」による差別の話等は、流石地元民ならではのお話で、あの〇沢先生までそんな「いけず」を言っていたとは…ww。
決して糾弾している訳ではなく、かといって過剰に褒めている訳でもなく、このバランス感で書かれた「京都本」は、本当に希少価値が有るものだと思います。
万人が、笑いながら京都の細かい部分について学ぶことの出来る良書だと思います。実際ヒットしましたもんね、この本は。
お -
Posted by ブクログ
産経新聞に連載された「井上章一の大阪まみれ」を改題。
東京から見ると、大阪は、吉本興業に代表されるようなお笑い芸人のような人ばかりいる街とか、エロい街とか、食い倒れと称して、たこ焼きやホルモン焼きのようなB級グルメばかりだと思われている等々、大阪に対する中央の偏見に対して、京都生まれの著者が、大阪人に代わって、その反論を試みながら、一つの文化論にまとめ上げている。
<目次>
第1章 大阪人はおもしろい?
第2章 阪神ファンがふえた訳
第3章 エロい街だとはやされて
第4章 美しい人は阪急神戸線の沿線に
第5章 音楽の都
第6章 「食いだおれ」と言われても
第7章 アメリカの影
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Posted by ブクログ
美しい国、って最近聞かなくなったね。
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建築家・安藤忠雄の仕事に「住吉の長屋」というものがある。17坪の敷地に建つ、雨の日にはリビングからダイニングへは傘が必要、ということでも知られている。
本書はこれをとりあげて、ヨーロッパではとうとう成立しなかったブルジョワ革命がみのったのだ、と揶揄している。
日本の良さは、和をもって貴し、ということになっているが、じつのところどうだ。そんな街並みは日本中探してもほんの少ししか無い。あったとしても法的な制約からで、建主の権利・主張によって成立しているわけではない。
町人が町人という身分から解き放たれて、好き勝手なものを建てて良い、とい -
Posted by ブクログ
タイトルの「大阪的」とは何だろうか?笑い,ボケとツッコミ,夫婦善哉,通天閣,阪神タイガース,ナニワ金融道etc.――そうした我々の「常識」を覆し,戦後復興期あたりまで存在していた本来の「大阪的」なものを探求する図書。それは,大阪自体が持っていたポテンシャルの過小評価に対する再検討でもあり,大阪にあった「山の手」文化に対する再評価でもある。
しばしば東京人は東京の対極的位置づけとして「大阪」を例示する。しかし,本当に「大阪的」なものは,実のところ,「東京っぽさ」の裏返しである面を持つ。第4章「美しい人は阪急神戸線の沿線に」を読めば,いわゆる「神戸的」なものこそが,本来の「大阪的」なものであり