井上章一のレビュー一覧
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帯に「ベストセラー『京都ぎらい』の著者待望の新刊!」「井上センセ、またも京都人を敵にまわす」とあるので、京都の女性に対する世評への揶揄とか知られざる事実の本だと思うだろう。実際、第1章の前半はそういう話でないこともない。しかし、本書は著者独特の美人論の本である。そのことは、まえがきにも書かれており、著者自ら「『京女の嘘』という表題には、やや無理もあるが」と認めている。客観的に見ると「やや無理もある」どころではない。京都に本部を置くPHPが「京都しあわせ倶楽部」というシリーズ本を設けた中の一冊ということで、無理を承知でタイトルをつけ、このシリーズに入れたのではないかと思うが、いささか誠実さを欠く
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Posted by ブクログ
ネタバレ井上氏は建築史の専門家だそうですが、後書きでこれからは風俗史の専門家と名乗ろうかとのこと。確かに日本の女性がパンツをはく歴史の研究はそれに値する内容でしょう。良くもここまで調べたと思う執念で過去の新聞・雑誌・小説から探査しています。1933年の白木屋の火災まではノンズロで全て丸見えだったが、白木屋火災をきっかけとして日本女性がズロースを穿くようになったという言い伝えは一部が事実だとしても、恥ずかしくて飛び降りることが出来ずに死亡したのは俗説であると否定します。当時の風習から丸見えになることは度々あり、死ぬ危険を前にして決して恥ずかしがっていたわけではないのだそうです。それを繊維会社が宣伝目的で
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Posted by ブクログ
644頁もあって、読み応え十分だ。作り替えることで保ってきた神宮という建築の原始の姿は分からない。本書はこれを探る長い旅だ。
著者は「式年造替が日本人の民族精神にねづいているとは、思えない」という。「平安期あたりまでは、たいていの神社が、式年造替をやっていた」。したがって、「式年造替は、日本人がすててきた伝統にほかならない」。最初からパンチが飛んできた。
話は京都の北郊の雲ヶ畑から始まる。屋根の上に千木(ちぎ)をのせた家が『近世畸人伝』(伴嵩蹊)の並河天民を論じた一文にあり、神社の成り立ちへの考察が示される。
詳しくは読んでもらうこととして、18世紀に千木や勝男木など神社建築で用いられるもの