井上章一のレビュー一覧

  • 日本に古代はあったのか

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    歴史学者ではなく、建築が専門である著者の初歩的な疑問、つまり、外国人から聞かれた法隆寺の建設時の時代区分から出発し、その疑問点を書き綴っていくのだが、関西人であり、京都人である著者のユーモアあふれる書きぶりがとっても面白かった。内容は以下のとおり。
    1宮崎市定にさそわれて
    2内藤湖南から脈々と
    3ソビエトの日本史とマルクス主義
    4弥生に神殿はあったのか
    5キリスト教と、仏教
    6応仁の乱
    7鎌倉時代はほんとうに鎌倉の時代だったのか
    8江戸から明治の頼朝像
    9ゲルマニアになぞらえて
    10平泉澄と石母正
    11東と西の歴史学
    12京都からの中世史
    13ライシャワーの封建制
    14司馬遼太郎よ、お前もか

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    2017年03月01日
  • パンツが見える。 羞恥心の現代史

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    昔、上野千鶴子さんの「スカートの下の劇場」という本を読んだ記憶はあるのですが、内容はすっかり忘れていますw。1955年生まれの井上章一さんの「パンツが見える。」(羞恥心の現代史)、2002.5発行です。パンツが見えて喜ぶのは男性で、見られて恥じらうのは女性。でも50年ほど昔は、パンツはそれほど普及してなくて、チラリと見えるのはパンツではなかったと。百貨店の火災事故から、便所に男女の区別のない時代、女性の立ちション、7年目の浮気、見せる下着・・・、パンツをめぐる感性の興亡、著者10年の思索の結実だそうです!

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    2016年02月10日
  • 増補新版 霊柩車の誕生

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    面白い! 近代化に伴って衰弱していった葬列の聖性。近代的合理主義の象徴である霊柩車の周りには時代に取り残されて崩壊して行った葬具の破片が吸い寄せられて酔狂でエキゾチックな宮型霊柩車が誕生した。森鴎外「ヴィタ・セクスアリス」を彷彿とするお葬式の近代。名著。

    望むなら霊柩車の現代を読んでみたい。昭和天皇の葬列が宮型でもなければ当時珍しい黒塗りの洋型霊柩車であった点。まもなく宮型は忌避されて現在は洋型が主流の昨今、家族葬の隆盛も含めて著者の考察を読んでみたい。

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    2015年09月10日
  • 増補新版 霊柩車の誕生

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    そう言えば最近、街中で見かけないなと軽い気持ちで手にとったのだが、読めば読むほど奥が深い。

    本書『霊柩車の誕生』は1984年に刊行。その後1990年の新版を経て、この度三回目の増補新板となった、知る人ぞ知る名著である。路上から消えゆく今を起点に変遷を辿ると、その誕生をもって”終わりの始まり”を意味していたということがよく分かる。

    霊柩車とは、文字通り遺体をおさめた霊柩を運搬する自動車のことを指す。多くの人がイメージされる霊柩車は、荷台部分が伝統的な和風建築のスタイルで形づくられ、屋根には唐破風がかけられているものであるだろう。これは通常、宮型霊柩車と呼ばれるものである。

    上半身が神社仏閣

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    2013年02月03日
  • パンツが見える。 羞恥心の現代史

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    とにかく奥が深い。
    どんな分野であれ、論文や本を書きたいと思っている人は絶対に読むべき本。
    この姿勢は必ず参考になる。
    なぜ、パンチラが恥ずかしくなったかという歴史なんだけど、学問の奥深さを感じさせてくれる一冊。
    ★10個でも足りないくらい。

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    2011年12月29日
  • 日本に古代はあったのか

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    なかった、というのが筆者の結論。京大アカデミズムの筆者による、東大アカデミズムに対するの怨嗟に満ちていてちょっとうっとおしいが、立論自体はかなり納得させられるものだと思う。

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    2010年11月08日
  • パンツが見える。 羞恥心の現代史

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    1910年代〜現代までの、女性の下着の文化風俗史。「時代が下るにつれ、女性は大胆で開放的、性的に放埒になった」という、あの俗耳になじんだ女性史を覆す洞見に満ちている。

    1950年代以降、女性用下着はズロース(股引、猿股のような下着。詳しくはググってくれ)に代わって、現在のようなパンティが普及した。が、日本では、このカラー展開したオシャレなパンティが娼婦用、浮気用と見なされる度合いが高かったという。下着に「娼婦用」「浮気用」いった自閉的な幻想を抱くようになった女性が、それを見えるてしまうこと(パンチラ)を恥ずかしがる心性が、そこで初めて生まれた。とりもなおさず、このとき初めて、男性にもパンチラ

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    2010年11月08日
  • パンツが見える。 羞恥心の現代史

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    「パンツが見えるとなぜそんなにエッチな気分になるのか」という謎に挑んだ意欲作。白木屋事件の真相も解明されます。

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    2009年10月07日
  • 京都ぎらい

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    井上さん、時々テレビで見掛けるけどほぼタメやったんや。そうか嵯峨出身で差別されたんね。すっごく分かるわ。まあ、45年以上になるけど京都府民であっても京都市民にもなったことない私なんかは、もっと相手にされんけどね。すごく納得できる内容でした。京都には観光でしか来ない人には分からんやろうけどね

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    2025年02月24日
  • 京都ぎらい

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    京都嵯峨の子として育ち、洛中の人々から軽く差別された著者が京都人をなじりまくる。東山が西に見える山科出身者を振る女性の話、キャバクラで遊ぶ坊さんの話は笑える。天龍寺を後醍醐天皇鎮魂の寺とする理論は興味深い。軽く読めるエッセイとしてお勧め

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    2025年02月02日
  • 京都ぎらい

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    正直に京都のあるあるが書いてあって、滋賀で暮らしていたこともあり、興味深く読めた。
    なかなか、ここまでざっくばらんに書いてあるものも珍しいと思う。

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    2024年12月07日
  • 明智光秀と細川ガラシャ ──戦国を生きた父娘の虚像と実像

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    細川ガラシャを中心に父・明智光秀を含めた論考4本からなる一冊。史料上に見える実像、ヨーロッパで展開・受容された人物像と近代日本への影響など興味深い内容だった。

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    2024年06月21日
  • 海の向こうでニッポンは

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    <目次>
    第1章  ベトナムから盆栽へ
    第2章  ニッポンからサツマまで
    第3章  音楽七変化
    第4章  悪役レスラーニッポン
    第5章  宗教は世界をめぐる
    第6章  建築がつなぐ世界とニッポン
    第7章  幻想と欲望の日本史
    第8章  ことばとアニメの底力
    第9章  酒と食は海を越え

    <内容>
    『京都嫌い』の井上先生なので、ちょっと心配したが、この人は国際日本文化研究センターの所長だったのだ。世界を駆け巡るのは当たり前。そこでいろんな日本を見てくる、話してくるのは当たり前。物知りだし、知らない話がぞろぞろ出てくる(多分裏をとらないといけないけど…)。

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    2023年07月04日
  • パンツが見える。 羞恥心の現代史

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    長らく和装の生活を送ってきた女性たち。
    急に洋装が取り入れられてもパンツがはかれるようになるまでは、
    時間がかかった。「パンツ」普及に至るまでの時代の流れと、
    感性の変化を多くの資料から考察し、語る。
    1 白木屋ズロース伝説は、こうしてつくられた
    2 パンツをはかなかったころの女たち
    3 ズロースがきらわれたのは、どうしてか
    4 「みだら」な女も、はいていた
    5 パンチラをよろこぶ感情が、めばえるまで
    6 ズロースからパンティへ
    7 くろうと筋からの風俗史
    8 一九五〇年代パンチラ革命説
    主要参考文献有り。

    白木屋ズロース伝説の真相の検証から始まる女性の「パンツ」考。
    洋装が取り入れられても

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    2022年11月23日
  • ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史

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    1878年に中央官庁の官員に洋服着用の指示が出て洋装が一般化し始めたが、女性と男性で取り込み方が非常に異なっていた事実を克明に描写しており、とても面白かった.褌の種類として畚(もっこ)、六尺、越中をあげているが、畚は今のビキニショーツそのものだ.1960年代に銭湯で褌姿を見た記憶があるが、今通ってジムでも褌の御仁が数人いる.水泳着として褌が20世紀中葉まで存在していたとの記述があったが、あまり記憶がない.褌姿が一般的でなくなったことは残念なことだが、このような論考が出ることで満足するべきかなと考えた.

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    2022年10月09日
  • ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史

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    和装と洋装の狭間で、褌は如何様に扱われたのか?
    明治期の近代化から現代へ、男性の下着風俗について、語る。
    1 女はあとまわし 2 男が洋服に着がえる時 3 たたかう洋服
    4 およぐ時は、またべつで 5 ジェンダーギャップの別局面
    6 ベルリンに褌はかがいて 7 華族の下半身
    8 女人退散のいでたちに 9 褌の黄昏 10 褌かサルマタか
    11 河をこえて 12 アメリカの影 13 戦争美術の可能性
    14 上着と下着 15 下着の転換期 16 見上げれば、屋根屋の褌
    17 神事では 18 国粋か造反か 19 女にも褌を
    20 海のむこうでは
    文明開化の始まりから、男性の洋装化は浸透していったが、

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    2022年10月02日
  • イケズな東京 150年の良い遺産、ダメな遺産

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    建築家・京都市美術館館長の青木淳と国際日本文化研究センター所長の井上章一による東京に対する思い。





    コロナウイルスまん延により、オフィスワークの中で、リモートワークが推奨されるようになった。中には都内のオフィス契約を解約して地方に移転する企業も出てきた。




    リモートで仕事できるなら都内にこだわる必要はないし、社員も自分の好きなところで仕事できるからいいだろう。





    しかし、井上は「東京ばなれ」を疑っている。都内にオフィスを構えることのできる会社だと見栄をはれるので、そう簡単になくならないと指摘している。





    明治維新によって新たな建物が作られたことに注目している。それ

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    2022年08月20日
  • 歴史のミカタ

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    お二方とも大好きな先生です。
    そんな先生方に聞いてみたい。
    再来年の大河、紫式部が主人公と決まりましたよ。

    『源氏物語』好きで、映像化されたものをイロイロと観てきましたが、どれもイマイチ!
    果たして、再来年どうなるのか?

    令和になって、愛人がいる方々が主人公になっていて、より挑戦的になっていますね。NHKさん頑張ってますね。楽しみにしています。

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    2022年06月09日
  • 京都ぎらい

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    ネタとして読むには丁度いい読みやすさと面白さ。
    著者のなかなかひねくれてる感じが親近感持てる。

    最後、「上七軒」のルビ問題の結果を読者に確認させるラストも面白い。引き分けのような結果に笑った。

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    2022年04月24日
  • 世界史のミカタ

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    シリーズの「歴史のミカタ」に続いて読んでみました。世界史のミカタと言ってもユーラシア史で、両端の日本、ヨーロッパと、真ん中の遊牧民族の対比を軸に思索を進めます。
    その施策の幅が読んでいて楽しいのですが、最初に軸を決めてなかったらもっと幅が広がったのではないかとも思うのです(発散しすぎて何もまとまらない可能性もありますけど)

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    2022年02月24日