井上章一のレビュー一覧

  • 日本の醜さについて 都市とエゴイズム

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    日本は戦後、利便性・個人の願望ばかりを追い求めて建築の美、都市景観を壊してきたという筆者の意見。
    都内在住の人間として、街並みの汚さは感じるところがあるので納得。
    パリを訪れた時も、繁華街であっても昔ながらの美しい街並みに驚いた。
    日本はごちゃごちゃとして一つ一つの看板、広告も視覚的にうるさい。

    都内では細長いペンシルハウス隣の住宅とほとんど隙間なく立ち並び、不動産の高騰から住宅の狭小化が止まらない。そんななかでも豊かな生活を求めて日本人は設計事務所に依頼をする。
    一般人が小さな住宅に対して建築家に設計を求めることは世界では珍しいと書かれていた。
    おそらく世界から見たら、庶民が狭小住宅に建築

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    2023年07月23日
  • 京都ぎらい

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    私は子供の頃大阪に住んでいたのですが、しち、なのか、ひち、なのか悩んでました。神奈川県に引っ越しして、しちが正しいと思った時に「じゃあ、ずっと間違えていたのか?でも、友達も先生も、ひち、って言っていたような気がする。」って思いました。この本を読んで分かりました。方言だったのですね。でも七条の読み方は地名なんだから、ひちじょう、で良いような気がします。先日、秦野市の名古木と言う地名「ながぬき」と読むと知り、ますます「ひちじょう」で良いと思えてきました。

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    2023年07月12日
  • 日本史のミカタ

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    読まずに見て、気になったところだけを読みました。全部読むには自分の歴史観が追いついていないので。

    面白いと思ったのは、テレビドラマで武士が方言を喋らせるのはいかがか?というところ。方言を使うのは大概が荒くれものの武士で、その方言を使うことはその地方は荒くれものがいるというイメージにならないか、という視点は自分にはなかった。住んでいる場所が違うのだなと説明なしに理解できるから方言を使うのは手法としてありだと思ってたけど、たしかにその方言にマイナスイメージを植えつけてしまうか。

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    2023年05月23日
  • 世界史のミカタ

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    世界史の「ミカタ」という表現がタイトルだけじゃなくて「ここが肝!」的なところに頻出するのだが、某関西の情報番組を連想してしまい、どうにも気になった。
    定住する統治文化を持たないユーラシア中央の遊牧民の活動が東西の歴史に大きく影響したのはその通りだろう。ただアメリカ大陸やアフリカの話はほとんど出てこないし、語りはじめもアレクサンダー大王からで、かなりざっくりした内用になっています。

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    2023年04月05日
  • 歴史のミカタ

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    歴史についての対談だが、いまいち噛み合っていない感じ。それぞれは面白い著作があるのだが、関心の持ち方が異なるのか、うまく話が乗れていない。正史以外の見方をしようと言うのはいいが、それは史料に基づかなければ小説ではないか?イフを考えるのもいいが、正史があった上でのことだと思う。職場柄やむを得ないのだろうが、京都ネタが多い。
    雑知識としては面白いのだが、それにとどまると感じた。

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    2023年04月04日
  • 歴史のミカタ

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    はじめに ではこんな文章がある。教科書で学ぶ歴史は「歴史のココを見ろ」と指定されたミカタ。ちょっと大人になって司馬遼太郎などの歴史小説を読むのは「団体バスツアー」の歴史のミカタ。歴史の本当のおもしろさはある程度歴史知識ができた時点で、大人の人生経験をもとに、自分のみたい歴史の部分を「自分のミカタ」で見るところにある。
    井上章一と磯田道史の対談の本だったが、楽しく読めた。
    日本は中継ぎとはいえ、女帝が多い(8人10代)というのは意外だった。
    本当にさまざまな観点から歴史は捉えられるんだなと、いうのが感想。ただ、やっぱり対談形式は内容が薄い気がしてしまう。

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    2023年02月23日
  • パンツが見える。 羞恥心の現代史

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    ネタバレ

    小説や新聞,漫画などに書かれているパンツがらみの文を丁寧に拾って,ノーパンからズロース,パンツ,そしてパンチラへと変遷する女性,男性の意識を論証していて,もうパンツは結構というぐらい読み応えあり.

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    2023年01月07日
  • 歴史のミカタ

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    歴史観の違う2人の歴史学者が、歴史の見方について話し合った対談集。

    歴史家としてスタンスは異なっても、相手の歴史観を否定するのではなく尊重し話し合うことで、より歴史が明らかになっていく可能性がある。
    ミカタシリーズが何冊かあるようなので、続けて読んでみたい。

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    2022年12月31日
  • 京都ぎらい 官能篇

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    ベストセラーの前著に比べると物足りなさを感じる。特に後半の古典文学の解釈と「京都ぎらい」のタイトルに整合性がない。古典からの引用や実証から京都の過去の風景を偲ぶ作業は面白く読めるが、それで「嫌い」になることとは別の価値観、世界観と言えるだろう。実際筆者も「嫌い」と言う感情は文中ほぼ表出してこない。申し訳ないが「古典から読み解く宮中の性生活」とでもすべき内容だった。

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    2022年12月12日
  • ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史

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    下着や水着は女性が先に西洋化したが和服は男性が先に西洋化した。下着は長らく褌だったっていう事を写真や絵画を元に読み解いていったはなし。

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    2022年10月14日
  • 世界史のミカタ

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     西洋を舞台にする小説を著する佐藤賢一と、国際日本文化研究センター教授の井上章一による対談方式の本。
     まだまだ個人的には世界史的視点は、乏しいところであるが、二人の軽妙な語り口に、面白味と首肯けるところが多々あった。
     話は神話から現代までと守備範囲は広く、特に第二章の、遊牧民という世界史に与えた影響、インパクトについては、今日の研究で少しずつ浮き出されつつあるも、一般的にはまだまだ西洋史と東洋史が主流なため、そういった異なった俯瞰はとても興味深かった。
     果たして現代について、過去から学んでどのようにそれを活かせられるのか。結局は過去を学ぶことでしかそこに解決策を見出せないのか。それは一朝

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    2022年09月19日
  • ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史

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    男性は、表は洋装になったが、下着は長く和装のままだった。
    女性の方が外は和装のまま、下着は洋装となる。
    水泳着も、女性の方が早く洋装になった。
    褌は、寧ろ、思想の表れであり「公的」なものですらあったようだ。
    そんな話。

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    2022年07月31日
  • 日本の醜さについて 都市とエゴイズム

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    海外、特にイタリアと日本の都市の建築物を比較して日本人の景観に関する価値観について批判する本。エッセイ風で手軽に読める。「海外では」という論調になりがちなのと、読む人によっては不快な思いをするかも、とあらかじめ断わりながら書かれている。

    言われてみれば、日本の建築は海外と比べて「昔からの建築様式」を捨て去り、逆に昔ながらの建物にはイベント性も伴うような懐かしさを感じてしまう。著者は日本の建築行政は安全性には事細かだが景観や文化の継承に関しては無頓着だと批判している。

    お堅い話しばかりではなく、薬局の店頭のマスコットキャラ、日本独自のものらしいKFCのサンダースおじさん、ラブホテルの建築様式

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    2022年03月20日
  • 京都ぎらい

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    ネタバレ

    あくまでネタとしてではあるが、京都の人は気位が高く、底意地が悪くて、排他的…というイメージがある。テレビでも他府県の人、特に大阪、滋賀あたりをバカにする演出を映像で良く見るし、その中では他府県の人側も「せやから京都は…」と対立構造を作ってネタにする。

    この本も、その手のよくある「だから京都は…」的ネタ本だが、なんで学術系の親書で出したのだろう?これってミーツ当たりのエッセイで読み、量がまとまったら、しりあがり寿あたりのイラスト満載で薄手の単行本で出す類じゃないのかな?

    本の体裁があるんで、文中によく出てくる「私の思い込みだが」的な記述に、そこを掘り下げてから書けよ!と思ってしまう。京都文化

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    2021年12月26日
  • 京都ぎらい

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     洛中洛外差別は現在も本当にあります。と、声を大にして言いたい。京都府民全員の共通認識ではないだろうけれど。私が出会った差別は前職のお局から受け、彼女は右京区出身だった。彼女に限らず選民意識が強い人が多く、住んでいる地域は言うに及ばず血液型から容姿まで(太ってるか痩せてるか)何かにつけて優劣つけたがる人が集まる会社だった。彼らも昔差別に遭遇し、その優越感や味わった悔しい気持ちから、また差別が連鎖していくシステムに組み込まれたように思う。まぁ、私は京都市にも属さない地域在住だが。
     ゆえに差別に遭う可能性を少しでも減らすため、洛中の家族経営の中小企業や個人商店には二度と就職しないと決めている。も

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    2021年11月19日
  • 京都、パリ――この美しくもイケズな街

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    経済的な力が落ちてくると観光に走り始めるという指摘が面白かった。
    コロナ後にこれがどう変化するか、また語っていただきたい。

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    2021年09月26日
  • 京都ぎらい

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    著者は京都の洛外出身。
    「京都」がきらいなのではなく、「洛中」がきらいなんだなぁ。
    県民性を取り扱ったテレビのバラエティ番組でも、この「京都内格差」みたいなのは話題になっていたのでなんとなく知ってはいたけれど、そんな差別に関する恨み辛みの本(笑)。
    関係ない人でも、「洛中」が嫌いになること請け合い(?)です。

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    2021年08月01日
  • 京都まみれ

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    京都府や京都市ではなく、「京都」とはいったいどこからどこまでを指すのか、文化庁が京都に移転すること、老舗の子息は京大に進学すると気の毒がられること等。京都にまつわるエッセイ。

    「京都ぎらい」の続編。洛中の人を揶揄する姿勢は変わらない。「京都ぎらい 官能編」よりは面白かった。洛中の北限は、1.姉小路通 2.御池通 3.丸太町 という三つの説が登場するが、旅行者としての実感は3だと思うがどうだろう。

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    2021年05月10日
  • 京都ぎらい

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    京都市ではあるけれども「洛外」の嵯峨に育ち、現在は宇治に暮らしている著者が、「洛中」の人びとの差別意識に対するルサンチマンをみずから笑いながら、京都について語っている本です。

    国立民族学博物館には日本全国の方言で「桃太郎」を語る音声が流される装置があり、「京都府京都市」の音声は西陣出身で民博初代館長の梅棹忠夫本人の声が録音されています。梅棹の評伝などでもこのことは触れられており、京都生まれである梅棹の自意識が指摘されているのですが、著者は「全国の方言がまんべんなく録音されたこの装置に接し、多くの来館者は思うだろう。お国言葉に優劣をつけない、公平かつ民主的なしかけであると。猫をかぶったとしか言

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    2021年05月07日
  • 京都ぎらい 官能篇

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    70年代に京都旅行に来ていた女性がたくさんいたという話から、人気芸姑、数寄屋は妾の家だったとかの雑多な京都+女性論。段々と後半は歴史の話登場。

    大化の改新の詔で、形容端正な女子を朝廷に差し出せと命令したとか、そんな話が多くなる。「京都ぎらい 官能編」というタイトルとはほぼ無関係なのは、景表法違反的けど、まあまあ面白かった。

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    2021年04月12日