五木寛之のレビュー一覧
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副題は「隠された日本」。日本の歴史を語る上でまず表舞台には上がらない人々に焦点をあてるシリーズ。第1巻では海山に生きた漂泊の民と関東地域の被差別階層の人々を取り上げている。
日本人単一民族論について冒頭でイリュージョンと評しているが、私も知識の上ではそれらがファンタジーであると知っている。だが、民族的もしくは民俗的少数派の人々というものについて実感として持ちものはほぼないし、多くの人にとってもそうだと思う。
これは不思議なことであり、私の理解としては不当とか悲劇とかいう以前にもったいないことだと思う。こういう人間の力強さを感じる話は好き。 -
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ネタバレ念仏に求められるものが、地方に流されたことで違ったものになった。
人は生きるためには殺生せずにはいられない悪人であるという前提で、底辺に暮らす人々がその業を背負う仏であるという解釈は、悲惨な境遇の人を、本人の、前世の、先祖のせいにしがちな人民にとって、どこか救いのある考えに思えた。自らを生き仏としたあたり、権力を欲した外道院の限界であるように思う。
念仏は仏にご利益を依頼するものではない。しかし、「世のならい」という法然の教えと、目の前で違うことを人々に納得させるため、親鸞は雨乞いを決意する。一番の動機が「捨身」であることに気づき、念仏にふける親鸞は、これまでとはまた考え方が滲んでいて、や -
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テーマ「若者の狂気」
ビブリオバトルで知った小説。
青年が行き先を決めずに"旅することそのもの"を目的として日本を出る所や、自分も住んでいたことのある北欧に長く滞在するらしいことを知って興味が湧いた。
主人公のジュンはジャズとトランペットをこよなく愛する高校生だが、なじみのバーでバンドを組む仲間からは「音がお坊ちゃんすぎる」と評されてしまう。どうしても本物のジャズが知りたい彼は旅に出て自らを試そうと決意するが、善は急げとばかりにわざわざ大学受験に失敗するところは尊敬する。わざとだとは書いていないがどう考えてもわざとだ。
自分もいい加減無鉄砲だが、そこまでの勇気は出なかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本を何度も何度も読み返していた時期がありました。
余程自分の容姿にコンプレックスを抱いていたのかな。
そして世の中のみんなが美醜についてどう考えているのかとても気になっていた。
このお話の展開は大好き。
整形手術で完璧な容姿を手に入れる主人公が、もともと内面が素晴らしい女性だっていうのが好きだな。
内面の美しさに外側も追いついたってところが面白い。
いくら中身が美しくても見た目が悪かったら見向きもされない世の中なんだっていう現実を見せてくれるお話が面白い。
それでも、色んなエピソードを読んでると見た目だけ良ければいいなんて、やっぱりおかしい考えなんじゃって思ってくる。
最後の最後、ラストの