五木寛之のレビュー一覧
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直木賞の表題作を含めた短編集。
ソ連やロシアを中心とした、戦後に関連した話。
・蒼ざめた馬を見よ
衝撃的な面白さ。というか、凄さ。
新聞社に勤める鷹野は、ロシア批判の長編を日本に持ち込み出版しようとする。
100ページ弱の中に、緊張感あり、どんでん返しあり、多数の伏線回収あり、そしてさらに。
圧巻でした。
・赤い広場の女
戦争をした国々。平和になってからそれをどうとらえるか。過去は過去として忘れるか。抱えていくか。
戦後世代だからこその観点。感じ入る。
・バルカンの星の下に
パリ赴任5年を迎え、帰国前にとブルガリアのブカレストに旅行に来た商社マンが、とある日本人夫婦に出会う。
これは純文学ですね。ラストの叙情が好き。
・夜の斧
エラブカから何を持って帰ったのか。
満州でソ連軍の捕虜になった慎吾。帰国して大学助教授となり、家庭円満。そこにかかってきた電話。
緊張感あり、ヒリヒリする。
・天使の墓場
山岳部の部長を務める高校教師が、3年生と卒業登山に冬山へ。そこで飛行機の墜落を目にする。悪天候にみまわれ、残骸に避難。その飛行機とは…。
そんな展開になるの?と驚きつつ、ラストはぐっとくる。 -
Posted by ブクログ
高校時代から20代前半の頃、五木寛之氏の本に夢中になった。「戒厳令の夜」「さらばモスクワ愚連隊」など衝撃的読書体験だった。久しぶりに読む氏の本は随分感じが違ったけれど、今の時代を鋭く描いていた。
今の時代は情とかウェットなものが嫌われて他人に干渉しないドライなものになってしまった。今の日本の交通事故死亡者は1万3千人、自殺者は2万3千人(自殺未遂を含めると10万人)自殺は死因の7位。8位の肝臓疾患よりも多い人が自ら命を絶っている。氏が言うには、日本の人々は心に内戦を抱えている。生きていることそのものが地獄であり、自分の命も人の命も軽んじて奪ってしまう。もっと人の心に情を育んでいかないといけないのではないかと。こうもいっていた。人はみんな平等に死ぬ運命にあるのだから、途中で絶ってはいけない。生きているだけで価値があり、すごく頑張っている尊い存在だと。
本当にそうだと思った。 -
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ネタバレ「人間はただ生きているというだけですごいのだ」という言葉は、戦後の混乱の時代を生き抜いてきた著者だからこそ実感を持って語れる言葉だと思う。私のようにのほほんと生きている人間にはなかなかそのように考られない。
一番心惹かれたのは「私たちは死んで地獄へ堕ちるのではない。人はすべて地獄に生まれてくるのである」という言葉。これは究極のプラス思考ではないだろうか。自分がいま置かれたところが地獄だと考えれば、あとは上を目指すだけなのだから。
これに関連して、「極楽はあの世にあるのでもなく、天国や西方浄土にあるのでもない。この世の地獄のただなかにこそあるのだ。極楽とは地獄というこの世の闇のなかにキラキラと光りながら漂う小さな泡のようなものなのかもしれない。人が死んだのちに往く最後の場所では決してない。 」という言葉もこの世を生きていく希望となり得る。
深い言葉が数多く綴られた素敵なエッセイであった。 -
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ネタバレはい、というわけでね
トレードマークは荷台に描かれた聖徳太子の一万円札!
恐妻家で子だくさん
いつも明るくて、情にもろくて騙されることも多いそんな人
運転技術もたいしたことなくて、腕っぷしもからっきしだし、けっこうなビビり
だけど一番星桃次郎のピンチには必ず駆けつけ、恐怖に震えながらも4トン半の小さなトラックで倍以上あるトラックに立ち向かいます
そうなんよ!わいのヒーローは桃次郎じゃなくて「やもめのジョナサン」やったんよ!
なんでジョナサンはそんなことが出来たんだろう?
それはきっと自分の心の声に常に忠実だったからじゃないか?と思うのです
本当はすぐにでも逃げ出したい状況で、迷わずアクセルを踏み込めるのは、自分の心の中にある大切なものを決して捨てることがなかったから
そんな風に思うのです
だからジョナサンは道を間違えなかったんじゃないか、ヒーロー足り得たんじゃないか
ジョナサンが僕たちに教えてくれるのは「自分の先生は自分」ってことなんじゃないでしょうか
最後ちゃんと『かもめのジョナサン』の感想になってるっていうね(さすが) -
Posted by ブクログ
五木寛之さんの本は初めて
大河の一滴はかなり話題になっていたことは覚えている
ただずっと小説だと思っていた
無知の極み‥
哲学的な書として紹介されているのをキッカケに手にとって見たが、
数ページ目からもうすでに目から鱗?
すべての文章が身体の中にストン!と落ちてきて
じわっ〜と染み込んでいくのがわかった
あーなんで今まで読まなかったかと悔やむ一方で
今だから響いているんだろうか
とも思った
話題になっていた頃に読んでいても
油ぎっていた身体に染みてはいなかったかもしれない
「人が生きるということは苦しみの連続なのだ」
マイナス思考から始まる人生、その中で思いがけず注がれるしあわせ
「早天の慈雨」
世は地獄、その中で一筋の光があればそれが極楽
そして浄土に向かう
死を迎えた時に、周りから拍手されるくらいのそんな死を迎えたいとも‥
「人はみな大河の一滴」
永遠の時間に向かって動いていくリズムの一部
一生という水滴の旅を終えると、やがて海に還る
母なる海に抱かれてすべての水滴と溶け合い、やがて光と熱に包まれて蒸発し、空へ
そして再び地上へ
親鸞の話など今までは聞いていても全く頭に入ってこなかったものがなぜかすぅーっと心に入ってきた
そしてそして人は生きているだけで凄いことだと改めて確認した!