荒俣宏のレビュー一覧

  • 福翁夢中伝 下

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    福翁自傳の補完的パロディ歴史小説。

    下巻は自伝でもほとんど触れられていなかった、小泉信吉など塾運営の後継者たち、柴里との関係、婿養子の桃介のこと、川上音二郎と芸術のこと、独立自尊の背景のことなどが描かれていました。
    塾員としては、著者も塾員なのでもう少し塾よりの話になるかと思いましたが、福沢をめぐる物語としていいバランスと思いました。

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    2024年11月21日
  • 帝都物語 第壱番

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    日本史が好きなので面白かった。
    続きが気になる終わり方。
    地下に都市を作るという提案はなかなか面白い。

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    2024年07月02日
  • 帝都物語 第壱番

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    無条件で楽しめます。無粋な言い方やけど山田風太郎の豪放さと江戸川乱歩の大仰さを持つ設定が現代の作品らしい細やかさで描かれてるという感じかも/帝都改造(霊的改造含む)が計画される/計画にも関わっている軍人、加藤保憲がなんらかの目的のために辰宮由佳理を手中にしようとするのを土御門家の陰陽師らが阻止しようとする(人柱?)/渋沢栄一、織田完之、森鷗外、寺田寅彦、森田正馬ら著名人が絡む。特に幸田露伴大活躍。/ずっと以前数巻読んでたけど途中やめになってたのを今度は新装版で最初から読み直すことにしました。この巻は「神霊篇」と「魔都(バビロン)篇」が一冊に。

    ■帝都についての簡単なメモ

    【牛込の協会】→碑

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    2024年02月04日
  • 別世界通信

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    主に19世紀以降のヨーロッパにおける幻想小説を紹介するとともに、それらの作品を生んだ想像力についての著者自身の考察が展開されているエッセイがまとめられています。なお巻末には、幻想小説のブック・リストがあります。

    本書の「序」において著者は、「月が人びとの想像力を掻きたてなくなってから、もうどれほどの歳月が流れただろう?」と読者に問いかけます。そして、「月を取りもどそうとした文学と科学に関する小さなカタログ」として、本書における幻想文学の紹介が開始されます。

    著者は、幻想文学を立ちあげる想像力の働きを「準世界創造」と呼び、その諸形態について考察をおこないます。かつては、神話や伝説へと結晶化し

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    2023年11月22日
  • サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」

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    ぶっ厚い新書。主に「発明」についてたくさんの事例が書かれている本。夢と現実のジレンマが大きなテーマになっている中で、表紙にもあるリリエンタールの話が特に面白かった。飛行機を、乗り物ではなく人工の翼と捉えて、鳥になる夢を追求する人。印象深かった。

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    2023年05月31日
  • 小説 妖怪大戦争 ガーディアンズ

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    映画・妖怪大戦争ガーディアンズの小説版。企画段階から携わる荒俣宏による。

    日本列島を東と西に分ける境界、フォッサ・マグナ。そこには多くの古代海洋生物の化石が眠る。太古の昔、そこは海だったのだ。
    化石となった生きものたちの怨念が募り、1つの巨大な「妖怪獣」となって「海へ帰らせろ」と進撃を始めた。人間の目には天災にしか見えないが、この異変に気付いたものたちがいた。妖怪たちだ。
    これでは世界が滅んでしまう。妖怪獣と立ち向かうために白羽の矢が立てられたのは、かつて妖怪ハンターとして知られた渡辺綱の子孫、渡辺兄(ケイ)という少年だった。尻込みするケイだが、弟の弟(ダイ)が妖怪たちに連れ去られてしまい、

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    2021年08月31日
  • 妖怪大戦争

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    2005年、公開当時に映画は観賞済みだが、小説版の存在を今更知ったので読むことに。
    荒俣先生の作品を読むのは初めてだったが、内容が子供向けなのに反して使用されてる語彙は難しいめの印象。
    映画で説明されなかった箇所が補完できたのは良かったが、映画と差異のある小説版のみでの要素は好きになれない部分も多かった。
    タダシの両親と白い嘘、戦争でひたすら機怪に潰されまくる妖怪の描写にはモヤモヤが残った。
    ただ妖怪ファンとしては色々な妖怪達が登場するのは胸躍るし、加藤が登場する荒俣先生先生の代表作「帝都物語」を読んでみたくなった。

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    2021年08月26日
  • 江戸川乱歩語辞典:乱歩にまつわる言葉をイラストと豆知識で妖しく読み解く

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    作中の言葉だけでなく、明智を演じた役者さんや関連作品なども含まれるので、乱歩に詳しくなくてもはそれなりに楽しめる。『ドクターGの島』まであったのがツボ。

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    2020年10月13日
  • 帝都物語 第六番

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    百歩譲って彼が生まれ変わり、くらいに思っていたのに、違ったー。
    ひどいや、もう。
    どうやら番外編などもあるようなので、ゆくゆくそちらに賭ける。

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    2019年01月31日
  • 読み忘れ三国志(小学館文庫)

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    第1章 三国志の世界を覗く。
    第2章 義兄弟の契り。
    第3章 英雄たちの名前の秘密。
    第4章 官職名も面白い。
    第5章 母と子の絆。
    第6章 黄巾の賊と道教。
    第7章 逆臣董卓の光と影。
    第8章 中国最大の霊器の謎。
    第9章 進化した驚異の古代武器。
    第10章 三国志の中の女性たち。
    第11章 大宴会と酒席の眺め。
    第12章 曹操という武将の性格。
    第13章 古代中国における女性の運命。
    第14章 呉国の英雄の血筋。
    第15章 三国志の忘れられた強者たち。
    第16章 ヒーロー諸葛孔明登場。
    第17章 摩訶不思議の陣立て「八陣図」。
    第18章 大軍師の打ち明け話 
    第19章 孔明の素晴らしい強敵

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    2018年12月01日
  • 歌舞伎キャラクター事典

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    普通にわかりやすい。(^^;
    さすが荒俣先生だな。
    イラストも効果的で良かったですね。できれば、全項目にいらすとが欲しかったところではありますが。
    登場人物と歴史との関わりについての奇術があることで、よりわかりやすくなっていると思います。
    人名、演目、それぞれの索引がついているのも好印象。

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    2018年11月12日
  • 新帝都物語 維新国生み篇 下

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    角川春樹さんとか妙に生臭い登場人物がいない分だけ、この「維新国生み篇」のほうが読みやすかったですが…。

    加藤さんが本当に単なるヤバイやつになっていました。
    これじゃバイオレンスな熱狂的平将門マニアじゃん!

    読み終わると、結局は土方歳三さんとか会津戦争とか箱館戦争といった歴史が、加藤さんのための舞台としてだけ使われていた感があって、まぁこの回は国生み神話を基軸にしたエンターテイメントだわな…と思いました。

    熱量は感じられるんだけどね。
    加藤さん、もっと奥深い腹黒さを見せて欲しかったなぁ~!

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    2018年05月02日
  • 帝都物語 第六番

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    桜に抱かれて帝都の地下で眠っていた平将門さんの霊は、魔人加藤という血肉を持った人間としてその怨念を現実のものにしていたようですが…。

    第二の大地震で崩壊していく東京のようすとか、水虎や式神との戦闘シーンとか、かなり良かったのに…。

    なんで、作者のお友達である角川春樹さんにあんな大役を与えて、やたらめったら祀り上げているんだか…。

    破滅教の宮司さんが全然知らない人だったら良かったのになって最後まで思う最終巻でした。

    よくよく考えたら、この本も角川文庫から出てるしねぇ…。
    ちょっとそのへんは突き放して読みたかったです。

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    2018年04月17日
  • サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」

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    ドイツ博物館をめぐりながら、目やカメラ・ジオラマ、版画や薬、機械の馬から飛行機、潜水艦や通信革命を語る。アメリカのスミソニアン博物館、伝統がないゆえの新技術、発明家と製品の企業化、そしてロケット、コンピュータへ。

    科学界だけでなく、産業界、世の人々にどう受け止められ迎えられたかも描かれているのがすごい。日本の科学館についても書いてほしいです。

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    2018年04月09日
  • 帝都物語 第四番

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    この巻は第二次世界大戦末期から戦後の帝都(東京)を描いた「大東亜篇」と「不死鳥篇」でした。

    加藤さんがなんで帝都を滅ぼしたいかが、前巻あたりではやっていることのデカさの割には不明確だったんだけど、今回はそれなりに加藤さんご本人が語るシーンがありました。

    単にそういう「血」だからみたい。
    千年以上昔にヤマトに滅ぼされた葛城の「まつろわぬ民」の末裔だからってことみたい。

    葛城でこれなら、出雲はどうなるんだ?!
    出雲の神さまと葛城の神さまは鏡の表と裏ってことを当然の前提にしているのかな?

    嫌いな系統の話じゃないんだけど、やっぱり登場人物の誰にも共感できないんだよね~。
    だから、読んでいて感情

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    2018年04月06日
  • 帝都物語 第参番

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    この巻は軍国時代を描いた「魔王篇」と「戦争(ウオーズ)篇」でした。

    なんだか話が時代の概要とともにどんどん進んで行くから、登場人物の誰にも共感できないです。

    府中の大國魂神社の近くに日本を霊的に保護するための鉄塔が作られて、霊能力者たちが全国一斉に加持祈祷を行ったことから戦時中にアメリカ大統領が亡くなったとか、とにかく霊的パワーはあなどれないってことが描かれていました。

    面白くないわけではないんだけど、のめりこめないんだよな…。
    大味過ぎて心の琴線に触れるものではない感じ。

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    2018年04月01日
  • 帝都物語 第弐番

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    このシリーズはけっこう早く時間が進んで行くね。
    この巻は魔人加藤さんによって関東大震災が起こる「大震災篇」とその後に平将門さんの流れを汲む巫女さんが辰宮家に嫁いで魔人加藤さんのもくろみを阻止しようとするんだけど結局失敗して加藤さんの女になってしまう「龍動篇」が収録されていました。

    いずれにしても、加藤さんはどうしてそこまで「東京」を破壊したいのかな?
    明治維新後の帝都だから?
    千年の都、京都じゃダメなの?!

    しかし、学生時代は体も弱く引っ込み思案だった大蔵官僚である辰宮くんはムッツリ系っぽいな…と思ったいたら、やっぱり実の妹さんの意思を無視して彼女との間にお子ちゃま(雪子ちゃん)を作ってい

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    2018年03月28日
  • 帝都物語 第壱番

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    大正時代に起こった関東大震災は、加藤保憲という元陸軍中尉が日本を破滅させるために術を用いて起こした人災だった。

    ……というお話。

    風水とか陰陽五行とか、オカルティックなネタがてんこ盛りでした。
    これは好きな人には好きかもねぇ。

    江戸(本来は「水戸」)に長年残されていた平将門の怨念だとか、葛城の一言主神をはじめとする「まつろわぬ民」の大和に対する怨嗟だとか、大陸や半島の人が日本人を怨んでいる思いだとか、いろいろ入り混じった過去があるようだけど、とにかく加藤さんは日本を滅ぼしたいらしい。

    亥年が1つのポイントになっていて、関東大震災も神戸の大震災も亥年だったことを考えると、来年亥年の今年に

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    2018年03月25日
  • 戦争と読書 水木しげる出征前手記

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    まとまりがなくて面白い。
    人の日記を覗き見するような楽しさがある。
    手記から滲む当時の時代の雰囲気もよい。
    後に名を上げる作家の無名のころの手記ってのもまた面白い。

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    2017年05月07日
  • 帝都物語 第壱番

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    昔から、いつか読みたいなと思っていたのを大人買い。第壱~六番までということは、昔出ていた10巻強のやつを2冊で1冊にくっつけているのであろう。

    有名な話なので内容は割愛するが、将門の首塚というキーとなる場所が旧大蔵省の中庭に存在していたというところにおそらく着想し、陰陽師、霊的現象および、当時の有名人をキャラクター化した作品。

    映画が公開された当時、中高生もこぞって読んでいたわけで、それくらい軽く読めると見て読み始めたのだが、現代口語と文語的表現が入り交じる、次から次へとキャラクターが出てくるという内容も読む方もしっちゃかめっちゃかの展開で、結構時間がかかる。

    しかしまあ、寺田寅彦などの

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    2016年10月18日