【感想・ネタバレ】小説 妖怪大戦争 ガーディアンズのレビュー

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Posted by ブクログ

映画・妖怪大戦争ガーディアンズの小説版。企画段階から携わる荒俣宏による。

日本列島を東と西に分ける境界、フォッサ・マグナ。そこには多くの古代海洋生物の化石が眠る。太古の昔、そこは海だったのだ。
化石となった生きものたちの怨念が募り、1つの巨大な「妖怪獣」となって「海へ帰らせろ」と進撃を始めた。人間の目には天災にしか見えないが、この異変に気付いたものたちがいた。妖怪たちだ。
これでは世界が滅んでしまう。妖怪獣と立ち向かうために白羽の矢が立てられたのは、かつて妖怪ハンターとして知られた渡辺綱の子孫、渡辺兄(ケイ)という少年だった。尻込みするケイだが、弟の弟(ダイ)が妖怪たちに連れ去られてしまい、助け出そうと戦いに身を投じる。

ぬらりひょん、姑獲鳥、子泣き爺、雪女とおなじみの妖怪たちが出てくるのも楽しいところ。さらに四国の八百八狸、玉藻前、茨木童子とオールスターキャストである。冒頭の縄文土偶となるともはや妖怪の枠も超えている。渡辺綱の子孫が出るとあらば、伝説の宝刀・鬼切丸だって出てくるのである。
物語の方も盛りだくさんで、時空を超える悲恋の物語があれば、兄弟の絆、結ばれる友情、勇気の力、とフルコースである。
細かいことを言えば、あの人とこの人が恋仲になるのは時代的にちょっとずれてないか?とかいろいろあるのだが、小さなことにこだわるより、ここは楽しんでしまったもの勝ちである。

太古から、人は自然の中に人知を超えた存在の気配を感じてきたのだろう。
土偶にしろ、妖怪にしろ、そうした人の思いが形になったものともいえる。
そんな連綿と続く「怪」への人の視線を感じさせる作品でもある。

一方で、角川映画の歴史も背負う作品である。
「妖怪大戦争」は元はと言えば、大映(角川映画の前身)が製作した1968年の映画であり、リメイク版が2005年に作られている。その際、主演した神木隆之介がこのガーディアンズにも出演している。
後半に出てくる武神は、往年のヒット作『大魔神』(こちらも大映)の巨大埴輪を継承した造形である。
いや、何だかお腹いっぱいな感じもするのだが、妖怪特撮映画に対する人々の熱意、なんてものも感じて、何だか妙に感じ入ってしまう、不思議な迫力のある作品である。
機会があれば映画も見てみたい。

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2021年08月31日

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