荒俣宏のレビュー一覧

  • サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」

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    ドイツ博物館とアメリカのスミソニアン協会の属する博物館等に収められた数々の成果を、その発明者と関連する人々の話をまとめたものだが、面白い話しが満載だ.話の進め方が良い.例えば、有名なライト兄弟と熱気球を発明したモンゴルフィエ兄弟を対比して、かれらが持っていた基礎技術とそれに加えてアマチュアリズムを取り入れたところに成功の秘訣がある由.最後に出てくるプリンストン高等研究所とMITの比較も面白い.

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    2015年10月21日
  • 戦争と読書 水木しげる出征前手記

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    戦時、若者の心の拠り所として、読書があった。宮沢賢治やゲーテを持ち歩いていたという。死と隣り合わせの環境下、死ぬ事を強制され、権力に服従せざるを得なかった時代。どのように事態を昇華し、気持ちを落ち着かせたのだろうか。服従を奉仕という思想に置き換えたり、哲学や物語りに夢想したり。水木しげるも、その一人だった。そして戦後、その事を伝える立場を得た。

    読書は救いである。知識を得、自らや事物を再定義し、その設定で妄想に生き、かつ現実に生きる。

    戦時の読書について綴られた貴重な一冊だ。

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    2015年10月08日
  • サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」

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    多くの史実の中で、ひとつだけ民俗学的考察に触れた章があり、非常に考えさせられた。和時計に対するクダリである。日本人は人間の好みを機械に押し付けるが、外国では機械のやり方に人間が合わせる。その背景には、日本人はモノに対する認識として「自然感覚」を持っているのに対し、西洋人はモノに神を宿らせて尊重する、という決定的な違いがある。確かに日本ではハイテク製品を秋葉の露店で売っていたり、高級デザートをコンビニで売っていたり、西洋人からしたら異常な光景に見えるだろう。某TV番組で、外国人が「日本のパンはパンではない」と指摘するコーナーがあった。西洋にとってパンはキリスト(神)から与えられた食事。したがって

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    2015年07月26日
  • 帝都物語 第伍番

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    これだけ読み続けていると、さすがにこの世界観にも馴染んできた。加藤保憲は、敵対する者ともコミュニケーションを密にとる、面白いキャラだなあ。

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    2015年05月10日
  • 江戸の幽明 東京境界めぐり

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    ・荒俣宏「江戸の幽冥ー東京境界めぐり」(朝日新書)は 荒俣流東京案内である。第一部は概説、第二部から東京めぐりである。その最初のあたりにかうある。江戸の境界を示す「朱引のうちとそとに不可思議で曖昧な江戸が成立してしまつたのである。ひよっとすると、江戸は中心部より郊外がおもしろいのかもしれない。」(105~106頁)所謂マージナルであらうか。 幽冥といひ、境界といひ、かういふことなのである。大体、荒俣は『江戸名所図会』を「お伴に持って行くのがよろしい。」(106~107頁)といふ。江戸 時代のガイドブックである。並みの人間の発想ではない。そんなわけで、名所図会に従つての東京めぐりが始まる。

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    2015年02月22日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    テレビなどでお馴染みなので、著者をご存知の方も多いと思います。
    しかし、何者かと問われて、答えられる方がどれだけいるでしょう
    か。肩書きとしては、翻訳家、小説家、収集家、神秘学者、タレン
    トなどと名乗っているようですが、その信じられないほどの博覧強
    記ぶりと面妖な風貌から、しばしば妖怪に喩えられるほど、人間離
    れ・常識離れした人物です。

    本書は、そんな「妖怪人間」を形作ってきた「アラマタ式0点主義
    の勉強法」を紹介するものなのですが、一体、「0点主義の勉強法」
    とは何でしょう?

    「0点主義」を説明するため、著者は、『荘子』の「櫟社の散木」
    のエピソードをひきます。「櫟社の散木」とは、神木と

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    2014年01月06日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    書の構成が簡単でスラスラと読めてしまう一冊。
    学生にはオススメだろう。
    しかし、読んでいる際には「なるほどな!」と思うものの、
    読み終えてみると、そこまで記憶に残っていないレベルだった。

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    2013年07月14日
  • 地球暗黒記 I ナナ・ヌウ

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    ハワイに行きたくなる
    ハワイのことなんて何も知らなかったけど、日本人とはきっても切れないいろんな繋がりがあって、勉強になる
    そして予想外におもしろい

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    2012年11月01日
  • 帝都物語 第弐番

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    序盤は読む手が重かったが中盤からは加速。
    二匹の龍を押さえ込む作戦が練り上がっていくところが見所だった。
    恵子さんはデキる女すぎたのだろうか…

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    2012年10月03日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    中学高校と、勉強は主に受験勉強が中心でした。とにかく、合格するためには暗記一本。先生も、テストの成績の優秀の子がエリートと決めつけていた。思考力や発想力又洞察力も見につくはずがない。0点主義の考え方は、ストライクゾーンから外れたその場所に興味深いものが隠されていることを指摘している。勉強が出来なくとも、卑下せず、興味あることを楽しんで学ぶことでチャンスはいっぱいある。年齢を重ねると、意欲や探究心が薄れて来ますが、この本の影響で頑張りたいと思います。

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    2012年08月21日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    荒俣さんの人生の根本となっているのであろう、「0点主義」という方法論についての本。
    主に勉強法について書かれていました。
    「0点主義」とは、何事においても、遊びを含めた、無駄だと思えるような分野を楽しむ、というようなものだという。
    ただ、これはほとんど感性の問題だと思ったので、いくら著者がこの生き方をすすめても、伝わらない人には伝わらないやろうし、そもそもこのように行動できる人は限られてくると思う。
    自由と、いい意味でのひねくれが合わさったような生き方、個人的にはいいと思いました。

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    2012年08月02日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    ネタバレ

    0点主義とは、人から見れば無意味なことを追いかけて
    勉強することである。
    競争のための勉強ではなく、自分が興味のあることのみを勉強する。
    それが、どこかで何かになる可能性がある。しかしその可能性のために
    勉強するのではない。
    無駄、とは、未知なる可能性がある、ということであり
    無駄なことが集まって何かになる、点が面になることがある。

    自分をペテンにかける。
    欲望を抑えるために、「~をしていたら、こんな(悪い)結果になっただろうから、~をしなくてよかったのだ」と考える。そのうち、この言い訳を考えることが楽しくなる。

    見込みのないこだわりを捨てる。人生でもっとも叶えたいベスト3を諦める。そうす

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    2012年08月01日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    読んでいて、なかなか筆者のようにはいかないよなあって思いながらも「学ぶ」と言う事に対するこちら側の姿勢と言うか心構えと言うか、そんなものを意識できる点でなかなか面白い本でした。あまりに「学び」が方法論や手法と言った道具になりつつあることに対して、本来、学びとは成功したりするためと言うよりは自らの興味を刺激し成長するということなんだろうなあ。やっぱり映画や美術や音楽を鑑賞したりしなくっちゃ、、好きなことをすればそれが勉強になるって「0点」的解釈(^^)

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    2012年07月10日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    簡単に言えば、ニッチでも好きな事をやっていれば、いずれ
    その知識が自分を助けてくれるということを主張している。

    答えのある問題を、マニュアルどおりに解くことに長けている
    高学歴と言われる人間が高く評価されることに疑問を持って
    いたので、著者の主張はよくわかる。

    ただ、57の技術のなかで、同じ主張を繰り返すので若干
    くどく感じる。できれば、タイトルに「技術」という言葉を使っている
    以上、もうすこしその技術の詳細を書いて欲しかった。

    とはいえ、博覧強記の荒俣さんのことがある程度分かるので
    興味を持って最後まで読み通せた。

    ただ、荒俣さんも結構歳なので、結構記憶力が落ちているらしく
    資料を探

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    2012年07月06日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    「0点としか評価のしようがなかった「異質な力」は、あなたの人生のクライマックスにおいてかならずその力を発揮するチャンスがめぐってくる」荒俣さんによる、ひとりロングテールのススメです。

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    2012年06月28日
  • 0点主義 新しい知的生産の技術57

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    0点主義とは、点数という束縛から離れて、さまざまな知的関心を楽しく広げていくことだといえる。そのような「幸福色」をした知識や体験は、かならずいつか、他人をも幸福にするだろう。なぜなら、本人がそれによって幸せに生きてこられたからだ。

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    2012年06月05日
  • 帝都物語 第壱番

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    強烈なアンチヒーローを中心に展開する、帝都を巡る壮大なスケールの陰謀物語。善のヒーローが明確に設定されていないので感情移入がしにくい面はありますが、これを読むだけで東洋魔術方面の知識を相当仕入れられます。興味深いトピックが次から次へと登場するので、探求心をビリビリくすぐられて、気がつけば次々とGoogle先生に質問を・・・ 史実や事実がこれでもかというぐらい詳細に書き連ねられているので、現実にはありえない幻想が薄気味悪いリアリティを帯びてくる。明治の役人、学者、文士たちの会議のシーンから見世物小屋の口上まで、独特の文体の勉強にも役に立つと思います。

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    2012年05月25日
  • 妖怪大戦争

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    ネタバレ

    妖怪が楽しい。荒俣宏が水木しげるのファンだというのが分かる。

    様々な妖怪が出てくる。妖怪は怖いものではなく、何も危害を加えない、争い事ができないお祭り好きらしい。オカシイ妖怪が沢山でてきて今更ながら映画を見たくなった。

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    2012年04月20日
  • 新帝都物語 維新国生み篇 下

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    記紀の国生み神話と、五稜郭で新たな国づくりを目論む幕府軍の残党を重ね合わせるとは、見事な手腕でした。
    これこそ、荒俣氏が描きたかった帝都物語の世界観だった気がします。
    久しぶりに、魔人加藤の魅力を堪能できました。

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    2011年11月10日
  • 新帝都物語 維新国生み篇 下

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    なんか、荒俣 宏の小説も、どんどん派手になっていて好きです。

    相変わらず歴史上の有名人から総袋だたきにあう加藤。実は、かわいそうな人なのではないかと思ったりもします。そして、明治になってすぐに復活。いそがしすぎる人だ。そこが、なんとも滑稽でおもしろかっりする。

    加藤という存在そのものは、たがみ よしひさが、「滅日」でかこうとしていたものと同じなのではないかと感じました。人のフラストレーションがたまると、彼が暴れて倒されることで、それが解消されるみたいな。

    ……やっぱり、かわいそうな存在なのかも。まるで、生け贄になる聖者のようですらある。

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    2010年10月13日