荒俣宏のレビュー一覧
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多くの史実の中で、ひとつだけ民俗学的考察に触れた章があり、非常に考えさせられた。和時計に対するクダリである。日本人は人間の好みを機械に押し付けるが、外国では機械のやり方に人間が合わせる。その背景には、日本人はモノに対する認識として「自然感覚」を持っているのに対し、西洋人はモノに神を宿らせて尊重する、という決定的な違いがある。確かに日本ではハイテク製品を秋葉の露店で売っていたり、高級デザートをコンビニで売っていたり、西洋人からしたら異常な光景に見えるだろう。某TV番組で、外国人が「日本のパンはパンではない」と指摘するコーナーがあった。西洋にとってパンはキリスト(神)から与えられた食事。したがって
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・荒俣宏「江戸の幽冥ー東京境界めぐり」(朝日新書)は 荒俣流東京案内である。第一部は概説、第二部から東京めぐりである。その最初のあたりにかうある。江戸の境界を示す「朱引のうちとそとに不可思議で曖昧な江戸が成立してしまつたのである。ひよっとすると、江戸は中心部より郊外がおもしろいのかもしれない。」(105~106頁)所謂マージナルであらうか。 幽冥といひ、境界といひ、かういふことなのである。大体、荒俣は『江戸名所図会』を「お伴に持って行くのがよろしい。」(106~107頁)といふ。江戸 時代のガイドブックである。並みの人間の発想ではない。そんなわけで、名所図会に従つての東京めぐりが始まる。
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Posted by ブクログ
テレビなどでお馴染みなので、著者をご存知の方も多いと思います。
しかし、何者かと問われて、答えられる方がどれだけいるでしょう
か。肩書きとしては、翻訳家、小説家、収集家、神秘学者、タレン
トなどと名乗っているようですが、その信じられないほどの博覧強
記ぶりと面妖な風貌から、しばしば妖怪に喩えられるほど、人間離
れ・常識離れした人物です。
本書は、そんな「妖怪人間」を形作ってきた「アラマタ式0点主義
の勉強法」を紹介するものなのですが、一体、「0点主義の勉強法」
とは何でしょう?
「0点主義」を説明するため、著者は、『荘子』の「櫟社の散木」
のエピソードをひきます。「櫟社の散木」とは、神木と -
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ネタバレ0点主義とは、人から見れば無意味なことを追いかけて
勉強することである。
競争のための勉強ではなく、自分が興味のあることのみを勉強する。
それが、どこかで何かになる可能性がある。しかしその可能性のために
勉強するのではない。
無駄、とは、未知なる可能性がある、ということであり
無駄なことが集まって何かになる、点が面になることがある。
自分をペテンにかける。
欲望を抑えるために、「~をしていたら、こんな(悪い)結果になっただろうから、~をしなくてよかったのだ」と考える。そのうち、この言い訳を考えることが楽しくなる。
見込みのないこだわりを捨てる。人生でもっとも叶えたいベスト3を諦める。そうす -
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簡単に言えば、ニッチでも好きな事をやっていれば、いずれ
その知識が自分を助けてくれるということを主張している。
答えのある問題を、マニュアルどおりに解くことに長けている
高学歴と言われる人間が高く評価されることに疑問を持って
いたので、著者の主張はよくわかる。
ただ、57の技術のなかで、同じ主張を繰り返すので若干
くどく感じる。できれば、タイトルに「技術」という言葉を使っている
以上、もうすこしその技術の詳細を書いて欲しかった。
とはいえ、博覧強記の荒俣さんのことがある程度分かるので
興味を持って最後まで読み通せた。
ただ、荒俣さんも結構歳なので、結構記憶力が落ちているらしく
資料を探 -
Posted by ブクログ
強烈なアンチヒーローを中心に展開する、帝都を巡る壮大なスケールの陰謀物語。善のヒーローが明確に設定されていないので感情移入がしにくい面はありますが、これを読むだけで東洋魔術方面の知識を相当仕入れられます。興味深いトピックが次から次へと登場するので、探求心をビリビリくすぐられて、気がつけば次々とGoogle先生に質問を・・・ 史実や事実がこれでもかというぐらい詳細に書き連ねられているので、現実にはありえない幻想が薄気味悪いリアリティを帯びてくる。明治の役人、学者、文士たちの会議のシーンから見世物小屋の口上まで、独特の文体の勉強にも役に立つと思います。
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Posted by ブクログ
なんか、荒俣 宏の小説も、どんどん派手になっていて好きです。
相変わらず歴史上の有名人から総袋だたきにあう加藤。実は、かわいそうな人なのではないかと思ったりもします。そして、明治になってすぐに復活。いそがしすぎる人だ。そこが、なんとも滑稽でおもしろかっりする。
加藤という存在そのものは、たがみ よしひさが、「滅日」でかこうとしていたものと同じなのではないかと感じました。人のフラストレーションがたまると、彼が暴れて倒されることで、それが解消されるみたいな。
……やっぱり、かわいそうな存在なのかも。まるで、生け贄になる聖者のようですらある。