荒俣宏のレビュー一覧
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2012年に講談社から出た『0点主義――新しい知的生産の技術57』の改題リノベ版。
13年前の著書を、昔ふうに言えば「ハサミでチョキチョキ、ノリでペタペタ」、そこにアップデートした情報を加え、見違えるものに作り変えてしまった。新たなキャッチフレーズは「AIに勝てる私的生活を見つけるために」。新たな書名『すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる』も至言。
たんなる勉強術や生き方の本ではない。ウンチクやトリビアも満載、読み物としてしても引き込まれる。もちろん、荒俣風のライフスタイルも追体験できる。
全10章、79節。節のタイトルがいい。「バカになればニッチが見える」「目の前に来たバスに飛び乗れ!」「自分をペテンにかける」「ライブ感を持って授業のメモをとる」「賢くなければバカになれない」、etc。若い読者にとっては、よいアドバイスになる。しかし、それだけではない。極めつけはこれ。「定年退職後に「勉強しよう」では遅い」! -
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"知の怪人"アラマタ77歳が辿り着いた境地は、カンフーマスターブルース・リーと同じであることが感慨深い
「Be water, my friend」
"好きなことをして生きていく"とか、"冒険のような人生"なんて、夢見る若者の特権みたいに思っているオトナたちを見て、アラマタさんはきっとニヤニヤしてる
「誰でもいつでもできる簡単なことなのになあ」と呟きながら(^^)
バスに乗ろう!旅に出よう!
It’s deeply moving that the “Monster of Knowledge” Aramata, at 77, has reached the same state of mind as kung fu master Bruce Lee.
“Be water, my friend.”
Watching adults who think that “living by doing what you love” or “a life like an adventure” are privileges reserved only for the young dreamers, Aramata-san must be grinning to himself, murmuring,
“It’s actually something anyone can do, anytime.” :-)
Let’s hop on a bus! Let’s set out on a journey! -
Posted by ブクログ
後に『種の起源』で有名になる22歳のダーウィンによる5年間に渡る調査航海の記録。
以前読んだ、ダーウィンの『ミミズと土』(平凡社ライブラリー)がとても面白かったので、他の本も探していた。『ミミズと土』は晩年の研究だったので、研究室に篭っている印象が強かった(狂気的な執念でミミズを観察するその姿勢が何より面白かったわけだが)が、本書は若かりし頃のダーウィン。その対比が面白く文章も溌剌としていて、ワクワクする探検の気分を味わうことができる。
当時南米は未開の土地で、出会うもの全てに驚きと感動が満ちていて、昨今のグーグルマップを開けばどこに何があるのかわかる状況を照し返すと、不便で危険ではあるが羨ましく感じる。若き研究者ダーウィンの生き物や地質ひとつひとつに細かな目を向ける姿勢は、終生まで変わらなかったのだなと嬉しくなる。
子供の頃に読んだ冒険譚のワクワクを、大人になった今でも同じ気持ちで読めることが何より嬉しかった。専門的な名称も多く、なかなか想像するのが難しい箇所もいくつかあったが(特に地質学周り。ダーウィンも最後のまとめは読み飛ばして良いと書いている)、本書下巻の荒俣宏氏の解説でも「読みやすい文章になるよう手を入れた」とあり、ほとんどは研究者でなくても読める内容になっていて、10代の学生でも十分に楽しむことができると思う。スマホで調べながら読むと勉強にもなる(今もまた良い時代である)。
また、これも荒俣宏氏の手によるものだと思うが、挿絵が豊富に載せられており、そのどれもが当時に近い博物画から選び抜かれていて、本書の雰囲気作りに一役かっている。
荒俣宏氏の解説にあるが、この多くの人にお勧めできる良書が、100年近く完訳がされないままだったことは驚きだが、「ダーウィン著、荒俣宏訳」という贅沢な本が読めるようになったことは幸せというしかない。 -
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徴兵されて戦場に行くとなれば、死というリスクが目の前にはっきりと現れてくる。戦争などなく、病気になる可能性はありながらも、多くの人は70年、80年を超えて長寿を全うできる(現在なら100歳を超えても元気な人は沢山いる)。戦争という暗い空気が世の中を支配している。そこに自分が20歳前後の若者で真っ先に戦争に連れて行かれる可能性がある年頃なら、戦場という大きな恐怖、国のために自らの命を捧げることへの意義、自分がこの世に生まれてきた意味など、凡ゆる考えが頭の中を巡っただろう。「ゲゲゲの鬼太郎」の作者として誰もが知る水木しげる氏も、この時期、その様な苦悩の中で生きていた。同氏の代表作としては、前述の妖怪漫画が有名であるが、本人が徴兵され派遣された南方ラバウルでの戦争体験に基づく戦記物を描いたことでも知られている。寧ろ戦争で片腕を爆撃により失いながらも生き延び、戦場での出来事を生々しく描き切った戦記物「総員玉砕せよ!」の方が有名かもしれない。近年はそんな水木の生涯を扱ったドラマなども話題となった。
同氏は真珠湾攻撃に端を発して、日米が衝突した太平洋戦争に於いて、日本が開戦からの快進撃により支配下に置いていた南太平洋の島々がアメリカの反撃により次々と奪われていく様な状況で召集を受ける。徴兵前の身体検査では、極度の近視により乙種合格ではあったが、これは兵士として戦うには支障のない判定である。よって、水木はやがて訪れる戦地への赴任を控えた状況にあり、その戦地は正に日本軍が玉砕を続けているような、「死」が避けられ難い事を充分に理解していた。
本書はその様な状態にある水木が描いた日記である。日記に描かれているのは死への恐怖と、それを克服するための手段を読書に求め、それでも乗り越えることが難しく苦悩と葛藤を続ける水木の姿を垣間見ることができる。当然、日記は他人に見られる事を意識せずに描いたものだから、書いた瞬間の本人の気持ちを嘘偽りなく吐き出したと言っても良い(中には後から見つかる事を期待して装飾して描かれた日記もあるが)。日記を付ける間隔にもよるが、毎日付ける場合だと(私も学生時代は毎日付けていた)、日々の一寸したことにも感覚が敏感になり、情緒の不安定さを見つけ出す良い記録簿になっていたりする。水木は日々聖書やらゲーテについて書かれた書籍を読みながら、何かがその日にあったのではないかと想像させる様な情緒の不安定さを見せる。ここであくまで現在を生きる我々の平和な感覚とは違う事を認識しなければならない。我々が日々苦しみ悩むのは(不治の病でもない限り)死を伴わないものが大半だ。だが水木の苦悩はその死に対する恐怖と、それを克服したい(克服しなければならない)という感情がベースになっている。それは現在を生きる私には到底辿り着けない思考領域である。水木は前日までの自分を否定し、当日の頭とお尻の文中に於いても考え方の変化や逆戻りを見せるなど、正に日記だからこそただ吐き出されるがままの心の内を見せてくれる。
本書は水木の下で働き水木から戦時中の話を直接聞いた筆者が、この発見された水木の日記に解説を加えるとともに、戦時という特殊な状況における、読書の果たした役割を考察していくものである。前半の水木の日記自体はかなり読み辛く感じるかもしれない。だが最後まで本書を読んだ後に、改めて前頁の日記を読み直す事をお勧めしたい。水木の精神状態になり切って涙するかもしれない、大切な人を思い出すかもしれない。そんな一冊だ。 -
Posted by ブクログ
変なタイトル。
この本は2012年刊行の「0点主義 新しい知的生産の技術57」
に大幅加筆したものということだが、
元のタイトルの方が本の内容にふさわしい。
新タイトルでもいわんとすることはわからないでもないが、、
知的生産の技術だ、これは。
あるいは、今回の帯にある「AIに負けない勉強法」が
言いえて妙かもしれない。
「もてない」を自認する荒俣さん、
独自路線でいろんなことに興味を持たれたようだ。
その姿勢、好きだな。
冒頭の「『好き』とは一線を超えること」
こりゃまたいい。
これはおそらく人間にだけできてAIにはできない分野。
情熱。パッションともいえるかな。
これを失ったらおしまいよ。
生まれた時からスマホがある若い人は、
全ての解がスマホにあると思ったりしやしないか心配だ。
そうならないためにもこの本読んで、
ある意味いい加減に?
惜しげもなくコラムタイトルをテキスト化してくれている。
これを読むだけでも教えがありそう。
詳しくは本を読んで。
魚が好きでニチロに入ったのに、
IBM360導入時に、適性検査でコンピュータ部門の配属になった、
というのも親近感が持てる。
好きなタイプの本、著者。
はじめに AIに勝てる知的生活を見つけるために
好きなら何でも許される……わけではない話
一生とは「自分の物語」をつくっていくこと
「バカ」も叡智の一種、人間にしか発揮できない力
「無知からの脱出」と「未知への進出」
みんなが退屈する数学だって、学べばおもしろい
超むずかしい数学でも、お化け映画と思えば興味津々
ソーカル事件も、ソウカと思える
歴史に見る「叡智」の実例
第1章 脳にかかったクモの巣を払う──0点主義のすすめ
0点には2種類ある
0点法で苦悩を救えることもある
まずアマチュアになれ
見えない利益が存在すること
第2章 日本語という化け物を問い詰める
バカになればニッチが見える
バカになるには、勇気とリスクが必要
混沌を解消する切り札、起源のことば
日本語を疑うことに始まる
勉強法の究極は、偉い師匠に弟子入りすること
師匠発見のあとは、勉強を「工学化」する
日本語の起源にさかのぼる大冒険
第3章 AIに勝てる勉強法
AIも気づかない分野は無限にある
あきらめれば何でも得られる
人生の宝を見つける勉強
福澤先生がススメた真の勉強法
あみだくじと「結合術」
「冷たい勉強法」を超えるWHYの原理
勉強は「修業」であってはいけない
飛車角落ちの勝負をしてみる―「おしっこ」の発想力
じつは受験勉強は1週間で足りる
第4章 偶然がおとずれてくれる勉強法
幸福感をともなう勉強は忘れない
目の前に来たバスに飛び乗れ!
「縁」は異なもの、すごいモノ
バタフライ効果も「縁」のうち
わたしが最初の参加者? 電子マネー実験元年の話
結論は、自分で体験すること、自分で考えること
偶然が起こす愉快な奇跡―セレンディピティ
不人気なものにこそ、宝が眠っている
ABC分析とガマガエルの胃袋
「物語」という名の森羅万象結合力
「バナナ神話」と究極の二択問題
脳に「ONの世界」を持つと、強力なONラインができる
渋滞学が教えてくれるもの
「わからない」ことは埋蔵金になる
第5章 やっぱり情報整理なんていらない?
勉強とは模倣である
一夜漬け勉強はコピーと同じ
情報整理術は不要である
違和感を磨けば機械を超えられる
復習はアウトプットに迫られてからすればいい
アウトプットの考え方で知識のつき方も変わる
アウトプットは恥をかくほど堅固になる
教科書なしでも学校の勉強はできる
メモとノートはまったく違う
メモにからんで、こんなエピソードを思いだす
ライブ感を持って授業のメモを取る
自分の持ち時間に制約をかける
情報を「視覚化する」
第6章 勉強を高尚なものにしない
西洋絵画が日本画を見て「ダイエット」した?
下世話なほうが発想に「握力」がつく
「……といわれている」がおもしろい!
恋心を勉強に感じると奇跡が起きる
人類美術史三万年展の大企画
背伸びをすると世界が広がる
競争不要の「隙間」をたくさん見つけていく
チャンスが来たら流れを止めない
人生、途中下車も悪くない
自分をペテンにかける
第7章 苦手な勉強を楽しくする「魔法の力」
いちばんやりたくない仕事が最高におもしろい勉強になった
大得意なものを見つけ、人生を長期戦で捉える
おもしろくない勉強も必ず楽しくなるコツ
第8章 自己承認欲求に負けない「あきらめる力」
自信のなさは、フロイト理論を脱出することで癒やす
夢分析を「カウンセリング」に変える方法
あきらめることも、勉強においては非常に重要である
共同体感覚とは、はだかの自分を見せる勇気を持つこと
団塊世代の得意技、貧乏自慢にモテない自慢
幸福をゼロ円で買うマンガ家の教え
もっとも叶えたい希い「ベスト3」を、人生から外してみる
自分を低い評価にとどめると、学べるものが多くなる
短所を克服すると、かけ算で伸びる
第9章 最強の「勉強法」は読書、場所はトイレと風呂と喫茶店
あなたは最強の勉強空間を知っているか?
座右の書は死ぬまでに見つかればいい
いい本は第一印象で見抜ける
廃棄処分の本からお宝を見つける
人の話をよく聞き、二つ以上の職を持つ秘術
第10章 「人生丸儲け」と、「間違える権利」
「批判的に本を読む」ことは意義があるか?
天下の名言、「人は間違える権利がある」
「人生丸儲け」の感覚をやしなうコツ
賢くなければバカにはなれない
定年退職後に「勉強しよう」では遅い
あとがきに代えて
だまされることで創造的批判力が身につく -
Posted by ブクログ
荒俣先生の著作で読み通した最初の1冊になりました。
共感の嵐でした。
自分自身、やはり王道よりマイオウンロードの学びを実践したいといつも思っている。
勉強するにあたって一番大切なのはモチベーションであり、いかにしてモチベーションを維持するのか?と考えながら工夫することこそが、勉強における努力だと思う。
また、間違える権利についての話があったが、学校とは取り返しのつく範囲での間違える権利を行使できる場であってほしいとも考えた。
新しい事にチャレンジするための勇気は、基本的に加齢とともに衰えていくものらしいが、いくつになっても新しいことに新鮮さを感じられる若い感性を持ちたいものだと感じた。 -
Posted by ブクログ
上巻は福沢諭吉とそれを取り巻く人々という構図だったが、下巻はやや福沢本人からは離れ、小泉信吉や川上音二郎貞奴夫妻、福澤桃介といった福沢イズムを受け継いだ人達についての話が主だ。各々福沢から学び取ったことが異なり、その比較が面白い。
終章は福沢諭吉の最晩年の大仕事、「修身綱領」の制作記になっている。慶應出身者であれば耳にタコができるほど聞かされるであろう「独立自尊」だが、そこに至るまでの過程が描かれる。無事に制作を終え、20世紀に入り福沢の生涯が閉じるところで物語は終わる。
福沢が内心で何を考えていたのか、真なる部分に触れることは難しい作業だ。しかし作者は膨大な資料に触れ、その復元をできる限り精巧に行なっているように見える。ある程度人となりの輪郭を掴めているのではないだろうか。
ちなみにエピローグにあるエピソードは嘘のような本当の話。 -
Posted by ブクログ
夫に勧められて読んだ。読む前はなんだかよく分からないタイトルに怯んでいたけど、「はじめに」から面白くとても引き込まれた。
これは大雑把に言えば、自分が納得できる人生を送るにはどうしたら良いかということが書いてある本。そのための勉強法が、具体例などとともに説得力を持って載っている。
世間に惑わされず自分の興味をとことん掘り下げ、謙虚に生き、不利と思う状況でもプラスに変換する、人生を長い目で捉えるという様なこと。
個人事業を行う上でもとても参考になることが多かったし、何より読みやすかった。著者のことをあまり知らないので、他の著作も是非読みたい。