あらすじ
咸臨丸での渡米、不偏不党の新聞『時事新報』創刊、そして慶應義塾の創設と教育改革――。開国に伴う体制一新の時代、勝海舟、北里柴三郎、川上音二郎ら傑物との交流と葛藤の中で、国民たちの独立自尊を促し、近代日本の礎を築いた福澤諭吉の知られざる生涯。
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Posted by ブクログ
天皇とは何か、人間にある三毒、智の副作用など、いろいろ学ばせられた。
今の日本人は智はついたが、待てる人がいなくなってきているのだろう。
世直しではなく世直り、欲望と怒りに溺れないように待つことを心がけよう。
Posted by ブクログ
上下2巻。現代に蘇る「福翁自伝」。ポリフォニーという西洋の多重発声法を使い、明治31年の福沢諭吉、咸臨丸の諭吉や現在の筆者(荒俣宏)まで登場し、時空を超えた語りが行われる。福翁自伝より、深く掘り下げた内容が多い。
本作はミステリーマガジンの連載。ハヤカワだからこその奇想天外な手法が楽しい。内容は深いが語り口が爽快であり読みやすい。
Posted by ブクログ
福沢諭吉の回顧録を面白おかしく対談形式にしたいわば「福翁自伝」リメイク版。著者の茶々が小気味よく面白い。
ただ悲しいかな、あまりに丁々発止に走った為にこれが事実なのか創作なのかよくわからない部分がある。一応登場人物は現実に存在する人物のようだが彼らが福沢と本当にそう言う関わり合いをしたのかはよくわからない。まぁそれを狙って創作で書いたのならそれはそれで面白いのだが。
中津藩が昔から割と蘭学に容認的な藩であったこと、日露和親条約の前後に起きた伊豆沖の大地震で江戸幕府とロシアの間に親密な協力関係ができていたことなどは新たな知見だった(おそらくこれは史実)。
あと福翁自伝と江戸末期〜明治初期の(高校教科書以上の)知識の前勉強は必須。少なくとも福翁自伝読んでないとただのドタバタ劇にしか読めない。そう言う意味では読む人を選ぶ本。
下巻にも期待。