あらすじ
咸臨丸による渡米、不偏不党の新聞『時事新報』創刊、そして慶應義塾の創設と教育改革――。開国に伴う体制一新の時代、勝海舟、北里柴三郎、川上音二郎ら傑物との交流と葛藤の中で、国民たちの独立自尊を促し、近代日本の礎を築いた福澤諭吉の生涯。
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Posted by ブクログ
上巻は福沢諭吉とそれを取り巻く人々という構図だったが、下巻はやや福沢本人からは離れ、小泉信吉や川上音二郎貞奴夫妻、福澤桃介といった福沢イズムを受け継いだ人達についての話が主だ。各々福沢から学び取ったことが異なり、その比較が面白い。
終章は福沢諭吉の最晩年の大仕事、「修身綱領」の制作記になっている。慶應出身者であれば耳にタコができるほど聞かされるであろう「独立自尊」だが、そこに至るまでの過程が描かれる。無事に制作を終え、20世紀に入り福沢の生涯が閉じるところで物語は終わる。
福沢が内心で何を考えていたのか、真なる部分に触れることは難しい作業だ。しかし作者は膨大な資料に触れ、その復元をできる限り精巧に行なっているように見える。ある程度人となりの輪郭を掴めているのではないだろうか。
ちなみにエピローグにあるエピソードは嘘のような本当の話。
Posted by ブクログ
福沢諭吉の生涯を、養子福沢桃介や川上音二郎など複眼的な視点から描き直した作品の下巻。
福翁自伝より深い世界が楽しめる。
筆者自身が塾生だったのは知らなかった。