荒俣宏のレビュー一覧
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主に19世紀以降のヨーロッパにおける幻想小説を紹介するとともに、それらの作品を生んだ想像力についての著者自身の考察が展開されているエッセイがまとめられています。なお巻末には、幻想小説のブック・リストがあります。
本書の「序」において著者は、「月が人びとの想像力を掻きたてなくなってから、もうどれほどの歳月が流れただろう?」と読者に問いかけます。そして、「月を取りもどそうとした文学と科学に関する小さなカタログ」として、本書における幻想文学の紹介が開始されます。
著者は、幻想文学を立ちあげる想像力の働きを「準世界創造」と呼び、その諸形態について考察をおこないます。かつては、神話や伝説へと結晶化した、こうした想像力の働きは、科学的な知見をも取り込むことで、いっそう奔放な文学的創造を果たすことになりました。そうした想像力の飛翔は、一見したところ現実からの逃避のように見えるかもしれませんが、むしろそれは著者が「世界意識拡大」と呼んでいるように、現実を延長・拡張する意義をもっていたと論じられます。こうして著者は、幻想小説における異端性をことさらに強調するのではなく、「幻想文学もまた世界創造の秘密を解きあかすヴィジョンとして、自然科学と同じ積極的な「現世」の役割を担ったとしても不思議はない」と主張しています。 -
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映画・妖怪大戦争ガーディアンズの小説版。企画段階から携わる荒俣宏による。
日本列島を東と西に分ける境界、フォッサ・マグナ。そこには多くの古代海洋生物の化石が眠る。太古の昔、そこは海だったのだ。
化石となった生きものたちの怨念が募り、1つの巨大な「妖怪獣」となって「海へ帰らせろ」と進撃を始めた。人間の目には天災にしか見えないが、この異変に気付いたものたちがいた。妖怪たちだ。
これでは世界が滅んでしまう。妖怪獣と立ち向かうために白羽の矢が立てられたのは、かつて妖怪ハンターとして知られた渡辺綱の子孫、渡辺兄(ケイ)という少年だった。尻込みするケイだが、弟の弟(ダイ)が妖怪たちに連れ去られてしまい、助け出そうと戦いに身を投じる。
ぬらりひょん、姑獲鳥、子泣き爺、雪女とおなじみの妖怪たちが出てくるのも楽しいところ。さらに四国の八百八狸、玉藻前、茨木童子とオールスターキャストである。冒頭の縄文土偶となるともはや妖怪の枠も超えている。渡辺綱の子孫が出るとあらば、伝説の宝刀・鬼切丸だって出てくるのである。
物語の方も盛りだくさんで、時空を超える悲恋の物語があれば、兄弟の絆、結ばれる友情、勇気の力、とフルコースである。
細かいことを言えば、あの人とこの人が恋仲になるのは時代的にちょっとずれてないか?とかいろいろあるのだが、小さなことにこだわるより、ここは楽しんでしまったもの勝ちである。
太古から、人は自然の中に人知を超えた存在の気配を感じてきたのだろう。
土偶にしろ、妖怪にしろ、そうした人の思いが形になったものともいえる。
そんな連綿と続く「怪」への人の視線を感じさせる作品でもある。
一方で、角川映画の歴史も背負う作品である。
「妖怪大戦争」は元はと言えば、大映(角川映画の前身)が製作した1968年の映画であり、リメイク版が2005年に作られている。その際、主演した神木隆之介がこのガーディアンズにも出演している。
後半に出てくる武神は、往年のヒット作『大魔神』(こちらも大映)の巨大埴輪を継承した造形である。
いや、何だかお腹いっぱいな感じもするのだが、妖怪特撮映画に対する人々の熱意、なんてものも感じて、何だか妙に感じ入ってしまう、不思議な迫力のある作品である。
機会があれば映画も見てみたい。 -
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第1章 三国志の世界を覗く。
第2章 義兄弟の契り。
第3章 英雄たちの名前の秘密。
第4章 官職名も面白い。
第5章 母と子の絆。
第6章 黄巾の賊と道教。
第7章 逆臣董卓の光と影。
第8章 中国最大の霊器の謎。
第9章 進化した驚異の古代武器。
第10章 三国志の中の女性たち。
第11章 大宴会と酒席の眺め。
第12章 曹操という武将の性格。
第13章 古代中国における女性の運命。
第14章 呉国の英雄の血筋。
第15章 三国志の忘れられた強者たち。
第16章 ヒーロー諸葛孔明登場。
第17章 摩訶不思議の陣立て「八陣図」。
第18章 大軍師の打ち明け話
第19章 孔明の素晴らしい強敵。
第20章 名文句の生まれる現場。
第21章 戦いに作用する運命の力。
第22章 三国志時代の日本。
第23章 新しい世代の死闘。
第24章 三国志をふりかえって。
あとがき。
文庫版あとがき。 -
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ネタバレこの巻は第二次世界大戦末期から戦後の帝都(東京)を描いた「大東亜篇」と「不死鳥篇」でした。
加藤さんがなんで帝都を滅ぼしたいかが、前巻あたりではやっていることのデカさの割には不明確だったんだけど、今回はそれなりに加藤さんご本人が語るシーンがありました。
単にそういう「血」だからみたい。
千年以上昔にヤマトに滅ぼされた葛城の「まつろわぬ民」の末裔だからってことみたい。
葛城でこれなら、出雲はどうなるんだ?!
出雲の神さまと葛城の神さまは鏡の表と裏ってことを当然の前提にしているのかな?
嫌いな系統の話じゃないんだけど、やっぱり登場人物の誰にも共感できないんだよね~。
だから、読んでいて感情がそれほど揺さぶられない。
あの話はどうなったの?
……って感じで、どんどん場面転換しちゃうから、まぁとりあえず先へ進もうって思います。
この巻で辰宮家の由佳理さんも亡くなって、実の兄と妹の恋愛は、地上ではNGだったけど天上でしっかり結ばれましたってことになっていました。
ふぅ~ん。
モテないお兄ちゃんに好かれちゃった依童要素の強い妹(自己の感情よりも他者の強い気に心が引きずられるタイプ)は、これで本当に幸せなのかねぇ…。 -
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ネタバレこのシリーズはけっこう早く時間が進んで行くね。
この巻は魔人加藤さんによって関東大震災が起こる「大震災篇」とその後に平将門さんの流れを汲む巫女さんが辰宮家に嫁いで魔人加藤さんのもくろみを阻止しようとするんだけど結局失敗して加藤さんの女になってしまう「龍動篇」が収録されていました。
いずれにしても、加藤さんはどうしてそこまで「東京」を破壊したいのかな?
明治維新後の帝都だから?
千年の都、京都じゃダメなの?!
しかし、学生時代は体も弱く引っ込み思案だった大蔵官僚である辰宮くんはムッツリ系っぽいな…と思ったいたら、やっぱり実の妹さんの意思を無視して彼女との間にお子ちゃま(雪子ちゃん)を作っていたのか…。
大人しそうな男性って何かしら心の闇があるから、そのあたりは気をつけないといけないね。
加藤さんもジメっとしてるし、サバサバしていないのはよくないねぇ。 -
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大正時代に起こった関東大震災は、加藤保憲という元陸軍中尉が日本を破滅させるために術を用いて起こした人災だった。
……というお話。
風水とか陰陽五行とか、オカルティックなネタがてんこ盛りでした。
これは好きな人には好きかもねぇ。
江戸(本来は「水戸」)に長年残されていた平将門の怨念だとか、葛城の一言主神をはじめとする「まつろわぬ民」の大和に対する怨嗟だとか、大陸や半島の人が日本人を怨んでいる思いだとか、いろいろ入り混じった過去があるようだけど、とにかく加藤さんは日本を滅ぼしたいらしい。
亥年が1つのポイントになっていて、関東大震災も神戸の大震災も亥年だったことを考えると、来年亥年の今年に読んでおくべきと思って手に取りました。
「天災は忘れたころにやってくる」は本人のことばではない説もあるけれど、寺田寅彦さんなど実在の人物もたくさん出てきます。
ちょっと軽い感じもあるけれど、気軽に読めてよさそうな感じ。
世界観に入り込めれば、とても楽しめそうなお話です。 -
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昔から、いつか読みたいなと思っていたのを大人買い。第壱~六番までということは、昔出ていた10巻強のやつを2冊で1冊にくっつけているのであろう。
有名な話なので内容は割愛するが、将門の首塚というキーとなる場所が旧大蔵省の中庭に存在していたというところにおそらく着想し、陰陽師、霊的現象および、当時の有名人をキャラクター化した作品。
映画が公開された当時、中高生もこぞって読んでいたわけで、それくらい軽く読めると見て読み始めたのだが、現代口語と文語的表現が入り交じる、次から次へとキャラクターが出てくるという内容も読む方もしっちゃかめっちゃかの展開で、結構時間がかかる。
しかしまあ、寺田寅彦などの科学者から幸田露伴から、みんなして霊的な知識に長けていたり、短刀を持ってアクションをかましてみたりと、漫画的な表現も多くてなかなか飽きない。
そのへんは子供向けとして、SF読みからすると、呪術の解説は嬉しいのだが、何でもかんでも魔法で済まされてしまった感は拭えず。
実のところ、電子書籍で読んでるんですが、結構厚い本ぽいんで、あと5冊か…。気が向いたら次読みます、ということで。 -
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小さいころ、エジソンの伝記に夢中になった経験のある人は多いのではないでしょうか。これは、まさに大人向けの発明家の伝記オムニバスといった感の本です。各章20ページ前後のボリュームで、様々な科学技術の発明にまつわるエピソードを紹介しています。科学技術の発展において,20世紀前半を主導したドイツと、20世紀後半を主導したアメリカを対比します。人によって琴線に触れる箇所は様々かと思いますが、私の印象に残った箇所は、「ドイツをはじめヨーロッパでは新技術の発明はギルドに代表される熟練者、伝統産業の既得権益を害する存在として支持を得られないケースが多かったのに対し、アメリカではそのような既得権益者が存在しなかったために発明家という職業が成立した」、日本独自の科学技術に触れている和時計のくだりで「西洋では機械制御に落とし込みやすいという観点から定時法(季節に関係なく同じ長さの時間の単位を用いる)を進めたが、日本では不定時法(日の出と日没の時刻を等分し、季節によって時間の単位が変化する)をそのままからくり時計として採用した。西洋とは全く独立した技術体系が成立していた」という2点です。書名が「偉人伝」ではなく、「異人伝」となっているのは、発明家という人種が、生きている時には概して変人扱いされたケースが多かったからかも知れませんね。