折口信夫のレビュー一覧

  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

     耽美とは何なのか未だ理解できていないが、収録作から思うに愛憎、背徳、情念、倒錯、フェティシズム、幻想、狂気etcが入り混じったものか。そこにタナトス≒死への衝動が加味された、名だたる文豪らによる10編。

    「桜の森の満開の下」(坂口安吾)や「瓶詰地獄」(夢野久作)は本書のコンセプトをまさに体現している作品か。作家のフェチ全開「刺青」(谷崎潤一郎)、美しくニューロティックな幻想「夢十夜」(夏目漱石)、サスペンスからの意外な結末「影」(芥川龍之介)もそこに沿ったものかと。
    "美"という点では泉鏡花の「浮舟」、折口信夫「身毒丸」なのだろうが、個人的には独特の文体含め作品世界にハ

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    2025年04月25日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    なかなか手を出すのを躊躇ってしまう、私にとってはハードルが高いと思ってしまう文豪たち。
    こういったテーマに沿ったアンソロジーは、手を出しやすく助かります。
    江戸川乱歩の「芋虫」と、太宰治の「駆込み訴え」が好きでした。

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    2025年04月15日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    好きな作品集まってて、その中で泉鏡花、小栗虫太郎、折口信夫の話は未読だったので多分これらも好きだろうとウキウキで読んだけど結局これら全部ななめ読みで終わってしまった。むずいまだオレには
    夢十夜、第一夜だけ一人歩きしているから第二夜以降新鮮な気持ちで読めた。
    芋虫が本当に好きで何度も読み返しているのでここでも読めてよかった。

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    2024年11月30日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    耽美幻想文学のアンソロジー。いくつか読んだことのあるものもあり、名前はよく聞くものの実際読んだことのなかったものもある。
    やはり、桜の森の満開の下は断トツで好きなのでこれが冒頭に来てしまうと後がちょっと弱い気がする。いや、あくまで個人的にはだが。江戸川乱歩は「蟲」の方が好きだしな~。みたいな個人的にこのテーマで耽美幻想文学を編むなら何を入れるかみたいなのを考えるのも楽しいかもしれない。あと太宰治の「駈込み訴え」がガチ恋同担拒否反転アンチの詰んでるヲタク描写すぎて解像度高ぇ~ってなった。

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    2024年11月03日
  • 死者の書・口ぶえ

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    死者の書は何度も読み返し、その度に魂を奮わされてきた。初稿も読み、人形劇の映画も観たし、近藤よう子の漫画も読んでいる。大坂に単身赴任時に当麻寺や二上山には何度も足を運んだ。
    口ぶえも既読。

    死者の書の続篇について知ったのは、中沢新一さんの本からだったかな。
    概要を知って、それほど食指が動いた訳ではなかったんだけど、本屋の棚に見付け、読んでみた。
    従って、このレビューは続篇についてのみ。
    左大臣の名が明かにされないのは、本編(?)で亡霊の名が伏せられているのと共通している。読み始めて、あっさり折口の文章に絡め獲られる。
    住吉から堺の古墳群を望み、学文路(かむろ)の寺に逗留する。高野山に行く南海

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    2022年07月02日
  • 死者の書(上)

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    原作を読んでもさっぱり分からない。
    こんな難解な物語を漫画にするなんてすごい。
    正直この本ですら難しくて放り投げそうなのだが、絵が美しいのでかろうじて踏みとどまっている状態。

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    2021年03月21日
  • 死者の書(上)

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    折口信夫の「死者の書」は何度も読み返している。思い入れのある作品。
    漫画になっていることは知っていたけれど、本屋の棚で見つけ購入。

    近藤版の死者の書は、郎女の物語。僕は最初、原作を読んだ時から、亡霊の声に心が囚われていたので、虚を突かれた。

    郎女が幻視する阿弥陀は、「死者の書」の初稿版に依っていると思う。キリストに似ている印象。漫画として近藤さんの解釈のシーンも加えられて、判り易くなっている。

    亡霊の訪れを郎女は、どう捉えていたんだろうか。漫画からの印象は原作を読んだ時と違ったので、暫し考える。
    語部の媼が郎女に語る「滋賀津彦は隼別でもおざりました。天若日子でもおざりました」。なぜ、終盤

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    2017年11月22日
  • 死者の書(上)

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    確かに最良の入門書。

    ……彼の人の眠りは徐かに覚めていった。

    ほほき鳥になっていたほうがよかった……

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    2016年05月04日
  • 死者の書・口ぶえ

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    ネタバレ

    「彼の人の眠りは、徐かに覚めて行った。まっ黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
    した した した。耳に伝うように来るのは、水の垂れる音か。ただ凍りつくような暗闇の中で、おのずと睫と睫とが離れて来る。」

    『死者の書』の冒頭。「彼の人」とは誰か? 謎めいた出だしにぐっと引き込まれる。次に、「した した した」という擬音音が、雫の落ちる音だと知って驚く。闇の中に、生者とも死者ともつかぬものが身を起こす不気味さ。第一章が魅力的だ。

    他の章でも、独特な擬音語が登場する。「のくっと」身を起こす様、「こう こう こう」と魂を呼ぶ声、「つた つた つた」

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    2016年03月13日
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首

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    折口信夫の「万葉集」と小池昌代訳の「百人一首」
    はどちらも、少し難解というか、その良さがすべて理解
    できたわけではありませんが豪華な内容だったと
    思います。万葉集や百人一首をここまで深く読んだ
    ことは初めてかと思います。
    百人一首は、昔覚えた記憶があるのですが、割と
    忘れているもので、半分以下しか覚えていません。
    でも、かけ言葉や謎、背景、意味がここまで
    詳しく読めたのは初めてかもしれません。
    『新々百人一首』は中にはいい句もあるのでしょうが
    個人的に丸谷氏の旧態のかなづかいがどうしても
    気持ち悪くて、読む気になりません。
    なんで旧かなづかいをわざわざする必要があるので
    しょうか???
    現代の

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    2015年12月01日
  • 死者の書・口ぶえ

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    内容は難解。ただ、日本語の使い方が恐ろしい。例えば石棺の中で蘇った死者に垂れる雫の音「した、した、した」。その死者が人を呼ぶ声「こう、こう、こう」。朝が来て東の空が「ひいわりと」白んでくる。昔の人は語彙が少なかったというが、こういう表現を目にするとよほど伝わってきてむしを恐ろしい。

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    2015年08月02日
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一

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    日本民族学の大家の4人の作品集
    南方熊楠・柳田國男・折口信夫・宮本常一
    南方熊楠は、『神社合祀に関する意見』
    各地の神社が廃止されていくことに強い危機感を
    もって意見書として書いてあるもの。神社をはじめ
    日本における宗教的施設の役割や重要さ、もしくは
    それが亡くなってしまう場合の民族として失う
    ものを体系だてて整理して書かれてある。
    少し難解ではありますが、とても趣のある内容で
    あると思います。
    柳田國男は民族史や古代からの日本の成り立ちに
    ついての考え方や意見、考察がのべられている。
    『海上の道』『根の国の話』『何をきていたか』
    『酒ののみようの変遷』
    折口信夫は、『死者の書』貴族の生活と仏

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    2015年06月21日
  • 死者の書・口ぶえ

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    前知識ゼロで購入した本書。
    音の文章表現に惹かれたのだけど、歴史小説として(黒岩重吾作品以来)、この時代設定は大変好みなので、心躍らせながら読み進めた。

    何度か「ぬぬ、これはひょっとしてひょっとするのか」などと思いつつ、『死者の書』を読み終え、『口ぶえ』にいたってそれは確信に。

    BLだったでござる。

    特に否定はしないけど、ただちょっとびっくりした。けっこう露骨なので。
    『口ぶえ』の情景描写はとても素晴らしく、R.カーバーやC.マッカラーズの作品を彷彿とさせる。
    解説を読むと民族学的に読むのが正解のようだけど。

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    2014年04月11日
  • 折口信夫文芸論集

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    折口信夫の文芸論を集めたもの。折口信夫が、文学と民俗学によって日本人の想像力のふるさとを明らかにしようとしていることがわかる。「零時日記」が折口の文学に賭ける想いが露わになっていて、生々しくていい。また、「詩語としての日本語」などを読むと、折口は、短歌的な、詠んだ瞬間溶けてしまうような気分的な日本語に対し、俳句、詩的言語によって、日本語の新しい文体・言語/思想を創ろうとしていたのかもしれないなどと想像できる。

    中公クラシックスの折口信夫全集(民俗学萹)と読むと理解が深まると思う。

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    2013年03月10日
  • 死者の書・口ぶえ

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    民俗学者折口信夫による小説。表題の「死者の書」は一応完結した作品となっているが、他の収録作品は未完。民俗学者としての作者が捉える民族観・歴史観と、当然ながら作者自身の主観が色濃く漂う作品は、ストーリーの時系列が意図的に組み替えられていることと、単語の読みやかなづかいに慣れないせいかスラスラ読み進む訳では無いのだが、何だか不思議な浮遊感を伴う読書体験だった。

    どうしても作者の意図を読み込もうとして、小説としてそれほど楽しむことが出来なかったのが残念。「口ぶえ」が半自伝的小説だという解説でなるほどと納得したが、同性愛的主題は趣味ではないなあ。

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    2011年02月26日
  • 折口信夫文芸論集

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    正直一回読んだだけでは、理解をすることはできなかった。
    困ったことに、わからない言葉もたくさん。
    そして、同世代として関わった作家の数々、谷崎、堀
    日本文学と折口との接点が少しでも実感できるとおもしろい。
    民俗学以外の面を垣間見れたといったかんじでしょうか。

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    2011年01月30日
  • 死者の書・口ぶえ

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    自分になじみのある地名が出てくるので、昔話を聞いているような気分で読んだ。物語世界に知らず誘い込まれ、迷い込んでしまうような文章。郎女の見た、夢現の描写が時に恐ろしく、そして美しい。

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    2011年01月04日