あらすじ
「優れた著作である、というより怖ろしい力を秘めた本である」――三浦雅士(新版解説)
あるものを発生させる力というのは、その発生自体が目的で終息するわけではない。発生した後もその力は一つの傾向を保ち、発生させたものの変化を促し続けるのである――。古代人が諺や枕詞、呪詞に顕した神意と神への信頼を、折口は「生命の指標(らいふ・いんできす)」と名づけ、詩歌や物語の変遷を辿りながら、古代より脈打つ日本文学の精神を追究する。生涯にわたり書き改め続けた貴重な論考。
解説・井口樹生/三浦雅士
(目次)
詞章の伝承
文学様式の発生
律文学の根柢
声楽と文学と
小説戯曲文学における物語要素
文学と饗宴と
異人と文学と
翁舞・翁歌
日本文学の内容
日本文学発想法の一面――誹階文学と隠者文学と
笑う民族文学
追い書き
解説「日本文学の発生 序説」の課題 井口樹生
新版解説 凝視と方針 三浦雅士
著者略年譜
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
昨年購入して、途中挫折していた本。
読み飛ばしつつなので、レビューは参考にならないと思います。
「詞章の伝承」
本歌取りについて、「単に他の歌を、新しい歌の上に重複させるという目的から離れて、ただ技術のための技術として、ある歌の一部に示されるのは、先行歌の一部に止るに過ぎないことも、多くなって来た。ただし、どの場合にも、先行歌は、文学としての取り扱いを受けるのでなしに、知識としてとりこまれているに過ぎない。
しかも古代の歌にある知識は、単なる知識ではなかった。いわば神から授った神の知恵であったのだ。……歌は、諺と同様のものと見なされる要素を十分に持っているために、忘れまいとし、記憶から放すまいとしたのである。」
「小説戯曲文学における物語要素」
「私の語ろうとする叙事物語の要素の第一項は、中世から近代へかけて、物語文学の上に、最も人気の久しかった源義経の話で、筆をおくことになった。なぜ、あれほどの英雄が、義経記では、その幼い時代と、若くしてふたたび京に上り、鬼一法眼の兵法を盗む件と、そうして後、兄の憎しみを受けて奥秀衡の許に下り、ついにかしこに落命する、三箇の点を重心としたのであろうか。どうして、一代の晴れ、平家追討の軍記にはまったく、触れるには及ばなかったのか。」
幼神信仰の形、若い姿の貴い流離者譚。
幼神と育み人の関係。
「日本文学発想法の一面」
「『話す』という語の意義はわからぬが、ともかく『話す』と『語る』は別のことである。話すということが始まってからも、語の意義は幾変遷しているのである。また『おとぎ』という語の意義もわからない。だが少なくともこれに『伽』という字を当てる理由だけは推測出来る。『ぎや』という声は呪文の短いもので、これを唱えることによって、闇黒を打払うことが出来ると考えた。」
どうでもいいけど、驚いた時に出る「ぎゃー!」って言葉は、ここに関わりが?(笑)