西澤保彦のレビュー一覧
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ネタバレ腕貫さんの勤める櫃洗市で起こる、腕貫さんの出てこないミステリ短編集。櫃洗市を構成するホテル〈シンヒツ・ロット〉やら私立囲櫃学園やら国立櫃洗大学やら、お馴染みの舞台が登場する。
腕貫さん好きなので、出てこないとやっぱり淋しいけど、このシリーズのノリは好きだし各編ストーリー展開に意外性があって楽しく読めた。
6編のうち、最初と最後が同じコミュニティの話で、あとは登場人物はバラバラ。
「エスケープ・ブライダル」
同級生倉橋の4回目の結婚披露宴に出席すべくシティホテル「シンヒツ・ロット」に来たケーカクこと恵本角樹。倉橋の3番目の花嫁は、披露宴当日に蒸発し、死体で発見されていた。実は、4度目の結婚披露 -
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過去の事件を会話形式で振り返り、真相が判明する西澤さんといえば、な設定の短編集。過去と現在が行ったり来たりしたり、事件の関係者が脈絡なく増えたりは以前からなんだけどどうも読みにくかった。真相も曖昧に終わったままで煙に巻かれたり。昭和に死んだ幽霊と彼が殺された事件について推理する「ひとを殺さば穴2つ」と同時刻に別の場所で起きた親傷害&娘殺人事件をリアルタイムで刑事が追う「リブート·ゼロ」はすっきり結んでいて良かった。表題作は一番複雑で真相もおお?といまいち理解が追いつかなかったが最後の締めに西澤さんらしさを強く感じた。「間女の隠れ処」での推理作家の愚痴は自虐かな?
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こんなにも不確かな世界で、
この物語はこれこれこういうことをあらわしています、なんて
よく信じられるものである。
回答に責任を負う?
負わされる、と云うべきか。唯一絶対の回答、が無いからこそそれを求めて探偵する行為が魅力的なんだろうな、なんてそれこそ不確かなことを考えているんだけれど、いまどきじゃないんだろうなぁそういうの。真実はいつもひとつなの? そうなの?
ちょっと斜めに解釈するだけですぐ炎上しちゃうから、発信力のあるひとは大変だよね…元々そのひとの発想や言説が魅力的だからその発信力を得てる筈なんだけれど。いつからか「皆の思うそのひと」像から外れたことをすると批判され -
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記憶の曖昧さ。過去は自分の都合の良いように変わってゆく
同級生の結婚式で再会したことがきっかけで小学校の思い出を振り返り、またその時に起こった殺人事件のことを振り返る。
登場人物の名前の読み方が紅白で「いりまざり」や、指弘で「いいず」など特徴的過ぎて、読み終わるまで読み方が覚えられなかった。逆にその特徴のが人物を読み分けやすい点でもある。
全編通して各人の記憶を元に、過去に起きた殺人事件やそれにまつわる出来事について推理していく(思い出していく)というもので、曖昧な記憶が、擦り合わせによって段々と鮮明になっていく過程は読みごたえがあった。ただし、証拠といえるものも、物的といえるものは少し -
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それを通じ合えていると素直に、思えるときに思えるひとと一緒に居られるなら幸せ、なんだろうけどなぁ。
タックに言われると“重い”んだ、という言い回しが、それこそ重くて。
誰に何を云われてもいいんだけれど、そのひとに云われてしまうとシールドが壊れてしまう、そんな言葉や相手ってきっと誰にでも居る。
けれど本当はそんなシールド、そんなふうに壊れるシールドなんてのは、張らないでもいい意地とか見栄と、同じようなもの…
…の場合が殆ど、で。
その殆ど、じゃないときがあるというのがまた、厄介なんだけれど。
ミステリの感想じゃねぇな。
いやまぁ、恋はミステリーって云うし、いいか。