野口悠紀雄のレビュー一覧
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“ジャパン・アズ・ナンバーワン”は、今は昔。近年は、経済成長が止まり、給料も物価も上がらない。そんな“安い日本”の原因について、わかりやすく解説する書籍。
マクドナルドのビッグマック価格を日米で比較すると、日本はアメリカの62.8%と安い。価格が安い国は賃金も安い場合が多く、日本の賃金はアメリカの55.5%。欧州諸国や韓国よりも低く、日本は賃金水準でOECDの最下位グループにいる。
日本のビッグマック価格の低下は比較的最近のことだ。2012年は、アメリカとあまり変わらなかった。つまり日本は、2013年以降のアベノミクスの金融政策で為替レートを円安に導いたため、国際的に見て物価や賃金が安くな -
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前半は日本の暗澹たる未来予測について書いており、低成長のもとで、社会保障の維持も医療・福祉の維持も財政規律の維持もできないにも拘わらず、高成長(といっても2%)予測によってその事実を見えないようにしているという。
財政規律についてと、社会保障のうち財源問題に関しては、中央政府の財政支出はインフレさえ気にしておけば良いのであるから気にする必要はないと思うが、一方で、そもそもの供給力が弱まるのは本書で言及されているとおり重大な懸念事項である。
それを解決するためにも、新技術の開発と活用が求められるところで、本書でも、医療技術(ナノマシーン治療、生体チップなど)、自動運転(駐車場不要で土地利用変動、 -
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およそ10~20年後の日本の世界における地位、医療介護の実態、メタバースの可能性、自動車関連の技術進歩、脱炭素化の実現など様々な分野を予測する。
読みおわって感じるのは、高齢者の増加で医療福祉分野の就業者数が増え、他の分野の就業者数が減ること、デジタル化や人材育成の立ち遅れからくる日本の将来の地位の危うさに対する危惧である。
ただ、レベル5といわれる自動車の完全自動運転がそんなに遠い将来に実現しそうなのに前向きな期待を持った。実現すれば車は保有するものから利用するものに変わり、駐車場ニーズが激減したり、自動車保険の必要性も大きく減る。自分が生きているうちに、そうなるか、関心を持って見守りたいと -
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データを制する者が世界を制する。いま、世界で「マネー」という最強のデータを巡る競争が始まっている。この新たなデータ経済の本質を、野口悠紀雄氏が平易に解説する書籍。
世界では、データが経済的価値を生む「データ資本主義」が加速しつつある。米国の「GAFA+M」をはじめ巨大IT企業は、ビッグデータを資本として巨額の収益を生み出している。
最近、次のような「マネー」が登場している。
・電子マネー:銀行預金のシステム上に作られた、預金口座から振込を行う仕組み。日本のPayPayなどが該当する。
・仮想通貨(暗号資産):インターネットでやりとりされる送金のデータ。ビットコインが有名。
この他、中央銀行 -
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この本を評価するには、円安の是非を問う必要があり、それに対する政策介入の成果を確認する必要がある。円安は日本にとって良いのか、悪いのか。見方や立場によっては円高だって悪者にされるのである。本著の立場は、通貨の相対的価値の前に「良い」「悪い」と修飾語をつける事。
外国為替市場で円に対する需要が増え、ドルに対する需要が減るので、為替レートは円高になる。
政治には円安を求める傾向がある。円安になれば輸出企業の利益が増え株価が上昇するからだ。大企業を優先するなら、円安誘導が正しく、しかし、それにより輸入物価が上がり、コストプッシュインフレでは賃金も上がらず生活は圧迫される。国民には嬉しくない「悪い」 -
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大金をかけて、全く利用されないWebサービスやアプリが生み出されていく様は、質の悪い喜劇としか思えない。
本当に笑えない状況だと思うのだ。
この状態で日本は今後どうなっていくのだろうか。
私もすでに50代となり、会社の中でも物事を決めて推進していく立場にあると言える。
(年齢的にも役割的にもそうだというだけで、役職が高い訳では決してない)
しかしながら、未だに社内のデジタル化は一向に進まない。
その一端を担ってしまっていると思うと、本当に情けなく思ってしまう。
正直、国家も会社も、何をどうしてよいか迷走しているようにしか思えない。
これは私自身も一緒で、一体何からどうやって手をつけたらよいのや -
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ネタバレ2040年の日本の姿をデータとともに紹介してあります。
日本の未来に関する本は、読むと悲しい気分になりますが、本書もつらい現実を紹介しています。
特に、日米中のGDP(購買力平価による比較)が衝撃的でした。2060年には中国のGDPが日本の10倍になるデータが紹介されてあります。今後の中国との付き合い方を考えさせられるものでした。
日本の置かれた現状と今後の予測を詳しく知ることは、未来を変えるためにも重要であるため、未来を変えたいと考えている方には本書はおすすめです。
本書の最後に、政治と行政の近視眼的バイアスをどう克服するか、みんなで考える必要があると書いてあります。まさしくその通りだと思い