池井戸潤のレビュー一覧
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池井戸潤の小説は初。箱根駅伝という自分が小さい頃から見ていたコンテンツを題材にした作品であったため、読んでみた。
箱根駅伝の選手としての視点、監督としての視点、番組を制作する側の視点、様々な視点から箱根駅伝を捉えることができる。
青山学院の原監督など、今ではスパルタで鍛える指導法から、選手の自主性を尊重するあり方がスタンダードになりつつあると思うが、選手たちがどのような思いで駅伝に向き合っているのか。あるいは、チーム内でどんな話し合いが行われているのか。そういう、具体的な描写があって面白かった。
また、制作に携わる側に箱根駅伝のお涙ちょうだい的な演出を疑問視する者がいて、たしかになと思った。 -
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鉄の骨は、建設業界に巣食う談合という重いテーマを、骨太で緊張感のある筆致で描き切った社会派小説である。主人公が直面するのは、正義と組織論理の衝突という、働く者であれば誰もが一度は思い当たる不条理だ。現場の空気、上層部の圧力、同僚たちの保身と良心の揺らぎが現実味をもって迫る。一方で、主人公の彼女の存在は物語の推進力としてやや必然性に欠け、リズムを緩めた印象も否めない。しかし、主人公を取り巻く人物造形は極めて人間的で、弱さや矛盾を抱えた姿に強い説得力がある。本作は、個人が組織の一員として抗い続けることの重さと覚悟を、静かに、しかし確実に読者へ突きつける一冊だ。
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Posted by ブクログ
さすがの面白さ。一気に読み進められる。
ゼネコンの「談合」が「調整」という名で語られることに、なるほど、うまいこと言うな、なんて思った。公共工事の入札制度の見直しも必要、でもそんなの待っていたら価格競争の果てに各社が疲弊して潰れてしまう、だから「調整」が必要なのだ、と。これは必要悪だと。いつかなくなることが望ましいけど、いまは必要だ、と正当化する。よく聞くような話だ。
主人公の若手社員の平太は戸惑いながらも会社で自分に与えられた役割を果たすことに力を注ぎ、そんな平太に正論でダメ出しをしてくる銀行勤めの彼女の萌とは関係もギクシャクしてくる。平太の先輩同僚の西田は一見チャランポランだけど仕事は抜群 -
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【2026年29冊目】
東京第一銀行羽田支店で副支店長を務める蓮沼は、日々深夜まで業務に勤しんでいた。不景気の煽りか、赤字の企業が多い中、本部からの要請で長年の取引先に融資の返済を迫る羽目になったものの、人情が先立ち交渉は決裂。だが、支店長の谷がその翌日あっさりと返済を決めて帰ってきて――銀行と光と闇、人間の欲望を描いた銀行ミステリー。
銀行の話を書くと、池井戸潤さんの右に出るものはいませんね、マジで。銀行マンとしての矜持と一人の人間としての思い、裏金と一攫千金を狙う人々の欲望、出世レースと嫉妬に塗れた銀行内部など、さまざまな要素が絡まり合った一作でした。
主人公側がいわゆる悪人側に一泡吹 -
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ネタバレ花咲舞あなたは強い。ついていきます。
ドラマにもなった花咲舞が活躍する。読後感のいい痛快な連作短編集。
舞台はやはり銀行。
納得できないことには、真正面からぶつかっていく、男気があるといえば聞こえはいいが女性、それも美しい人らしい、狂咲とあだ名されるように、時には口でわからない相手には平手で殴りつける、いやはやあるまじき、、、それがあるので。
「激戦区」
自由が丘支店。他行に負けている付けを人件費で埋めようとして、ベテラン女子行員をいじめてやめさせていた。舞は銀行不振の原因を突き止めて、上司と対峙する。
「三番窓口」
一億円を入金した途端に他行で出金するが、振込みは中止として金を持ち帰る、