京極夏彦のレビュー一覧
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ネタバレ6/6
【ネタバレ記述あり】
2年前に「絡新婦の理」を読んで、次を逡巡していたのは、やはり長さ。
「絡新婦の理」が分冊文庫版にして4冊なのに対し、「塗仏の宴」は、「宴の支度」が3冊「宴の始末」が3冊しめて6冊という……長すぎるよ!
しかし、なんでも百鬼夜行シリーズ第一期のクライマックスともいうべき作品、とネット上に書かれていたのも納得の、オールスター!
主要人物はもちろんとして、一柳朱美さん! 織作茜さん! と驚きと、喜びと、そしてまた驚きの瞬間が、何度も乱れうち。
という意味でサービス精神たっぷりゆえ、6冊でもリーダビリティ高く、サクサク読めた。
ということはつまり、丁寧に整理することなく、あっれーこの人ってどの組織のどの人だっけーとぼんやりしながら読み進めてしまった。組織多すぎなんよ>他責思考。
私が嬉しく思ったのは、小説ならではの企み。
まず、「宴の支度」における章立ての端正さ(ぬっぺっぽう うわん ひょうすべ わいら しょうけら おとろし と模糊としたお化けの紹介)に対して、
「宴の始末」は小見出し的なモノがないなーと思っていたら、なんと三人称と思わせておいて、実はその場に「私」が静かにいて観察していた……と、小説にしかできないギミックが、本作中での「催眠」の効果ということで奏功して、さすが。
その上、6冊通じた真相がまた、小説ならでは。というか小説でしかできないのではないか。(コミカライズとかどうするんだろ)
あの人もあの人もあの人も、もとは一つの家族の成員だった……! こんなの絵にしたら色んな意味で一発だし。
しかしこの力業を支えるのは、いわば味方がわの誰が、相手がわの誰としか交流がないとか、顔を合わせるとか知らないとかいう状況が、きちんと整理されているんだろう。(読者としてはぼやっとしているが)
まあ、本末顛倒とか、後催眠万能説(!)とか、本格に並べるには躊躇われるものもあるが、まあ力業のシリーズで、十分楽しめた。
その上本作は、「中禅寺自身の事件」という旨味も。
「世の中には不思議でないものなどないんですよ」と、綺麗に中禅寺のアンチ発言をする悪魔的人物の、堂島静軒大佐。
この人の存在感の巨大さ、実は本作で初お目見えなのに、まるで笠井潔の矢吹駆に対する、ニコライ・イリイチっぽい、巨大なアンチ存在……「バットマン」のジョーカー……ジョン・ミルトン「失楽園」の堕天使ルシファーっぽい、大きな構えの人物造形だと思った。
さて今後シリーズでどうなるのかしらん。 -
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【祐美】外田のうの曾孫。【隆顕】祐美の夫。引きこもっている。「猿がいる」と言った。【芽衣】のうのもう1人の曾孫。喫煙者。【外田のう:ほかだのう】袮山村で亡くなった。相続人は祐美と芽衣しかいない。【袮山村:ねやまむら】のうが死ぬまで暮らしていた村。岡山県の山奥にある。明治以前からいわゆる限界集落を維持し続けていた不自然さ。姥捨山? どうやら村というより袮山家の敷地内という感じらしい。【山川】袮山家を管理している弁護士。【尾崎真智】山川法律事務所のパラリーガル。【感想】例によって会話ぐだぐだ小説。そこがおもろい。怖さとは、信じるとは、袮山村の奇妙さとは、猿とは…。怖い方に向かいつつ周辺を回り続ける。
ただ逆張りするってのは、これも思考停止のうちですよね(p.225)
理由というのは果が先にあってこそ生み出された、後づけの因なのである。(p.246) -
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ネタバレ読み終わったあと、どう咀嚼していいのかすごく悩んだ。真相は全て明かされたのに、スッキリしない気持ちになっていた。
「みんな自分の話しかしない」とケンヤが言うように、全員自分の事ばかり考えていて、亜沙美のことを見ようとしない姿に嫌悪感を抱いた。
そんな感情を他人事だと思っていたら、『6人目』で覆される。犯人はケンヤだと薄々気付いていたが、何か同情する理由があると信じていた。自分に都合がいいストーリーを作ろうとする弁護士が読者自身だと理解した時に物語が終わる。何ともすごいラストだった。
長編が多いので京極夏彦さんの作品を敬遠していたけど、これから他の作品にも挑戦したい。
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存在をうっすら知っている程度の曾祖母が亡くなったと聞き、弁護士たちと彼女が暮らしていた岡山県の山中に。そこは老いた人たちがやってきては去っていく奇妙な限界集落で・・・
と、このあらすじで書いた部分はなんだかとても魅力的で。そんなところで100歳まで一人暮らしをしていたという非常に気になるお話。一体なにが!?とわくわくせざるを得ないわけなんですが、作中でもさんざん「因習めいたものはない」「なにも不思議なものもない」と書かれている通りそういう民俗ミステリな小説ではない模様。ほんのりとしたホラー?
で・・・なんだか狐につままれたように終わってしまった。なんかこう消化不良というかさっぱりしないというか。登場人物が「怖い」としきりに言ったところで読んでる側としてはどうもピンとこない。登場人物が「よくわからない怖さ」を感じていても、実際に体験してる登場人物をしてよくわからないものは読者からするともっとよくわからない。
魅力的な設定を加点しての星3。 -
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「桃太郎」の冒頭で、お婆さんが洗濯に行くのは一体なぜ?
みんなが知っている昔話の裏側には、くすっと笑えるような「ひどい」民話が存在している。
そんなお話を語った伝説的トーク集の文庫版。
京極夏彦をはじめとした作家・妖怪研究家たちが、各地に伝わる「ひどい」民話を語るトーク集……座談会? を本にしたものです。
本当に色々な意味で「ひどい」話が多く、下ネタ多数。といっても、主に糞尿・屁に関する話で、つまりえっちい方ではなくばっちい方。
それぞれが持ち寄ったとっておきの「ひどい民話」に、ひどいひどいとツッコミを入れ、似たようなこんな話もあると披露し、とても楽しそう。世の中、なかなか表に出ないわけの分からない話がいくらでもあるものだ……。
こうして色々な話をきいていると、民話というのは本当にどんどんその家向けにローカライズされていくものなのだなというのが理解できる気がします。
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ネタバレ他責思考で苦境に陥ってる人に、「俺馬鹿だからわっかんねーけど」を地で行く男ケンヤが正論をぶつけまくって、死ねばいいのにで落とす。
途中からケンヤがAIみたいに見えてきて面白かった。
生物の本質は生存することという前提をなくしたとき、不幸な人間の不幸を最小化するために最も合理的で確実な方法はすぐ死ぬことなのだ。
一見馬鹿に見えるケンヤはなんなら一番合理的、最適解を弾き出すブラックボックスのAIに見える。
そしてそんなケンヤAIを生み出したのがアサミだった。今が幸せで、今後不幸になりたくないのなら今死ねばいいのに、というケンヤの結論に100で乗っかってきてほんとに死んだアサミ。これに恐怖したケンヤは、普通の人間は死ねばいいのにと言われても死なないということを確かめるように、関係者に話を聞きに行くのである。
本当に怖いのはケンヤか? アサミか? -
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大スター京極夏彦のもとにつどいし三銃士、という風情だが、
いや元「妖怪馬鹿」の3人(京極夏彦 多田克己 村上健司)に、若い黒史郎が加わりましたよ、ということだろう。
MBSラジオ「松原タニシの恐味津々」の、
2022.11.07 食事中に聴かないで!全国に伝わる"ひどい民話"をご紹介
2023.06.12 犬と結婚、きなこの舐めあい、18禁のホラー...放送ギリギリの『ひどい民話』を語る会
2023.06.19 『ひどい民話』が止まらない!教訓だらけの『こわい民話』もご紹介
で、聞いていたのを、ようやく本で読んだかたち。
いちいち書かないが、面白かった! -
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ネタバレ初めての京極夏彦さんの本。初めの方を読んで、こういう彼氏いたなぁと思い出す。恐怖を猿に例えているのかなというのは何となく分かった。何か理由があるから怖いのではなくて怖いと思うから何か感じたり見えた気になる。確かにそうかも。
最後まで読んでいくと、あれ?終わり??結局どういう事?たかあきは?とハテナがいっぱいになったが自分なりに解釈してみる。
ゆみは本当はたかあきと生きていくことが嫌になっていて、自分が置いていった結果、たかあきが熱中症なり自殺なりで亡くなることを心の中では望んでいた。でも帰ると自分を見て笑うたかあきがいて、これから先も一緒にいなければならないことに恐怖を感じてたかあきが猿に見えた…のか?
相続の件、いきなり場所が変わったこと、めいや山川達は?と思いつつ最後だけはそういうことに自分の中でおさめてみた。