青山七恵のレビュー一覧
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やさしいため息というのは、呆れつつも受け入れてる状態だったり、良い意味で諦めがある場合につくため息のことだと思う。主人公も弟も今のままで駄目なことは分かっているけど、小説にあるように人は容易く変われない。でも、外部の働きかけや自分の意志でたまに普段と違う行動をとったりすることを繰り返して、少しずつ変わったり、変わらない部分は諦めがついていったりする。そうやって徐々に失望のため息からやさしいため息に変わっていくのが人間の成長なのかなと思う。自分が変わる順序としてまず諦めが必要な場合もある。主人公に自分と重なる部分がありすぎて嫌な汗が出るのを感じながらの読書だったが、この読書経験も自分の変化への1
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冬のひだまりみたいな、静かな物語でした。
たしかに、風来坊な弟が登場して、誰かの人生を毎日綴り続ける、なんてちょっと変わった設定はありますが、基本的には何か大きな事件が起こるわけではなく、淡々とした日常が続いていきます。
人付き合いが得意ではない主人公が、職場での人間関係にもやっとしたり、ちょっと気になる人ができたり、とにかく不器用なところに共感を覚えます。
青山さんの文章はたまにすごくリアルな質感を持っていてドキっとするのですが、気になる人にメールを送ろうか迷って迷って、えいっと送った後の表記とか、すごくわかるなー!と。
“送信ボタンを押した。押した瞬間、電波がこの狭い浴室の壁に跳ね返 -
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藍子の真っ白な正しさとレミちゃんの灰色がかった弱さが悲しい。
弱いことは悪いけど、弱いことを言い訳にするのはもっと悪いと思ってなんとか生きてきた私にとって藍子の言葉は耳にとてもとても痛かったです。
藍子の両親がレミちゃんを心配する気持ちがたとえレミちゃんの求めているものとは違っていたとしても、そのやさしさはかけがえのないものなんだから、そこは本当は責めちゃいけない。そのやさしさにすがっているのも確かな事実なんだから認めないといけない。
この本は基本的に藍子の立場に立って読むのかもしれないけど、レミちゃん寄りに読んだのでなんだか辛かったなあ…藍子が正しいんだよ、正しく生きられるなら生きたいんだよ -
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音楽をテーマにしたアンソロジー。
好きな作家の加藤千恵さんが筆者の中に入っていたので手に取りました。
ラブソングとタイトルに入ってますが
それぞれの短編はラブソング以外の曲もテーマになっています。
実在する曲が使われていたり
架空の曲だったりもしたけど
加藤さんの『約束のまだ途中』と
あさのあつこさんの『雨宿りの歌』がよかったな。
加藤さんの作品は、結婚する親友(小学生からの仲良し)との思い出の曲を中心としたストーリー。
自分の状況と結構かぶるところがあり、かなり共感出来ました。
あさのあつこさんの作品は、少しミステリーっぽい側面もあるんだけど、小学生の時にある事件に遭遇し雨にトラウ -
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青山さんの無茶苦茶言いつつ正しすぎる美しい文章に惚れこんでいることを再認識。すきだ~
人を甘やかしすぎるやさしすぎる鮎太朗と、そんな鮎太郎に群がる甘やかされたい女たち。アンドちょっとおかしな姉たち。
鮎太朗と女たちの駄目さにもやもやはらはらしながら、その隙間に挟まるふとした文章にやられてしまう。無茶苦茶なのにいとおしい。鮎太朗のこと、憎めない。がんばれって思う。テンテンのこと好きだな。ああいう、現実の世界に自分をつなぎとめてくれる存在が誰にでも必要だ。
つまるところ、反復なのだ、誰かに救われたのならば、その瞬間から次の救い手を探さなくてはいけないのだ。こうして呪いは繰り返される。 -
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まりもの感情、文全体の雰囲気が、とにかく生々しい。
自分が関わらない世界で、想像もつかないほどたくさんの人が生きていて、それを覗いてみたいと思うまりもの気持ちは私には新鮮。
姉さんに抱いていた感情を、世間一般的に表す言葉があるのかわからないけれど、自分がどう頑張っても、どんなに足掻いても、変えられない世界や変えられない人たちがいて、孤独になる気持ちはわかる気がした。
大切なものが自分の元から離れて行ってしまう不安とか、誰かに奪われる恐怖とか、誰もが抱く感情を、わざと遠回しに描いているような印象。
まりもがいろんな生活を窓を通して覗き見るシーンは特に印象的だった。
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