青山七恵のレビュー一覧
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大人とは。女とは。母とは。
こうしたことばに、自分は縛られているのだろうか?
私も、これまで、大人として、女として、母として生きてきた。
でも、文庫版の帯にあった
「このママみたいに、大人を卒業します!と宣言してしまえたら どんなに楽でいいだろう。」
という文を見たとき、私は率直に「卒業したい」とは思わなかった。
それはきっと、私が大人であること、女であること、母であることを、好きで選んできたということなのだろう。
とくに、母であること。
母として生きていると、自分の時間なり労力なりを犠牲にしていると感じられることもあるだろう。
でも、子どもの手がだいぶ離れてきたいま、よくよく考えてみると -
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タイトルが示す通りの作品だと唸らされたのは、すべてがFになる以来かもしれません。
「ひとり日和」。
縁戚の老婆と暮らす21歳のうらわかき女性。
50歳以上歳の離れた二人の静かな生活が朴訥と描かれる本作ですが、2人で暮らしているのに、何だか「2人」と言うより「1人」と「1人」という印象を受けました。
劇的な展開で友情が芽生えるわけではなく、歩み寄っているような気配もないのに、何故か心地よい2人の関係性は最後まで付かず離れずの微妙な距離感を保ち続けます。
ウェットになり過ぎず、だけどドライなわけでもない不思議なアトモスフィア。
青山作品は数冊読んでいますが、もう少し色々読んでみて色を見つけ -
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書くことと書かれることについて、「未文字」という概念を持ち出していておもしろかった。
帯や後ろのあらすじを読んで想像していた物語とはかなり違っていて(特に序盤から終盤にかけて)、わたしは何を読んでるんだっけ?と立ち止まることがしばしばあったものの、物語の最終盤に差し掛かったところで、「道理でポップな文体なわけだ」とその違和感に納得が行った。
ただ、やはり終盤までの文体に引っ張られて、読んでいる途中から「これはどんなミステリーなのかな?真相はなんだろう?あ、いや、ミステリー小説じゃないんだった」とわくわくしかけてはそれを打ち消す、となってしまって、楽しみきれなかった。
いっそもっとミステリー -
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世界に外も中もない、という吟子さんの言葉が印象的だった。
若い女の子がおばあさんと暮らす小説、ということでもっと温かい交流を想像してたら意外とシビアだった。
吟子さんは知寿を過剰に甘やかしたりしないし、知寿も過剰にいたわったりしない。
知寿はトゲトゲクサクサしていて、子供というわけでもないけれど自立しきったわけでもなく、社会の厳しさもまだあまり体感していない二十歳の頃ってこんな感じだったかもと思った。
恋人にも別れを告げられ、母親ともギクシャクしている知寿にとって、吟子さんとの付かず離れずの生活は心の灯台になるんじゃないかと思った。
藤田くんの、シレッと別れを告げる感じ、読んでるこちらも -
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【ダンス】
所感
本能100%の表現てこうだよな。
本能的な〇〇っていうけど、結局そこには理性や他人の目を気にする気持ちが混じっている。
優子のダンスは純度100%
そりゃ踊り出すのも怖くなるわ
なんで私ばっかりこんな災難に見舞われなきゃいけないの?それはおまえがおまえの人生を生きている証拠
【二人の場合】
二人の場合とはいうけど、どんな人にだって当てはまる。
お互いがずっと気が合うことなんて奇跡に等しいと改めて実感する。
年齢を重ねるに連れてどんどん経験値に違いが出る。
その違いを意識すればするほど、解消しようとすればするほどこじれる。
友人関係に限っては過去に固執した方がいいかもしれない。 -
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あらすじから、ほのぼのしたファンタジーなのかと思いきや、読み進めていくうちにディストピアものだと気づいた。
優子が「はぐれんぼちゃん」たちをまとって辿り着いたのは、現実世界で上手く生きられない人たちが、自分の得意なことだけを仕事として生きていける施設。でも、その動力源は…真相に近づくにつれて、背筋に冷たいものが突きつけられる。
誰かの救いになることは、誰かを傷つけることでもある。誰も悪くはないけれど、一番悪いのは、想像力を働かせない普通の人たちなのかもしれない。自分の仕事だけをこなすことは、楽ちんかもしれないけど、全体を俯瞰して見た時にどんな役割をしているのか。それを知ろうともせずにただこなす -
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表題作、起伏のない代わり映えしない日々でも、その変わらない事が救いになるのかもしれない、と思いました。
他人の日常を記録する、ってえっと思いますが、風太はそこに自分の主観を入れずに淡々と記録しているので誰も嫌悪感みたいなものを抱かないのだろうな。勝手に幸せ・不幸せとか評価されてたら嫌だけど彼はそれをしない。
どうしても物事をややこしく考えてしまう人はいるので、こうやって軽く「やってみればいいじゃん」みたいに言われると(やってみよかな)となれる気がします。やりたくない事は無理してやらなくていいけど。。
緑君、こういう人居るんだろうなと思いました。亀を飼っている所で、植物みたいなある人を連想しまし -
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2007年第136回芥川賞受賞作。
簡潔な文体で、物語の凹凸も少ないのだが、なぜだか自然と引き込まれてしまう。そんな不思議な感じがする物語。
独り立ちをすると、今まで慣れ親しんだ景色や物事が、目の前にあったとしても急に遠いものになってしまう、そんな感覚が蘇ってくる作品。新しいことに出合うことはいろいろな意味で怖いものであり、ちょっとした刺激で自分の殻に閉じこもってしまいがちになる。ただ、ふとした瞬間にその殻を破ることができるのもまた事実。そうした心の揺れを描いた作品であり、多くの人が新生活を迎えるこの時期に読んでみると、よいかなと思える。 -
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読書開始日:2021年10月2日
読書終了日:2021年10月3日
所感
本日は酔いながら。
読みやすい作品ではあった。
知寿が吟子さんに問いかける何も返答を期待していない質問も、質問を投げてからする後悔も、憤りもそのなにもかもを経験したよ。気持ちわかるよと言う気持ちになる。
同時に知寿の母とも歳を重ねたせいか同意できる。知寿は全てが甘い。母に完璧を強いる。
全ての解を親が持っていると思い込んでいる。
そんなことはない甘い。
ちゃんとして欲しいという母の願いを叶えないのも自由だが、その意図を判断してからその選択をとるべきだ。
と、その選択に迫られなかった先輩から一言というかたちになってしまう。
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