青山七恵のレビュー一覧

  • お別れの音

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    なんとも掴みどころのないような別れの短編集。

    別れとは言っても、親友、恋人、家族のような存在ではなく、
    意識しなければ通り過ぎてしまうような相手。
    偶然知り合った人。
    劇的なことは起こらずに、出会い、気がつけば別れていく。

    『お上手』と『ニカウさんの近況』が特に雰囲気が良くて好きだった。

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    2024年03月21日
  • ひとり日和

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    若いときのもやもや感、青春ってほんとは青くないよな、灰色だよな、、、みたいなことをめちゃくちゃ上手に描いてる。

    いろいろなことを乗り越えたから、大人って平坦でいられるんだよな、、、と30中盤になった自分でも思う。まだ何者にでもなれるから、何者にも近づいてない自分が嫌なんだよなぁ

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    2024年02月11日
  • ひとり日和

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    吟子さんと知寿のたわいもないやりとりからは

    老いと若さ
    生と死

    がコントラストをなすのだけれど
    老いと死の方が
    どうしても目を背けられないものとして
    暗い影を落としていて

    でも作品にはあたたかい空気が満ちていて

    それから京王線沿線の景色には
    どうしようもない現実が広がっていて

    それでもこの現実世界に
    若くても老いていても
    生きていられることっていいなって
    素直に思わせてくれる素敵な作品だった




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    2024年01月14日
  • ブルーハワイ

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    なんかモヤっとした話が多かった、ホントはどうだったの?みたいな。
    表題となっているハワイに行き損ねた話、はっきりしない元教師にちょっとイラッとしながら読み進めたが、結果、ハワイへ行かずに教師の道へ戻る決意をしたようで、この結論はホッとした。

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    2023年08月26日
  • ひとり日和

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    読み始めて面白くなるまでが早いです。作家が20代前半で書いた芥川賞受賞作ですが、技術が巧みです。

    高校を卒業しても進学を拒み、就職するわけでもない主人公。
    親に依存して生きてきた子ども時代からいきなり社会に放り出されるように自立するのではなく、親戚のおばあさんの家に居候しながら自然と自立へと、誰に促されることもなく自分自身でその道をたどっていく。そういう物語です。はっきりと端的に明文化できるような成長ではない部分を描いた、自立の入り口までの成長物語。

    以下、ネタバレありますので、ご注意を。

    こういう物語を読むと、自立にはある種の慎重さや段階を踏んでいく過程がほんとうならば必要なんだろうな

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    2023年07月02日
  • ひとり日和

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    するする読めた。何かが劇的に変わるわけでもなくただ時間は過ぎていく。じゃあ何も変化はないのかというとそういうわけでもない。ぼんやりとそんなお話だった。
    読後感は個人的に好きなタイプのものだった。電車の車窓に額をつけて家を眺めるシーンとか良かった。

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    2023年05月08日
  • みがわり

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    作中の作家の鈴木さん(本名園州律さん)とその友人の繭子の関係が如月百合・九鬼梗子姉妹の関係と何となく相似形に見えるなぁとか、作中の小説と現実世界の境界が段々曖昧になるのが面白い!などと気楽な感想を持ちながら読み進むうち、梗子の狂気がついには臨界点を越えた・・・のかと思ったら、え?そっからですか?と意表を突かれる。

    さて、梗子は今、どんな物語を生み出しているのだろうか。

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    2023年04月10日
  • みがわり

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    後半から一気に畳みかけてくるような展開にくぎ付けになった。
    物語の終わりまで、気を抜くと背後からバールで殴られそうな緊張感を持ちながら読むことが出来た。

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    2023年01月23日
  • はぐれんぼう

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    クリーニング店の『はぐれんぼちゃん』
    人は生きているといろんな荷物を背負うけれど、近くに置いていたいものもあれば、少し距離を置いておきたいものもある。背負いきれないものは一度捨ててしまってもそれは間違いなく人生の瞬間では一緒に過ごしたもの。

    知らぬ間に増えていった荷物も
    まだなんとか背負っていけるから
    君の分まで持つよ だからそばにいてよ
    それだけで心は軽くなる

    なぜかMr.Childrenの『GIFT』がしっくりくる青山七恵さんの『はぐれんぼう』でした。

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    2023年01月21日
  • 私の家

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    自分が今住んでいる家に大きな不満はなくとも、どこか違うところに本当の家があるんじゃないかと頭の片隅にある人たち。家族、親戚を通して見る家。様々な記憶と体験の共有とズレ。一話ごとに語られていくそれぞれの生活とこれから。家というものと家族を通して見えてくる自分。淡々とだけどそれだけでは過ぎていかない人生が読後も残る。

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    2023年01月14日
  • はぐれんぼう

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    ネタバレ

    孤独の沼の底をともに歩いてくれる本だ。一緒に歩く煩わしさをわかっている者の距離感を保ちながら、旅は道連れ、と気配だけが届くような本だった。
    結末は……どうなんだろう。どうなんだろうと思うことがそのまま、自分はどうありたいんだろうという考えに繋がっていく。
    久しぶりに純文学を読んだと感じた。

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    2022年12月18日
  • はぐれんぼう

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    著者初読み。
    不思議なお話だったが、見事に吸い込まれていった。

    持ち主がこない衣服、ふとそんなことを考えたこともあったような、そんな懐かしい気持ちもあり(クリーニング店とは全く関わりがないのに(笑))。
    そういえば昔、預けたお気に入りのサマーセーターが無くなったこともあったなっと、クリーニングを超えて昔の洋服へと思いが続く。

    結末も不思議なものだったが、やっと旅が終わったのかといった感慨。

    また、自作を読みたいと・・・楽しみだ。

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    2022年12月01日
  • 風

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    短編が3つと見返しのショートストーリーだが、女性の視点で身近な出来事を冷静に見つめていると感じた.踊れない優子の生活を綴った「ダンス」は平凡な結末だと感じたが、「二人の場合」の阿川美加と小山田未紀の話は楽しめた.同期入社で売上成績の悪い二人が、普通の女性たちの行動を女嫌いの視点で非難しながら歩んでいくが、未紀がオーストリアに移住し、美加が結婚し女児を出産したことで、二人の思いがすれ違う.女同士の友情の終焉を見た感じだ.表題作は我儘は姉妹がお互いに勝手に生きながら、お互いに干渉し合う、男には理解できない世界だ.

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    2022年09月19日
  • はぐれんぼう

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    ネタバレ

    読み終わってこの作品はSFファンタジーとして読んでしまいました。
    クリーニング店で働く主人公優子が長く引き取りのないクリーニングを持ち主に戻す展開から息もつかせぬテンポで旅をして、いろいろな出会いなど読む手が止まりませんでした。
    そしてクリーニング倉庫での摩訶不思議な事ばかり、子供たちが燃料燃焼のためのスイッチを押すシーンではSF映画を見ている感覚になってしまった。ラストはどうなるか読んでからのお楽しみ。続きがあるような予感ぜひ期待しています。

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    2022年09月08日
  • 窓の灯

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    窓の灯がデビュー作ということでこれから読み始めました。内面の描写が上手く例えられており、ストーリーもなんでもないことを文学的に描かれており好みの小説でした。この作品以外の作品もぜひ読んでみたいと思わせる作品でした。

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    2022年08月20日
  • ひとり日和

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    日常の描写が細かく、読んでいてその空気感がスッと入ってきた
    主人公は自分の人生をどこか他人事で無責任的に考えていて、けれど一方で新しい仕事をなんだかんだやっていたり、そうやって微妙な心持ちで生活や年月って進んでいくんだよなぁって思った
    吟子さんはとても穏やかに生活してるように見えるけど、恋人が海外に帰ってしまった時なんかは、今の主人公よりも泣いたかもしれない
    そんな事も、積み重ねてきた年月の中の1つになっていくのかな、と
    生まれてから死ぬまで人はひとり、とはよく言ったものだけれど、この本を読んでもそれを感じた

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    2022年06月23日
  • 繭(新潮文庫)

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    マイがどこまでも狂っててやばい女なのかと思いきや、ミスミもなかなかいかれてて、怖かった。
    キコちゃんの平凡な人生平凡な自分に嫌気がさして、何か特別な不幸を待っている可哀想な自分になるの、なんとなく分かるな。
    マイちゃんは、ミスミの怯えている目の奥に怯えている自分を見つけてしまって止まらなくなったのかな。

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    2022年05月30日
  • ひとり日和

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    優しい話

    ダメな自分にそっと寄り添う、それだけがいい。
    心配とか干渉とかおせっかいとか、そんなものよりも
    いい。

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    2022年05月26日
  • ラブソングに飽きたら

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    山内マリコさん作品記録 11

    超遅咲きDJの華麗なるセットリスト全史
    (山内マリコさん)と
    雨宿りの歌(あさのあつこさん)が
    印象的。

    こういった短編集でないと出会えない、
    出会わなかったであろう作家さんの
    作品も読むことができて良かった。

    川上未映子さんの作品は
    わたしにはまだ難しいな、、
    もう少し大人になったら分かるのだろうか。

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    2022年03月20日
  • ひとり日和

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    母ともうまくいかず、ひょんなことから同居することになったおばあさんともうまくいかず。

    自分を好きになれず、自分に優しくできないから他人にも優しくできない。
    そんな状況の主人公。少し諦めつつも、それでもその状況から抜け出したい。前に進みたい。そんな悶々とした気持ちと正面から向かい合い、初めて周り人の大切さに気づき、再生をしていく過程を描いた本作品。

    主人公が女の子ってこともあって女性向けみたいな雰囲気はありますが、そんなことはない。
    男だろうと女だろうと、年齢問わず、少なからず抱いている葛藤からの脱却。

    読んでて主人公に共感しつつ、後半に向けて頑張れと励まし、最後には自分のことのようにすっ

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    2022年01月06日