青山七恵のレビュー一覧
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ネタバレなかなかイヤミスなホラー小説でした。
37歳にして中古マンションを買おうと思い立つ小説家の女性。マンション内見には、まだ『前の家族』である若い夫婦と幼い姉妹の小林一家が暮らしていた。彼らは長年住んだこのマンションを離れ、近くの新築一軒家に引っ越すという。
購入を決意した主人公は、リフォームを終え、新生活が始まったが…ある日、新居に前の家族が押しかけてきて、以来、食事やお泊まり会に招かれることになる。そして奇妙な出来事が次々と起こり始め、日常が侵食されてゆく…
賃貸マンションに住んでいた際に、前はどんな人が住んでいたのかなんて、考えたことも無かった。不動産屋に聞いたところで、今は教えてもらえな -
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青山七恵『前の家族』小学館文庫。
初読み作家。
トラウマ級の結末が待ち受ける恐怖のマイホーム奇譚という触れ込みであるが、そこまでではなかった。ストーリーはまあまあ面白い。
じわじわと迫り来る恐怖に身構えるも、殆ど恐ろしいことは起こらず、結末に描かれる有り得ない真相に少し驚くという感じなのである。
ホラー小説というよりは、マイホームにまつわる奇妙な話というのが正解だろう。
37歳になる小説家の猪瀬藍はマイホーム購入を思い立ち、近所の気になるマンションに内覧に行く。そのマンションの部屋には若い夫婦と幼い姉妹の小林一家が暮らしており、一家は12年間住んだこの部屋を離れ、近くの新築一軒家に -
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日常の中の忘れてしまいそうな些細なエピソードを大切に掬い上げたような6つの短編。
淡々とした文章だけれど、引き込まれて読んでしまっていた。
「うちの娘」
ついつい気になる人っているよね。そしてその人の人物像や背景を勝手に考えたりして。けれども実際は接点を持たないことの方が多いかも。「思い込み」って時に人を不快にさせたり、恐怖や怒りを与えかねないから気をつけようと思った…
「ニカウさんの近況」
取引先とのメールで、本来入らないメールにCCに入ってしまってて、でもCCだからあえて間違ってますよ、とも言わないのあるある。でもこういう私信的メールではないかな。そんなメールから繰り広げられる話。世界 -
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ほぼ何も起きない日常の中で、心の葛藤がある。面白いかどうかは別だけど、それが人生ということかもしれない。別れて、落ち込んで、おばあちゃんの家に居候している女性。70を超えたおばあちゃんが、恋愛し、旅行し、レストランでご飯を食べる。でも老いは確実にきている中で、張り合うように人生を見つめる主人公。だんだん本音を話し、居心地が良くなってくるのを感じながら、新しい彼とうまくいかなくて別れも予感しながら、それでも進み、傷つく。良いことよりも悪いことの方が多いと感じていても、でもおばあちゃんに言わせると、良いところ、素敵な思い出がたくさんあるからと、今と向き合うことを教えられる。素直ではないけれど、少し
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長野の山麓で、作家の母親と3人で暮らす双子の姉妹、ハッチとマーロウ。小学校5年、11歳の大晦日に、母親が突然「明日から母親をしないから、自分たちでしっかり生きていけ」と宣言し、引きこもってしまう。料理やラジオ英会話をしながら、小学校の最終学年に向かっていくが…。
タイトル+表紙でジャケ買いし、内容もそのままという感じで楽しい1冊。最初はぼんやりとしているが、純日本人の双子で、出身は東京の長野県育ちである。時々母親に連れられて東京に行く。
内容は、まあ児童文学という感じで、破天荒な転校生が現れたり、生理をからかう男子に激怒したりと、小学生ならではの波乱万丈な日常。それに加えて、ダメ人間になっ -
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青山七恵さんの六編の短編集。単行本は2010年に第一刷発行でした。
『お別れの音』というタイトルが、とても好きな感じで、手に取りました。
お別れと言っても、この本で描かれているものは、長年親しい人とのものではありませんでした。一緒に仕事をしていた人、靴の修理をしてもらった人、職場で気になった人、記憶にないのにメールを送ってくる人、さほど話をしたことがなかった大学の同級生、旅先でお世話になった人とのお別れです。こういうのもお別れというのなら、毎日色々な人と出会っては、別れているなと思いました。どこかでこんな感じのことが起きてる、そんな話の数々でした。私は淡々とした生活のなかでの出来事が描かれ -
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過去を「日常」という道として振り返るとき、そこにあったはずの起伏やひび割れや分岐は、「日常」という言葉によって平坦で起伏のないダラダラと続く一本の道のように平されてしまっている気がする。そうやって「日常」に覆い隠されてみえなくなってはいても、過去のそこかしこには、小さな、感情の揺れやあきらめ、それらに由来する言動や決断は絶対にあったはずで。そんな「日常」に隠されてしまった小さくて歪な、だからこそ忘れてしまっているような部分を大切にすくいあげ、丁寧に物語ったような短編小説たち。特に冒頭にある「新しいビルディング」という一編。
その短編を読み進めるうちに、わたしの日常の端も少しだけめくられる。この -
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ネタバレ⚫︎感想
20歳の知寿。生活、恋愛、母との関係、老人世代に思う事…それら全てが未熟でなんとなく不安がつきまとう、そんな若かった頃のことを思い出させてくれる一冊。人との別れと出会いを象徴として描かれる駅が、部屋から見える。その駅へも遠回りしないと行けない。キオスクで働き出した知寿は、仕事場の駅に留まったまま…だったが、キオスクを辞め、新たな生活を始める。知寿の日常の中にメタファーがうまく取り入れられていて、よく考えられた作品だと感じた。諸行無常。どんなに曇っていても、状況は自分の意思、それ以外でも否応なく変化する。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)20歳の知寿が居候することになったのは、71歳の
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