青山七恵のレビュー一覧

  • 前の家族

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    ネタバレ

    なかなかイヤミスなホラー小説でした。
    37歳にして中古マンションを買おうと思い立つ小説家の女性。マンション内見には、まだ『前の家族』である若い夫婦と幼い姉妹の小林一家が暮らしていた。彼らは長年住んだこのマンションを離れ、近くの新築一軒家に引っ越すという。
    購入を決意した主人公は、リフォームを終え、新生活が始まったが…ある日、新居に前の家族が押しかけてきて、以来、食事やお泊まり会に招かれることになる。そして奇妙な出来事が次々と起こり始め、日常が侵食されてゆく…

    賃貸マンションに住んでいた際に、前はどんな人が住んでいたのかなんて、考えたことも無かった。不動産屋に聞いたところで、今は教えてもらえな

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    2025年11月11日
  • すみれ

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    久しぶりに短めの小説。
    芥川賞作家さんは苦手意識ありましたが、とても読みやすくて胸が苦しくなる、素敵なお話でした。

    ふつう、ってなんだろう。
    レミちゃんは「ふつうの人と違う」ところがある。違う、というか、とても繊細で感情に素直。ふつうってなんだろう。ずっと引っかかりながら読み進めた。誰の視点になるかによって「ふつう」は変わる。私はレミちゃんで藍子だった。
    読み終わってからしばらく呆然とした。余韻。最後の言葉を繰り返し噛み締めていたら涙が出てきた。染み渡る文章がじんわりとよかった。

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    2025年10月28日
  • 記念日

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    登場人物の誰をも応援する気にならない?親しみを覚えない?そんな感じで読み進めた。名前がカタカナなのはなぜ?とも。
    3人目の主人公、乙部さんだけが感じ。幸子さんと下の名前も出てくる。その息子も、カタカナから漢字になる。
    それは、そのことによって、何かを意図しているんだろうが、わからないまま…

    とここまで書いて、他の人の感想を読んだら、多くの人が「共感できない」的な感想を持っていて、なんか、ドヤ顔。

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    2025年10月26日
  • ひとり日和

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    4.0/5.0

    大人と子供に挟まれた時期の少女の、やるせなさや漠然とした不安、他人への憧れみたいなものが、あまり大袈裟過ぎない、柔らかいタッチで描かれていると感じた。

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    2025年10月18日
  • 前の家族

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    ストーリーは結構面白い!
    でも、大どんでん返しがあるわけじゃなく、じわじわと不安な、不気味な感じ。
    やっぱり、生きてる人間が1番怖いね( ´∀`)

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    2025年08月18日
  • 前の家族

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    青山七恵『前の家族』小学館文庫。

    初読み作家。

    トラウマ級の結末が待ち受ける恐怖のマイホーム奇譚という触れ込みであるが、そこまでではなかった。ストーリーはまあまあ面白い。

    じわじわと迫り来る恐怖に身構えるも、殆ど恐ろしいことは起こらず、結末に描かれる有り得ない真相に少し驚くという感じなのである。

    ホラー小説というよりは、マイホームにまつわる奇妙な話というのが正解だろう。


    37歳になる小説家の猪瀬藍はマイホーム購入を思い立ち、近所の気になるマンションに内覧に行く。そのマンションの部屋には若い夫婦と幼い姉妹の小林一家が暮らしており、一家は12年間住んだこの部屋を離れ、近くの新築一軒家に

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    2025年07月08日
  • やさしいため息

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    再読。
    大した出来事でなくても思いがけず人の心境は変化していく。
    その時その人がどんな表情をしていてもその姿は煌めき、額に収めたいほどに美しい。
    目を凝らさないと気が付けないそんな瞬間を切り取るのが本当に上手いなと改めて思った。

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    2025年06月29日
  • お別れの音

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    日常の中の忘れてしまいそうな些細なエピソードを大切に掬い上げたような6つの短編。
    淡々とした文章だけれど、引き込まれて読んでしまっていた。

    「うちの娘」
    ついつい気になる人っているよね。そしてその人の人物像や背景を勝手に考えたりして。けれども実際は接点を持たないことの方が多いかも。「思い込み」って時に人を不快にさせたり、恐怖や怒りを与えかねないから気をつけようと思った…

    「ニカウさんの近況」
    取引先とのメールで、本来入らないメールにCCに入ってしまってて、でもCCだからあえて間違ってますよ、とも言わないのあるある。でもこういう私信的メールではないかな。そんなメールから繰り広げられる話。世界

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    2025年06月14日
  • 記念日

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    登場人物達の不器用さや自己主張の強さ、真面目さがお互いの居心地の悪さに繋がっている感じがしましたが、根底はなんとなく似ている人たち。息苦しさを感じつつも、先の展開がどうなるのかと気になり、グイグイとひき込まれました。装丁と内容が良い意味でちょっと違う感じですが、好きな物語でした。

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    2025年06月12日
  • 記念日

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    ネタバレ

    結構とんでもない作品だった。ミナイみたいなまさに無神経な人と共存生活できないし、ソメヤのようにミナイの言いなりになっておばあさんの頼みを聞いて引きこもりのような中年男とデートしたり、私には到底無理だし、おばあさんの息子の元カノのようなものへの未練は狂気的で…そう、まさに狂気。疲れる本だったけど面白かった。そしてこの作品に記念日とつけた著者のセンスも好き

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    2025年05月30日
  • 窓の灯

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    青山七恵のデビュー作。まりもとミカド姉さんの少し不思議な関係性に惹かれた。書き下ろしの短編も良かった。

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    2025年04月27日
  • ひとり日和

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    ほぼ何も起きない日常の中で、心の葛藤がある。面白いかどうかは別だけど、それが人生ということかもしれない。別れて、落ち込んで、おばあちゃんの家に居候している女性。70を超えたおばあちゃんが、恋愛し、旅行し、レストランでご飯を食べる。でも老いは確実にきている中で、張り合うように人生を見つめる主人公。だんだん本音を話し、居心地が良くなってくるのを感じながら、新しい彼とうまくいかなくて別れも予感しながら、それでも進み、傷つく。良いことよりも悪いことの方が多いと感じていても、でもおばあちゃんに言わせると、良いところ、素敵な思い出がたくさんあるからと、今と向き合うことを教えられる。素直ではないけれど、少し

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    2025年01月01日
  • ハッチとマーロウ

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    長野の山麓で、作家の母親と3人で暮らす双子の姉妹、ハッチとマーロウ。小学校5年、11歳の大晦日に、母親が突然「明日から母親をしないから、自分たちでしっかり生きていけ」と宣言し、引きこもってしまう。料理やラジオ英会話をしながら、小学校の最終学年に向かっていくが…。

    タイトル+表紙でジャケ買いし、内容もそのままという感じで楽しい1冊。最初はぼんやりとしているが、純日本人の双子で、出身は東京の長野県育ちである。時々母親に連れられて東京に行く。

    内容は、まあ児童文学という感じで、破天荒な転校生が現れたり、生理をからかう男子に激怒したりと、小学生ならではの波乱万丈な日常。それに加えて、ダメ人間になっ

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    2024年12月31日
  • お別れの音

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    青山七恵さんの六編の短編集。単行本は2010年に第一刷発行でした。

    『お別れの音』というタイトルが、とても好きな感じで、手に取りました。

    お別れと言っても、この本で描かれているものは、長年親しい人とのものではありませんでした。一緒に仕事をしていた人、靴の修理をしてもらった人、職場で気になった人、記憶にないのにメールを送ってくる人、さほど話をしたことがなかった大学の同級生、旅先でお世話になった人とのお別れです。こういうのもお別れというのなら、毎日色々な人と出会っては、別れているなと思いました。どこかでこんな感じのことが起きてる、そんな話の数々でした。私は淡々とした生活のなかでの出来事が描かれ

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    2024年11月23日
  • お別れの音

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    過去を「日常」という道として振り返るとき、そこにあったはずの起伏やひび割れや分岐は、「日常」という言葉によって平坦で起伏のないダラダラと続く一本の道のように平されてしまっている気がする。そうやって「日常」に覆い隠されてみえなくなってはいても、過去のそこかしこには、小さな、感情の揺れやあきらめ、それらに由来する言動や決断は絶対にあったはずで。そんな「日常」に隠されてしまった小さくて歪な、だからこそ忘れてしまっているような部分を大切にすくいあげ、丁寧に物語ったような短編小説たち。特に冒頭にある「新しいビルディング」という一編。
    その短編を読み進めるうちに、わたしの日常の端も少しだけめくられる。この

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    2024年11月21日
  • ひとり日和

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    知寿、吟子さんの関係性が素敵。
    年寄りをバカにしてた知寿が段々と
    吟子さんに憧れのような感情を抱いていく。

    知寿は吟子さんと一緒に住んで、失恋もして
    徐々に人間的に成長していく。
    文章が読みやすくて2人とも可愛い!

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    2024年09月28日
  • あかりの湖畔

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    主人公の灯子の性格によるものか静かで落ち着いていて、少し暗くてもの寂しい物語。でも綺麗で、読んでいて気持ちのいい小説でした

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    2024年09月23日
  • ひとり日和

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    20歳の知寿。生活、恋愛、母との関係、老人世代に思う事…それら全てが未熟でなんとなく不安がつきまとう、そんな若かった頃のことを思い出させてくれる一冊。人との別れと出会いを象徴として描かれる駅が、部屋から見える。その駅へも遠回りしないと行けない。キオスクで働き出した知寿は、仕事場の駅に留まったまま…だったが、キオスクを辞め、新たな生活を始める。知寿の日常の中にメタファーがうまく取り入れられていて、よく考えられた作品だと感じた。諸行無常。どんなに曇っていても、状況は自分の意思、それ以外でも否応なく変化する。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)20歳の知寿が居候することになったのは、71歳の

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    2024年08月25日
  • 窓の灯

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    主人公の身に何も起こらないけど、だから淡々と過ぎていく日常のやり切れなさや、一度は感じる自分への嫌悪感に共感できる。

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    2024年06月10日
  • ひとり日和

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    高校を卒業したばかり、自分の何者でも無さにつまづき、せつない別れをいくつか経験し、傷つき、それでもこれから自分の人生を作っていかないといけない、そんな期間の物語です。

    吟子さんとのやりとりの中で主人公は成長し、前を向かないと、と頑張ります。

    みずみずしい感受性で描かれた、どこか懐かしい青春小説です。

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    2024年04月06日