あらすじ
ままならず、愛おしい、たったひとつのこの体。
「早く年を取りたい」と願う23歳のミナイ。
ガタがきはじめた肉体に翻弄される42歳のソメヤ。
キャリーを押して歩く76歳の乙部さん。
ひょんなことからルームシェアをすることになった、ソメヤとミナイ。
噛み合わぬ日々を送る中、突然、ミナイから不思議な提案がなされる。
――「明日から、おばあさんになってみませんか?」
やがて本物の「お年寄り」である乙部さんも加わり、
年齢も性格も職業もばらばら、本来交わるはずのない女性三人の人生が絡まりもつれ、転がり始め・・・・・・。
他者との交わりが日常にささやかな灯をともす。
代わり映えしない生活を寿ぐ、小さなハレの日の物語。
【著者略歴】
青山七恵(あおやま・ななえ)
1983年、埼玉県生れ。筑波大学図書館情報専門学群卒業。2005年「窓の灯」で文藝賞受賞。2007年「ひとり日和」で芥川賞受賞。2009年「かけら」で川端康成文学賞を受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『すみれ』『めぐり糸』『風』『ハッチとマーロウ』『私の家』『みがわり』『はぐれんぼう』『前の家族』などがある。
感情タグBEST3
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最初は違和感
登場人物たちの感情についていけない
でも第一印象が良くないのに、相手を知るためにさらに交流を続けるとか謎の行動をとるのを、はああ?と思いながら読んでいく
3人めのさっちゃんのあたりから、頷く部分も出てくる
年をとると、『心が広くなるどころか狭くなる一方だし、我慢できないものが増えてくるし辛抱する元気もなくなる』とか、ホントそう。
ニコニコして、なんでも肯定して受け入れてくれる年寄りって、もう幻想世界にしかいないのでは。
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登場人物の誰をも応援する気にならない?親しみを覚えない?そんな感じで読み進めた。名前がカタカナなのはなぜ?とも。
3人目の主人公、乙部さんだけが感じ。幸子さんと下の名前も出てくる。その息子も、カタカナから漢字になる。
それは、そのことによって、何かを意図しているんだろうが、わからないまま…
とここまで書いて、他の人の感想を読んだら、多くの人が「共感できない」的な感想を持っていて、なんか、ドヤ顔。
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登場人物達の不器用さや自己主張の強さ、真面目さがお互いの居心地の悪さに繋がっている感じがしましたが、根底はなんとなく似ている人たち。息苦しさを感じつつも、先の展開がどうなるのかと気になり、グイグイとひき込まれました。装丁と内容が良い意味でちょっと違う感じですが、好きな物語でした。
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結構とんでもない作品だった。ミナイみたいなまさに無神経な人と共存生活できないし、ソメヤのようにミナイの言いなりになっておばあさんの頼みを聞いて引きこもりのような中年男とデートしたり、私には到底無理だし、おばあさんの息子の元カノのようなものへの未練は狂気的で…そう、まさに狂気。疲れる本だったけど面白かった。そしてこの作品に記念日とつけた著者のセンスも好き
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肉体の実感を持ちたい?生きる実感を得たい?そんな女性たちの話?
という感じで、いまひとつテーマを絞りきれませんでした。ミナイに全く共感できないこともあり正直前半きつかった。
後半からふわっと面白くはなりましたが、結局何がテーマだったのか…不明な読後感
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ソメヤさんの、自分がなく流されまくって結果的に卑屈になってる様子にイライラしたり、ミナイの脈絡のない言動に唖然としたり、乙部さんのまあまあな身勝手ぶりにへきえきとしながらも、絶対に交わらなそうな人たちがなぜかつながっていく様子が、ありえないようで、もしかしたら現実はこうかもと思ったりもした。
現実の他人とのつながりって、決して共感と理解の上になりたってるわけじゃない。
社会のなかで生きていれば、絶対に分かり合えないと思う人とつながることもあるし、他人にはきっと解ってもらえないだろうと思う自分だけの感覚や気持ちを抱えながら人と付き合ってる。
共感できなかったり分かり合えないことを理由に人とつながらないって、もしかしたらもったいないことなのかもしれないと思った。
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何の記念日だったんだろう。他人との繋がりってどこでできるかわからないもんだ。乙部さんと知り合ったのも偶然で、1回きりの付き合いっぽかったのにね。
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不思議な空気感流れる小説。
ただ老女の心の中はひしひしと伝わってきた。ワタシも仲間入り近いのか?
ところどころでこの表現の仕方がいいなぁって思う事多し青山七恵さん。
Posted by ブクログ
42歳のソメヤと23歳のミナイのルームシェアから始まるストーリー。ミナイの年をとりたい願望が76歳の乙部さんへとうつり、不思議な内容だ。文章が流れるようなので長い話だがすぐ読めた。年を取る感覚はこんな感じなのだろうな。
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日本語を大切にする作者。吟味された言葉が紡がれていく文章はとても素敵。長い話ではあるが、それを保つだけの強度を備えたストーリーとキャラクター。不思議な作品である。3.6
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乙部さんと息子とソメヤさんとミナイさんとロミと。
面白く読んだんだけど、テーマはよくわからない。
でも年配の独身息子と暮らす乙部さんと私は同じかも。息子、早く幸せに、私は一人でも大丈夫。できたら、ソメヤさん達のような知り合いできるといいな。
Posted by ブクログ
ためになるでもものすごく共感できるでもないんだけど笑
とてもひきこまれて、グイグイ読んだ。
冴えない中年女性、ソメヤさん。いつもすみませんと謝ってばかり。老いたい、老いを研究するミナイさん。無職の中年男性の息子正雄と二人暮らしのおばあさんサッちゃん。3人の女性の話だが、無茶苦茶なミナイさんや、失礼なサッちゃんなのになぜか憎めない。正雄もいい男ではないのに、憎めない。不器用な登場人物たち。ハリーまさおとか言葉選びに笑った。
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芥川賞作家ということで読んでみた。3人の女性の、あるようでないような不思議な関係とその日常が描かれて、最後まで面白いのかそうでないのか、わからず。こういう場合は、面白くないということ
Posted by ブクログ
帯から受けた印象とはまったく違った展開。
「小さなハレの日」そして「記念日」とは。
出てくる誰にも共感できず、好ましさも持てなかったが、なぜか読後感はさほど悪くもない不思議。