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青山七恵さんは『ひとり日和』が好きなのと私と同世代ということでこの小説を読んでみようと思いました。この方の文章はやっぱり好きです。後半に収録されている磯崎憲一郎さんとの特別対談もとても良く、私も小説書いてみようかな!!なんて思ってしまったほどです。
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気負わず読める小説。
ちょっと踏み出してみたり、前向きになんでもやってみたり。失敗してもまあいいかと思えるときもあるし、逆にひどく落ち込むときもある。
上手くいったりいかなかったり。一辺通りに日々は過ぎていかない。そんな感じのはなし。
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人の作品に例えるのはどうかとおもいつつ、読み終わった後で島本理生「リトルバイリトル」を思い出した。ストーリーが似ているのではなく、個人個人で人生をおくる中でいろんなことは起きているのに、ごく身近な周囲以外は「いつもどおり」に過ぎていく。ミニマムな世界の、でも人ひとりにとっては大きな話。誰かが救われたり何かが変わるわけじゃない。ラスト、弟の所在にはぐっと来た。こういうオチを書けるのは才能だと思う。
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17/03/25 (22)
『ひとり日和』の延長のよう。さみしい人生。それでもふとつくため息はこんなにもやさしい。
・「うん。じゃあとりあえず、さよならまどか。アディオス。アデュー。さよなら」
「はい。バイバイ」(P31 やさしいため息)
・靴を脱いだら、コンタクトをはずして、服も脱いで、さっさとお湯につかって寝てしまおう。風太のノートなどもういらない。自分の生活がどう記録されようともう興味はない。本当の人生はこんなにもつれなくて、安全だけどもどこまでも不毛だ。(P109)
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代わり映えのしない毎日。なんの盛り上がりもないけれど少しずつ確実に物事が前進。そんな毎日だけど、寂しかったり、孤独だったり、喜び、驚きだったり。心はおsれなりに動いている。小さな日記の嘘の真意。勇気を出して一歩踏み出すヒロイン。何を考えているのか今ひとつ分からない弟。なんでもない日常の断片に光をあてながら、そこから広がる世界を静かに見つめる。
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人との距離感。
とか、空気。
とか、意味の分かんない気遣いと気づかれ。
とか、誰かと一緒にいる時間を持て余す感じ。
とか。
すごくリアルに、じんわり伝わってくる。
無関心で執着心のない風に装っているけど、ほんとはすごく気になるのだ。
こんな風に思ってるのって、私だけじゃないかも。。
じゃあどうして、私はみんなと同じように、恋愛したり、結婚したり、子育てしたり、できないんだろう。
無言の何とも言えない空気の間に流れてくる生活音に存在意義があってすごく良い描写だなって思った。
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表題作、起伏のない代わり映えしない日々でも、その変わらない事が救いになるのかもしれない、と思いました。
他人の日常を記録する、ってえっと思いますが、風太はそこに自分の主観を入れずに淡々と記録しているので誰も嫌悪感みたいなものを抱かないのだろうな。勝手に幸せ・不幸せとか評価されてたら嫌だけど彼はそれをしない。
どうしても物事をややこしく考えてしまう人はいるので、こうやって軽く「やってみればいいじゃん」みたいに言われると(やってみよかな)となれる気がします。やりたくない事は無理してやらなくていいけど。。
緑君、こういう人居るんだろうなと思いました。亀を飼っている所で、植物みたいなある人を連想しました。
「松かさ拾い」、主人公は苦しい恋愛ばかりしてるんだろうなと思いました。ナッツを口実にしているけど、小日向さんへも抑えつけてるだけで気持ちありそう。気付いてて付き合ってくれてる西君は優しいな。
ぼんやり読みましたが、どちらの主人公も幸せになってくださいと思います。妙に現実味が感じられたので、現実にいるこういう人たちも。
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やさしいため息というのは、呆れつつも受け入れてる状態だったり、良い意味で諦めがある場合につくため息のことだと思う。主人公も弟も今のままで駄目なことは分かっているけど、小説にあるように人は容易く変われない。でも、外部の働きかけや自分の意志でたまに普段と違う行動をとったりすることを繰り返して、少しずつ変わったり、変わらない部分は諦めがついていったりする。そうやって徐々に失望のため息からやさしいため息に変わっていくのが人間の成長なのかなと思う。自分が変わる順序としてまず諦めが必要な場合もある。主人公に自分と重なる部分がありすぎて嫌な汗が出るのを感じながらの読書だったが、この読書経験も自分の変化への1ステップだといいなとかそんなことを思った一冊。
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冬のひだまりみたいな、静かな物語でした。
たしかに、風来坊な弟が登場して、誰かの人生を毎日綴り続ける、なんてちょっと変わった設定はありますが、基本的には何か大きな事件が起こるわけではなく、淡々とした日常が続いていきます。
人付き合いが得意ではない主人公が、職場での人間関係にもやっとしたり、ちょっと気になる人ができたり、とにかく不器用なところに共感を覚えます。
青山さんの文章はたまにすごくリアルな質感を持っていてドキっとするのですが、気になる人にメールを送ろうか迷って迷って、えいっと送った後の表記とか、すごくわかるなー!と。
“送信ボタンを押した。押した瞬間、電波がこの狭い浴室の壁に跳ね返って、戻ってくればいいと心から思った。気づかないでほしい。いい返事がもらえないなら、返事もしないでほしい。“
本書は表題の「やさしいため息」と、「松かさ拾い」の2作からなっています。
「松かさ拾い」の方が「一人でいる」ことの輪郭が濃くて、登場人物は他にもたくさんいるのに、青山さんのこうした「一人」に焦点が当てられた作風が疲れたときにはほっとします。
最後は磯崎憲一郎さんとの対談ですが、こちらも読み応えあっておすすめです。
小説をすこし、書いてみたくなる対談です。
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今まで受け入れていた日常の、すっぺりとした平板さに気付いた時、それをそのまま受け入れることが難しい時が、確かにあるなぁ、と思う。ただ私は、そこを通過してしまったとも思った。
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友達もおらず恋人も別れた主人公のもとに、行方不明だった弟が唐突に現れる。
弟との共同生活の中で自分の空虚な日々を見つめ直すお話。
主人公は等身大のOL、という感じ。
最近の文芸作品には多いなあというタイプ。
悪くはないけど生温いお湯の中にいる感じで、ぼんやり。
寂しさがわかりやすすぎる。
もうちょっと毒のあるものが好み。
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「今日はどんな一日だった?」
そうたずねてくる弟・風太は
姉・まどかの「日記」をつけている。
なかなか前へ、感情を表へ、中へ入っていくことが
ニガテなまどか。
いつも両親やまどかを振り回して、
突然行方知れずになったかと思ったら
4年ぶりの姿を現した
型破りな風太。
淡々と描かれている
風太の書いた「日記」のなかのまどか。
まどかが少しずつ
自分の日常の輪郭をふちどって
自分自身を見つめ始めたとき、
風太には
誰とも溶け合えない孤独をみる。
自由を感じれなくても
自由だと思っていても
やっぱりどこかでため息。
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*引用*
「でも、ひさびさにあっても、ちゃんと自分から人生をややこしくして面倒なふうに考えてるまどかは、なんか感動的だよ」
「でもあたし、いろいろ考えるの疲れた。あたし、ずるしてもいいから、楽したいよ」
―― 『やさしいため息』 p.126
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友人や親しく言葉を交わす同僚のいない夕飯にはまじりっけなしの素うどんを食べる姉としばらく行方不明だったが突然部屋に転がり込んで姉の観察日記をつけ始めた弟。そして弟の友人で他人と関係しようなどとはまったく望んでいない緑くんの物語。さらっとしつつも癖のある人物が語られているが淡々と判で押したような日常を描いている。だがうっかり引き込まれて一気読みした。ディテールはともかくどこにでも転がっていそうな日常だがそれがいい。
ただ、本筋とは関係ないが学食の素うどんでもほうれん草とかまぼこは入ってたような気がする。寂しい夕飯は心配なほどでそれが気になった。いや、これこそがこの姉の人物像をよく表しているところなのかもしれない。
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今日一日のできごとがたった数行の走り書きで済んでしまう、そしてその数行のコピペが繰り返される日々の まどかさん。
「これから起こるかもしれないいろいろのことについて、どれだけ考えをめぐらせても起こるべきことは起こるし、起こらないことは起こらない。その場その場でどうにかなるものだ、きっと。それに、うまくいかなかったっていい。」 と、いっときの気持ちの高ぶりをもったものの・・・。
一人はやはり寂しい。 誰かに語ってもらいたい。 数行の一日であっても。
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青山氏の本を読むのは『ひとり日和』に続いて2冊目。
全体的な雰囲気はどちらの本もかなり似ていると思う。
観察日記はアイディアとして面白いけど、展開はややご都合的で現実味が乏しい。
締め方も、なんだか唐突だ。
自分を認めたくなくて、つかなくていい嘘を思わずついてしまう。
主人公のように「自分から人生をややこしくして面倒なふうに考えてる」人はたくさんいると思う。
不器用で、一生懸命に考えてしまう人は本当に損な生き方をしているのだろうか。
青山氏の文章は、おぼろげな、人に馴染めない孤独な心をよく表現していると思う。
自分はけっこう好きだ。
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毎日同じようなことの繰り返し、代わり映えのしない起伏のない日々。日常生活の手ごたえのなさや、とりたてて希望の持てない明日にふと寂しさをおぼえたり、不安を感じたりするなんてことは、多かれ少なかれ誰にでもあることでしょうネ。そんな感情の微妙な揺らぎが、ごくありふれた言葉で、巧みに表現されています。
併録されている短篇「松かさ拾い」は、とても静かな物語でした。作家がひとつの物語を書くとき、その動機はいったいどこにあるのだろう?と、ふと気になるような小説でした。磯崎憲一郎氏との特別対談も、すごく興味深い内容でした。