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Posted by ブクログ
年を重ねれば重ねるほど、恋愛にばかり時間を割いてはいられない。いい年して色恋に打ち込んでいれば、周囲からは白い目で見られること必須である。
それでも恋愛って、楽しい。(つらいし、むかつきもする。)
潜在的には恋愛にのめりこみたい。それは思春期であろうと大人であろうと変わらないのかもしれない。
ドラマや漫画や勿論小説でも、恋愛が主軸の物語はいつだって愛されている。主人公を自分に重ねて疑似体験できるからだろう。
「いい年」になり、愛だの恋だの言っていられなくなってしまった人には、青春小説を読んで取り急ぎ満足するしかない。
そこで、青山七恵さんの『わたしの彼氏』。
主人公である鮎太朗は非常にモテる、モテすぎて不運な大学生。モテるからひっきりなしに彼女ができる。
鮎太朗も誠実にそれに応えるし、本人も一生懸命愛しているつもりだ。
それだけならつまらない話だけれど、彼はなぜか毎回女性から捨てられる。しかも熱狂的に、病的に愛された後に。その闇を探るのがなかなかに面白い作品。
ヒロインは、暴力で愛を確認するコドリさんや、死ぬ死ぬ詐欺のサッちゃん、一途すぎて怖いテンテンなど。
作中に登場する鮎太朗の三人の姉たちも、鮎太朗を虐めて、愛している。
一方鮎太朗は、優しくて、女性たちには何でもしてあげたくなってしまう。与える人。
そんな恋愛のスタンスを見ていると、鮎太朗のアイデンティティがあまりにぐらぐらしているように感じる。
鮎太朗の希薄性が彼をモテさせると同時に、女性たちの狂気を引き出しているのではないか。そして結果、捨てられてしまうのである。
鮎太朗のポジションは常に「わたしの弟」であり「わたしの彼氏」。「ぼくの姉」「ぼくの彼女」と表現できるような存在の確かさが、彼にはない。
ぐらついたアイデンティティだからこそできる軽く狂った鮎太朗の恋愛は、もしかしたら「いい年」した大人に、自身の思春期の恋愛を思い起こさせるかもしれない。
Posted by ブクログ
とにかく、吸引力がすごい。
一癖も二癖もある女ばかりを次々と惹きつける、ダイソンなみの吸引力を持つ美青年が、「振る」のではなく「振られまくる」恋愛小説です。
それにしても、石田衣良の【娼年】の主人公しかり、伊坂幸太郎の【バイバイ、ブラックバード】の主人公しかり、そして本作の主人公しかり。
こんなにも女性達を魅了してやまない男達が、そろいもそろってキャラが立ってないのは何か理由があるのでしょうか?
主人公は【ぼく】なのに、タイトルが【ぼくの彼女】じゃなく【わたしの彼氏】なのも納得の存在感の薄さです。不思議。
読んでる間そればっかり気になってしまって、肝心の主人公の【ヤヴァイ女達に翻弄されまくる恋愛事情】があんまり刺さって来てくれなかった。残念。
Posted by ブクログ
青山さんの無茶苦茶言いつつ正しすぎる美しい文章に惚れこんでいることを再認識。すきだ~
人を甘やかしすぎるやさしすぎる鮎太朗と、そんな鮎太郎に群がる甘やかされたい女たち。アンドちょっとおかしな姉たち。
鮎太朗と女たちの駄目さにもやもやはらはらしながら、その隙間に挟まるふとした文章にやられてしまう。無茶苦茶なのにいとおしい。鮎太朗のこと、憎めない。がんばれって思う。テンテンのこと好きだな。ああいう、現実の世界に自分をつなぎとめてくれる存在が誰にでも必要だ。
つまるところ、反復なのだ、誰かに救われたのならば、その瞬間から次の救い手を探さなくてはいけないのだ。こうして呪いは繰り返される。
Posted by ブクログ
オビに惹かれて&青山七恵さんは久々で購入。
うーーん。
男性がこの作品を読んだらどんな感想を抱くんだろう?
と率直に思った。
温厚誠実な好青年、鮎太郎が好きになるのは、どう考えてもヤバイ女性たちばかり。
いや、それ、罠だから!!と言いたくなる見え見えのトラップにずぶずぶ嵌まり込んでいく鮎太郎。
そして、鮎太郎の姉たちの魔女っぷり。
この作品に出てくる、フツウ!な女の子はたった一人だけ。そして、フツウが愛おしい。。。
しかし、地雷を豪快に踏んで平地にしていく(無意識にも)鮎太郎という存在は必要なんだろう……な。
ちなみに、タイトル『わたしの彼氏』は一体誰視点なんだろう、気になる気になる。
解説を読む前に思い出した『ニシノユキヒコ』も併せて読みたくなった。
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