芦花公園のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大学病院に勤める医師の主人公が趣味の怪談収集をするうちに、気づけば逃れられない「何か」に囚われているという展開は、解説で朝宮さんが述べてるように最近のホラー小説ではわりと見られる気がする(そもそもポッドキャストで朝宮さんがこの作品を紹介していたのが手に取ったきっかけ)。
ネットの洒落怖や実話怪談など、それぞれは怖くて面白いが、物語に関連性も無さそうなそれらの話。だが、読み進むうちにそれらは全てある一族のことを述べているのだと気づく。そういった好き者のカタルシスをくすぐるような形で物語に引き込む。気づけば中盤まで読んでいるから、そうなると途中で止めることは出来ない。これは一体何なのだろうか。主 -
Posted by ブクログ
物件、つまり家や土地にまつわる怪談集。
表紙に並んだ著者名を見てほしい。
どれもこれも怪談の名手じゃないか!
一作品既読があるだけで、他は全て初めて。
なんだよー全然怖くない、なんて思っていたが、やっぱり夕暮れ時から夜にかけて思い出したり読んだりするとぞわぞわする。
「牢家」は、座敷牢というキーワードに引っかかってしまうと、最後にひっくり返される。
そして、ホラーにはお決まりの(作中でも言及されているが)地元の老人が「はいっちゃいかん!止めろ!」という。
もう絶望しか無いフラグが立つ。
そしておそらくその通りになる。
が、みなまで言わず余韻を残すところは作者の技量。
大島てるの「旧居の記 -
匿名
購入済み神永学先生に「こんなにぶっ飛んだ作家は初めて」と言わしめた怪作。
もちろんホラーだし不気味なのだが、登場人物たちのおもしろさ、そして徐々に姿をあらわす恐怖の正体、とてもエンタメ性も高いです。
民俗学カルトホラーに興味がある人は絶対に愉しめる作品! -
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Posted by ブクログ
一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒 -
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ネタバレ
おもろいけど。
多分次の佐々木事務所シリーズの前日談みたいな感じでした。
千鳥烏山の内容がその後のストーリーの伏線になっているのですが、芦花先生にしては珍しく登場人物の一面とその裏側みたいな部分の表現が薄めで、作劇としても立体感が感じにくかったです。個人的には新宿編とエピローグの新宿編をもっと引き延ばして、あの人だけが居なくなった世界とそれに対する主人公の狂気っぷり、ズレをガッツリ表現して欲しかったですが、それは次回の佐々木事務所シリーズでのお楽しみ…というコトで。