あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
◼️あさのあつこ「花下に舞う」
「弥勒」シリーズ11作め。あこぎな高利貸し夫婦が殺された。死顔には驚愕の相が張りついていた。過去と現が混ざり合う。
たぐいまれな推理力を持つぶっきらぼうな同心・木暮信次郎、年上の手下で情の厚い岡っ引きの伊佐治親分、元は腕の立つ暗殺者でいまは繁盛する小間物屋の主人・遠野屋清之介が絡むシリーズも10作を超えた。児童小説のイメージがある著者が大人の時代劇を描くギャップに興味を持ち読み始めて長い。登場人物の描き方に人情とクセが見えて、なじんでしまう感覚。
徳重という金貸し、女郎上がりの後妻、お幸が自らの店で斬り殺された。夫婦共に、ひどく驚いた表情を浮かべていた。信次郎と伊佐治は調べを進める。徳重は前妻の兄弟で商売が傾いている今の屋の主・榮三郎に多額の金を貸していたが、その榮三郎が頓死、葬儀の席で悪し様に罵り催促をしたという。そして近くの長屋に住む母子家庭のお高は、恐ろしい目に遭い、恐怖のあまり伏せっていたー。
お高と同じ長屋に遠野屋の奉公人・弥吉が住んでいて、そこから清之介とつながりが出てくる。犯罪自体の下手人を探索する一方で「死の間際になにを見たのであろうか」亡くなった母に聞いた言葉が信次郎に響いてくる。
先代から仕えていた岡っ引き職人、地回りの刑事役の伊佐地はなにかと息子のような年齢の信次郎に小言を言う。清之介は商いに邁進して幸せをも感じている。しかして、2人とも、信次郎の底知れない推理力、すべてを剥がして人間の本性をさらす信次郎の能力ーその矢印は清之介にも向けられるーに魅かれている。
その黒さ、がシリーズを貫く芯となっている。あこぎさ、むごさがある反面、情も、救いも、不思議な感情も交差する。殺された夫婦には、悪辣さ、意地悪さの面とそうではない部分がないまぜになっていて、ふむ、と思った。
今回は殺人の下手人を突き止めてから、が長い。あれこれと出てくる、一見関係ないような要素はどうつながるのか、母の言葉は?二重三重の底がある物語。
リンクをどう考えるか、ちょっと出来に感じるところもあるが、なんだろういったい、と読ませる力がある作品でした。 -
Posted by ブクログ
えにし屋シリーズ。
この度えにし屋に持ち込まれたのは大店の女の縁談。一度離縁して戻って来た娘の再縁先を探してまとめて欲しいというもの。
才蔵とお初がその娘お藍について調べ始めると、初めの婚家を出た理由、その後のお藍の態度などに腑に落ちないところがあることに気づく。
お初は元夫の重蔵に会おうとするが、彼もまた
離縁の後から体調を崩していた。
二人の縁は何故切れたのか、新しい縁を結ぶことができるのか、お初達は動き始める。
実は男ながら女の形をして調査するお初と、謎めいた才蔵の活躍を描いた作品。
謎を解こうとするとまた新たな謎が出て来て意外な展開になっていく。
読み応えのある1冊。