幸田文のレビュー一覧

  • きもの(新潮文庫)

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    登場人物の語り口調がぽんぽんと軽快で、するすると読めてしまう。東京の下町の口調はきっと実際耳にしても私にはついていけないだろう…。
    三姉妹(+兄)の末っ子の半生は、進路の悩みや性格の悩み、家族との葛藤など女性なら共感できる部分も多かった。
    祖母からいろいろなことを教えてもらい生活のなかの知恵を得ていくのだが、こうした世代を超えて受け継がれていく口伝、女の知恵というものが昔は当たり前に存在していたのだろう。

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    2013年02月15日
  • 包む 現代日本のエッセイ

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    一つ読んでは唸り、また一つ読んでは唸り…
    唸りつくした1冊。見事としか言いようがない。
    昨今の小説を読んでがっかりするくらいなら幸田文さんの作品を読んでいたい。間違いがないもの。

    ちょっと自分にはついていけない…というような、細やかで独自の感じ方をされる方です。
    その感性や鋭い観察力によって心がどんなふうに動いていったかを表現する文章がまたすごい。

    名文のオンパレードで、心の中で「まいりました!」と平伏したくなることが何度あったか。

    例えば、「道ばた」の出だし。

    「茶の間は往来からたった六尺ほどひっこんでいるだけなので、外の物音や声は随分よく聞えてしまう。あまり何でもよく聞えるから、と

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    2012年10月29日
  • 包む 現代日本のエッセイ

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    幸田文のエッセイ集は数々ありますが、最初に読むのなら「包む」をおすすめします。
    「何をお包みいたしましょう」で、思いがけないお土産を大量に包んでしまった話、幸田文の父が文が結婚するにあたって相手の親の気持ちになっていろいろ考える結婚雑談、晩年になって「この人私に似ている」と思う話、可愛がっていた猫をなくしてしまう話など読みどころが盛りだくさんです。

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    2012年02月22日
  • 黒い裾

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    美しい日本語が読みたくて買いました。
    幸田文のことは「露伴の娘」で「随筆家」「着物の人」
    くらいのイメージしかなくて・・・
    でも、この本読んでひっくり返った!

    なんて雄々しい小説を書く人だろう。
    その雄々しさは明治女の雄々しさです。
    キリキリと働く。いちぶの隙もないくらい完璧を目指す。
    最高の仕事(家庭のこと)をして、
    手柄はそっと一人あるいは女同士で噛みしめる。
    そんな生き様の、なんて美しいことか。

    「私」の一人称で大作家の「父」のことを書いたりするから、
    私小説かと思うけど、どうやらフィクションらしい。
    そのへんの曖昧さも、幸田文の力量ってことなんでしょう。
    「姦声」と「段」はフィクシ

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    2011年12月14日
  • 月の塵

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    とても丁寧な文章で書かれた随筆です。

    幼いときからせまく細く生きてきた、だなんて謙遜だと思った。
    四季の移り変わりや、生活のほんの身近なことに目を向けていることのほうが、むしろ視野が広く、おおらかなことではないかと思う。
    だから、この文章を読んでいると、心穏やかな、落ち着いた気持ちになれました。

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    2013年04月06日
  • きもの(新潮文庫)

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    日常生活からこんなにも多くのことが学べるのかと驚嘆した。大正時代の話で、人間の品位みたいなものを感じ取っていく主人公が素敵。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いという態度も好き。おばあさんが主人公に対して、日常での出来事が意味するもの、各種ハレの舞台での振舞い方、人との接し方等を教えていく。それは主人公に対し手でだけではなく、私にとっても有意義なものであった。続きが気になる作品。

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    2012年08月09日
  • 草の花 現代日本のエッセイ

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    ネタバレ

    幸田文の文章にはほんとうに何度も頷かされるが、今回は特に「夜長ばなし」になるほどなあと思わされた。

    ・「(映画と違い)物語は耳からはいって眼の底で立体化され、立体化された人物たちはまことに静かにじわっと心の奥へにじみこんでくるのです。話にはスローテムポの浸みこみかたがあっておもしろいものです。」
    これはテレビと書物の違いでもあると思う。

    ・父・露伴の、ながい源平物語を語る句には「春の夜」より「秋の夜」とする方が良いという添削と、その違いを娘にわからせようとする著者への「無理におとなの承知している感覚なんかを、子供に押しつけるな。...子供が自然に秋の夜というものを理解するときを静かに見きわ

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    2012年04月07日
  • 崩れ

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    72歳、52キロの著者が、日本中の「崩れ」を見に行く。建設省富士砂防工事事務所の所長に「崩れるとか崩壊とかいうのは、どういうことなんですか」と聞くと、地質的に弱いところという答えがかえってきた。それを聞いた幸田さんは、弱い、という一語がはっとするほど響いてきたという。
    「読んだのではただ通り過ぎた 弱い が、語られてぴたりと定着し、しかも目の中にはあの大谷崩れの寂莫とした姿が浮かんでおり、巨大なエネルギーは弱さから発している、という感動と会得があってうれしかった。」
    P71も印象的だったな。あの地震があってからすぐに読んだので特に。
    「人は何の彼のと偉そうにしていても、足の下に動かない土という

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    2011年04月29日
  • 台所のおと みそっかす

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    幸田文さんと言えば、幸田露伴のお嬢さん。  ず~っと昔、幸田露伴の「五重塔」を読んだ直後に、そのお嬢さんである幸田文さんの「父・こんなこと」を読んでみようとしたことがあるのですが、当時の KiKi にはどことなく古臭く感じられる一切合財(特に露伴さんのあれこれ)が何となくうざったくて、なかなか前へと読み進めることができず挫折したというありがたくない思い出があります。  そして当時の KiKi は日本人の女流作家の描く日常的なアレコレを言語化したものに対する興味がすこぶる薄くて、そのことが「読み進められない挫折感」をさらに助長しました。  何て言うか、生活臭が強すぎてつまんない・・・・というよう

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    2010年10月22日
  • 流れる(新潮文庫)

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    初めて読んだのは中学の時です。難しい話ではないけれど、古い言い回しや物の名前等、分からない部分も結構ありました。
    でも時にたゆたい、時に蕩々と流れる文章のリズムが心地よくて。
    何度も読み返し、少しずつ腑に落ちて、そのたび味わいが増すように思います。

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    2018年05月24日
  • 台所のおと みそっかす

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    淡々としているのにあまりに美しく力強く迫ってくる文章に心がふるえます
    読み始めてからずっと感動しっぱなしでした
    これが100年前の人の文章なのか あまりの新鮮さに戸惑います

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    2009年10月04日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    この本は幸田文の父、幸田露伴の最期を刻々とつづった作品です。露伴がだんだんと老い衰え病みそして帰らぬ人となるさまを文の書く文章を通して感ずるとき、私は同時に露伴ではなく、私の父との別れを思いました。いずれもう二度と会えなくなるときがくるのだと幹事、切なく胸が苦しくなりました。全くの他人の話なのに不思議なものです。生きていく中で避けては通れない別れの苦しみを痛感させてくれる本です。(学校保健フォーラムvol.9 No.83 2005 1月号)

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    2009年10月04日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    父のことはよく知らないままに亡くなってしまった。
    時が経って、自分の中に父が居る、父の血を感じるのです。

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    2009年10月04日
  • 台所のおと みそっかす

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    エッセイ・随筆を読むと、幸田文サンがとてもキチンとした、丁寧な女性だというのが伝わってきました。そして小説を読むと、幸田文サンをとても好きになりました。小説に出てくる人物の丁寧さ、素直さ、暖かさ、姿勢にはハッとなります。

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    2009年10月04日
  • きもの(新潮文庫)

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    できれば続きを読みたかったです。ここに登場するおばあさんの「かわいい腰紐をつかってほしい。」という言葉がなんだか印象的で私もそうありたいと思いました。着物話にとどまらず、ここにでてくるお婆さんは素晴らしい事を伝えてくれます。。
    人に物を送るとき不用品を送っていながら、親切した気でいる事をとがめるシーンがありましたが、こういう今、人多いのですよ。

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    2012年08月20日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    幸田文の文体が好きです。
    新鮮な形容のしかたをします。
    感性の独自で繊細なところや、それに対して使う言葉が読むたびに心地よいのです。

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    2009年10月04日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    「看取り」とは、どこまで行っても満足はない。考え始めればキリがない。だけど「死んで、そして終わる」。これだけは変わらずにあるってことを改めて理解した。当の露伴は飄々としていて。ありのままを受け止め、恐れるわけでも、嘆くわけでもなくって。看取る側の心のすむように、別れの準備が整うまでの、猶予を与えているかのようだった。

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    2009年10月04日
  • 台所のおと 新装版

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    褪せた部分のある人たちの内面を、綿密に実直に叙述されていて、読んでいると自分に備わっているそうした性質を肯定されている気分になった。人生の中で遭う出来事には避けたいものもあるが、その有り様を些細に描写することで、人物たちが確かに過ごしていくというのを感じられて良かった。著者の観察力の高さがよく分かった。

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    2026年04月21日
  • おとうと(新潮文庫)

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    すごい小説だと思いました。。
    姉と弟、その関係性から来る、父と継母(実母は死去)の愛情の差、そして、弟の当時治らなかった不治の病、結核にかかった弟を看病する姉。
    最初は暗いだけの小説かと思ってました。
    でも違いました。なんというのだろう。。死と隣り合わせの現実の中で神様を見た感じ。とでも言ったら良いのだろうか。。
    内容は暗いんです。でも、同時に優しくもあり美しくもあるんです。姉が弟に見せる家族愛、弟が姉に見せる家族愛、辛く苦しく悲しい話です。でも、読み終わった時に、とてつもなくすごい小説を読んでしまったと言う感じです。私の弟も一時期やさぐれていた時期があったので、姉の気持ちがよく分かりました。

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    2026年02月08日
  • 木(新潮文庫)

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    とても品のある綺麗な文体の作品
    育ちの良い高貴な方が書いた物だと感じます
    薄い本ではありますが、内容の濃い考えさせられる本でした
    ただ私にはレベルが高く、普段使い慣れない言葉が多く、読み終わるのに時間がかかりました
    木に対してここまで深く考え、想いを寄せられるのが凄いです
    木の話しではあるが、人間だったらと考える内容も多く、再度ゆっくり読み直したいと思いました

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    2025年12月25日