幸田文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
幸田露伴の死の模様を描いた「父」。
父と娘の日常を生き生きと伝える「こんなこと」。
偉大な父を偲ぶ著者の思いが伝わる記録文学。
[ 目次 ]
[ POP ]
家事全般に人づきあい、果ては男女のことまでも、あらゆる作法を父・幸田露伴から習ったという著者。
「こんなこと」に書かれている露伴の物言いは大和美人になるための教科書のよう。
「薪割りをしていても女は美でなくてはいけない」って、所作が雑な私としては反省しきり。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険 -
Posted by ブクログ
一度目は高校2年の時。その時はただ読んだだけに終わり、内容もそんなに残らずに終わった。
二度目は23の歳。全く違った。全て自分にはない体験ではあるのだけれど、だけれど何と言うのだろう、書かれている内容が全部染み込んでいった感じ。共感?すごく、「よくわかる」のような気分で読んでいた気がする。恐らくるつちゃんの生きた時間と同じだけ時間を経た分の理解がそこにあったのかもしれない。
自分は、女の子に本を勧めるとしたら、この本を同じようなタイミングで二度読みすることを勧めたいと思っている。下手な道徳よりも考えること思い当たることがあるし、こうすることで、この本の記憶がより鮮烈な体験となる。 -
Posted by ブクログ
現代人、いや私には理解できない着物の肌感覚。今の洋服にそこまでの感覚を持って洋服をきていないなぁと感じる。色、柄、触感。どれも大切なことなのに、おろそかにしている自分を感じた。
着物を通じて、主人公は成長をしていく。いや、成長を通して着物について深く考えていく主人公。それは女子なら通る道ではあるだけれど、着物というものを通してみていくと時代感覚もあって、理解できるけど今はない、奥ゆかしい女子の成長が描かれていた。
祖母の存在の大きさ。これは現代には薄くなってしまったな。祖母のいうことがいちいち含蓄を含んでいて、また主人公を深く理解していることが伝わってくる。身近な人の話を聴くことの大切さを改め -
Posted by ブクログ
ネタバレ名作なんだろうが、小公女とか灰かぶり姫とか、文学少女が好きな童謡を下敷きにされているのではと思うほど、主人公が辛らつな目に遭っていく。
幼い頃は着物に対する美意識がとにかく高くきかん気で、高いものねだりをするヒロイン。末っ子の我がままかと思うが、長ずるにしたがい、気位の高い長女、金に賢しい次女に、奴隷のように扱われる。「鬼龍院花子の生涯」みたいに。
女学校在学中に母が倒れ看病に疲れ、父のかつての浮気相手(?)も登場し、母の葬儀では姉ふくめた親類の酷さを見つけ、震災で焼け出されたあとで就職したものの、父の反対を押し切って結婚する。が、どうも不幸の影が付きまとったような終わり方。
遺作なので -
Posted by ブクログ
大好きな幸田文さんの本を岩波少年文庫で見つけた。
読んだことのあるものとないものが入り混じっていたが、表題の「台所のおと」
は初めて読んだ。(「みそっかす」は読んだことあり)
著者得意の人情の機微が台所仕事で生まれる「おと」に込められており、心に沁みたり、ホロリとさせたりする。
料理人のとても繊細な感性や心意気が感じられ、またこれまでの人生の悲しみやそれを経て出会った夫婦の愛情がにじみ出て温かく切ない気持ちにさせられる。
いつも、あまり幸せではなかったけれど、凛とした、性根のまっ直ぐな人の気持ちを描くのがうまい。
「都会の静脈」もとにかく観察眼と表現力には圧倒される。
当たり前のように水を -
Posted by ブクログ
初めて幸田文さんの作品を読む。
幸田さんはどちらかというと
家庭での事を書くイメージが強かったため、
初めて読むには違う作品を読んだ方が
彼女の個性をつかめたかもしれない。
しかし、齢七十を越えてこの鋭い観察眼。
時には自分では歩けないような場所を、
誰かにおぶってもらいながらも、
幸田さんは、崩れた大地や川を
独自の視線と感受性でえぐり取っていく。
いや、えぐり取っていくは
表現が強過ぎるかもしれない。
幸田さんは、怪我をしてしまった大地の傷痕を、
じっと見つめ、自身の心も痛めながら、
どうしたら治癒出来るのか、
その道の専門化ではないがそのために
自分に何か出来ることはないか、
懸命