幸田文のレビュー一覧

  • 包む 現代日本のエッセイ

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    いただいたお寿司(それもおそらく巻物)を全部食べられなくて勿体ないからと食べてくれる人を探して右往左往する幸田文さんがこの時代の一般の人の姿だったのか、当時としても珍しいくらいの凛とした方だったのか?凛とした人であることは異論はなくとも、おそらく前者だったのではあろうなぁ。
    昭和すら遠くなりにけった現代では想像もつかん。あゝ、冷蔵庫って偉大だなぁ。

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    2014年12月15日
  • きもの(新潮文庫)

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    この作品を読んで、幸田文さんが好きになりました。
    だいぶ前に読んだ本なので内容はうろ覚えですが、雰囲気はとても良く覚えています。

    いつか読み返そうっと。

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    2014年11月14日
  • 流れる(新潮文庫)

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    なんだか現代にも通ずるものがあって良かった。
    ただ、この作品の深いところまでは分からなかった気がする。

    いつかもう1度読みたい

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    2014年09月30日
  • 流れる(新潮文庫)

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    芸者置屋で働く女中の話。
    白粉とアンモニアの匂いが同時に香ってきそうな女の意地と見栄だらけの世界と、
    主人公・梨花の凛とした佇まいの対比が印象的だった。

    面倒事にはあくまでしろうと女中として一線を引き、
    情を動かされた事には素直に感動する。
    舞台も時代も違うが、梨花の姿勢はそのまま現代の
    働く女性の処世術として参考にできそう。

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    2014年09月01日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    【本の内容】
    幸田露伴の死の模様を描いた「父」。

    父と娘の日常を生き生きと伝える「こんなこと」。

    偉大な父を偲ぶ著者の思いが伝わる記録文学。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    家事全般に人づきあい、果ては男女のことまでも、あらゆる作法を父・幸田露伴から習ったという著者。

    「こんなこと」に書かれている露伴の物言いは大和美人になるための教科書のよう。

    「薪割りをしていても女は美でなくてはいけない」って、所作が雑な私としては反省しきり。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険

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    2014年08月24日
  • きもの(新潮文庫)

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    一度目は高校2年の時。その時はただ読んだだけに終わり、内容もそんなに残らずに終わった。

    二度目は23の歳。全く違った。全て自分にはない体験ではあるのだけれど、だけれど何と言うのだろう、書かれている内容が全部染み込んでいった感じ。共感?すごく、「よくわかる」のような気分で読んでいた気がする。恐らくるつちゃんの生きた時間と同じだけ時間を経た分の理解がそこにあったのかもしれない。

    自分は、女の子に本を勧めるとしたら、この本を同じようなタイミングで二度読みすることを勧めたいと思っている。下手な道徳よりも考えること思い当たることがあるし、こうすることで、この本の記憶がより鮮烈な体験となる。

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    2014年08月12日
  • きもの(新潮文庫)

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    現代人、いや私には理解できない着物の肌感覚。今の洋服にそこまでの感覚を持って洋服をきていないなぁと感じる。色、柄、触感。どれも大切なことなのに、おろそかにしている自分を感じた。
    着物を通じて、主人公は成長をしていく。いや、成長を通して着物について深く考えていく主人公。それは女子なら通る道ではあるだけれど、着物というものを通してみていくと時代感覚もあって、理解できるけど今はない、奥ゆかしい女子の成長が描かれていた。
    祖母の存在の大きさ。これは現代には薄くなってしまったな。祖母のいうことがいちいち含蓄を含んでいて、また主人公を深く理解していることが伝わってくる。身近な人の話を聴くことの大切さを改め

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    2014年06月24日
  • きもの(新潮文庫)

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    ネタバレ

    名作なんだろうが、小公女とか灰かぶり姫とか、文学少女が好きな童謡を下敷きにされているのではと思うほど、主人公が辛らつな目に遭っていく。

    幼い頃は着物に対する美意識がとにかく高くきかん気で、高いものねだりをするヒロイン。末っ子の我がままかと思うが、長ずるにしたがい、気位の高い長女、金に賢しい次女に、奴隷のように扱われる。「鬼龍院花子の生涯」みたいに。

    女学校在学中に母が倒れ看病に疲れ、父のかつての浮気相手(?)も登場し、母の葬儀では姉ふくめた親類の酷さを見つけ、震災で焼け出されたあとで就職したものの、父の反対を押し切って結婚する。が、どうも不幸の影が付きまとったような終わり方。

    遺作なので

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    2014年05月13日
  • 北愁

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    潔くってそれでいて懐深い。
    日々のこと、まわりのこと、そして思うことをただ書き連ねる。ドラマチックでもなんでもないけど、文才あってできることだ。
    強さは、ただ強いってだけではないんだよ。

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    2014年03月26日
  • 季節のかたみ

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    ネタバレ

    暮らしの手帳的、というか非常に生活という地面にしっかりと足をおろした「哲学」を感じさせる文章だな、と思う。そのあたりは親子の血は争えない。何気ないことを書いていながらはっとさせられるのは、こうした随筆の書き手として最高の手腕ではないか。男性にもおすすめ。

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    2014年03月01日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    「父」
     「じゃ、おれはもう死んじゃうよ」、死を身近に感ずる年齢の自分もこういう風に行けたらよい。文さんの、時にはユーモアすら感ずる看病の七転八倒が如何にもであり、こういう人が傍に居た父親露伴は幸せ者かも知れない
    「こんなこと」
    「おまえが馬鹿なのはものをよまないからだ」幸田親子の戦いの模様が誠実に父を愛する子の立場から描かれていく
    子が親の云う事を利くのは子が親を愛しているからだ。今の子が言う事を利かないのは親が尊敬されていないからなのか。となると・・・・。

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    2013年11月07日
  • きもの(新潮文庫)

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    もう女性のバイブルという言葉は
    会わないだろうが、
    随所に学べる箇所がある。
    こういう時は、こう考えろ。
    こうなったら、こうしろ。
    と粋でかっこいいおばあさまが
    教えてくれる。

    着物もたくさん出て来て、
    詳しくないながらも、
    興味深い。

    るつ子に共感しすぎてしまって、
    上の姉が疎ましくてならないし、
    最後は、これは全くなんという終わり方だと
    思ってしまった。
    主人公と一緒に、
    スカッとして、モヤモヤして、
    学んで成長させてもらえる本。

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    2013年10月25日
  • 台所のおと みそっかす

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    大好きな幸田文さんの本を岩波少年文庫で見つけた。
    読んだことのあるものとないものが入り混じっていたが、表題の「台所のおと」
    は初めて読んだ。(「みそっかす」は読んだことあり)

    著者得意の人情の機微が台所仕事で生まれる「おと」に込められており、心に沁みたり、ホロリとさせたりする。
    料理人のとても繊細な感性や心意気が感じられ、またこれまでの人生の悲しみやそれを経て出会った夫婦の愛情がにじみ出て温かく切ない気持ちにさせられる。
    いつも、あまり幸せではなかったけれど、凛とした、性根のまっ直ぐな人の気持ちを描くのがうまい。

    「都会の静脈」もとにかく観察眼と表現力には圧倒される。
    当たり前のように水を

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    2013年07月31日
  • 崩れ

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    エッセイでも体験記でもなく見てある記。読んでいると本当のことだか本当のことでないんだかわからなくなってくる。ただ事実が人の見たままに書かれていると言うだけでこんなにドラマになるのかというのに驚くし、それだけのドラマをはらんでいる自然をわたしもみたいなあと思う。
    あとどうでもいいことだけどこの人の乙女座感(細かさとか、自分で終始しようとするところとか)から、一歩はみでるところが読めたのがよかったとです

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    2013年03月25日
  • 崩れ

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    初めて幸田文さんの作品を読む。
    幸田さんはどちらかというと
    家庭での事を書くイメージが強かったため、
    初めて読むには違う作品を読んだ方が
    彼女の個性をつかめたかもしれない。

    しかし、齢七十を越えてこの鋭い観察眼。
    時には自分では歩けないような場所を、
    誰かにおぶってもらいながらも、
    幸田さんは、崩れた大地や川を
    独自の視線と感受性でえぐり取っていく。

    いや、えぐり取っていくは
    表現が強過ぎるかもしれない。
    幸田さんは、怪我をしてしまった大地の傷痕を、
    じっと見つめ、自身の心も痛めながら、
    どうしたら治癒出来るのか、
    その道の専門化ではないがそのために
    自分に何か出来ることはないか、
    懸命

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    2013年09月09日
  • おとうと(新潮文庫)

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    主人公である「げん」と、弟の碧郎、父親、継母の、四人の家族の物語だが、それよりも「げん」の姉としてもあり方、母の代理としての在り方、若い娘としての在り方など、とかく「女」を感じさせる作品だった。
    だからか、どんどん「げん」に感情移入していった。感情的になっているかと思えば、ふと冷静になる「げん」の思考の揺れも面白かった。

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    2013年03月13日
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

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    戦前、戦後あたりの日常のエッセイ。
    上品で綺麗な日本語。
    きものについてが特に良い。
    ただの衣服を越えたもの。

    おしゃれの考察は深い。
    ただ小奇麗にセンス良く装うだけでない。
    その人に似合わしい装い方、振る舞い、気遣いすべてが
    合わさって印象に残る「おしゃれな人」と呼ばれる。
    現在、文さんのいうようなおしゃれな人は皆無でしょう。
    父である露伴の云うおしゃれや機転にも唸らされる。

    今の住まいにきものはそぐわないけど、
    きものを着なくなってから、日本女性の立ち居振る舞いの
    美しさ、心遣いは確実に無くなったと思う。

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    2013年03月21日
  • おとうと(新潮文庫)

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    弟に世話を焼く姉がいじらしかった。弟がグレてしまう理由が書かれていたが、大抵の不良はこういう理由でグレてるのではないかと感じた。(勝手な思い込み)
    泣けると聞いていたが、じんわり程度であった。
    評判通り、文章はとても綺麗だった。

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    2013年01月28日
  • きもの(新潮文庫)

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    見せ場や晴れの場ではなく、きものが生活に密着した体の一部だった時代に触れる事ができました。裏読みすると家族への複雑な心境と疎外感、兄がいかにも想像の産物で浮いた存在に見えてしまう点に、他の小説作品にも増して著者自身の経験と願望が大きく反映されているように思えます。るつ子とおばあさんは幸田文本人というくらいの投影ぶりではないでしょうか。若かった頃と、年輪を重ねた執筆時の自分自身の対話。そんなように映るシーンもありました。震災の場面にはつらい記憶もよみがえりましたが、和の装いと心意気に憧れたくなる作品でした。

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    2013年01月02日
  • きもの(新潮文庫)

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    おなじ表現がでてこない。
    そのことに感嘆。

    物語としては完結?と首捻りしてしまったが、
    とちゅうとちゅうの時代に沿ったできごとや、
    家族の変遷、それぞれの登場人物の個性、綿密でとても真実味深く、ときに苛立ち、共感し、立腹し、はらはらした。

    つまるところ、きもの、を通して、「まっとうな常識」を着ることを知ったのだろう。 なんてことを思った。

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    2012年09月23日