あらすじ
今朝の雲はもう居ません。その代わり、風が訪れてくれます。季節の移り変わりを見るのが、私は好きです。なにより有り難いのは、前向きの心でいられることでしょうか。時の移ろいを瑞々しい五感がキリリと掬いとった名篇。「くくる」「壁つち」「台所育ち」……。失った暮らしや言葉の情感が、名残り惜しく懐しく心にしみる、珠玉のエッセイ集。
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Posted by ブクログ
細やかな感受性に引っかかる生活の事柄。この人の手にかかると練り直され、新しい味付けをされ読者に提示される。ゆったりとした気分でないと自分には堪能できないことがわかった。
Posted by ブクログ
暮らしの手帳的、というか非常に生活という地面にしっかりと足をおろした「哲学」を感じさせる文章だな、と思う。そのあたりは親子の血は争えない。何気ないことを書いていながらはっとさせられるのは、こうした随筆の書き手として最高の手腕ではないか。男性にもおすすめ。
Posted by ブクログ
一文字一文字を 慈しむように読みました
幸田文さんが綴る言葉は
まるで季節の風そのもののよう…
父・露伴から受け継いだ厳格さと
その裏にある深い慈愛…
そして何気ない日常の景色を
「宝物」に変えてしまう
鋭くも温かい観察眼に圧倒されました!!
他にも厳しくも 凛とした文章の中に
時折のぞく人間味あふれるエピソードが愛おしい…
どんなに時代が変わっても
大切にしたい「日本人の心」がここには詰まっていました!
この美しい緑の表紙を眺めているだけでも
心が穏やかに清々しい気持ちにさせてくれます
Posted by ブクログ
すごく怖いというか、叱られ感が凄い、読んでいて。
少なくとも背筋伸びてますよね?と暗黙の圧があるようで。。。
こうなってくると父と娘の緊張感に繋げたくなりますわな、致し方なし。
こういったお方は今後なかなか出てくることないのは間違いなし。
Posted by ブクログ
飾らない文章なのが良かった。時折出てくる父親からの話がどれも良くて、父親との関係はとても良かったんだなあと思った。「うちの中の教えは、出来の悪い部分を救ってやり、弱いところを養ってやる教えが良いように思うのです」という部分には心打たれた。自分の不出来は一生自分にまとわりつくものだから、それを親の言葉によって手当てできれば子どもにとってうれしいものはないのだと書いてあり、なるほどその通りだなと思った。
Posted by ブクログ
「なくしもの」。
妻がふと夫に嫌悪を抱く。
すると、まるで心を見透かされたように夫から別居の打診をされる。家庭が一番落ち着くと言っていた夫なのに、と妻はいぶかしむ。
妻が生き生きと働きだした結果、夫の目には「静かさと安らかさ」をなくしてしまったように映る。
最初は妻の嫌悪から始まるのに、夫の言葉に私までガーンと衝撃を受けた。自身を貫く一言って、あると思う。
「ドッコイショ」では、「人のからだは天然資源でできています」という言い回しが面白い。
使えば減る。減るのは定めだが、荒廃させるのはむざんだと幸田文は結ぶ。
彼女の文章に触れると、身体論ではないのにも関わらず、身体というものを改めて見直したくなるときがある。