幸田文のレビュー一覧
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映画『PERFECT DAYS』で登場した一冊。何気なく読み始めてみたらとんでもない良書に出会ってしまって、嬉しい。
花や木など植物、自然に真摯に向き合うことはこのことだと感じさせられた。そんな情景描写や自然への愛を語る著者の文章や文体に引き込まれ、これから植物や自然の見方や価値観を刺激する読書体験だった。
それぞれの木をじっくり観察したいし、その木にまつわるストーリーを想像し感じたい。そして1回きりではなく、1本の木を四季を通して様々な角度・姿で観察しないと本当の理解はできないのかと感じさせられる。
同時に自然からの学びは、人生にも通ずるところがあるのだろう。
著者の文章や心や人となりが心地 -
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某百貨店に催し物を見に行った帰りに店内の書店に立ち寄ったら、真っ先に木漏れ日の表紙が目に飛び込んできて即購入した。
幸田文は好きな作家だし、何より数年前に観た映画『PERFECT DAYS』で役所広司演ずる掃除夫が読んでいた本として忘れられない。いつか読みたいと思っていた。
ある本を読む日というのはこんなふうに訪れるんだと思った。
木について15篇のエッセイで構成されている。
1つ目の「エゾマツ」の倒れた樹木の上に芽吹く倒木更新のことから最後の「ポプラ」の不運な境遇まで、
節度ある擬人化で、樹木についてだけでなく人の一生についても考えさせられた。
日頃知ることのない職人さんたちの叡智 -
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ネタバレ
10の短編からなる、こちら。
基本的に、妻の目線から描いた短編なんだけれど、どの章にも心に残る文があり、驚いた。
いくつかを書き留めておきたい。
「仕事が思うように切り開けず、一生この程度の生活しかできないかもしれないけど、それはそれで仕方がないと思う。だからなおさら、家庭はいい家庭に持続しなければ、誰が損なのでもなく自分が損なのであった。」(「祝辞」)
「夫には妻をしいんとさせるいくつかの過去があっても、埴子には夫をしいんとさせるだけの過去はないが、それは馬鹿を見たような気もするものだった。」(「雪もち」)
「こういう場合、病気という弱さを持って、臥せているほうが、健康という強さをも -
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いやこの表紙じゃないんだけどね、わたしの持ってるのは。。
『PERFECT DAYS』で平山さんが求めてたのと同じやつ(わたしも彼と同じく古本屋で100円で購入)。その表紙のほうが全然かっこいい。
その昔、幸田文を見つけては買っていた時期があり、買ったものの読んでいなかった作品。上記映画に出てきてびっくりして読んでみた。
いや面白い。幸田文さんは率直だ。素直だ。そのような姿勢で、感じたことをそのままあぶり出すかのような文章が素晴らしく魅力的だと思う。
たとえば、「杉」のこんな文章。
「本当のことを打明ければ、私はおびえていた。おびえているから考えることもなみを外れるし、並外れを考えるから -
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人生を共にしたい本
木の話なんだけど、確実に人間が生きる上で大切なことが書いてある
「人にも木のように年輪があって…」とかどっかで聞いたような生半可な教えではなかった。若いわたしにはまだまだ分からないような核心があった。時が経ったら読み返して、どんな気持ちになるのか知りたい。
文字量は多くないが、その分無駄が一切ない。
こんなに美しい文を久しぶりに読んだ。なんとも言葉では言い表しにくい感覚。
著者の人格、今まで積み重ねてきた人生を読んでいるような気持ちにさせられる。「尊敬」としか形容できない…
書末の解説を読んだら十数年かけられて出来上がった作品とのこと。丁寧にひとつひとつ書かれたものなんだ -
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ミーハー極まり無いけど『PERFECT DAYS』で作家に興味がわいて。
登場人物たちの日常の、流れるように移ろい行く様を利発な女中の主人公の視点で柔らかく描く。
舞台となる芸者置屋のちょうど転換期を描いてはいるけど、派手な事件が起きるでも無く、淡々と日常が過ぎていく。
芸妓の着物や持ち物や化粧の艶やかさ、表情や声色や仕草から溢れる心情、花街の情景が主人公の目を通して鮮烈に綴られて読み手を本の世界へ引き込む。
主人公の過去は細やかに仄めかす程度で、読み手に想像させる余白のバランスも良い。
読み進める内に構造や雰囲気に映画と共通するものが見つかり実に興味深いと感じた。
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1960年代に発表された10作品を収録した短編集。
「台所のおと」「濃紺」「祝辞」「おきみやげ」という4作品が、特に良かった。
「草履」は、幸田文の作品には珍しく、ですます調で語られる一人称小説。物語の展開も探偵小説っぽく感じた。
〈食べ物〉と〈病〉に関する物語が多かった。
幸田文の短編を読むと、村上春樹の「牡蠣フライ理論」のことを思い出す。
「あなたが牡蠣フライについて書くことで、そこにはあなたと牡蠣フライとのあいだの相関関係や距離感が、自動的に表現されることになります。それは
すなわち、突き詰めていけば、あなた自身について書くことでもあります。」(『村上春樹 雑文集』)
幸田文の書 -
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ネタバレ幸田文さんの本を読むと、小説家ってすごいんだなと心から思わされる。全話良くて、特に『台所のおと』は自分が間近で夫婦のやり取りを見ているかのようだった。文章としては『食欲』のこの部分が刺さった。
ネタバレ
・光るなんてことは自分一人が光っても、肝腎の自分には明るさを見て楽しむこともできはしない、光は自分から外へ出て行ってるんだもの。みんながいっしょに光ってこそ、こっちから人の明るさを見ることができて楽しいだのに、光るべきはずの一緒にいた人がみんな光らなくされて自分ひとり光らされていれば、光の楽しさはなくて、光らされているだけに身動きもままならないつまらなさ、てれくささ。見当違いに褒められ