台所のおと 新装版

台所のおと 新装版

737円 (税込)

3pt

4.6

台所からきこえてくる音に病床から耳を澄ますうち、料理人の佐吉は妻のたてる音が変わったことに気付く。日々の暮らしを充たす音を介して通じ合う夫婦の様を描く「台所のおと」のほか、「濃紺」「草履」「雪もち」「食欲」「祝辞」「呼ばれる」「おきみやげ」「ひとり暮し」「あとでの話」を収録。鋭く繊細な感性が紡ぐ名作集。

なにげない日々の暮しに
耳を澄ませ、目を配り、
心を傾ける。
透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集。

女はそれぞれ
音をもっている

とかくあやふやに流しがちな薄曇りの感情に
端然とした言葉をあてがい、作中人物に息を吹き込む。
幸田文による人間観察の手つきについて考えていると、
江戸川乱歩とのある対話が脳裏に浮かんできた。
――平松洋子(解説より)

新装版に寄せて、青木奈緒によるエッセイも収録

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台所のおと 新装版 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2024年01月19日

    短いストーリーの中に、人生の機微や細やかな感情の動き、五感を研ぎ澄ませなくては味わえないような描写がたっぷりと詰っていて、読み終わるたびに余韻が残ります。しゃきっと背筋がのびるような文体も美しい。20代の頃に読みかけたままおいてあったのですが、40代の半ばになって改めて読むことができてよかったです。...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年09月07日

    1960年代に発表された10作品を収録した短編集。
    「台所のおと」「濃紺」「祝辞」「おきみやげ」という4作品が、特に良かった。
    「草履」は、幸田文の作品には珍しく、ですます調で語られる一人称小説。物語の展開も探偵小説っぽく感じた。
    〈食べ物〉と〈病〉に関する物語が多かった。


    幸田文の短編を読むと...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年07月07日

    日本での婦人参政権が得られたのは戦後の1945年、GHQの指示のもとに叶えられた。
    戦後、夫人にも参政権が与えられたからといって、ガラリと社会状況が変わるでもなく、多くの女性は家庭内にとどまるのが常だった。
    今の時代、女性の社会進出は目覚ましいものがあるのだが、果たして女性の役割分担は昔に比して軽減...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2021年10月01日

    21.09.16~09.27
    やっぱり、日本語の使い方が美しい。
    こんなに素敵に日本語を使えたら、世界が変わるだろうな。

    心がすっとして、すがすがしくなる。しばらくの間は、きれいに言葉を使おうと思う。

    すぐに雑な表現になってしまうけど。

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    Posted by ブクログ 2023年09月12日

    【40代の今だからこそ、心に残った本】

    この短編集は聞こえるもの、みえるもの、匂いなど、五感を意識されている物語だと思いました。

    特に表題作の『台所のおと』は、印象的な作品でした。野菜を炒めるジャージャー、鍋を煮込むときのグツグツなどは耳にしていますが、「誰がの台所仕事の音」を意識したことは今ま...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年05月23日

    自分の伴侶が、子供が……いきなり病気になってしまったら……愛や金策、周囲の目、生活に大きな変化が訪れます。
    そんな女性たちのショートストーリーを集めた本。1960年代の文章ですが、最近、改めて文庫化されました。

    ともかく言葉遣いが洗練されていて、すべてを言わずに、暗喩で「読ませる」のがうまいです。...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月16日

    台所から聞こえる音や、暮らしの中の音が、細やかな描写や香りなどで鮮やかに表現されていた。暮らしの中で徐々に耳が開かれていく感じのする物語。

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2023年04月26日

    幸田文さんの本を読むと、小説家ってすごいんだなと心から思わされる。全話良くて、特に『台所のおと』は自分が間近で夫婦のやり取りを見ているかのようだった。文章としては『食欲』のこの部分が刺さった。

    ネタバレ



    ・光るなんてことは自分一人が光っても、肝腎の自分には明るさを見て楽しむこともできはしない...続きを読む

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2022年03月13日

    関東風言文一致で江戸の息づかいが伝わる。最後の露伴との親子関係のエッセイからの、編者あとがきで文とその娘の関係が再起的に語られる流れが、人生の一回性を象徴していて美しい。個人的には『祝辞』がヒット。

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台所のおと 新装版 の詳細情報

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