幸田文のレビュー一覧

  • 流れる(新潮文庫)

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    和三盆のような一冊。出来事ひとつひとつの背景にある女性特有の繊細な心理描写が丁寧に細かく散りばめられている。4,5人以上の個性ある女性が思い思いにとる行動と心理を余すところなく的確に写し撮りつつ、キャラを埋没させずにストーリーを進めていく技術ってとても難しい芸当だと思うんだけど、女中でありながら大変に有能な梨花を一段上の視座に立たせて解説を入れることによって、その手ブレを補正してるんだろう。

    満員電車でなくカフェでゆっくり読んだ方がいいなと感じた。これは二度味わうべき本だ。もったいない読み方をしたな。

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    2018年06月22日
  • 流れる(新潮文庫)

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    文章に独特のセンスが光るが、女性視点の置屋の内実が赤裸々に語られ、なにか夢が削がれる感じがして読み投げにしてしまった。

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    2018年04月28日
  • きもの(新潮文庫)

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    箱入りハードカバーを手に入れました。

    大正末期の東京下町で両親、祖母、2人の姉と暮らするつ子の物語は清々しくて良かったし、装丁が素晴らしく、本そのものの魅力にも参りました。

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    2017年03月02日
  • きもの(新潮文庫)

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    着付けを習っているので手にとってみた。
    いろいろな着物が出てくる。着物を中心に、主人公と姉二人、母や祖母との日々が描かれる。
    慎ましくも力強い生活が、きちんとした日本語で綴られる。時にはこうした文章を読みたいと思う。

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    2016年12月31日
  • 崩れ

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    著者の感受性の鋭さには感心するが、なにせ文体が自分の好みではなく、薄い本ではあるが読むのに苦労した。

    日本に住んでいる限り、自然との戦いはこれからも続くだろうし、勝ち負けではなく、どこかで折り合いをつけ共存するしかないのだろう。科学の力は偉大ではあるが、決して万能ではない。

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    2016年08月17日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    ネタバレ

    誠実はこの著者の修正である。
    のあとがきが残る?

    死にゆく人をみつて感じたまま、向き合った言葉で綴られて、こちらは息をひそめて読み進めるしかなかった。

    薪を割ることも父からこってり習い、
    その斧、その木を手で感じきっちりとしたためるほどだから、「木」で反りもがく「アテ」に心揺さぶられていたのかと納得した。

    物事や己の心をしっとりみつめる文章、正直な文章を書きたいと思う。あらためて。

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    2016年03月13日
  • 流れる(新潮文庫)

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    物凄く文章が読みづらいなぁと思って読んでいたら、昭和32年の発行だったとは。幸田露伴の娘だったとは。驚いた。
    文章は、思考の流れのように行ったり来たり、頁にぎっしりと詰まっておりなかなか骨が折れる。しかし、なんやかんやでさくさくと最後まで読んでしまった。出てくる女性たちが皆弱くて逞しい。

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    2015年12月24日
  • 駅・栗いくつ

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    少し昔の女の人が、どんな風に物事を感じて生きていたかを感じたくて、読んでみた。全体的に、暗かったり、質素なイメージで、でも今の何かとキラキラギラギラした世の中のなかでは、その雰囲気が新鮮だったりした。

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    2014年12月29日
  • 崩れ

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    【本の内容】
    山の崩れの愁いと淋しさ、川の荒れの哀しさは捨てようとして捨てられず、いとおしくさえ思いはじめて…老いて一つの種の芽吹いたままに、訊ね歩いた“崩れ”。

    桜島、有珠山、常願寺川…瑞々しい感性が捉えた荒廃の山河は切なく胸に迫る。

    自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    新緑の楓林を鑑賞するために安倍峠を訪れた幸田文さんの前に現れたのは、地元観光課のかたの心くばりにより案内された大谷崩れでした。

    「あの山肌からきた愁いと淋しさは、忘れようとして忘れられず、あの石の河原に細く流れる流水のかなしさは、思い捨てようとして捨てきれ

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    2014年10月04日
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

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    印象に残ったのは、料理で大事なことは、正しい味を知ること、腐ったものの味が分かること、ということ。最近はインターネットですぐにレシピが調べられるけど、野菜やお肉はものによって味や固さが違うのは当たり前。その食材に合わせた作り方ができるようになりたい。あと、賞味期限だけで判断するのではなく、自分で食べられるものと食べられないものを分かるようにならなくては。自分の五感で生活できるようになろう。

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    2014年10月01日
  • 流れる(新潮文庫)

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    ゆるやかな話し言葉のように紡ぎ出される美しい日本語。彼女たちのようなおんなが、確かが存在していたことを強く感じる。着物、化粧道具、台所の描写、女性にしか書けない小説である。

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    2014年08月28日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    こんなこと の中で説明される家事が、特にすてき。これで女性としてのたしなみを身につけられたらと思う。

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    2014年04月14日
  • 崩れ

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    私の勉強不足や、題材への興味が
    少なく、少し読みずらかった。

    ただ、胸打たれる言葉や
    ハッとするような表現も相変わらず
    多くあり、さすが。

    なにより驚きは、
    これを書いたのが、70過ぎだという事。

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    2013年10月08日
  • 崩れ

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    72歳で各地の「崩れ」の現場を見て歩く、なんて無謀すぎます。おそろしい執念。「幸田文」って、生活を大事に暮らす賢い女性のイメージだけれど、そして多分、本当にそうなんだろうけど、その裏側に、こんなクレージーな一面があったなんて…。ギャップが大きいだけに、驚かされました。
    その一本筋の通ったところは、白洲正子と重なるな、と思い、年齢を調べてみると、正子の6歳年上で同じ世代。ふたりとも、フィールドワークへの飽くなき探究心を持ち、80歳を過ぎても精力的に物を書いていました。明治女ってかっこいいです。

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    2013年10月06日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    「父」菅野の記 は胸にせまるものがあった。また、全体に折り目正しく生きるということが繰り返し描かれており、今の自分の生活が恥ずかしくなった。幸田露伴と娘 文の関係が、まだ私にはピンとこない。恋愛のようにも…思えてしまったり。ぜひ他の本も読んでみたい。青木玉も含めて。

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    2013年10月22日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    幸田文さんが、父・露伴さんの思い出を綴った本。露伴晩年の闘病生活の看病と看取りは気持ちが生々しく、祖母を看取ったときのことを思い出しました。それにしても、幸田文さんの文章って、心のなかそのままで、面白いです。

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    2013年08月24日
  • きもの(新潮文庫)

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    きものに詳しくないけど、きものの質感が伝わる文章。
    戦前の家庭ってこんなふうだったのね。
    おばあさんの頼もしいこと。
    人付き合いの仕方、きものの着方、ものの使い方から
    男女のことまでなんでも指南してくれる。

    未完なのか、そっか。
    キリのいいところで終ってるけど、るつ子の結婚後の話も
    続く予定だったんですね。
    まだひと波乱、ふた波乱ありそうだもの。

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    2013年03月21日
  • おとうと(新潮文庫)

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    肩身の狭さ。
    家族のあれこれによる肩身の狭さと、理不尽さが、げんを押し潰し続ける前半だった。うってかわって後半は、献身的に弟を看護するげん。そのコントラストが、げんの姿をいきいきと見せてくれた気がした。

    *言い掛かり、赤い花、縁談、結核

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    2012年10月24日
  • 黒い裾

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    ネタバレ

     幸田露伴も読んだことないのに、初めて読みました。読めない漢字を多くて往生しました。面白い表現がたくさんありました。
     ただ、庭でかってるレグホンが一年に300個卵を産む、とあったのはちょっとどうかと。現在のゲージで完全管理下での飼育でやっと300個なので、放し飼いで300個は無理だと思います。ま、どうでもいい事ですが。
     かなり遅くからの作家デビューなのに、巻末の年表を見ると書きまくってる感じがしました。全集がすごいボリュームであった事も納得しました。

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    2012年10月21日
  • 崩れ

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    ネタバレ

    70歳を過ぎた老婆の冒険物語。日本の崩れ探訪。このバイタリティーには拍手。家事手伝いと化した私も見習わらなければとチトあせる。名を成し功を遂げた人だからここまで周りが協力してくれたのも老婆の力。
    文中に「心がしかむ」との表現があるが、沖縄の方言にも「しかむ」との同義の語がある。しかんだ!「台所のおと」のイメージからさらに私の中で魅力が増した。なんか幸田文をもっと読みたくなった。

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    2012年07月14日