幸田文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【本の内容】
山の崩れの愁いと淋しさ、川の荒れの哀しさは捨てようとして捨てられず、いとおしくさえ思いはじめて…老いて一つの種の芽吹いたままに、訊ね歩いた“崩れ”。
桜島、有珠山、常願寺川…瑞々しい感性が捉えた荒廃の山河は切なく胸に迫る。
自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編。
[ 目次 ]
[ POP ]
新緑の楓林を鑑賞するために安倍峠を訪れた幸田文さんの前に現れたのは、地元観光課のかたの心くばりにより案内された大谷崩れでした。
「あの山肌からきた愁いと淋しさは、忘れようとして忘れられず、あの石の河原に細く流れる流水のかなしさは、思い捨てようとして捨てきれ