幸田文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和34年のほぼ1年間、婦人公論に連載されたルポルタージュを中心に、“男"に関する文章をまとめて文庫化したもの。
まだまだ日本が貧しかった時代で、人力でやらなければならないことが多かったとき、下水処理やごみ収集、あるいは北の海での漁業、森林伐採、橋脚工事のような、華々しく表に現れることはないが、しかし、日常の暮らしを支える現場で黙々と働く男たちに、作者は感謝とともに、細やかな視線を注ぐ。肉体労働や底辺労働に関しては、ともすると感情移入が過多になりがちであるが、全体を通して、作者らしい、きびきびした文章が読んでいて快い。
作者は、それぞれの道に働く男たちを頼もしく思うこともあれ -
Posted by ブクログ
父と娘
本当は別の一冊を読みたいと思っていたけど
自分も父を亡くしていることもあって
こちらを先に読んでみたくなった。
父、露伴の病と葬儀の記録。
そして父娘の思い出。
作家である露伴の娘だった幸田文にとって
書くことは無意識のうちに彼女自身の中に
すでにあり、ごく自然なことだったんだと思う。
そして作者はメモ魔だったのでは…
それを示すような一節が度々出てくる。
父、露伴から教えられたことや出来事について
いくつか書いているけど、
それもその当時の湧き出した
思いが原動力となり一気に書かれている気がした。
休みなく呼吸することすら忘れてひたすら書き続けた、そんな印象だった -
Posted by ブクログ
【本の内容】
山の崩れの愁いと淋しさ、川の荒れの哀しさは捨てようとして捨てられず、いとおしくさえ思いはじめて…老いて一つの種の芽吹いたままに、訊ね歩いた“崩れ”。
桜島、有珠山、常願寺川…瑞々しい感性が捉えた荒廃の山河は切なく胸に迫る。
自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編。
[ 目次 ]
[ POP ]
新緑の楓林を鑑賞するために安倍峠を訪れた幸田文さんの前に現れたのは、地元観光課のかたの心くばりにより案内された大谷崩れでした。
「あの山肌からきた愁いと淋しさは、忘れようとして忘れられず、あの石の河原に細く流れる流水のかなしさは、思い捨てようとして捨てきれ -
Posted by ブクログ
「なくしもの」。
妻がふと夫に嫌悪を抱く。
すると、まるで心を見透かされたように夫から別居の打診をされる。家庭が一番落ち着くと言っていた夫なのに、と妻はいぶかしむ。
妻が生き生きと働きだした結果、夫の目には「静かさと安らかさ」をなくしてしまったように映る。
最初は妻の嫌悪から始まるのに、夫の言葉に私までガーンと衝撃を受けた。自身を貫く一言って、あると思う。
「ドッコイショ」では、「人のからだは天然資源でできています」という言い回しが面白い。
使えば減る。減るのは定めだが、荒廃させるのはむざんだと幸田文は結ぶ。
彼女の文章に触れると、身体論ではないのにも関わらず、身体というものを改めて見