幸田文のレビュー一覧

  • 男

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    昭和34年のほぼ1年間、婦人公論に連載されたルポルタージュを中心に、“男"に関する文章をまとめて文庫化したもの。

     まだまだ日本が貧しかった時代で、人力でやらなければならないことが多かったとき、下水処理やごみ収集、あるいは北の海での漁業、森林伐採、橋脚工事のような、華々しく表に現れることはないが、しかし、日常の暮らしを支える現場で黙々と働く男たちに、作者は感謝とともに、細やかな視線を注ぐ。肉体労働や底辺労働に関しては、ともすると感情移入が過多になりがちであるが、全体を通して、作者らしい、きびきびした文章が読んでいて快い。

     作者は、それぞれの道に働く男たちを頼もしく思うこともあれ

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    2020年07月12日
  • 崩れ

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    予備知識なく読み始めたのですが、本当の自然観察なんですなぁ、ちょっとびっくり。こういうのって個人的には好きであります、タモリの坂道フェチにも通ずるものあります。まぁ、タッチは随分違うかもですが。
    自然観察と言いつつ、行きつくところは人間の営みへの想いであり、本作全体の息遣いは日本社会に生きる者の諦念を感じます。
    昨今の社会を取り巻く環境に対する日本、あるいはアジア特有の自然観と申しましょうかね。なかなか味ある作品だと思います。

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    2020年05月27日
  • きもの(新潮文庫)

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    ネタバレ

    きものを通して、相手の気持ちに配慮した格好とか、相手の立場、感じ方を考えての贈り物とか、人との交際の仕方を主人公のるつこが学んでいるのに、同じくなるほどと思わされた。
    おばあさんがいいあじ出してる。こんなおばあさんがいてくれたらなぁ。そしてこんなおばあさんになりたい。

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    2020年01月01日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    父と娘

    本当は別の一冊を読みたいと思っていたけど
    自分も父を亡くしていることもあって
    こちらを先に読んでみたくなった。


    父、露伴の病と葬儀の記録。
    そして父娘の思い出。


    作家である露伴の娘だった幸田文にとって
    書くことは無意識のうちに彼女自身の中に
    すでにあり、ごく自然なことだったんだと思う。



    そして作者はメモ魔だったのでは…
    それを示すような一節が度々出てくる。


    父、露伴から教えられたことや出来事について
    いくつか書いているけど、
    それもその当時の湧き出した
    思いが原動力となり一気に書かれている気がした。
    休みなく呼吸することすら忘れてひたすら書き続けた、そんな印象だった

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    2020年06月04日
  • 崩れ

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    土砂崩れ現場を見て歩きかかれたエッセイというかな。大規模なものはすごい迫力だろう。一度それを見てから各地を訪ねた記録。72歳の老女(ご自身でそう言っている)の品があって瑞々しい文章が素敵。

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    2018年08月30日
  • 流れる(新潮文庫)

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    和三盆のような一冊。出来事ひとつひとつの背景にある女性特有の繊細な心理描写が丁寧に細かく散りばめられている。4,5人以上の個性ある女性が思い思いにとる行動と心理を余すところなく的確に写し撮りつつ、キャラを埋没させずにストーリーを進めていく技術ってとても難しい芸当だと思うんだけど、女中でありながら大変に有能な梨花を一段上の視座に立たせて解説を入れることによって、その手ブレを補正してるんだろう。

    満員電車でなくカフェでゆっくり読んだ方がいいなと感じた。これは二度味わうべき本だ。もったいない読み方をしたな。

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    2018年06月22日
  • 流れる(新潮文庫)

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    文章に独特のセンスが光るが、女性視点の置屋の内実が赤裸々に語られ、なにか夢が削がれる感じがして読み投げにしてしまった。

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    2018年04月28日
  • きもの(新潮文庫)

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    箱入りハードカバーを手に入れました。

    大正末期の東京下町で両親、祖母、2人の姉と暮らするつ子の物語は清々しくて良かったし、装丁が素晴らしく、本そのものの魅力にも参りました。

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    2017年03月02日
  • きもの(新潮文庫)

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    着付けを習っているので手にとってみた。
    いろいろな着物が出てくる。着物を中心に、主人公と姉二人、母や祖母との日々が描かれる。
    慎ましくも力強い生活が、きちんとした日本語で綴られる。時にはこうした文章を読みたいと思う。

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    2016年12月31日
  • 崩れ

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    著者の感受性の鋭さには感心するが、なにせ文体が自分の好みではなく、薄い本ではあるが読むのに苦労した。

    日本に住んでいる限り、自然との戦いはこれからも続くだろうし、勝ち負けではなく、どこかで折り合いをつけ共存するしかないのだろう。科学の力は偉大ではあるが、決して万能ではない。

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    2016年08月17日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    ネタバレ

    誠実はこの著者の修正である。
    のあとがきが残る?

    死にゆく人をみつて感じたまま、向き合った言葉で綴られて、こちらは息をひそめて読み進めるしかなかった。

    薪を割ることも父からこってり習い、
    その斧、その木を手で感じきっちりとしたためるほどだから、「木」で反りもがく「アテ」に心揺さぶられていたのかと納得した。

    物事や己の心をしっとりみつめる文章、正直な文章を書きたいと思う。あらためて。

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    2016年03月13日
  • 流れる(新潮文庫)

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    物凄く文章が読みづらいなぁと思って読んでいたら、昭和32年の発行だったとは。幸田露伴の娘だったとは。驚いた。
    文章は、思考の流れのように行ったり来たり、頁にぎっしりと詰まっておりなかなか骨が折れる。しかし、なんやかんやでさくさくと最後まで読んでしまった。出てくる女性たちが皆弱くて逞しい。

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    2015年12月24日
  • 駅・栗いくつ

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    少し昔の女の人が、どんな風に物事を感じて生きていたかを感じたくて、読んでみた。全体的に、暗かったり、質素なイメージで、でも今の何かとキラキラギラギラした世の中のなかでは、その雰囲気が新鮮だったりした。

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    2014年12月29日
  • 崩れ

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    【本の内容】
    山の崩れの愁いと淋しさ、川の荒れの哀しさは捨てようとして捨てられず、いとおしくさえ思いはじめて…老いて一つの種の芽吹いたままに、訊ね歩いた“崩れ”。

    桜島、有珠山、常願寺川…瑞々しい感性が捉えた荒廃の山河は切なく胸に迫る。

    自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    新緑の楓林を鑑賞するために安倍峠を訪れた幸田文さんの前に現れたのは、地元観光課のかたの心くばりにより案内された大谷崩れでした。

    「あの山肌からきた愁いと淋しさは、忘れようとして忘れられず、あの石の河原に細く流れる流水のかなしさは、思い捨てようとして捨てきれ

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    2014年10月04日
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

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    印象に残ったのは、料理で大事なことは、正しい味を知ること、腐ったものの味が分かること、ということ。最近はインターネットですぐにレシピが調べられるけど、野菜やお肉はものによって味や固さが違うのは当たり前。その食材に合わせた作り方ができるようになりたい。あと、賞味期限だけで判断するのではなく、自分で食べられるものと食べられないものを分かるようにならなくては。自分の五感で生活できるようになろう。

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    2014年10月01日
  • 流れる(新潮文庫)

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    ゆるやかな話し言葉のように紡ぎ出される美しい日本語。彼女たちのようなおんなが、確かが存在していたことを強く感じる。着物、化粧道具、台所の描写、女性にしか書けない小説である。

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    2014年08月28日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    こんなこと の中で説明される家事が、特にすてき。これで女性としてのたしなみを身につけられたらと思う。

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    2014年04月14日
  • 季節のかたみ

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    「なくしもの」。
    妻がふと夫に嫌悪を抱く。
    すると、まるで心を見透かされたように夫から別居の打診をされる。家庭が一番落ち着くと言っていた夫なのに、と妻はいぶかしむ。

    妻が生き生きと働きだした結果、夫の目には「静かさと安らかさ」をなくしてしまったように映る。

    最初は妻の嫌悪から始まるのに、夫の言葉に私までガーンと衝撃を受けた。自身を貫く一言って、あると思う。

    「ドッコイショ」では、「人のからだは天然資源でできています」という言い回しが面白い。
    使えば減る。減るのは定めだが、荒廃させるのはむざんだと幸田文は結ぶ。

    彼女の文章に触れると、身体論ではないのにも関わらず、身体というものを改めて見

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    2014年01月10日
  • 崩れ

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    私の勉強不足や、題材への興味が
    少なく、少し読みずらかった。

    ただ、胸打たれる言葉や
    ハッとするような表現も相変わらず
    多くあり、さすが。

    なにより驚きは、
    これを書いたのが、70過ぎだという事。

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    2013年10月08日
  • 崩れ

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    72歳で各地の「崩れ」の現場を見て歩く、なんて無謀すぎます。おそろしい執念。「幸田文」って、生活を大事に暮らす賢い女性のイメージだけれど、そして多分、本当にそうなんだろうけど、その裏側に、こんなクレージーな一面があったなんて…。ギャップが大きいだけに、驚かされました。
    その一本筋の通ったところは、白洲正子と重なるな、と思い、年齢を調べてみると、正子の6歳年上で同じ世代。ふたりとも、フィールドワークへの飽くなき探究心を持ち、80歳を過ぎても精力的に物を書いていました。明治女ってかっこいいです。

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    2013年10月06日