幸田文のレビュー一覧

  • 木(新潮文庫)

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    筆者が実際に日本各地に出向いての樹々に対する
    情感が描かれていて実際に自分も目にしてみたい
    気持ちになりました。

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    2024年04月26日
  • きもの(新潮文庫)

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    ★3.5。
    これはいかにも未完というか未発表の作品という感じがする。
    前半と後半の筋立てというか視点が若干ブレている感じがあり、タイトルに合わせる訳ではないですが、前半部は唸らされる読感ありです。
    その点、後半はある意味の非日常をストーリーに据えてしまったので前半にあった緊張感というか異常とも言うべききものから来る揺れが曖昧になってしまったかなと。

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    2024年03月29日
  • 流れる(新潮文庫)

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    文章が独特で、調子が悪い時は頭に入って来ず苦労した。でも、面白い部分は面白かったし、今の職場に似ている場面がたくさんあった。女が集まるとどこもこうなるのかな。仕事のできる梨花さんかっこいい。

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    2023年11月01日
  • 崩れ

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    著者が日本全国の崩壊地を巡る随筆。

    72歳にして、日本の風景に厳然とあり、そして記憶から忘れ去られたようなこの山崩れを尋ね、それを著者独特の目線で、言葉で捉えようとする。

    その捉え方は優しい。

    自然の冷酷さに嘆きつつ、それに立ち向かう人たちを励まし、暴れる自然に対してけして諦めず愛そうとする。

    老女はじっと崩れ落ちる山を見つめる。
    そしてわかろうとする。

    自分の中のフィルターにこの風景を注ぎ、一杯の茶を淹れるかのように。
    お口にあいますかと、微笑みながら読者にさしだす。

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    2023年05月18日
  • 崩れ

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    幸田文さんの文は時代か、難しいものが多い。この本も例外ではない。おそらくもう少し歳を重ねてもう一度読んだ時にちゃんと理解できると思う。

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    2023年03月23日
  • 幸田文 生きかた指南

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    昭和を生きた女性の力強い言葉。

    決して順風満帆の人生ではなく、さまざまな苦労を乗り越えてきたからこそ紡げる言葉なんだろうな。

    苦労、不仕合わせを経験したからこそ感じられる仕合わせ。

    不仕合わせの上に、長い時間をかけたあと、静かにもたらされるほのかな仕合わせ。

    ああ、幸せとはそういうものなんだな。不仕合わせもセットでいいんだ、不仕合わせがあるんだから必ず仕合わせが静かにふとした時に感じられるんだ、と思うことができた。

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    2022年07月30日
  • 流れる(新潮文庫)

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     1956(昭和31)年作。
     住み込みの女中となった女性の視点から、落ち目の芸者家の様子を描いた小説。
     文章がとても良い。ちょっとした言葉の選出などにいちいち味があり、絶えず気を配った彫琢された文体である。これに浸っているだけで充実感がある。
     一方物語内容や構成などにはさして出色のものはないと感じたが、どうだろうか。が、平凡な日常を細やかに描出した小説世界は、それはそれで価値を持つのかもしれない。

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    2022年06月08日
  • 流れる(新潮文庫)

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    言葉はきれいだけど、話はよくわからなかった
    久しぶりに眠い話だった
    自分には合わない作風なのかな
    でも、言葉の表現はきれいなので、他の作品を読んでみようと思った

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    2022年04月06日
  • 回転どあ・東京と大阪と

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    ネタバレ

     幸田文「回転どあ 東京と大阪と」、2001.2発行。庶民生活を清新に描いた単行本未収録のエッセイ101編。 ①明けまして、という挨拶には希望がこめられている。 ②自慢、高慢、馬鹿の骨頂という。(心に留めておかねばw) ③年の暮れは忙しい。年の暮れも、卒業も、結婚も、葬式も、区切りは忙しいにちがいない。でも、その忙しさの中にしんみりした情緒を含んでいる。
     3月は、気候はゆるむし、花は咲こうとするし、きもちのいい月。一方で、若い人が卒業、就職、入学とざわつく月。幸田文(1904.9.1~1990.10.31、享年86)「回転どあ 東京と大阪と」、2001.2発行、101編のエッセイ集、再読。 

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    2021年12月12日
  • 流れる(新潮文庫)

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    男の自分にとっては、すごく女性の視点が新鮮に感じた。

    男とは体の作りとか、体力とか、その前に備わってるもんが全然ちゃうということがよくわかる。
    それは、生物学的とか、社会的とかをやかましく言わんでもあるもの。

    話は戦後の花柳界へ女中にいった主人公の話。

    どこにでもある、人間芝居を色鮮やかというか、立体的というかとにかくリアル、主人公の目線としてりある。


    大河に身を任せて、ひとは生きるもの

    突っ張るのも悪くないが、まわりに押されゆらりと流れてゆく

    芯があればこその人生、しかししゃれこうべになるまでの舞台

    立ち居振る舞いは人それぞれ
    2021/10/19





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    2021年10月19日
  • 流れる(新潮文庫)

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    掃除婦や犬の食事係といった様々な仕事を勤めた未亡人・梨花が、芸者置屋の女中として住み込んで花柳界の舞台裏を経験する物語。
    慣れぬことに苦労しつつ働くのでなく、ひたすら強い女性として仕事を淡々とこなす梨花には感情移入しにくかったものの、芯のしっかりした優しさがあり、その強さのために加速度的に没落していく置屋の誰にでも心を添わせることができるんだろうな、ということに気付くと俄然彼女が魅力的に映るように。
    華やかな表舞台は描かれず、暗い裏事情ばかりが書かれているのに、陰惨な感じはあまりない。というのも女主人のしなやかさや、時に触れて現れるいやらしさのない美質が、文面からふんだんに伝わってくるためなの

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    2021年04月07日
  • 崩れ

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    山伏・八紘嶺に登山に行く折、地図に大谷崩下に「幸田文」の文字。何だと思って検索すると、幸田露伴の次女とのこと。
    大好きな山域に関するエッセイとあり、手を取った次第だ。

    作者は還暦過ぎてからこの大谷崩れを目にする。その荒々しさがずっと心に引っかかり、「崩れ」に興味もち日本中の崩れ巡りをする。

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    2021年02月18日
  • 崩れ

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    70歳を越えた幸田文が山岳地の崩れに興味を持ち、調べ、歩いて書いた随筆集です。
    松之山の崩れを見学したものの、それを書くべきか書かざるべきか逡巡するところが特に好きでした。被災した方のそれぞれが抱える一様でない気持ちと、心の動く方向が一様でないからこそ生まれる歪みみたいなものに思いを巡らせているところが、自分だったらこうは考えなかっただろうな、でも考えられるようになりたいものだなと思いました。

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    2020年09月18日
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

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    四季折々の暮らしのなかで著者が感じたことや心掛けていることをつづったエッセイ集です。

    父露伴から日々の生活の知恵について厳しく教えられた著者のものの見方が示されており、興味深く読みました。現代とは生活のリズムをはじめあらゆるものが異なる時代のことも多く、実感としてはわからないこともあるのですが、著者の感性のこまやかさは、その文章を通して伝わってくるように感じられました。

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    2020年09月05日
  • 季節のかたみ

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    飾らない文章なのが良かった。時折出てくる父親からの話がどれも良くて、父親との関係はとても良かったんだなあと思った。「うちの中の教えは、出来の悪い部分を救ってやり、弱いところを養ってやる教えが良いように思うのです」という部分には心打たれた。自分の不出来は一生自分にまとわりつくものだから、それを親の言葉によって手当てできれば子どもにとってうれしいものはないのだと書いてあり、なるほどその通りだなと思った。

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    2020年09月03日
  • 男

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    昭和34年のほぼ1年間、婦人公論に連載されたルポルタージュを中心に、“男"に関する文章をまとめて文庫化したもの。

     まだまだ日本が貧しかった時代で、人力でやらなければならないことが多かったとき、下水処理やごみ収集、あるいは北の海での漁業、森林伐採、橋脚工事のような、華々しく表に現れることはないが、しかし、日常の暮らしを支える現場で黙々と働く男たちに、作者は感謝とともに、細やかな視線を注ぐ。肉体労働や底辺労働に関しては、ともすると感情移入が過多になりがちであるが、全体を通して、作者らしい、きびきびした文章が読んでいて快い。

     作者は、それぞれの道に働く男たちを頼もしく思うこともあれ

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    2020年07月12日
  • 崩れ

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    予備知識なく読み始めたのですが、本当の自然観察なんですなぁ、ちょっとびっくり。こういうのって個人的には好きであります、タモリの坂道フェチにも通ずるものあります。まぁ、タッチは随分違うかもですが。
    自然観察と言いつつ、行きつくところは人間の営みへの想いであり、本作全体の息遣いは日本社会に生きる者の諦念を感じます。
    昨今の社会を取り巻く環境に対する日本、あるいはアジア特有の自然観と申しましょうかね。なかなか味ある作品だと思います。

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    2020年05月27日
  • きもの(新潮文庫)

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    ネタバレ

    きものを通して、相手の気持ちに配慮した格好とか、相手の立場、感じ方を考えての贈り物とか、人との交際の仕方を主人公のるつこが学んでいるのに、同じくなるほどと思わされた。
    おばあさんがいいあじ出してる。こんなおばあさんがいてくれたらなぁ。そしてこんなおばあさんになりたい。

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    2020年01月01日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

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    父と娘

    本当は別の一冊を読みたいと思っていたけど
    自分も父を亡くしていることもあって
    こちらを先に読んでみたくなった。


    父、露伴の病と葬儀の記録。
    そして父娘の思い出。


    作家である露伴の娘だった幸田文にとって
    書くことは無意識のうちに彼女自身の中に
    すでにあり、ごく自然なことだったんだと思う。



    そして作者はメモ魔だったのでは…
    それを示すような一節が度々出てくる。


    父、露伴から教えられたことや出来事について
    いくつか書いているけど、
    それもその当時の湧き出した
    思いが原動力となり一気に書かれている気がした。
    休みなく呼吸することすら忘れてひたすら書き続けた、そんな印象だった

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    2020年06月04日
  • 崩れ

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    土砂崩れ現場を見て歩きかかれたエッセイというかな。大規模なものはすごい迫力だろう。一度それを見てから各地を訪ねた記録。72歳の老女(ご自身でそう言っている)の品があって瑞々しい文章が素敵。

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    2018年08月30日