幸田文のレビュー一覧
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女性作家の作品はあまり読まず、読んでも面白いと思えるものがなかったが(アイン・ランドは極端で、ジェーン・オースティンは退屈だ)、
この『きもの』は一気に読めてしまった。
昔の東京の日常を描く細やかな描写は永井荷風を思わせるが、そこに女性独特の目線が新鮮だ。
「きもの」を軸に繰り広げられる、家族の物語と人間模様。
姉妹間での親からの扱いの違い、一緒に育ったのに全く異なる人間性、姉と妹の役割、など鋭い描写が興味深かった。
主人公の三女・るつ子は、着物の見た目よりも着ごこちにこだわる。
見栄を張る長女や流行を追いかける次女の承認欲求に比較して、自分の価値観を確立したるつ子の感覚は、一歩も二歩も進 -
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ネタバレ幸田文「回転どあ 東京と大阪と」、2001.2発行。庶民生活を清新に描いた単行本未収録のエッセイ101編。 ①明けまして、という挨拶には希望がこめられている。 ②自慢、高慢、馬鹿の骨頂という。(心に留めておかねばw) ③年の暮れは忙しい。年の暮れも、卒業も、結婚も、葬式も、区切りは忙しいにちがいない。でも、その忙しさの中にしんみりした情緒を含んでいる。
3月は、気候はゆるむし、花は咲こうとするし、きもちのいい月。一方で、若い人が卒業、就職、入学とざわつく月。幸田文(1904.9.1~1990.10.31、享年86)「回転どあ 東京と大阪と」、2001.2発行、101編のエッセイ集、再読。 -
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男の自分にとっては、すごく女性の視点が新鮮に感じた。
男とは体の作りとか、体力とか、その前に備わってるもんが全然ちゃうということがよくわかる。
それは、生物学的とか、社会的とかをやかましく言わんでもあるもの。
話は戦後の花柳界へ女中にいった主人公の話。
どこにでもある、人間芝居を色鮮やかというか、立体的というかとにかくリアル、主人公の目線としてりある。
大河に身を任せて、ひとは生きるもの
突っ張るのも悪くないが、まわりに押されゆらりと流れてゆく
芯があればこその人生、しかししゃれこうべになるまでの舞台
立ち居振る舞いは人それぞれ
2021/10/19
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Posted by ブクログ
掃除婦や犬の食事係といった様々な仕事を勤めた未亡人・梨花が、芸者置屋の女中として住み込んで花柳界の舞台裏を経験する物語。
慣れぬことに苦労しつつ働くのでなく、ひたすら強い女性として仕事を淡々とこなす梨花には感情移入しにくかったものの、芯のしっかりした優しさがあり、その強さのために加速度的に没落していく置屋の誰にでも心を添わせることができるんだろうな、ということに気付くと俄然彼女が魅力的に映るように。
華やかな表舞台は描かれず、暗い裏事情ばかりが書かれているのに、陰惨な感じはあまりない。というのも女主人のしなやかさや、時に触れて現れるいやらしさのない美質が、文面からふんだんに伝わってくるためなの