幸田文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな幸田文さんの本を岩波少年文庫で見つけた。
読んだことのあるものとないものが入り混じっていたが、表題の「台所のおと」
は初めて読んだ。(「みそっかす」は読んだことあり)
著者得意の人情の機微が台所仕事で生まれる「おと」に込められており、心に沁みたり、ホロリとさせたりする。
料理人のとても繊細な感性や心意気が感じられ、またこれまでの人生の悲しみやそれを経て出会った夫婦の愛情がにじみ出て温かく切ない気持ちにさせられる。
いつも、あまり幸せではなかったけれど、凛とした、性根のまっ直ぐな人の気持ちを描くのがうまい。
「都会の静脈」もとにかく観察眼と表現力には圧倒される。
当たり前のように水を使い、水を捨てているがその先にはこんなにいろいろな仕事がなされているのだなぁと改めて思った。 -
Posted by ブクログ
初めて幸田文さんの作品を読む。
幸田さんはどちらかというと
家庭での事を書くイメージが強かったため、
初めて読むには違う作品を読んだ方が
彼女の個性をつかめたかもしれない。
しかし、齢七十を越えてこの鋭い観察眼。
時には自分では歩けないような場所を、
誰かにおぶってもらいながらも、
幸田さんは、崩れた大地や川を
独自の視線と感受性でえぐり取っていく。
いや、えぐり取っていくは
表現が強過ぎるかもしれない。
幸田さんは、怪我をしてしまった大地の傷痕を、
じっと見つめ、自身の心も痛めながら、
どうしたら治癒出来るのか、
その道の専門化ではないがそのために
自分に何か出来ることはないか、
懸命に考えていたのではないかと思える。
この作品を読んでいると、
いかに日本が、いにしえより
自然の意に翻弄されてきた国であったかに
気づかされる。
日本という国の負う宿命について考え、
その地に生きる者としての心がまえについて
教えられる。 -
Posted by ブクログ
読んでいて、心地よくて仕方ない。使われることば、文の調子。。。「はなし」の文というか、話芸を感じさせる、声に出して読みたい気持ちの良さがある。
対象との距離が「冷たい」というほどあるでなしに、しかし程よい突き放し感を覚える。自分自身さえも軽く突き放してみせる。その観察眼からの描写がたまらず、知らぬはずの、だがどこか懐かしくもあるような時代・習俗そのものに興味があるのでなくとも、引き込まれる。たまらない。
観察眼鋭い描写、というのは多くの作家にあれど、恋だの愛だのいわないところが、私が幸田文を好きな理由かもしれない。植木屋のじいさんや近所の浮浪者、そういった市井の人びとへ注がれる眼がいい。「人物」の魅力が、活写される。じいさんやばあさんが好きになる。
少しの湿っ気というか温度の違いを感じるのは、やはり父、そして母に関してのことだろうか。ちらっとそういうところが伺えるのもいい。ははぁ、ここで心が強く動くのだな、と。そういう人なのだな、と。