幸田文のレビュー一覧

  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    父を題材にした2編。再読です。最初に出会ったのは中学生の時、国語の先生に薦められて。名文というものは、こういうものですよ。と言われるまま手に取り、当時はさほど内容には興味を持てず、ああ、文章ってこういうものなのね。と、半ば作業的に読んだものでした。そしてそれからだいぶ年月を経た今回。身近な人の死に幾度か触れ、健在ながらも老いていく父を持つ身になり、ようやく文面から、情景や心境に実体を感じる事ができるようになってきました。またしばらく時を置いて読み返したらどう変わるか。10年後くらいに、また再読したいです。

    0
    2012年09月17日
  • きもの(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    着物に造詣の深いことで知られる、幸田文さんの自伝的小説。
    小説を楽しむためには、和服の知識(生地、柄、各部分の名称など)が多少問われるが、いつの時代も女というものは衣服にかけるこだわり、執着、執念が強いということは、伝わってきます。TPO、見栄え、着心地、それら全ての要素が納得のいく衣服に出会うというのは、こだわりが強ければ強いほど難しい。

    昨夏、奮発して購入した緋色の浴衣、今年も袖を通して出かけたいです。

    長女、次女、そして末っ子の主人公、三姉妹のそれぞれの結婚から、大正時代の結婚価値観も見えてきます。

    0
    2012年07月05日
  • きもの(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    るつ子の人生ときもののお話。
    おばあちゃんがイキすぎて素敵。
    イキと野暮ってこういうこと。
    書いている時に幸田文は亡くなったので、若干続きは気になる遺作。

    0
    2012年04月02日
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

    Posted by ブクログ

    「番茶菓子」は、○○の小品という章立てに分かれて、短いエッセイがつまっています。花、夏、きもの、・・・など。
    この中で、強烈に記憶に残ったのが梅のエッセイ。
    その決め台詞は、「奥さん。どこへ逃げたって、あなたのからだからは梅の花の匂いがするんですよ」ちょっとどきっとしますね。

    0
    2012年02月22日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    幸田露伴の実生活に基づく像が見えてきて、興味深かった。
    幸田文さんの悪戦苦闘の日々を通して、昔の父親は絶対と考えられていたころの時代の空気を感じることが出来た。
    現在のわれわれの世代ではあまり父親の威厳というものは強く感じる機会はないが、この作品を読んで、古き良き日本を感じることが出来た。

    0
    2012年01月05日
  • 猿のこしかけ

    Posted by ブクログ

    読んでいて、心地よくて仕方ない。使われることば、文の調子。。。「はなし」の文というか、話芸を感じさせる、声に出して読みたい気持ちの良さがある。
    対象との距離が「冷たい」というほどあるでなしに、しかし程よい突き放し感を覚える。自分自身さえも軽く突き放してみせる。その観察眼からの描写がたまらず、知らぬはずの、だがどこか懐かしくもあるような時代・習俗そのものに興味があるのでなくとも、引き込まれる。たまらない。
    観察眼鋭い描写、というのは多くの作家にあれど、恋だの愛だのいわないところが、私が幸田文を好きな理由かもしれない。植木屋のじいさんや近所の浮浪者、そういった市井の人びとへ注がれる眼がいい。「人物

    0
    2011年11月17日
  • 崩れ

    Posted by ブクログ

    日本は地震の多い国であると同時に火山国でもあるんだよね。
    日本人は自然災害を受け入れながらしなやかに生きている国民なんです。3.11の自然災害も原発事故も乗り越えられる、そう強く思いました。

    0
    2011年11月13日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    親子の繋がりというものはこんなに深いものなのか、と読み終わってため息。
    今の時代…と言っていいのか、そんじょそこらにはない繋がりだと思います。

    私は親をこんな風にして看取ることが出来るだろうか、と考え込んでしまった一冊。

    0
    2011年09月28日
  • 流れる(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今時人の所作にどきりとしたり、見惚れたりってないもんなあとしみじみ。
    全てが素敵で憧れるわけではないけれど、全てが眉を顰めることばかりではない。
    主人公が妙にその世界に惹かれてしまう気持ちがわかるかも。

    0
    2025年05月28日
  • きもの(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    後半の関東大震災の話で、ただただため息。
    自伝的と言われているけれど、あまりそんな感じを受けずに読みました。
    おばあさん大好き。

    0
    2025年05月28日
  • きもの(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    女にとって、着る物ってやっぱり大切ですよね。綺麗であればいいというわけじゃないし、TPOに合わせて、自分の気持ちに合わせて。お祖母さんの着物に対する考え方、生き方が素敵でるつちゃんが教わるように、私も一緒に教わった気がします。気になるのはるつ子の結婚のその後。結婚式当日からうまくいかなさそうな空気ですが、どうなるのでしょう?るつ子には幸せになってほしかったのにな。こんな大切な場面で意地っ張りな性格が出てしまったようで心配です。けっこう古い本だけど、読みやすく面白かったです。

    0
    2017年10月16日
  • さざなみの日記

    Posted by ブクログ

     つましいながらもささやかなゆとりのある、母子ふたりの家庭の情景。
     そんな暮らしのなかにも、表題どおり「さざなみ」のような出来事が降りかかるわけですが、自身の自伝のような他の作品に比べると、角がとれて胸の痛む事件はほとんどありません。
     淡々と、賢く堅実。道を踏み外さない日々がいいです。

    0
    2011年02月07日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    国語のテスト問題で抜粋されていた。
    「この文章、好きだ!」と思った。淡々としているけれど、日本語が美しい。
    内容もおもしろかった。父であり作家であった幸田露伴との思い出を綴る。
    「あとみよそわか」の章、父親から掃除の仕方を習っている場面だったと思う。
    たかが掃除ではない。作者も「掃除の稽古」と書いている。
    まず手始めに、掃除道具の改良から。そして、掃除の手順に加えて、見目の良いしぐさも要求される。
    はたきの音がうるさいと注意され、父が言うことには「物事は何でもいつの間にこの仕事が出来たというように際立たないのがいい。」
    そして、ぞうきんがけに至っては、難易度が高いということですぐには教えてもら

    0
    2010年09月06日
  • おとうと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    文士の父、継母、不良の弟。そんな家庭の中で、病がちの継母に代わって家事を切り盛りし、弟の世話をするげん。女性のもつ真の強さとやさしさで、彼女にかなう人はいるのでしょうか。弟を看取った彼女に、彼女自身を守ってくれる男性があらわれますように。

    0
    2021年06月22日
  • 台所のおと みそっかす

    Posted by ブクログ

    作家 幸田文の随筆や小説を孫である青木奈緒が編んだ一冊。岩波少年文庫として編まれたことに、まずは驚きました。中学時代にこの本と出逢っていたら、また別の読書世界に誘われたでしょう。
    倒木したえぞ松の上に新たなえぞ松が着床し芽吹き育つ様子や、都会の下水道や救急活動を見学するルポ的文章に死生観を感じます。そして生活の挙手を丁寧に描いた小説には、地に足ついた重みを感じ、父 露伴との思い出を綴った随筆にはユーモアを感じます。幸田文への、そして新たな読書への入口に最適な一冊でしょう。

    0
    2010年03月26日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    再読しました。幼い頃に父が急死したので、こんな送り方もあるのかと。父子の濃密な関係に羨ましかったり辛かったり。

    0
    2010年03月09日
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

    Posted by ブクログ

    私が好きな幸田文^∞^
    古本屋で初版を見つけてうっはうはだった
    初版はレトロな雰囲気でかわいいんです

    何故これかというと、あたしが虫歯で悩んでいるときに、この本に歯医者にまつわる話があったからです
    ただそれだけです笑

    ただ初版は旧字体で読みにくい!
    それだけが難点かな・・・

    0
    2010年02月05日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    父である幸田露伴との幼少時代の思い出から父の最期のときの思い出までを綴ったエッセイ集です。自分が親になったときに、父、露伴のようにに自分の子供をしつけることが出来るのだろうか。

    0
    2009年10月04日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    全編通しての美しいリズミカルな日本語が印象深い。

    「父」はすこし読むのがつらい。
    「こんなこと」は、壮年の日の幸田露伴の、文子への折り目正しい家事指南と
    はっちゃけた愛情の注ぎっぷりがまぶしい感じ。

    時々読み返したくなる本。

    0
    2009年10月04日
  • 父・こんなこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この人の繊細な言葉選びや描写が好き。『父』と『こんなこと』の二つが入っていて、両方とも著者の父親である幸田露伴について書いてある。
    父親で大作家の本当の末尾までしっかりと書き込まれた私小説。

    0
    2009年10月07日