あらすじ
食卓のおでんやすきやきが、筍とそら豆になるまでの一月から五月、何気ない日々の出来事を書き留めた百日の手帖。女にとって親密なことば「きざむ」、隅田川の意外な光景「川の家具」、道路掃除の仕事をする女のひとの話「掃く」、季節に心の機微を読む「春の雨」、ほか「おこると働く」「木の声」「朝の別れ」「豆」「吹きながし」等、移りゆく暮らしの実感を自在に綴って今なお古びない名随筆。(解説・出久根達郎、青木奈緒)
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Posted by ブクログ
幸田露伴の次女、幸田文による新聞連載をまとめた一冊。
連載が掲載された1959年から早65年超を経ての新装版。
新聞のコラム連載であり、一編の長さは、文庫本のページ数にして約1ページ半と読みやすい。
「幸田家とその周辺で使われていた言葉」に昔の日本語の響きが合わさり、少々手こずる部分もあったが、現代のインスタントなやりとりが中心の世の中より昔の、言葉をより丁寧に紡いでいた時代の女性の筆に、日本語の美しさと奥深さを感じた。
今としたら時代錯誤な言葉もあるが、かつての日本の日常にふらりと触れられるような、ぺらりとめくるとふわりとタイムスリップできるようなエッセイだった。
Posted by ブクログ
心地いいんだよな。
等身大だ。背伸びもしなければ、矮小になることもない。それでもって、さまざまな事物に魂を見て、ご縁を見出す。
一体どうやったらその視点が身につくのか、羨ましい限りだ。
ご家族の本も読んでみたい。文は遺伝するのか。気になる。
Posted by ブクログ
こういうのを文学作品というんだなあとしみじみ感じさせられた作品。
登録者が何故こんなに少ないのか不思議。
ビスケットとお茶をいただきながら、品の良いご婦人のお話しを聞いてる感じ、という感想を投稿してる方がいて、ほんとうにその通りだなと思った。