横溝正史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
軽井沢の丘に立つバベルの塔なる遊技場。今で言うところの、バブル後のうらさびれたテーマパーク。映画のロケに来ていたメンバーが、ひょんなことから仮想殺人劇を演ずることになったが、本当の殺人事件になってしまった。
第1部では、塔に住む謎の住人が犯人とされて、犯人死亡で一件落着となるが。。。
(本文より引用)
しかし読者諸君はよく知っていられるはずだ。
探偵小説の性質として、こんな思いがけない人間が犯人であってはならないということを----(うーーん、ちゃんと読者心理を見抜かれているというか、ここまで書くものなんかなぁ)
昭和7年の作品。容疑者がひとり、ふたりと殺されていって、思わぬ犯人の意外な過去 -
Posted by ブクログ
横溝正史さんの作品を読むのは、学生時代に金田一物を漁り読んで以来です。当時にも復刻版はいくつか出ていましたが、オカルト時代物はなかったという記憶です。本書は江戸時代の天草四郎の怨念を絡めた、横溝版吸血鬼物語とでもいうべき作品。
さぁ、これから面白くなりそうな。。。というところで急展開の一件落着には少々がっかりでしたが、解説によれば、連載していた雑誌の廃刊という事情があったそうで、ならばと納得。
表題の他に、「神変稲妻車」もあり、こちらも紙芝居調の語り口で、山あり谷あっての予定調和の大団円。この時代になってみれば、なんとも新鮮な味のエンターテインメントでありました。
2006/11/1