あらすじ
軽井沢の丘にバベルの塔なる遊戯場が建つ。放射状に伸びる七つの外階段を持つそこで演じられた仮想殺人劇。役割どおりに怪奇作家大江黒潮は倒れていた。役割にない白目を剥き、どろりと血を流しながら……。巨匠の名長篇推理、ここに復刊!
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Posted by ブクログ
メイントリックが戦前クォリティ炸裂だったり、微妙にアレな部分も多いですが、横溝作品の中でも特に好きな一作です。
乱歩に対する作者の想いが、文章の端々から感じられるのがたまらない…。
単体でも、後の横溝作品と読み合わせても、正史や乱歩の時代を空想しても楽しい、ほんとに美味しい一冊です。
Posted by ブクログ
軽井沢の丘に立つバベルの塔なる遊技場。今で言うところの、バブル後のうらさびれたテーマパーク。映画のロケに来ていたメンバーが、ひょんなことから仮想殺人劇を演ずることになったが、本当の殺人事件になってしまった。
第1部では、塔に住む謎の住人が犯人とされて、犯人死亡で一件落着となるが。。。
(本文より引用)
しかし読者諸君はよく知っていられるはずだ。
探偵小説の性質として、こんな思いがけない人間が犯人であってはならないということを----(うーーん、ちゃんと読者心理を見抜かれているというか、ここまで書くものなんかなぁ)
昭和7年の作品。容疑者がひとり、ふたりと殺されていって、思わぬ犯人の意外な過去物語。。。というのは、いかにも昔風の、よくお目にかかった本格推理小説という印象でしたが、解説を先に読んでいたら、印象もずいぶん変わっていたでしょう。江戸川乱歩の「陰獣」のリスペクトとありました。当時の探偵小説マニア向けの読者サービス本といったところだったんでしょうか。
2007/3/12