山崎ナオコーラのレビュー一覧
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サンドイッチ屋店主の妻がガンになり入院、夫は介護休暇制度使い業務量を減らし、妻との時間を多く取り死までの時間を描いた一冊。
花田菜々子氏推薦、死について興味もあり手に取る。
夫は妻が死ぬまでの時間を淡々と自分がやれることをや過ごし、妻も穏やかにその時を迎える。物語としては面白みがないが、私の場合はどうだろうや、実際には日々の時間がやはり淡々と流れていくのか等、話が大げさになっていない分、自分事としてシュミレーションできた感がある。
読んだあと、これが「美しい距離」かと考える、そうだな。美しい距離か。
私も同じ状況になった場合、再読しても良いかなと思った、人は「美しい距離」を取れるのか? -
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家事のハウツー本ではなく、家事を主に担う人(子育て女性)の目まぐるしさを感じる一冊。わたしはタイトルから、著者が考えてた効率的な家事の方法を紹介する本かと思ってしまいましたが、冒頭から違いました。実際、家族旅行の話など家事の話ではないものもでてきます。全般的に、家事に意味を見出したい。そうすることで自分の成長を感じたい、主に家にいるけど私も成長したい!という気持ちがバリバリ伝わってきて、「渇望」という熟語が読んでいて浮かびました。共感できるところと、そうでないところのギャップが激しく、レビューの中でも賛否両論あります。
■この気持ち既視感ある
初めての育休中。よくわからん育児に鬱々とし、自分 -
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源氏物語は漫画でしか読んでいなくて、最後の巻の終わり方は知らなかった。源氏物語は、この物語が描かれた時代よりさらに50〜100年くらい前の設定で書かれているらしい事や、原文には個人名が書かれてなくて、後の時代の人が名付けていった、というのも知らなかった。確かに高貴の人の名前を呼ぶ事が憚られたので、主語はあえて明記せず、敬語の使い方などで、誰の行動なのかわかるように書いていたというのは、当時としては普通の感覚なのかも。日本語ってすごいな、と思ってしまった。
そして、書かれている物語の内容が、確かに今なら性暴力で訴えられるような事なんだと思った。
漫画で読んだ時は、そこまで深刻にとらえていなかった -
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ナオコーラさんらしさ全開で愛おしい。
ブスの人も、自信もってこうね!という内容では全くない。
ナオコーラさんがルッキズムに対して、差別全体に対してどう感じているかを熱い気持ちで、でも淡々と綴られているエッセイ集。(とはいうものの、このタイトルなので、書店員の方から「この人、顔のことでで悩んでいるのかな」と思われそう、とか自意識過剰にちょっと考えた。笑)
序盤に、"私の考え方は少数派で、違う考えを持つ読者の方が多いんじゃないかな、と予想している。"と記載があるように、すべての考えが一致する人は少ないと思った。
だけどそのあと"私は違う考えの人に、私の考えと同じに -
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老いは穏やかだ。
抑揚の無い日常の繰り返しも穏やかだ。
だが、病気により、その繰り返しや日々の穏やかな積み重ねも急に歪み、加速し、取り戻せなくなる。美しい距離とは儚さの事か。手を伸ばしても次第に届かなくなる、過ぎ去りし幸せな思い出が、やがて遠い過去になる。
この小説はそんな世界観を描いているような気がした。どこにでもありそうな平凡。日常を破る、また、どこにでもありそうな闘病。しかし、当事者にしか気付かない、不可逆的な穏やかな日々。
心臓がドキドキするのは、その日がいつか来ることに気付いているから。人間は何度も、死を乗り越えて、再び穏やかさを取り戻して生きる。死を前にすれば弱くもあり、しかし -
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読む本、好きな本は風雪(出版の嵐)に耐えて昔から現在まで残っている本(作品)が多い。
つまり文豪と言われている作家の作品ということか。
山崎ナオコーラさんの『文豪お墓まいり』の文豪お墓は、わたしの好みの文豪が多々。お墓の前で作家の作品を思い、自身のあれこれを思う作者に親しみを感じた。
文豪とは何ぞや、100年も50年も名前が残っている作家?作品が長く読み継がれている作家?
たまたま、夕べBSNHKの「西村賢太」のドキュメンタリー映像(再放送?)を観た。
一昨年突然死なさったそのお墓は、郷里でもない石川県七尾市の西光寺だという。
しかも、西村賢太が晩年「藤沢清三」という永らく埋もれていた -
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読み進めていくうちに登場人物のつながりが見えてくる連続短編小説集。
ナオコーラさんの小説には、徹底的にイヤなことっていうのが出てこなくて、家族も大体協力的でそこが好きなんだけど、「恋人は松田聖子」に出てくるお母さんが珍しく結構キツくて、勝手にショックを受けた。
のちに、発言した本人もずっと悔やんでいたことがわかるのだけど、いじめられて学校にいけないことを打ち明けた息子に「ごめんね。もっと強い子に育てなければならなかったのに、私が子育てを失敗したのね」と泣く母親は、ヤバすぎる。
言葉は、あの時はごめんね、で済まない今日凶器だ。
それ以外は、結構楽しく読めたし、天国の描写もあったりして、本当に -
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ネタバレ2024.06.追記:
この本くらい抜け感がありつつ充足感ある本はなかなかまだ見当たらないかも。
2023.感想
この本はとても読みやすい導入で、初日に一気に半分まで読んでしまった。植物との出会い、育て方、組み合わせ方、間引き方、それに対する想いなどエッセイとして追体験と、教えてもらえるような感じがした。
中文、ナオコーラさんは世間の声や見え方を気にされるのだな、という文章が所々に見られたが、それでも、振り絞るように本音を書き残してくれていて、代弁してくれているような気持ちと、本を読むからには出会いたかった本音が少し見えたのがよかった。
個人的には、「ゴミ」という言葉が好きということ(没案 -
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◆心に刺さったワード◆
⚫一日の中に締切があると、規則正しく進む
⚫中途半端な人こそ自分を天才に見せようとして横柄になる
⚫仕事してる間は、自分の内側のことで悩まなくていい。それに、金銭が発生すると「社会に必要とされてる」と思えて、自分のなかの欠落感が埋まった気になる。その「必要とされてる感」を失う怖さ。今仕事がなくなったときに、その欠落とうまく付き合う 技術や、人間 力への自信がない。そこから来る 強迫観念かもしれませんね。
⚫強い心は強い肉体に宿る
◆読んでみたい本◆
⚫変な恋愛の短編を集めたアンソロジー 岸本佐知子 『恋愛小説集』
⚫肩の力を抜きたい人 森鷗外 高瀬舟
⚫世界の実相 -
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ネタバレとてもリアリティがあり、
悲しいしやるせないけれどどこか光も感じる。
お義母さんがあまり好きではないというか
けして嫌いではなく恐らく良い人なのに
ちょっともやっとするところがある。
そういった日常にありふれたことが、奥さんの闘病生活を支える中でもそこかしこに在る。
会社の人が奥さんの余命を訊いてくるのも可笑しいし
忌引きじゃなくて死ぬ前に休みが欲しいというのも
本当は当たり前の感情だと思う。
余命という物語を使わず納得してもらいたい
という表現の仕方に共感する。
主人公に対しても、「して『あげる』」という言い方を
しなくても良いのになと思った。
小林農園の人は良い人で、本人の前では泣