山崎ナオコーラのレビュー一覧
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物語の流れや構成というよりも、主人公が心の中で会話の相手に突っ込む場面、その一言が妙に心に残る作家だと思う。
4つの短編はそのどれもが「おじさん」と「少女」をテーマにしているが、中でも「手」は明らかに「おじさん」を人生の研究テーマに据えている「少女」(とも呼べない年齢の女性)が主役だ。
女は若ければ若いほど素敵、と思っているおじさんに対し、
女は若ければ若いほど素敵という思いがあるから、女に対して「若いね」と言うことが褒め言葉になると考えるのだ。だが女は、努力して大人になったのだから、できるだけ年相応に見られたいに決まっている。
と心で呟くシーンは妙に納得感が高い。
それでいて、こうも思い巡らすのだから最高だ。
若い人は、やっぱり、えらい。いつの時代でも若さは注目を浴びる。私は年を取っていくから、年齢を重ねる楽しさも自ずと知っていくだろうが、あとから生まれてくる人たちの眩しい若さには、いつも敬意を払っていこう。二十歳前後の女の子や男の子をこれから見るときは、決して老いた自分を卑下することなく、でも、眩しさに眼を細めるのだ。
うん、こういう思慮の表現がたまらなく好きだ。 -
Posted by ブクログ
「手」のラストシーンに胸を締め付けられた。
ナオコーラさんの作品によくある、「ただ出会って別れるだけ」の王道をいく作品かもしれない。
恋愛を客観視すると、総じて美しく見えるが、出会いよりも別れの方が一層美しく見えるのは、本当に不思議である。
以下、本文抜粋。
《音楽って、何度も反復があるでしょう?記憶があるから、もう一回同じメロディが起こると、感動するんですよ。寅井さんと僕も、昨日会って今日も会ったから嬉しいでしょう?一ヶ月会わなかったら顔も忘れちゃうでしょう?でも会うと思い出す。だから、何度も会いましょう》(「手」)
《生きているだけで、「自殺することに、反対です」というシュプレヒコールをあげていることになる》
《朝というものは、絶対的に美しい》(「お父さん大好き」) -
Posted by ブクログ
短編集。
特に共通点はないような気もするけど、
「他者との関わりかた」みたいなものをどのストーリーからも感じたかな。
個人的には表題作の『反人生』よりも最後の『社会に出ない』が共感できた。
社会人になってから学生時代の友達に会うのって結構複雑なところある。
自分の仕事とかプライベートが順調ならまだしも、うまくいかないことがあると会いたくないなーと思うことも確かだし。
学生時代はそれも含めて飲みながら相談したりできたけど、なんとなく弱みみたいなの見せられなくなったり。
社会人というか大人になるって大変だなあってしみじみ。
山崎くんには結局会えなかったけど、きっと会いたくない理由があるんだろうな。
それを無理やり引っ張り出すのってやっぱり違うと思うし、ラストはあんな感じで正解だなーと思った。 -
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ネタバレ「雪村には十九歳まで性別がなかった。」で始まる物語。この一文、心まるごと掴まれるよね。
19歳で小説家としてデビューした途端、周りから女性であることを求められた。主人公・雪村は、他者から見られる自分、社会から規定される自分に戸惑い、作家として生きる決心として、性を捨てる。他人にも、異性を求めない。
こういった、「職業人」として認められたいという気持ちは著者の心情を如実に表してるんやろうなあ。
自分を規定するものはなんだろう。精神的な統一が図られ、自分の体を自分の体だと自覚する、そんなふうに完璧にコントロールできるものではない気がしてる。わたしは鈍感だから考えすぎないストッパーを心に設置してるんやろう。著者近影をおっさんにするだけならまだしも、おっぱいまでなくしちゃう雪村の気持ちは、やっぱり理解しがたい。別れ話のときの時田のように、それって結局自己愛やん、ってどちらかというと怒りの情感まで湧いてるのかも。
そんな生きづらそうな雪村が、誰かと関わりながら雪村らしく生きる方向性を見出せた最後でよかった。 -
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ネタバレ《反人生》
「人生作りには、興味がない」
「むしろ世界を作りたい」
ヒロインの萩子は、一瞬一瞬のきらめきのために頭を使いたい、という刹那主義者。『世界の傍観者』であり、自分の物語は持たない。頭の中で生まれ、頭の中で死んでいくと思っているという。
一方、彼女の好きな人の婚約者は、『人生を作る』という目標を持つ真逆の人物。二人の結婚式をぶち壊し、はたと気づく。世界を見るだけでは済ませられず壊したり、行動したり、人生にあらがうことはできないと。
なんちゅうことを考えとるんや、ナオコーラ。そして相変わらずナオコーラの小説のタイトルは強い。
《T感覚》
母と娘の別れ。死ねば肉体は皆のものになる。
たった4ページだけど、美しい物語だ。
《越境と逸脱》
共感という意味ではこれが一番。
真面目な世界、常識から逸脱するために、男友達とつるむ。「女子会」の議題は恋愛や進路相談、内容のある話ばかりでつまらない。だから越境する。
でも、自分も社会に出て、結婚なんてしちゃったらすっかりモラリストになってるねんな。そして友だちにも変な期待をしてる。「ああ、変わったな」と。
異性に友情は成立するのか?なんてそんな単純な問いかけじゃない。友情は、形を変える。
《社会に出ない》
これもうんうん頷きながら読めた。
『みんなに会いたくないな』って思うことあるもん。そして、周りにもそんな人がたくさんいる。友だちなのに社会になってしまってるのかあ。
友だちが無職でも不妊でも明るく話してくれればなんとも思わないし、喋りたくないなら聞かないけど、いざ自分が当事者なら会わないのが一番楽って思っちゃうな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夫が亡くなっても、生前だった頃の習慣を崩さない静かな生活。
バイト先の25歳の同性の早蕨に恋心を抱き
マイメロ収集、ビーズ手芸
日本は何度か震災や戦争を繰り返して、
寿命も伸びた未来での萩子の日々。
早蕨がメールで萩子をわざと荻子って間違えるところが面白かった。
萩子は早蕨の結婚式をどういう風にめちゃくちゃにしたんだろう。
同じ世界に生きていながらも、
個人が感じている世界はまったく別のもの。
他短編。
T感覚、男友達をやめると別れを告げられたとき
一方的に友人関係を遮断された学生時代の友達を探して。
たしかに、友達って、恋人と比べると境界線が曖昧だもんね。
いつだって言葉にしないまま関係性を終えることが出来てしまう。
オトナになると、世間体や社会的立場とか
いろんなものがくっついてきて正直になれないときもあるし。
切なっ。
「社会に出ない」は著者自身の話なのかな。)^o^(
2023年再読。
萩子は早蕨の結婚式をどういう風にめちゃくちゃにしたのか、過去の自分と同じところを気になった。
それにしても、7年前の自分、ちゃんと読んでる。。